――人間、理解できないものを見ると一周回って冷静になるんだなあって思う。
——人类啊,看到无法理解的事物时,反而会绕一圈冷静下来呢。
潔の視線の先にいるのは、言わずもがな天敵のミヒャエル・カイザーだ。これが平時であればゲッと言いながら足早に通り過ぎているところだが、この時ばかりは近づくことさえ躊躇われた。
洁视线前方站着的,不言而喻正是他的天敌米歇尔·凯撒。若在平时,他早就咂舌快步走开了,但此刻却连靠近都踌躇不前。
その答えはカイザーが握りしめているモノにある。 答案就在凯撒紧握的那件东西里。
潔の活躍にともない、サッカー以外にもいろいろな仕事がくるようになった。ファン向けのグッズ展開もそれに含まれる。カイザーみたいなイケメンならまだしも、潔にまでお鉢が回ってくるのはちょっとどうかと思うが、チームの意向なら逆らえない。
随着洁的活跃表现,足球之外的工作邀约也纷至沓来。面向粉丝的周边商品开发就是其中之一。虽说凯撒那种帅哥倒也罢了,但连洁都要参与这种事总觉得不太对劲——不过既然是团队决定,他也无法违抗。
今回のグッズはデフォルメのフィギュアだった。BMのユニフォームを着た潔が三角座りをしている可愛らしいものだ。
这次推出的周边是 Q 版手办。穿着 BM 队服的洁以鸭子坐姿势蹲着,造型十分可爱。
担当者の好意でサンプルをもらったはいいものの、自分のフィギュアを飾る趣味のない潔は困り果てていた。
虽然出于工作人员的好意拿到了样品,但完全没有摆放自己手办兴趣的洁感到十分为难。
一応はお礼を言いながらも自宅に持ち帰る気にもなれず、適当にその辺に置いてきたはずだった。
虽然姑且道了谢,但实在提不起带回家的兴致,就随手放在某个地方了。
そして、何故かそのフィギュアが今、カイザーの手の中にある。
而现在不知为何,那个手办正握在凯撒手里。
これでカイザーがフィギュアをメキメキと握りつぶしてるとかだったら、脳死で煽りにいっていたことだろう。その方がカイザーの性格にも合っている。
要是凯撒真的把那个手办捏得咯吱作响,我肯定二话不说就冲上去嘲讽了。这才符合凯撒的性格。
だが、現実の潔フィギュアは壊さないようにそっと指先で持ち上げられていた。まるで捧げ持つかのような素振りだが、フィギュアを見つめるカイザーの視線は清廉とは言い難い。
但现实中,他却小心翼翼地用指尖拈起那个洁的手办,生怕把它弄坏。那动作简直像在捧着什么圣物,可凯撒盯着手办的视线实在称不上清白。
フィギュア自体が小さいのでどこを見ているかと言われるとはっきりと断定できないものがあるが、その視線は潔の勘違いでなければズボンの裾の際どい部分へ向けられていた。――つまり、パンツを覗いているのである。
由于手办本身尺寸迷你,很难确切判断他目光的落点,但若非洁的错觉,那道视线分明正游走在裤脚边缘的危险地带——换句话说,他在偷看内裤。
いや、何でだよ。 不是,这什么情况啊。
いくらメイドインジャパンと言えども、ズボンの中のパンツまでは再現されていない。というか、再現されていたら販売を拒否しているところだ。
就算是日本制造,也不可能连裤子里的内裤都还原出来。或者说,真要还原出来的话我早就拒绝购买了。
だが、カイザーは不屈の精神を持っているのか角度を変えてどうにか覗き見ようと試みている。
但恺撒似乎有着不屈不挠的精神,正变换角度试图偷窥。
その根性は今いらねぇんだよなあと思いながら立ちすくんでいると、カイザーが一つ舌打ちをしてフィギュアを置いた。どうやら物理的に見えないことを覚ったようである。
我正僵在原地想着"这种执着现在根本不需要啊",恺撒咂了下舌放下手办,看来他终于意识到物理上根本看不见的事实。
そして、気配を察知したかのようにこちらを振り返った。
接着他像是察觉到什么似的突然转头看向我。
「…………」
「…………」
潔は咄嗟のことに何も言えなかった。いやだって、同僚が自分のフィギュアのパンツ覗いてるとか非日常的すぎてどうすりゃいいのかも分からない。
洁被这突如其来的状况惊得说不出话。毕竟同事偷窥自己手办内裤这种事太过离谱,完全不知道该如何应对。
カイザーは潔を視界に捉えて軽く目を見開いた。まさか見られているとは思っていなかったのだろう。
凯撒察觉到洁的视线后微微睁大了眼睛。显然没料到自己会被发现。
さてどんな苦しい言い訳をするのか。潔はジッとカイザーを見つめていたが、黙ったままうんともすんとも言わない男はややあって視線を逸らすとそのまま回れ右をしてスタスタと歩き去っていってしまう。
那么他会编出什么蹩脚的借口呢。洁死死盯着凯撒,但这个沉默的男人最终只是移开视线,直接转身大步流星地离开了。
残されたのはまだニコニコと笑っているフィギュアと、セクハラされた気分になっている潔だけである。
留在原地的只有依然笑眯眯的手办,以及感觉自己遭遇性骚扰的洁。
「は……?」 「哈……?」
現行犯でパンツを覗いている現場に居合わせたのだ。謝罪の一つや二つあって然るべきだろう。たとえフィギュア相手だろうが、された方が不快な思いをしたならそれはセクハラだ。
这可是现行犯偷窥内裤的案发现场。按理说至少该道个歉吧。就算对象是手办,只要被冒犯的一方感到不适,那就是性骚扰。
潔の中にふつふつと怒りの感情が湧いてくる。あの変態覗き男をどうにかして断罪してやりたくてたまらなくなっていた。
阿洁心中涌起阵阵怒意。他恨不得立刻将那个偷窥变态男绳之以法。
ひとまず証拠品のフィギュアを押収した。これ以上、放置していては何をされるか分かったものじゃない。
暂且没收了作为证物的手办。再放任不管的话,天知道那家伙会做出什么事来。
あらためて手元に取って見てみるが、とてもじゃないがパンツなんて覗けるはずもない健全なフィギュアだ。それをあの賢いカイザーが分からないはずもない。
重新拿在手里端详,这明明是个连内裤都看不到的健全手办。以凯撒的聪明才智不可能不明白这点。
……このまま詰め寄っても誤魔化されそうだな。 ……就这样直接质问的话,恐怕又会被他糊弄过去吧。
犯行現場に居合わせたとはいえ、確実に覗いていたというのは難しい。カイザーは口が上手いので何だかんだで言いくるめられてしまうのは想像にかたくない。
虽说案发现场就在眼前,但要确凿证明他偷窥了实属不易。凯撒那张能说会道的嘴,随便编个理由搪塞过去简直易如反掌。
仮に自意識過剰だとか言われた日には殴りかかってしまうかもしれない。そうなれば、潔の方が加害者だ。
要是被他说成是自我意识过剩,我恐怕会忍不住挥拳相向。那样的话,反倒会让洁成为施暴的一方。
――もっと明確な証拠が必要だ。 ——必须找到更确凿的证据才行。
潔の思考はカイザーにセクハラを認めさせるために回り始めた。
洁的思绪开始围绕着如何让凯撒承认性骚扰而飞速运转。
さも何事もなかったかのように振る舞うカイザーを潔は遠目から監視した。涼しい顔でボールを蹴る姿はとてもじゃないが、無機物にパンチラを期待する男には見えない。
凯撒若无其事的样子被洁远远地监视着。他那副冷静踢球的模样,实在看不出是个会对无机物期待走光的男人。
絶対に化けの皮を剥がしてやる! 一定要揭穿他的真面目!
