転生現パロ【大包三日】6/4追記
重生现帕罗【大包三日】6/4 更新
RawTitle:転生現パロ【大包三日】6/4追記
RawTitle:重生现帕罗【大包三日】6/4 更新
Date:2017-05-17 Length:41965
日期:2017-05-17 长度:41965
Name:あおば(https://www.pixiv.net/users/3734645)
Source:https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=8181116
Tags:[R-18, 刀剣乱腐, 三日月宗近, 大包平, 大包三日, 刀剣乱腐小説100users入り]
标签:[R-18, 刀剑乱舞, 三日月宗近, 大包平, 大包三日, 刀剑乱舞小说 100 用户入内]
Caption:
标题:
【5/30追記】
【5 月 30 日追記】
以下2点が通販再開しています。にほみか本はこれで会場頒布分含めて終了となります。
大包三日 ぴかぴかきらきら
<a href="http://www.toranoana.jp/bl/article/04/0030/52/72/040030527263.html?circle_new" target='_blank' rel='noopener noreferrer'>http://www.toranoana.jp/bl/article/04/0030/52/72/040030527263.html?circle_new</a>
にほみか 蝶よ花よ三日月よ
<a href="http://www.toranoana.jp/bl/article/04/0030/47/53/040030475398.html?n=recommend" target='_blank' rel='noopener noreferrer'>http://www.toranoana.jp/bl/article/04/0030/47/53/040030475398.html?n=recommend</a>
リクエストボックスに入っていた
「高校生大包平×学年主任(または担任)三日月」と「本丸で恋仲だった大包三日の転生モノ(三日月のみ記憶なし)」をくっつけさせて頂きました。
ナイスなリクエストありがとうございました!
非常感谢您的精彩请求!
【6/4追記】
【6/4 更新】
リクエストボックスより「三日月の刀の頃の記憶が戻ってきたりすることはありますか?また大包平はその事について話をするんでしょうか…。今日読み返しながら気になってしまいました」
从请求框中收到了“关于三日月之刀时期的记忆会回来吗?还有大包平会谈论这件事吗……今天重读时不禁在意起来了”。
私は戻ってこないつもりで書いていましたが、戻ってくる未来があってもいいかもしれません。戻ってきて、互いに戻ってきたとわかったら、本丸時代のことを話すこともあるかもしれません。でも、相手が覚えてるかわからないから、思い出しても思い出したことを言い出せないまま人生を終えることがあっても、それもまたいいかもしれません。
我原本是打算不写让它回来的,但或许也有回来的未来。如果回来后,我们彼此都意识到回来了,也许会谈论本丸时代的事情。但是,对方是否记得不得而知,也许会带着回忆着却无法说出口的事情结束人生,这或许也不错。
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大包平×三日月宗近
・刀→人間への転生もの
・刀→转生为人类的物语
・現パロ
・现帕罗
・高校生大包平×先生三日月
・高中生大包平×老师三日月
・独自設定をおおいに含む
・包含大量原创设定
・誤字脱字乱舞
・错字漏字乱飞
<周回用ジャンプ>
<周回用跳跃>
[jump:3]
[jump:4]
[newpage]
夕映えが赤い。
夕阳映得发红。
燃えるような陽射しが、少々ほこりっぽい部屋を照らしている。
像火一样的阳光,照着这个有些灰尘的房间。
進路指導室となれば、交わされる会話は自然と重たいものになるのだろう。
如果是升学指导室,那么彼此间交换的话语自然也会变得沉重吧。
簡素なテーブルを挟んで顔を見合わせている教師と生徒は、いずれも硬質な表情をしている。
隔着简陋的桌子,互相看着脸的教师和学生,都表情僵硬。
教師はかっちりとしたスーツに身を包んでおり、薄い銀のフレームの眼鏡をかけていた。
教师身着笔挺的西装,戴着细银框眼镜。
しかしその素っ気ない格好も、男性教師の相貌の美麗さを隠すことはできない。
然而,他那略显冷淡的装束,也无法掩盖男性教师容貌的美丽。
頰に影を落とすほど長いまつげ。白い肌と均整のとれた顔のパーツ。薄桃色の唇と、白い肌の対比。
睫毛长到足以投下脸颊阴影。白皙的肌肤与匀称的面部轮廓。淡桃色的双唇与白皙肌肤的对比。
ともすれば造形物とすら見えてしまうほどの容貌は、まるで教師にはそぐわない。
容貌之精致,甚至几乎如同艺术品一般,却似乎与教师这个身份不太相符。
しかし、対面する生徒に向けられた眼差しは大変に真摯で、教師にふさわしい誠実さを持っていることが傍目にもわかった。
然而,他看向对面的学生的眼神非常认真,从旁也能看出他拥有作为教师应有的真诚。
目を向けられている生徒は、ぴんと背筋を伸ばしている。
被注视的学生挺直了背脊。
燃えるような髪と、高校生らしからぬ強い光をたたえた鋼色の目。顔立ちにはまだ幼さが残っているが、成長すれば精悍で男らしくなるだろうと思われた。
一头燃烧般的头发,以及那双不似高中生的强烈光芒的钢色眼睛。虽然脸上还残留着稚气,但人们认为他长大后会成为精悍而男子气概的人。
「三日月」
生徒が、重い口を開いた。
学生开口了,声音沉重。
どこか若々しい傲慢さがにじむ声に、三日月と呼ばれた教師はゆっくりとまばたきをする。
从声音中渗透出的某种年轻傲慢,被称为“三日月”的教师缓缓地眨了眨眼。
「俺のものになれ。それが、お前のあるべきかたちだ」
“成为我的东西。这才是你应有的姿态。”
横暴な物言いだったが、自信に溢れた口調は、相手の疑念を差し挟む隙もない。
虽然话说得霸道,但充满自信的语气却让对方没有插话的缝隙。
教師は生徒の言葉に、にこりと笑みを浮かべた。とろけるようなその笑みは、まるで生徒の言葉を歓迎しているようにも見える。
教师对着学生的言语,露出了温柔的微笑。那融化般的微笑,仿佛也在欢迎学生的言语。
「大包平」
三日月が、返答した。柔らかな声音は、甘い笑みと相まって、まるで大包平の傲岸な言葉を受け入れたかのように見える。
三日月回答了。柔和的声音伴随着甜蜜的微笑,看起来就像接受了大包平傲慢的话语。
大包平もそう感じたのだろう。軽く顎を上げ、ふんと満足げに口角を上げた。
大包平大概也是这么感觉的。他轻轻抬起下巴,满意地扬起嘴角。
その時。
那时。
パッシーーーーーーン
噗噗噗噗噗
軽やかに、爽やかに。
轻快地,清爽地。
乾いた音が部屋に響いた。
干燥的声音在房间里回响。
「冗談も休み休み言え、この色ませた小僧めが」
"玩笑也该适可而止,这个把颜色弄混的小子"
甘く柔らかい声のまま、三日月は華麗に手を翻して大包平の頰を打っていた。
带着甜美柔和的声音,三日月华丽地翻动手掌,轻打在大包平的脸颊上。
「は……?は……!?」
「嗯……?嗯……!?」
「何をわけわからんという顔をしているんだ。というか、むしろなんで受け入れられると思った」
「你为什么一脸困惑的样子。换句话说,我反而以为你会接受呢」
「そ、そんッ……そん……!?」
「那、那……!那……!?」
「相談があると言われて応じてみれば……顔を洗って出直してこい」
「说有事情找我,我就应声去了……洗干净脸回来」
「は……?お、お前、そん……」
「什……?你、你这家伙,那……」
動揺を隠せない大包平に、三日月がきゅっとまなじりを上げる。
面对无法掩饰动摇的大包平,三日月紧紧咬着下唇。
「せ、ん、せ、い」
「不、不行,不、不行」
「は?」
「咦?」
「は、じゃないだろう。先生を捕まえてお前呼ばわりなど……。他の教師相手にしたら心証が悪いぞ。まだ一年だし、所詮は高校、推薦を受けるなどしない限りは内申など気にすることもないのかもしれないが……一度イメージがつくと、あとから正すことは大変だぞ」
「当然だろう。老师被抓了还叫你……。要是和其他老师对着干,印象分就不好了。毕竟才一年,终究是高中,只要不争取推荐,成绩单什么的也未必需要太在意……不过一旦形成印象,以后再纠正就很困难了」
気遣わしげな三日月の声に、大包平は目を白黒、口をぱくぱくさせた。
面对三日月体贴入微的声音,大包平瞪大了眼睛,嘴里嘟嘟囔囔的。
「では俺は行くからな。鍵を頼めるか?あとで職員室に持ってきてくれ」
「那我走了啊。能借我钥匙吗?过后你拿去职员室」
三日月はそう言うと、さっさと部屋を出て行ってしまった。
三日月说完,匆匆离开了房间。
残された大包平は、薄れていく暮色の中、しばらく呆然と閉められたドアを眺めていた。
被留下的包平,在逐渐变淡的暮色中,呆呆地望着那扇紧闭的门。
「なんで覚えていないんだ!」
“为什么不记得了!”