こっちはセクハラされて心理的ダメージを受けたのだ。ただで帰す訳にはいかない。
我可是遭受了性骚扰心理受创。绝不能就这么算了。
普段は好んで近寄らないカイザーの背後を付け狙い、二人きりになれるタイミングを窺った。
平时根本不愿靠近凯撒的洁,此刻却悄悄尾随其后,伺机制造独处机会。
カイザーが潔の期待通りにひとりロッカールームに入っていくのを見て、潔はニンマリと笑った。これから陥れられるとも知らずに呑気なやつだ。
看到凯撒如洁所愿独自走进更衣室,洁露出了得意的笑容。这家伙还浑然不知自己即将落入陷阱。
誰かに邪魔される前にと潔も後に続く。 为了避免被人打扰,洁也紧随其后跟了进去。
「カイザー!」 "凯撒!"
名前を呼ぶとカイザーがゆっくりと振り返った。 听到呼唤声,凯撒缓缓转过身来。
例の件を忘れたはずがないだろうにポーカーフェイスが随分と上手い。だが、内心では冷や汗ダラダラになっていることだろう。いつセクハラだと言われるかビビっているに違いない。
你不可能忘了那件事吧,装得倒是挺镇定。不过心里肯定在狂冒冷汗吧,绝对在害怕什么时候会被指控性骚扰。
勝利を確信した潔は意地の悪い顔になりそうになるのを押さえ込んで歩み寄った。
确信胜券在握的洁强忍住快要露出的坏笑,向前迈了一步。
「なあ、ここ覗いてみたくない?」 "喂,要不要看看这里面?"
なるべく可愛こぶった仕草でハーフパンツの裾を引っ張った。バスタード・ミュンヘンのロゴが入った布地が揺れてカイザーの視線が集中する。
他故意用装可爱的动作拽了拽运动短裤下摆。印有拜仁慕尼黑队徽的布料晃动着,瞬间吸引了凯撒的视线。
誘い方なんて分からないが、あの健全なフィギュアにも陥落したのだ。潔が押しまくれば誘惑に負けて覗きたいと言うに違いない。
虽然不知道该怎么引诱,但连那个正经的冰雕都沦陷了。只要洁强势进攻,对方肯定会败给诱惑说想偷看。
その首を縦に振った時がお前の最後だ……!! 当你点头同意的瞬间就是你的末日……!!
カイザーは危うげなハーフパンツの裾から視線を離さずに口を開いた。
凯撒始终盯着那条摇摇欲坠的运动短裤边缘,开口说道。
「クソ覗く」 "妈的快看"
「は……?」 “哈……?”
呆気なく覗きを所望したカイザーはその場で膝をついた。
凯撒直截了当地提出要偷看,当场就单膝跪了下来。
潔より高い身長が腰よりも低くなって途端に焦りが出始める。いくら何でもこんなに早く陥落するなんて聞いてない。
他那比洁还高的身躯突然矮到腰部以下,让洁顿时慌了神。再怎么说也没听说会这么快就沦陷啊。
カイザーはそのデカい図体を精一杯屈めて万全の体勢だ。ふざけている訳じゃなく本気で覗こうとしているのがよく分かる。
凯撒正弓着那副高大的身躯,摆出万全的架势。很明显他不是在开玩笑,是真心实意要偷看。
「世一、見えない」 "世一,看不见"
「エッ、ちょっ……!」 "诶,等、等一下......!"
「裾を持ち上げてくれ」 "把衣摆撩起来"
堂々とセクハラを助長するような発言に潔はよろよろと後退った。しかし、カイザーも潔が逃げた分にじり寄ってくる。
面对这番堂而皇之助长性骚扰的发言,洁踉跄着向后退去。但凯撒却步步紧逼,将洁后退的距离又追了回来。
何でコイツこんなに乗り気なの!? 这家伙为什么这么起劲啊!?
すっかり忘れていたが、練習終わりで潔もたっぷりと汗をかいている。邪魔が入る前にカイザーを罠にかけなければと急いだせいでシャワーに入る余裕すらなかった。つまり今の潔は汗臭い。
完全忘记了,训练结束后洁也出了不少汗。因为急着要在干扰出现前给凯撒设下陷阱,连冲澡的时间都没有。也就是说现在的洁浑身汗臭味。
いやまあ、それはカイザーも同じことだし、プレー中に体が接触することなんて日常茶飯事だ。気にすることでもない。
不过话说回来,凯撒也一样,比赛中身体接触本来就是家常便饭。没什么好在意的。
ただすぐ直下に迫った面だけは整った頭に思考がパンクしてしまう。
只是正下方那张突然逼近的俊脸让运转过载的大脑彻底宕机。
「持ち上げる訳ないだろ変態ッ!」 "谁要抱你啊变态!"