家に帰った大包平は、従兄弟の部屋で床をドンと叩いた。
回到家的包平,在堂兄弟的房间里用力地跺了跺地板。
「まぁ、仕方ない。覚えているかどうかについて、規則性はないようだからな」
“好吧,没办法。关于记得与否,似乎没有什么规律。”
大包平の目の前で茶をすすったのは、鶯丸だった。今生では、従兄弟という血縁になっている。
在大包平眼前倒茶的是鶯丸。今生中,他们成为了表兄弟这一血缘关系。
鶯丸は、大包平がこの春から通っている高校で古文を教えているのだが、自宅が遠方ということで、大包平の家に下宿している。
鶯丸是在大包平从春天开始就读的高中教古文的老师,但因为家远,所以寄宿在大包平家里。
茶をすする姿も、口にする言葉も、まるきり本丸にいた頃のそれだ。
倒茶的样子,说出的话语,完全和本丸在的时候一模一样。
三日月ーーー三日月宗近も、容姿や仕草だけならば、本丸でともに時を過ごした時そのままだった。しかし。
三日月——三日月宗近,光是看容貌和举止,还是和本丸一起度过的时光一模一样。但是。
「しかし、恋仲だった俺のことまで忘れているなど……」
「但是,连和我曾经恋爱过的事都忘得一干二净……」
薄情な奴めと、大包平は苛立つ。
薄情的家伙,大包平感到愤怒。
三日月と大包平は、同じ本丸で恋仲だった。というのに、大包平は三日月を覚えている一方で、三日月は刀だった時のことを何一つとして覚えていない。
三日月和大包平曾在同一本丸恋爱。然而,大包平记得三日月,而三日月却完全不记得刀时期的事情。
記憶の残留については、鶯丸の言う通りシステム上の問題で、本人の気の持ちようでないことはわかっている。
关于记忆残留的问题,正如鶯丸所说,是系统上的问题,并非本人意愿所致,这一点我是清楚的。
わかっているのだが、こうした齟齬が、それも恋仲だった相手と起こるとは、なんとも口惜しい。
我知道,但如果是和处于恋爱关系中的人发生这种争执,实在太过遗憾了。
「くそ……その上、思い切りはたきやがって……」
“该死……而且,真是太过分了……”
あの暴力教師と、大包平は未だにヒリヒリする自分の頰を撫でた。
那个暴力教师和大包平至今仍在抚摸着自己发烫的脸颊。
綺麗に手形がついたそこは、職員室に鍵を返しに行った時点で、すでに鶯丸に笑い飛ばされている。
那块完美留下手印的地方,在去职员室还钥匙的时候,已经被鶯丸笑飞了。
このご時勢、かつ三日月の性格から考えて、手を上げることはまずあり得ない。
在这个时期,考虑到三日月性格,首先不可能举手。
それでも、あの容姿のせいで何度か危険な目に遭っているらしく、強硬な手段が必要となる場面が過去実際にあった上、自衛のためにある程度はむしろ強く出るべきと、一部教職員から言われているらしい。
尽管如此,似乎因为那副容貌多次遭遇危险,过去确实有过需要采取强硬手段的场面,而且有部分教职员工似乎认为为了自卫,应该在一定程度上强硬一些。
というか、過去に押し倒されそうになって投げ飛ばした相手は生徒のみならず教職員にもおり、なんというか、三日月の罪な美貌は、人に転生しても健在らしい。
话说回来,过去被压倒差点被扔出去的对象不仅有学生,也有教职员工,怎么说呢,三日月那该死的美丽容貌,即使转世也依然存在。
筋骨隆々とした体育教師に襲われ、さしもの三日月も軽くはない怪我を負って以降、三日月への不可侵性と反撃に対する配慮は、この学校の常識となったそうだ。
被肌肉发达的体育教师袭击后,连三日月也受了不轻的伤以来,对三日月的不侵犯性和反击的顾虑,据说已经成为这所学校的常识了。
ーーーということ全て、後から鶯丸から聞いたことだ。
ーーー这些事情,都是后来从莺丸那里听说的。
職員室で鶯丸以外の教職員に、「あらら、三日月先生にくらくらしちゃった?」と面白おかしく茶化された時は、顔から火が出るかと思った。
在教师办公室,当其他教职工用戏谑的语气问“哎呀,三日月老师被勾引了吧?”的时候,我差点以为要从脸上冒出火来。
記憶がある大包平からしてみれば、恋人にその自覚を促しただけなのだが、周りから見たら、ウブな高校一年生が、絶世の美男子である担任に不埒に迫ったと見えるのだろう。
从拥有记忆的大包平的角度来看,我只是提醒恋人要有自觉,但在周围人看来,或许会认为一个纯情的高一新生,在绝世美男子担任老师面前做出了轻率的行为吧。
そう。ウブな高校一年生と、担任。
没错。纯情的高一新生和担任老师。
悲しくも、大包平は鶯丸や三日月よりも、随分と生まれるタイミングが遅かった。
悲伤地,大包平出生的时间比莺丸和三日月晚了很多。
これまたシステム上の問題であるため、大包平自身にはなんの落ち度もないのだが、せっかく恋人に再会したのに、社会的地位も経済的自由もないというのは、何ともいえず歯がゆいものだ。
这也是系统上的问题,因此大包平本身并没有什么过错,但好不容易和恋人重逢,却连社会地位和经济自由都没有,这实在让人难以忍受。
「さて、どうする?大包平」
“那么,怎么办?大包平。”
明らかにこの状況を楽しんでいる鶯丸を、大包平はギロリと睨みつけた。
大包平怒视着明显享受这种状况的莺丸。
「どうしたもこうしたも。これで諦めるわけにはいかんだろう」
「怎么说呢,怎么说呢。总不能就这样放弃吧」
別に、三日月と付き合えたから付き合っていたわけではない。
并非因为能和弯月相处才相处。
誰よりも欲しくて、守りたくて、ようやく手に入れて大事に大事に愛していた存在だ。
她是比任何人都更想要、更想守护、好不容易得到并珍而重之地爱着的存在。
「俺を忘れてしまったなら仕方がない。今の俺をどうとも思っていないのならば、それも仕方がない。ならば」
「如果你已经忘记了我,那也没办法。如果你不关心现在的我,那也没办法。那么」
大包平の目が、ぎらりと光った。
大包平的眼睛,闪了一下光芒。
「もう一度、俺に惚れさせるだけだ」
“再来一次,让我再次爱上你”
あまりにも不遜な大包平の言葉を聞いて、鶯丸はさも愉快そうに目を細めた。
听到大包平如此无礼的话语,鶯丸眯起眼睛,仿佛很享受的样子。
時間遡行軍との戦いが終了し、政府が苦慮したのは、数々に増えた本丸の対処だった。
时间逆行军的战斗结束后,政府苦恼的是,不断增多的本丸的处理问题。
時間遡行軍は過去の様々な時代に飛び、手を替え品を替え攻撃を加えてきた。
时间逆行军飞越了过去的各个时代,不断变换手法进行攻击。
政府はその度に対処しなくてはならず、更に手が加わった時点で派生してしまった歴史の枝葉も、本流に戻さなくてはならないとあっては、手間もかかるし時間もかかる。
政府不得不一次次应对,而且由于在介入历史支流时衍生出的问题,必须将其重新引回主流,这既费时又费力。
そうなると、やはり数に物を言わせる作戦が価値を持つ。
这样一来,依靠数量取胜的策略才显得有价值。
結果、数かぎりない本丸が成立し、刀剣男士も本丸の数だけ存在することになった。
结果,无数个本丸得以成立,刀剑男士也随着本丸的数量而存在。
その甲斐あって、連中の野望は見事に討ち果たすことができたのだが、すると困るのが本丸の処遇だった。
正因如此,他们成功地实现了各自的野心,但接下来要解决的是本丸的问题。
今後の処理のためにいくつかは残しておくとしても、今のままではあまりに数が多すぎる。
虽然为了今后的处理需要留下一些,但现状下数量实在太多。
では全て刀解するかとなったのだが、それには審神者が反発した。
于是他们考虑是否要全部销毁,但这一提议遭到了审神者的反对。
せめて時間をかけて御霊に戻そうとしたが、あまりに長く離れすぎていたせいか魂は変質し、それも難しいと結論づけられた。
他们尝试花时间让灵魂回归御灵,但由于与御灵分离时间过长,灵魂已经变质,最终他们认定这也是一件困难的事。
そこで案として上がった対応が、人間としての転生だった。
因此被提出的应对方案,是作为人类的转生。
しかし、類似した容姿や能力の人間がまとめて生まれても困るし、現代に生まれさせるわけにもいかない。
但是,即使有相似外貌和能力的人类集中出生也会造成问题,而且也不可能让他们在现代出生。
現代には審神者がおり、場合によっては自身が使役していた刀と出会ってしまう。
现代有审神者存在,有时甚至可能会遇到自己曾经使役的刀。
また審神者でなくとも、彼らの存在を知るものは多くいる。
而且,即使不是审神者,知道他们存在的人也很多。
そうなると、諸処の問題が発生することは察せられた。
那么,可以预见各处会出现问题。
では過去のどこかに転生させることになるが、そんなことをしたら、それこそ歴史改変になりかねない。
那么,如果转生到过去的某个地方,那可真是可能引发历史改变。
刀剣男士本人が記憶を持って転生すれば、歴史に関わるような行動はしないだろう。
如果刀剑男士本人带着记忆转生,应该不会做出涉及历史的行为吧。
だが、果たしてそれで問題が起こらないのだろうか?