「やれやれ、世一が言ったんだろう? 覗いてみるかと」
"哎呀呀,不是世一自己说的吗?说要偷看什么的"
「そ、それは……」 "那、那是......"
「もちろんタダでとは言わない」 "当然不会让你白看"
カイザーは男でも思わず見惚れてしまうくらい美しく微笑んだ。
凯撒露出了连男人都会不禁看呆的绝美微笑。
「世一が望む時に一回練習に付き合ってやる。何をさせようがお前の自由だ」
"世一想要的时候我就陪你练一次。想让我做什么都随你"
「……カイザーインパクトも?」 "……凯撒冲击也行?"
「カイザーインパクトも」 "凯撒冲击也行"
潔の理性がグラグラと揺らぎ始める。カイザーが自主練習に付き合ってくれるとなれば、やりたいことは山ほどある。そのメリットも計り知れない。
洁的理性开始剧烈动摇。若凯撒愿意陪他自主训练,想做的事简直堆积如山。其中的好处更是难以估量。
ただその代わりに失うものを考えると―― 但一想到要为此付出的代价——
潔はハーフパンツの裾を両手で掴んだ。 洁用双手攥紧了运动短裤的下摆。
「賢い選択だ、世一」 "明智的选择,世一"
「……うっせ」 “……烦死了”
今後あるかどうかすら定かではない機会を逃す訳にはいかない。恥ずかしいのは一瞬だが、カイザーから得られる情報は確実に役に立つ。
绝不能错过这个今后未必再有的机会。虽然羞耻只是一瞬间,但从凯撒那里获得的情报绝对有用。
潔は羞恥心を押し殺してそろそろと裾を持ち上げた。
阿洁强压下羞耻心,缓缓撩起了衣角。
「あ? クソふざけてんのか。もっと上げろ」 “哈?你他妈在耍我吗。再撩高点”
「どこまで上げるかなんて言ってないだろ。ちゃんと約束守れよ」
"我可没说要脱到哪一步。给我好好遵守约定啊"
「クソ不平等すぎる。もったいぶってないで早く見せろ」
"这也太他妈不公平了。别卖关子了快给我看"
「おい、触んのはなしだって!」 "喂!说好了不准碰的!"
カイザーがさらに裾を持ち上げようとハーフパンツを掴んだ。潔がどうにか逃れようと押合い圧し合い。そんな中ですっかり忘れていたドアがガチャリと開いた。
凯撒抓住运动裤边缘还想继续往上撩,洁拼命挣扎着推搡抵抗。就在这早已被遗忘的玄关处,门锁突然咔哒一声转动了。
「いやー、今日もつか――お前ら何してんの?」 "哎呀——今天也好累啊——你们在干嘛呢?"
「…………」 "…………"
「…………」 "…………"
グラウンドから引き上げてきたチームメイト達の視線が二人へと突き刺さる。
从球场返回的队友们将视线如利箭般刺向两人。
片や自分のズボンの裾を持ち上げ、片や男のズボンを掴んでいる。どこからどう見ても不審以外の何者でもない。
一边揪着自己裤脚,一边抓着男人的裤腰。无论怎么看都形迹可疑到极点。
…………終わった。 …………完蛋了。
こうして、カイザーは無事に同僚のパンツを覗き見たい男になり、潔は同僚にパンツを覗かせる男となった。
就这样,恺撒如愿以偿成了偷看同事内裤的变态,而洁则沦为放任同事偷看内裤的共犯。
とりあえず潔はカイザーを100%殺してやろうと心に誓った。
洁当下就在心里发誓绝对要宰了恺撒这个混蛋。
◇
「イサギ、本当の本当に借金がある訳じゃないんだな?」
"矶吉,你真的真的没有欠债吧?"
「…………ないです」 "…………没有"
「オーケー、隠し事はなしにしよう。まだ君は若い。私達だってイサギが活躍するところが見たいんだよ」
"好,咱们开诚布公吧。你还年轻,我们也都想看到矶吉大展身手的样子啊"
「…………はい」 "…………好的"
「だから将来有望な人材が道を踏み外す様を黙って見過ごす訳にはいかない。もう一度、聞くぞ。カイザーに金を借りた訳じゃないんだな?」
"所以我不能坐视一个有前途的年轻人误入歧途。最后再问一次——你真的没有向凯撒借钱?"
「――アイツに借りを作るくらいなら飢え死にした方がマシなんで」
"——要是欠那家伙人情,我宁愿饿死。"
揃いも揃って高級そうなスーツの中年に取り囲まれた潔は死んだ目をしながらもハッキリと言い切った。
被一群统一穿着高档西装的中年男子团团围住的洁,虽然眼神死寂却斩钉截铁地答道。
この無意味な問答が始まってすでに一時間が経過している。その間、潔は一貫して同じ答えしか返していないが、何度でも同じ質問が繰り返されている。
这场毫无意义的问答已经持续了一个小时。期间洁始终给出同样的回答,而相同的质问却仍在不断重复。
潔のことを信じると言いながらもこれっぽっちも信用していないのが丸分かりだ。まあ、気持ちは分からなくもないけれど。
嘴上说着相信阿洁,其实压根儿就没信任过他,这心思简直昭然若揭。不过嘛,这种心情倒也不是不能理解。
例のパンチラ事件はその場に居合わせた同僚達により、すぐに上まで報告された。
那次偷窥裙底的事件,被在场的同事们当场就向上级汇报了。
これがまあ、他のやつらならイジメか何かだと判断されて厳重注意で終わったんだろう。だが、カイザーも潔もイジメられるような立場にない。
换作是其他家伙的话,大概会被判定为职场欺凌之类,最后以严重警告收场吧。但凯撒和阿洁都不是会被人欺负的角色。
つまり、強制されずに自主的にやっているということになる。
也就是说,这完全是他们自愿的行为,不存在任何强迫。
想像力に尾ヒレがついた上は潔の奇行を金のためにやったのだと判断したらしい。おかげでギャンブルの類いにハマって借金を抱えているのではないかと疑われている。
看来他们给想象力插上了翅膀,断定洁的怪异行为是为了钱财。结果害得他被怀疑沉迷赌博欠了一屁股债。