但是,真的不会因此产生问题吗?
先々の歴史を知っている彼らの行動が、知らないうちに歴史に影響を及ぼさないとも限らない。
他们知晓前前世的行径,未必不会在不知不觉中影响历史。
しかし、記憶がないままの刀剣が、自身の恵まれた才知で歴史に影響を与える可能性も、また否定できない。
然而,那些没有记忆的刀剑,凭借自身的卓越才智影响历史的可能性,也无法否定。
ではどうするか。
那该怎么办呢。
経年の監視は必要として、ならばひとまず実験的に転生をさせてみようと、政府は決定を下した。
既然需要经年的监察,那么姑且先实验性地转生一次吧,政府做出了决定。
記憶を保持した刀剣と保持していない刀剣をランダムに組み合わせ、比較的歴史への影響が少なそうな時代を選んで転生させる。
将保留记忆的刀剑与不保留记忆的刀剑随机组合,选择对历史影响较小时代进行转生。
その上で、影響があるようならば現代に回収し、影響がないならば終生人として過ごしてもらう。
如果存在影响,则回收至现代;如果无影响,则作为普通人度过一生。
これは、今後の刀剣たちの処遇を決める、大事な実験だった。
这是一项决定今后刀剑处理方式的重要实验。
そして実験対象として選ばれた本丸にいたのが、この大包平と三日月、鶯丸だった。
而作为实验对象被选中的本丸,正是这位大包平、三日月和鶯丸。
この三振り、および本丸の仲間であった数々の仲間は、現在2017年を生きている。
这三振出局,以及本丸的众多同伴们,如今正生活在 2017 年。
「昨日は、大変に失礼なことを言いました。すみません」
“昨天,我说了非常失礼的话。对不起。”
入学式初日、三日月に頰を張られた大包平は、翌日になって素直に三日月に謝りに行った。
入学仪式第一天,被三日月扇了脸颊的大包平,第二天便诚实地去向三日月道歉了。
昨日は、自分を視界に入れても微動だにしなかった三日月に腹を立てたものだが、覚えていないのであれば受け入れる他ない。
昨天,虽然被那个在视野中对自己纹丝不动的三日月惹怒了,但如果已经不记得,也只能接受了。
今はまだ無力な高校生に過ぎないが、今後自分が成長し、男性としてひとかどの人間になれる自信はある。
现在还只是个无力的高中生,但今后相信自己能成长,成为一个独当一面的大男人。
そしてもう一度、三日月に自分を惚れさせてやろうと、もとより自信家の大包平は開き直っていた。
于是再次,想让三日月爱上自己,自信满满的大包平已经重新振作起来。
いや、ひとかども行き過ぎると歴史に影響を及ぼしてしまうので、ある程度までに抑える必要はあるのだが。
不,独当一面太过头的话,会对历史产生影响,所以还是得控制到一定程度。
「うむ。まぁ気にするな。……俺も、思い切り張り飛ばしてしまったからなぁ」
“嗯。不过别在意。……我也已经尽情地挥霍掉了。”
三日月はそう言うと、大包平の頰を指先でするりと撫でた。
三日月这么说着,用指尖轻轻滑过大包平的脸颊。
触れられた場所に、もう赤みはない。音は派手だったが、おそらく力はかなり加減されていたのだろう。
被触碰的地方已经不再发红。虽然声音很响亮,但想必用力程度已经控制得相当好了。
人によれば、これだけで再び舞い上がってしまいそうな所作だったが、大包平にとってはそれどころではなかった。
据说这样的动作足以让人再次兴奋起来,但对大包平而言,远不止如此。
向かい合う目線が、三日月の伸ばされた手の角度が、歯痒くてしょうがない。
对视的眼神,三日月伸出的手的姿势,让人痒痒得难以忍受。
自分はまだ成長途中、それもたかだか高校一年生なのだから、身長が足りなくても仕方がないのだが、三日月を見上げなくてはいけないことが大変に業腹だ。
我还处于成长阶段,而且只是高中一年级,所以身高不够也没办法,但必须仰头看新月这件事让我非常生气。