ちなみにカイザーは潔に誘われたからだと早々にゲロったらしく推論に真実味をあたえてしまっている。最悪だ。
顺便一提,凯撒似乎早就招供说是受洁的邀请,反倒给这个推论增添了可信度。真是糟透了。
そもそもカイザーがフィギュアにあんなことをしなければこんな事態にはなっていない。だが、それを正直に伝えれば潔はセクハラ変態野郎を誘うとんでもないやつになってしまう。
说到底要不是凯撒对手办做出那种事,根本不会演变成这种局面。但要是老实交代,洁就会变成主动邀请性骚扰变态混蛋的罪魁祸首。
潔に出来ることといえば、なるべく黙秘して事実を曖昧に濁すことくらいである。あまりの屈辱に腸が煮えくり返りそうな心地だ。
洁现在能做的,只有尽量保持沉默把事实搅浑。这份屈辱让他气得肠子都快打结了。
「ひとまず今回は多めに見よう。だが、今後カイザーには必要以上に近寄らないように」
"这次姑且放你一马。但今后不许再主动接近凯撒"
「――はい」 "——明白"
言われるまでもない。誰が好き好んであんなやつに関わりたいと思うのだ。
根本无需提醒。谁会想主动和那种家伙扯上关系。
例の件は瞬く間にチーム内にも広まった。何せ上から潔とカイザーを近づけるなとのお達しだ。
那件事转眼间就在队内传开了。毕竟上头明令禁止洁和凯撒接触。
面白がっていた連中も大丈夫かと潔を心配する始末である。ただその顔に浮かぶ隠しきれない笑いは潔とカイザーが援助交際って面白すぎるだろと本心を物語っている。
那些看热闹的家伙们最后反倒担心起洁的安危来。只不过他们脸上藏不住的笑意,分明暴露了"洁和凯撒搞援助交际也太劲爆了吧"的真实想法。
もちろんそんな馬鹿げた噂を信じてちょっかい出してきたやつらはきっちりサッカーでお礼してやったが、ほとんど信じてるやつなんていない。それでも上の言うことだからと生ぬるい対応をされるのだ。
当然,对于那些信了荒唐传闻前来骚扰的家伙,我都用足球好好"回敬"了他们。其实压根没人真信这谣言,但碍于上级压力,大家还是摆出暧昧态度。
今までは少しくらい仲良くしろとロッカーすら隣にされていたというのに、今では一番遠い位置に移動させられた。さすがにプレー中は自由だが一度中断すると、いつの間にか誰かしらが目隠し代わりに立っている。
明明之前连更衣室柜子都被特意安排成相邻,美其名曰"增进感情",现在却被调到最远的角落。比赛时倒还自由,可一旦暂停,总有人像人墙似的挡在我面前。
これで妙な噂が立っていなければせいせいするんだろうが、あらぬ疑いをかけられている身の上では複雑な心地だ。
要是没这些离谱谣言该多轻松,可顶着莫须有的嫌疑,心里实在不是滋味。
当初の目的であったセクハラの立証は未だ成されていない。ただただ潔が被害を被っただけという踏んだり蹴ったりな状況だ。
当初想要证明性骚扰的目的至今仍未达成。反倒让洁白白遭受了伤害,真是雪上加霜。
練習にも付き合ってもらわなきゃなんないのに、全然近づけねーしさ。
明明还得陪他练习,却完全无法靠近啊。
まあ、ほとぼりが冷めるまで大人しくしておくべきだろう。これ以上、変な疑いをかけられては手に負えない。
算了,在风波平息前还是安分点比较好。要是再被扣上奇怪的嫌疑就难以收场了。
ほとんどカイザーと会話をしないままに練習を終えた潔はシャワー室に向かった。その両脇は厳つい男達で固められている。
几乎没和凯撒说上话就结束训练的洁,径直走向了淋浴间。两侧站满了体格魁梧的男人们。
ついてこなくていいと何度も伝えたが、そこに潔の意思が介入する余地はない。言うだけ無駄だ。諦めのついた潔はもう何も気にしないことにした。
我明明多次说过不用跟来,但洁的意志根本没有介入的余地。说再多也是徒劳。已经放弃挣扎的洁决定不再在意任何事。
どうせ面白がって協力的なのは今だけだ。そのうち誰も気にしなくなる。
反正这种看热闹的配合态度也就现在而已。过不了多久谁都不会在意了。
さっさと帰りたかった潔は豪快に練習着を脱ぎ捨てた。こっちじゃシャワーブースのパーテーションすらないので誰も気にしない。ただ潔には気をつけねばならない相手がいたというだけで
想赶紧回去的洁豪爽地脱掉训练服。这边连淋浴间的隔断都没有,所以根本没人会在意。只不过对洁而言有个必须注意的对象罢了
「か、カイザーが来たぞ!」 "凯、凯撒来了!"
まるで敵襲を知らせるかのような声に脱衣所に緊張感が走った。この異様な空気が分からないはずがないだろうに、それを物ともしない自己中な男はスタスタと入ってくる。
那声呼喊简直像在预警敌袭,更衣室里瞬间弥漫起紧张氛围。明明不可能察觉不到这种异常气氛,那个我行我素的男人却满不在乎地大步走了进来。
潔の危機に男達は立ち上がった。常日頃からもう少しチームワークを大切にしたらどうだと苦言を呈されるくらいには個人主義だが、この時ばかりは驚くべき団結力を見せた。
面对洁的危机,男人们挺身而出。虽然平日总因个人主义被诟病"稍微重视点团队合作会死吗",此刻却展现出惊人的团结力。
まるでフリーキックのように潔の前に立ちはだかった戦友達は勇ましい表情だ。これがピッチの上なら頼もしい限りだが、残念ながらここは脱衣所だ。それも揃いも揃ってフルチンの大男である。
如同组成人墙阻挡任意球般拦在洁身前的战友们神情凛然。若是在球场上这画面该多么可靠,可惜这里是更衣室。更要命的是这群彪形大汉全都一丝不挂。
「皆、イサギを囲め! 囲め!」 "大家围住伊佐木!快围住!"
「カイザーを近寄らせるな! イサギがメスにされちまうぞ!」
“别让凯撒靠近!不然伊佐木会被当成母的!”