以前は自分が三日月を下に見て、こうして優しく頰を撫でてやっていたのに。
以前我总是把新月放在下面,像这样温柔地抚摸我的脸颊。
その苛立ちが顔に出たのか、三日月は申し訳なさそうに手を引いた。
那股怒气从我的脸上显露出来,新月似乎很抱歉地拉起了我的手。
「あぁ、すまん。子供扱いしたわけではないのだが。……悪いな」
"啊,抱歉。我不是把你当孩子看待……。真糟糕。"
「……気にしていません」
「……没什么」
実際に、子供なのだから。
实际上,毕竟是个孩子。
それでも。
但是。
「三日月先生」
「三日月老师」
「ん?」
「嗯?」
「すぐ、俺が追い越してあげます」
「马上,我帮你超过」
決意をたたえた目で、三日月を見る。
用下定决心的目光看着弯月。
前はこうして見つめてやると、三日月は嬉しそうに頰を染めたものだった。
如果这样看着前方,弯月就会高兴地染红脸颊。
大包平の脳内で、過去の三日月の愛おしげな表情がくるくると巡る。
在大包平的脑海中,过去的弯月的可爱表情不断旋转。
つい、懐かしさと愛おしさに口角が上がった。
不知不觉嘴角上扬,涌起怀念与疼爱之情。
それを見た三日月は。
看到那的皎洁月光。
「お前……」
「你……」
かつてのように、へたりと眉を垂らす。そして。
曾经那样,眉梢低垂。然后。
「学年主席の割に、関係づくりが下手だなぁ……」
「作为学年主席,人际关系处理得真不怎么样啊……」
心底気遣わしげに言われ、大包平はつい頭をかきむしりそうになった。
被如此体贴的话语说中,大包平差点就挠起了头。
入学時に、生徒総代を務めた大包平は、その後も好成績を維持した。
入学时担任学生总代的大包平,之后也一直保持着优异的成绩。
いや、好成績と言っては正当な評価ではない。ほぼ全ての科目において、トップを維持し続けた。
不,说优异成绩并不足以公正评价。在几乎所有科目上,他都持续保持着顶尖水平。
もちろん、一部の科目については一位を譲ることもあった。しかし、決して低レベルではないこの進学校において、これは快挙と呼んでも構わないものだった。
当然,在某些科目上也曾让位于他人。然而,在这所绝非低水平的重点高中里,这无疑是一件值得称道的事情。
それは間違いなく大包平自身の努力の成果だったが、しかし、大包平は勉強ばかりをしていたわけではなかった。
这无疑是大包平自身努力的结果,但是,大包平并非只专注于学习。
部活動では剣道部を選び、かつての記憶を頼りに、こちらでも成果を上げ続ける。
在社团活动中,他选择了剑道部,凭借着过去的记忆,也在这里持续取得了成果。
文武両道とはまさにこのことで、生徒間のみならず、教師陣の間でも大包平の評価はうなぎのぼりだった。
文武双全,正是在这件事上,不仅学生之间,连教师们也对大包平赞誉有加。
そして早いもので、大包平はもう、高校三年生になっていた。なんの運命か、担任は再び、三日月だった。
然后没过多久,大包平已经升入高三了。不知是何命运,班主任再次成了三日月。
「おい、三日月」
“喂,三日月”
「先生をつけろ、小僧」
“跟老师走,小子”
パコーン
砰
軽やかな音が、廊下に響く。
轻快的声响,在走廊中回荡。
「クソ……。三日月、先生」
“混蛋……。月亮,老师”
「なんだ?」
“怎么了?”
丸めた教科書で頭をはたかれた大包平は、憮然とした表情で言い直した。
被揉成一团的教科书砸了脑袋的大包平,带着困惑的表情重新说道。
長く呼びかけた言い方は、なかなか改まるものではない。気を緩めると、ついかつての物言いで呼びかけてしまう。
长久呼唤的说话方式,很难改变。一旦松懈,就会不自觉地用过去的说话方式来呼唤。
「……質問があります」
“……我有问题。”
「それは学問についての質問か?それとも、学業とは関係ない質問か?」
“那是关于学问的问题吗?还是与学业无关的问题?”