「……されねーよ」 “……才不会”
大真面目な振りをしているが、やはり面白がっているのだろう。やいやい騒ぐ声に紛れて、とんでもないことを言っているやつがいる。
虽然装出一副认真的样子,但果然还是在幸灾乐祸吧。在吵吵嚷嚷的声音里,混着某个家伙口出狂言。
むさ苦しい肉の壁に囲まれた潔は生ぬるい目でカイザーの動向を見守った。
被汗臭熏天的肉墙包围的洁,用温吞的眼神注视着凯撒的一举一动。
自分だって上からいろいろと注意を受けただろうに、潔に近寄ってくるとは一体どういうつもりなのだろうか。
明明自己也被上司各种训斥过,却还若无其事地靠近我,这家伙到底打的什么算盘。
金色の長いまつ毛が持ち上がってアイスブルーの瞳が潔を捕まえた。そして、じっとりと上から下まで舐め回すように動いて、潔は今の自分の格好に思い当たった。
金色长睫毛微微颤动,冰蓝色眼眸锁定了洁。接着那视线如同黏腻的舌头般上下扫视,洁这才意识到自己现在的装扮。
パンツどころかフルチンだ。同性から見られて恥ずかしいような体つきはしていないが、目の前のこの男だけは別だ。この変態野郎の不埒な目には耐えられない。
别说内裤了根本是全裸。虽然被同性看见这副身体倒不至于害羞,但眼前这个男人例外。实在受不了这个变态混蛋下流的眼神。
慌てて手で前を隠すと、カイザーが小馬鹿にするように笑った。
慌忙用手遮住下体时,凯撒发出了嘲弄般的轻笑。
毎度毎度思うが、あれだけ顔立ちが整っているのに嘲り顔が似合うのは何故だろうか。心の底から性根が歪んでいるとしか思えない。
每次见到他我都不禁在想,明明生得一副端正相貌,为何偏偏适合露出讥讽表情。这只能说明他骨子里就是个扭曲的家伙。
「色気のない隠し方ねえ」 "藏得可真是一点风情都没有呢"
「なッ!」 "什...!"
練習後のシャワーに色気も何も必要ないというのに、カイザーに言われるだけで何故かムカついてしまうのだから不思議だ。
明明训练后的淋浴根本不需要讲究什么风情,可只要被凯撒这么一说就会莫名火大,真是不可思议。
憤慨する潔にカイザーは全裸の男達をかき分けて近づいてくる。
愤怒的洁被凯撒推开全裸的男人们逼近过来。
ユニフォームをちゃんと着ているというのに溢れ出るこの何かよく分からないオーラみたいなものはなんだろうか。フルチンの野郎どもより余程色気がある。
明明好好穿着制服却散发出这种说不清道不明的气场是怎么回事。比那群光着屁股的家伙们有魅力多了。
先程まで潔を守ろうとしていたやつらもカイザーに気圧されて呆然と見送った。そうなれば潔を守るはずの盾はただの障害物になりはてる。
刚才还试图保护洁的男人们也被凯撒的气势所震慑,呆若木鸡地目送着。这样一来本该守护洁的盾牌反倒成了碍事的障碍物。
「ちょ、こっち来んなってッ!」 "喂、别过来啊!"
「――世一」
壁際に追い詰められた潔はもう後がなかった。カイザーはそれを見ながら悠然と壁に腕をつく。予期せずして腕の中に囲われる形になった潔は慌てた。
被逼到墙角的洁已无路可退。凯撒见状悠然将手臂撑在墙上。猝不及防被圈进臂弯的洁顿时慌了神。
心なしか妙な動悸がしてきて、寒くもないのに背中を冷や汗が流れる。
莫名感到一阵诡异的心悸,明明不冷却渗出涔涔冷汗。
「いい顔になったな」 「表情很不错嘛」
「は?」 "哈?"
「こういうのを何というんだったか。……ああ、そうだ」
"这种情况该怎么说来着...啊,对了"
カイザーは潔から視線外し、周囲を見回した後に微笑んだ。皮だけ見れば少女漫画の主人公だが、中身はそんなお行儀のいいもんじゃない。
凯撒将视线从洁身上移开,环顾四周后露出微笑。单看外表像是少女漫画的男主角,内里却远没有那么彬彬有礼。
「メス顔も似合いだぞ、世一姫」 "你这张母狗脸也挺合适的嘛,世一公主"
キザったらしい仕草で潔の手を取ると、キスを落とした。
他故作优雅地牵起洁的手,落下一吻。
紳士然とした行為は全裸の潔にやるには滑稽もいいところだ。つまり、盛大にバカにしているのである。
这般绅士做派对着全裸的洁实施,简直滑稽到极点。说白了就是在明目张胆地戏弄人。
そうして気の済んだカイザーは誰もが注目する中、ユニフォームを脱ぐとシャワーブースへ入っていってしまった。
心满意足的凯撒在众目睽睽之下脱下队服,径直走进了淋浴间。
「…………俺もメスにされそう」 「…………我差点也要被当成女人了」
そう呟いたのは誰だったか。いやそんなもの誰だっていいのだ。問題は誰も反論できないことだった。
不知是谁这样低语道。不,是谁都无所谓。问题在于无人能够反驳。
青薔薇の皇帝の二つ名に恥じない雄っぷりを見せつけたカイザーに誰も彼もが骨抜きにされてしまった。――潔ひとりを除いて
凯撒展现出无愧于"青蔷薇皇帝"称号的雄风,所有人都被他彻底征服。——唯有洁世一例外
はあ~~ッ!? 誰が姫だよ、あのクソ変態野郎がッ!
哈啊~~!?说谁是公主啊,那个该死的变态混蛋!
潔の負けず嫌いに火がついた。 洁世一的好胜心被彻底点燃了。
カイザーにはこれまでの礼も兼ねてたっぷりとお返ししてやらねばならないだろう。
必须好好回报凯撒,也算是还他之前的人情。
特に紳士を気取ってスカしてんのがスゲームカつく。かくなる上はあいつの情けない姿を晒し上げるつもりだ。そうすれば、さすがのカイザーだって自身の誤ちを悔い改めるだろう。
特别是那副装模作样摆绅士派头的德行最让人火大。既然如此,我非得让他当众出丑不可。这样的话,就算是凯撒也该反省自己的错误了吧。
だが、そうすんなり復讐できていればこんなにも苦労もしていない。やり返したつもりが大事故を引き起こしたのは記憶に新しい。
但要是复仇能这么顺利,我也不用这么苦恼了。本想报复回去,结果引发重大事故的记忆还历历在目。
カイザーは強敵だ。潔がちょっとやそっと揺さぶったところでボロは出さない。悔しいが、口の上手さでは勝てる自信がなかった。
凯撒是个强敌。就算洁再怎么挑衅,他也不会露出破绽。虽然不甘心,但论嘴上功夫我确实没把握赢他。
まあでも、さすがのアイツも生理現象には逆らえないだろ。
不过那家伙再厉害也抵抗不了生理反应吧。
潔の作戦はシンプルだ。カイザーをムラムラさせて股間にテントを張った情けない姿を写真におさめるというものである。断じて色気がうんぬんと言われたことを根に持っている訳ではない。
洁的计划很简单。就是要拍下凯撒欲火焚身、胯下搭帐篷的狼狈模样。绝对不是因为被说没有魅力之类的话而怀恨在心。
多少は身の危険が伴うが、怖気付いていてはこのままカイザーのいいようにされてしまうばかりだ。ここらでガツンとお見舞いしてやらねば、今後の潔の立場というものもある。
虽然多少有点危险,但要是畏畏缩缩的话只会继续被凯撒为所欲为。为了今后洁的立场考虑,现在必须给他点颜色看看。
シャワールームの一件があってからすっかり大人しくなってしまった同僚達の目をかいくぐり、潔はカイザーに擦り寄った。
趁着自从淋浴间事件后就彻底老实下来的同事们不注意,洁悄悄贴近了凯撒。
「カイザー、約束覚えてるよな」 "凯撒,还记得约定吧"
意味深な物言いでタトゥーの入った腕を撫でる。カイザーは脂下がったとは言わないまでも、機嫌良く潔の好きにさせている。
他用意味深长的语气抚摸着纹有刺青的手臂。虽说不上是心情愉悦,但凯撒还是纵容着洁的任性举动。
「もちろん覚えている。世一があんな恥ずかしめを受けてまで頑張ったんだ。忘れる訳がないだろう?」
"当然记得。世一甚至不惜承受那般羞辱也要坚持到底。我怎么可能忘记?"
「……それはどうでもいいだろ」 "......那种事根本无所谓吧"
相変わらず余計な一言が多いが、忘れていないなら何よりだ。
一如既往地废话连篇,不过没忘记就好。
練習に付き合ってもらう代わりにズボンの中を覗かせる。そこまで身を切ったのだから報酬がなければ割に合わない。まあ、上にバレた時点でそれでもマイナスだが
作为陪我训练的代价让你偷看裤底。既然都牺牲到这份上了,没有报酬就太亏了。当然,被上头发现的话还是得不偿失
「今二人っきりで練習なんてしてたら、また変な疑いをかけられるだろ。だから、戦略分析でも手伝ってくれないかと思ってさ」
"现在要是两个人单独训练,又会被怀疑图谋不轨吧。所以想请你帮忙做战略分析"
「ふむ、確かにそれもそうだな」 "嗯,确实也有道理"
かかった。カイザーは潔のもっともらしい言い訳を信じたようだ。
成功了。凯撒似乎相信了洁那套冠冕堂皇的借口。
二度も同じ失敗してたまるかよ。 同样的错误怎么可能犯两次。
潔が失敗したのは誰が通りかかるかも分からない場所でやらかしたのが原因だ。つまり、目撃されなければ上手くいっていたということだ。
洁之所以失败是因为在人来人往的地方下手。换句话说,只要不被目击就能顺利得手。
「んじゃ、この後お前ん家な」 "那接下来去你家吧"
「……ああ、わかった」 "……啊,知道了"
カイザーは珍しく嫌味もなしに素直に頷いた。 恺撒难得没有挖苦,老老实实点了点头。
ついでだから乗せていってやるというカイザーの言葉に甘えて車に同乗させてもらった。その際に通りすがりのスタッフに見られたが、関わりたくないとばかりに視線を逸らされたのでおそらくはセーフだろう。
我厚着脸皮接受了他"顺路捎你一程"的提议坐进副驾驶。虽然被路过的同事看见了,但对方立刻移开视线装作没看到,应该问题不大。
まあ、ただ車に乗せてもらったくらいなら、いくらでも言い訳できるし。
反正只是搭个顺风车而已,要找借口总能编出百八十个。
カイザーの顔面レベルに見合うだけのマンションは綺麗なもので、いかにもセレブな暮らしだった。ここだけ見ればカイザーに熱を上げるやつもいるんだろうが、実態は異常性癖の目も当てられない有り様だ。
与恺撒那张脸相配的公寓果然气派非凡,尽显上流社会的生活品质。单看这住处,也难怪有人会为恺撒神魂颠倒——只可惜内里藏着令人不忍直视的变态癖好。
今から自分がそんなやつの化けの皮を剥がしてやるのかと思うと心なしかワクワクしてくる。ちょっとした鬼退治気分だ。
想到自己即将揭开这家伙的假面具,洁莫名感到一阵兴奋。简直像要退治恶鬼般心潮澎湃。
浮き足立った潔は意気揚々とカイザーのテリトリーへと足を踏み入れた。背後でカイザーがガチャリと鍵をかける。
脚步轻快的洁昂首阔步踏入恺撒的领地。身后传来咔嗒一声——是恺撒反锁了房门。
「時に、世一。男の家に上がり込むということをお前はどこまで理解している」
"话说世一,你究竟懂不懂独自进入男人家意味着什么?"
「ん?」 "嗯?"
難解な物言いに首を傾げる潔の前でカイザーは笑った。
面对洁对晦涩言辞的困惑,凯撒笑了起来。
「ベイビーちゃんには難しい質問だったか?」 "对宝贝儿来说这个问题太难了吗?"
「……子供扱いすんなよ」 "……别把我当小孩"
「なら、大人扱いしていいんだな」 "那我可以把你当大人对待了吧?"