「教科の質問です」
“是关于科目的问题。”
大包平は、いささか口を尖らせながら、それでも敬語で受け答える。大包平の様に、三日月は軽いため息をついた。
大包平微微翘起嘴角,但还是用敬语回应。像大包平那样,三日月轻轻叹了口气。
「……そうか。じゃ、職員室で」
“……这样啊。那么,去职员室吧。”
「ホワイトボードが欲しいです」
“我想要一块白板。”
即座に返した大包平に、三日月はしばらく逡巡する。
面对大包平立刻的回应,三日月犹豫了片刻。
三日月が悩むのも無理はなかった。なぜなら、これはこの週に入って実に四度目の、そして累積で数えれば、もう幾度目になるかもわからない「質問」だからだ。
三日月感到烦恼也是无可奈何。因为这是本周第四次,而且累计起来已经不知道是第几次的“提问”了。
「……わかった。それじゃ、教務室に」
“……知道了。那么,就去教务室。”
三日月は、それでも大包平を拒絶はしなかった。
三日月并没有拒绝大包平。
教務室には、この時間はほとんど他の教師はいない。そして、そのがらんとした部屋でなんと言われるか、三日月はもうとっくに知っている。
教务室这个时间几乎没什么其他老师。而且,在空荡荡的房间里会说什么,三日月早就知道了。
それでも、「勉強の質問」と言えば断ることはない。三日月の心根は、刀の時代から何一つ変わっていない。
尽管如此,如果说“学习上的问题”,也并非拒绝。三日月的心性,自刀剑时代起就未曾改变。
こんな些細なことにも、大包平の胸は締め付けられるのだが、過去を覚えていない三日月には、無論この感慨が伝わるわけもなかった。
即便是这样微不足道的事情,也令大包平感到胸口被束缚,但早已遗忘过去的月影,自然也无法理解这份感慨。
「こんなに難しい問題を、今から解ける必要はないのだがなぁ」
“像这么难的问题,现在也没必要解吧”
三日月はそう言いつつも、大包平が持ってきた難問の解説を始めてくれる。
月影虽然这么说,但还是开始为月影带来的难题进行讲解。
まずは大包平に分かったところまでを説明させて、説明が終わってから誤りを指摘しながら正しい解法を示した。
首先说明到大包平了解的部分,说明完毕后再指出错误,展示正确的解法。
三日月の説明は、わかりやすい。細い指先が描くマーカーの軌跡は美しく、大包平はいつもつい見入ってしまう。
关于三日月(的)说明,很易懂。纤细的指尖描绘的标记轨迹很美,大包平总是忍不住看得入迷。
それでも、三日月が現代で物理教師をしていることは、何度目にしてもなんだか違和感を覚える。
即便如此,三日月作为现代物理老师这件事,每次看到都总觉得有些违和感。
本丸での三日月は、どちらかというと感覚的で感性が強かった。季節を愛し、自然の中に見えるささやかな変化を大切にしていた。
本丸时期的月亮,相对来说更偏向感性,感性很强。热爱季节,珍惜自然中能看到的细微变化。
いや、いまもその有り様が変わったわけではないのだろう。
不,现在它的状态似乎也没有改变吧。
実際、三日月の教える物理学には、どこか哲学的な、そして文学的な優美さがある。
实际上,三日月所教授的物理学中,有着某种哲学的,以及文学的优美。
しかしやはり、三日月と理系科目はなかなかつながらない。
然而,三日月和理科课程还是难以联系上。
「どうだ、わかったか?」
“怎么样,明白了吗?”
「はい、とても」
「是的,非常美」
解説を終えた三日月が、マーカーをことりと置いた。残された文字は流麗で、シンプルな図面が描かれている。
结束了解说的明月,将标记放在了地上。留下的文字流畅,画着简单的图案。
大包平はそれを眺めながら、「……美しいな」とつぶやく。
大包平一边看着它,一边低语道:「……真美啊」
物理学は美しい。それは学問として精緻であるためか、あるいは大包平がいま触れているところが学問として浅く単純なだけなのか、それはわからない。
物理学很美。是因为它作为一门学问精致,还是因为大包平现在接触到的部分作为学问很浅显简单,这不知道。
ただ、三日月が語る言葉や理論を、大包平は美しいと思った。
然而,大包平觉得三日月所说的言语和理论很美。
「自分で最初から辿りたいのですが、聞いてもらってもいいですか?」
“我想自己先去探寻,可以听听吗?”