ニコニコしたままカイザーが近寄ってきて潔は反射的に一歩引いた。だが、カイザーは引いた分だけ寄ってくる。
凯撒笑眯眯地靠近时,洁条件反射地后退了一步。但凯撒立刻又向前逼近了相同的距离。
妙な空気が漂って潔はふと思い当たった。カイザーはワンチャンを狙っているのではないかと。
空气中弥漫着微妙的气氛,洁突然意识到——凯撒该不会是在打什么歪主意吧?
フィギュアのパンツを覗こうとするくらいだ。潔に好意があると見て間違いないだろう。ならば、自宅に招いてあれやこれやしたいと思っていても不思議ではない。むしろそう考えるのが自然だ。
毕竟这家伙连手办的内裤都想偷看。对洁抱有好感这点应该没跑了。既然如此,就算他盘算着把人骗回家做各种不可描述之事也不奇怪。倒不如说这么想才更符合常理。
澄ました顔しながらスケベなこと考えてんのかよ。 明明摆着张正经脸却在想下流事吗。
潔はニンマリと笑った。正直なところ、どうやってこの男をその気にさせるかはノープランだった。だが、相手もその気ならそれに越したことはない。
洁咧嘴笑了。说实话,他根本没计划过要怎么撩拨这个男人。不过既然对方也有这个意思,那就再好不过了。
「カイザー」 "凯撒"
ねっとりと名前を呼んで服の上からでも分かるくらい鍛え上げられた腹筋に触れた。カイザーの視線がこちらに向いてひりつくような熱を持つ。
他用黏腻的声音呼唤着名字,手指隔着衣服也能感受到那精壮腹肌的轮廓。凯撒的视线灼热地扫过来,刺痛了皮肤。
すぐにその化けの皮を剥がしてやるよ。 我要立刻揭穿你的真面目。
腹筋に添えた手をズルズルと下へ降ろしていく。そして、潔は躊躇いなく急所を鷲づかんでやった。
那只沿着腹肌下滑的手突然毫不犹豫地直取要害。
「は…………?」 "哈......?"
カイザーのカイザーは何故かすでに臨戦態勢だった。
凯撒的某处不知为何早已进入备战状态。
今すぐにでもカイザーインパクトを繰り出せそうな様に自ら触りにいった潔の方がビビってしまう。そして、何故か先制攻撃を受けたはずのカイザーの方が堂々としている。
洁主动触碰对方时反倒自己先慌了神,明明看起来随时都能使出凯撒冲击的架势。而本该是被突袭一方的凯撒却莫名显得游刃有余。
「顔に似合わず大胆じゃないか、世一ぃ」 "脸长得这么乖,胆子倒不小嘛,世一"
「え、あっ」 "啊、呃..."
「そんなに早くシたかったなら早く言ってくれ。今からでもお姫様だっこでベッドまで連れて行ってやろうか?」
"要是这么急着想被上就早点说啊。现在要我用公主抱把你送到床上也行哦?"
「そ、そういう意味じゃないってッ!」 “不、不是那个意思啦!”
「じゃあ、一体どういう意味だと言うんだ。こんなに露骨なセックスアピールまでしておいて」
“那你倒是说说看,到底是什么意思。都做到这么露骨的性暗示了”
「ヒッ」 “呜……”
慌てて腕を引こうとしたがもう遅く、むしろ手首を掴まれて押し付けてくる始末だ。
慌乱中想抽回手臂却为时已晚,反而被扣住手腕按在了墙上。
知り合いの前で恥ずかしい姿を晒しているというのに、これほどまでに堂々と出来るなんて一体どういう神経をしているんだろうか。潔は恥ずかしすぎてもう身動きも出来ないというのに
明明在熟人面前露出这么羞耻的姿态,居然还能如此理直气壮,这家伙到底是什么神经构造啊。阿洁已经羞耻到动弹不得了
「ホント違うんだってッ! 俺はただお前の恥ずかしいところを写真に撮ってやろうと思っただけで……!!」
"真的不是那样啦!我只是想拍下你害羞的样子而已……!!"
「ほう、ならばこれは立派なセクハラだなあ?」 "哦?那这算得上是性骚扰了吧?"
「っ、先にセクハラしてきたのはそっちの方だろ! 変な目で俺のフィギュア見やがって!」
"可、先性骚扰的明明是你吧!用那种变态眼神盯着我的手办看!"
「……そこまで分かっていて乗り込んでくるとは。勇猛なのか、ただのバカなのか」
"……明知如此还敢闯进来。该说是勇猛呢,还是单纯的蠢货"
「バカって言うんじゃねえ!」 "少他妈说人蠢货!"
もう自分で自分が何を言っているかも分からないままに潔は怒鳴った。何しろ潔の手に当たったカイザーのカイザーは萎えるどころか心なしか大きくなっている。
洁已经完全不知道自己究竟在吼些什么。更糟的是,抵在他掌心的凯撒非但没有萎靡,反而隐约胀大了几分。
決してビビっている訳じゃないが、こんなモノを突っ込まれた日には大惨事だ。受け入れられるはずもない。
虽然绝非胆怯,但若真让这凶器长驱直入,绝对会酿成惨剧。这副身体根本不可能承受得住。
カイザーは潔の手を離さないままに耳元に顔を寄せてきた。
凯撒紧握着洁的手不放,将脸凑近他的耳畔。
「俺を弄んだのか? 見た目と違って悪女だったとは知らなかったな」
"你是在戏弄我吗?没想到外表清纯却是个坏女人啊。"
「そんなつもりじゃ……! ただ俺は仕返ししたかっただけで!」
"我没有那个意思……!我只是想报复你而已!"
「へえ、なら良い方法があるぞ」 "哦?那我倒有个好主意"
「良い方法……?」 "好办法……?"
一体どうすればいいのだとカイザーを見つめると、心配は要らないというように微笑まれた。
当我盯着凯撒,不知该如何是好时,他露出了让我别担心的微笑。
「世一が俺の恋人になればいい」 "世一只要当我的恋人就行了"
「は?」 "哈?"
「どうだ、お前の嫌いな男を手玉に取れるチャンスだぞ。恋人になれば俺は世一に骨抜きだ」
"怎么样,这可是个能把你讨厌的男人玩弄于股掌之间的好机会。只要成为恋人,我就会对世一唯命是从。"
「……そんな口車に乗せられるかよ」 "……谁会相信你这种花言巧语啊"
「世一なら賢い選択ができるはずだ。俺が無様に愛を乞う姿を見たくないか?」
"如果是世一的话,应该能做出明智的选择吧?难道你不想看看我卑微乞求爱情的模样吗?"
カイザーの提案に潔はしばし考え込んだ。見たいか見たくないかで言えば、もちろん見たい。ただこうも簡単にカイザーに従っていいものか。
凯撒的提议让洁陷入了短暂的沉思。要说想不想看,当然想看。只是这么轻易就顺从凯撒真的好吗?
本心を探ろうと顔を見ると、ファンが見れば卒倒するような甘い表情を見せた。潔に骨抜きというのもあながち間違いではないようだ。
当我试图探寻他的真心而看向他的脸时,他露出了能让粉丝晕厥的甜蜜表情。说他坦率到骨头里似乎也不为过。
「……お前がどうしてもっていうなら」 "......如果你非要这样的话"
消極的な返事にカイザーの笑顔がキラキラと輝きを増す。まるで少女漫画みたいな姿に何でもない潔までつられて赤面してしまう。
对于消极的回应,凯撒的笑容却愈发灿烂闪耀。那宛如少女漫画般的姿态,让原本若无其事的洁也不由自主跟着脸红起来。
「どうしても世一がいいんだ。大切にする」 "我无论如何都想要世一。会好好珍惜你的"
◇
カイザーが惚れた相手は奇しくもカイザーのことを毛嫌いしている男だった。
凯撒爱上的对象,偏偏是个对他厌恶至极的男人。
嫌われているのに好きになるというのもおかしな話だが、カイザーの思い人はさらにおかしなやつだった。
明明被讨厌却还是喜欢上对方,这本就是件荒唐事。但更离谱的是凯撒的意中人。
嫌いだと突き放して見せながら不意に全幅の信頼をおいてみせたりする。たとえば、勝利をかけた重要な場面で。
他一边摆出厌恶态度将人推开,却又会在意想不到的时刻展现出全然的信任——比如在关乎胜负的关键时刻。
何とかして物にできないかと考え始めた頃には、すでに関係の修復を望めるような状態ではなかった。その上、相手は男女問わずよくモテた。今まで恋人がいなかったのが奇跡だろう。だが、手に入らないと分かると余計に欲しくなってしまうのが人間の性だ。
当凯撒开始盘算如何将对方占为己有时,两人的关系早已到了无法挽回的地步。更糟的是,那人无论男女都极受欢迎,至今没有恋人反倒堪称奇迹。但越是明白得不到,就越发渴望得到,这或许就是人性使然。
あまりに焦がれすぎてフィギュアを不埒な目で見ていたところを目撃されたのは想定外だった。だが、運命はカイザーを見放さなかった。
过于渴望以至于用下流眼神盯着手办时被人撞见,这完全在意料之外。但命运并未抛弃凯撒。
世一はその一件からカイザーを見返してやりたいと強く思うようになったらしい。普通なら自分へ性欲を向ける相手に近づこうなどと間違っても思わないだろうが、世一は残念ながらアホだった。
从那件事后,世一似乎强烈地想要报复凯撒。正常人绝不会想要接近对自己怀有性欲的对象,但遗憾的是世一是个笨蛋。
自らカイザーを助長させるような行動をとり続け、しまいには恋人の座まで明け渡してしまったのだから。
他持续做出助长凯撒气焰的行为,最后连恋人的位置都拱手相让了。
「世一、嬉しいぞ。夢みたいだ」 "世一,我很开心。简直像做梦一样"
「おま、近いって!」 "喂,太近了!"
「ああ、すまない。調子に乗り過ぎてしまったな。許してくれ」
"啊,抱歉。我有点得意忘形了。原谅我吧"
世一を害する気はないと示すように両手を上げて引き下がると、世一は言いたいことを飲み込むようにグッと押し黙った。きっとカイザーが盛って押し倒してくると思っていたのだろう。
世一举起双手后退以示无害,硬是把想说的话咽了回去。他肯定以为凯撒会顺势把他推倒吧。
体だけならいつでも手に入るからな。 毕竟这副身体随时都能得到啊。
なるべく健気に見えるように表情を作りながら世一の手を取った。
我努力摆出坚强的表情,握住了世一的手。
「世一、今まで嫌な思いをさせてすまなかった。心を入れ替えるから俺を受け入れてくれ」
"世一,之前让你难受了很抱歉。我会改过自新的,请你接受我"
「……まあ、分かればいいよ」 "......好吧,你能明白就好"
「ッ、ありがとう」 "呜、谢谢你"
「わっ、カイザー!?」 "哇,凯撒!?"
感極まったように見せかけて抱きつくと、世一は動揺しながらも受け入れた。本当にどうしようもないアホだなと思いながらカイザーは笑った。
装作情绪激动的样子扑上去时,世一虽然有些慌乱但还是接受了。真是个无可救药的笨蛋啊——凯撒边想边笑了出来。
騙されやすいのは心配だが、それもカイザーが隣にいれば問題はないだろう。あとはじっくりと世一を攻略するのみだ。
虽然容易上当这点让人担心,不过有凯撒在身边应该没问题。接下来只要慢慢攻略世一就行了。
今後の計画に思いを馳せていると、不意に頭に手が乗ってそろそろと撫でられる。
正沉浸在对未来计划的遐想中,突然有只手搭上头顶开始轻轻抚摸。
「カイザーって意外と子供っぽいんだな。知らなかったわ」
"没想到凯撒还挺孩子气的。我都不知道呢"
「……世一が相手だからだ」 "……因为是和世一在一起"
本当にこういうところがタチが悪いのだ。早く身も心も手に入らないものかと擦り寄ると、世一が知ってか知らずかくふくふと笑った。
这种地方真是要命。凯撒正想着要快点把身心都弄到手而凑近时,世一不知是有意还是无意地噗嗤笑了出来。
カイザーの望みはそう遠くないうちに叶うのかもしれない。
或许凯撒的愿望很快就能实现也说不定。
pixiv
Sketch 草稿
FANBOX
FANBOXプリント FANBOX 印刷品
pixivコミック pixiv 漫画
百科事典 百科辞典
BOOTH
FACTORY
pixivision
sensei 老师
VRoid
Pastela