「ああ、構わん」
“啊,没关系。”
大包平の頼みを、三日月はあっさりと受け入れた。
三日月爽快地答应了大包平的请求。
決して暇なわけではないだろうに、大包平が、本音を言えば三日月を引き止めるだけに掘り返してきたこの難問を、理解できるまで付き合ってくれる。
当然不是有空闲,大包平陪着,说真的,为了挽回这个能阻止三日月难题,一直纠结到现在的问题,能理解到为止。
大包平は素直に感謝を覚えながら、三日月の教えてくれた内容をたどった。
大包平直率地感到感谢,追溯了三日月教给的内容。
自分の理解不足を埋め、正答を出すことは、確かに楽しい。
填补自己的理解不足,给出正确答案,确实很开心。
「……以上です」
“……到此为止。”
「完璧だな」
「真是完美啊」
大包平の出した正答に、三日月は満足げに笑った。清々しい笑みに、大包平もまた頰を綻ばせる。
对于大包平给出的正确答案,三日月满意地笑了。在清新的笑容中,大包平也脸颊泛红。
と、同時に。
与此同时。
「ではこれで終わ……」
「那么这就结束……」
「まぁ待て」
「好吧,等等」
すぐさま立ち上がって部屋を出ようとした三日月を、大包平は腕を掴んで引き止める。
正要立刻起身离开房间的三日月,被大包平一把抓住手臂制止了。
「どうだ、口説かれる気にな……なりましたか?」
「怎么样,开始心动……了吗?」
片手で教科書をくるりと丸めた笑顔の三日月に、大包平は渋々言葉遣いを正した。
面对拿着教科书转了转圈、面带微笑的三日月,大包平不情愿地纠正了自己的用词。
「口説かれるとは?」
「口説かれるとは?」?
急に、空気が不穏になる。
突然,空气变得不安稳。
しかし、その程度でひるむ大包平ではない。
但是,胆小的大包平不会因此而退缩。
「先生が好きだと、何度もお伝えしています」
「我一直告诉您,我喜欢您。」
「応えることはできないと、何度も伝えたが?」
「我告诉过你多少次了,你不可能做到的?」
「どうすれば好きになってくれるか、それも何度も聞いています」
「我又问过你多少次了,怎样才能让你喜欢我?」
「その質問に答える気は無いと、何度も答えたな?」
「我告诉你多少次了,我根本没有回答你那个问题的意思?」
「三日月先生のこの返答について、俺は一切納得していないので、どうして答える気が無いのか、また先の質問についても、答えてください。……物理はあんなに綺麗に答えてくれるのに、どうしてご自分の気持ちについてはごまかすのですか?」
「对于三日月先生这样的回答,我完全无法接受。你为什么没有回答我的问题呢?……物理问题你都能回答得那么漂亮,为什么对自己的感情却要撒谎呢?」
意地悪い言い方をしても、三日月は動じることはなかった。
即便用恶毒的话,三日月也毫不动摇。
「俺個人の気持ちは、職務の範疇にないのでな。お前の進路や勉学の質問相談についてはいくらでも応じるが、それ以外は答える義務などない」
"我个人的情绪,不属于工作范畴。关于你的前途和学业的问题,我当然愿意帮忙,除此之外,并没有必须回答的义务。"
「……そうして、俺を振り回して、楽しいですか?」
"……那样的话,你很开心地操纵我吗?"
低い声が、三日月を撃つ。
低沉的声音,击中了三日月。
今日はもう、逃すまいと大包平は思っていた。
今天,大包平已经下定决心不再放过她了。
今まで何度もこうして二人きりになり、自分の気持ちを伝え続けた。あれこれ理由をつけられないために、勉強も部活も誰より努力し、成果を出した。
一直以来,他们这样两人独处过无数次,他一直努力表达自己的心意。为了找不出任何借口,他在学习和社团活动中比任何人都努力,也取得了成果。
それでも、三日月は大包平に明瞭な答えを与えないのだ。
然而,三日月却始终没有给大包平一个明确的答案。
「……振り回すなど」
「……说什么乱晃」
大包平のやや過激な物言いに、案の定三日月は反応する。
果然,面对大包平有些激烈的言辞,三日月有了反应。
してやったりと、大包平は笑みを浮かべた。
于是大包平露出了笑容。
乾きを含んだ大包平の笑みに、三日月はわずかだが動揺に目を泳がせる。
带着干燥感的大包平的笑容中,三日月微微地让目光游移于动荡。
「俺のことなど、嫌いだと言えばいいじゃないですか。眼中にない、好きになるわけがない。だから諦めろと。……だが貴方はそうしない。答えられないと、そればかりだ」
「我的事情,你说是讨厌不就得了。眼都不瞧我一眼,怎么可能喜欢我。所以干脆放弃吧。……但是你不会这么做。除了无法回答,就只有这个了」
図星だったのだろう。三日月の顔色が変わったことを、大包平は見逃さなかった。
原来是被看穿了啊。大包平没有错过三日月脸色变化。
このところ、大包平は二人きりになっては三日月に好きだ好きだと言い続けていた。
最近,大包平一单独和三日月在一起就会不停说喜欢喜欢。
それは、決して闇雲に放った言葉ではない。
这绝非随口说出的言语。
勝算があると、踏んだからだ。
有胜算,是因为踏对了路。
三日月と関われるように、三日月が受け持ちになる委員会を選び、担当している教科は特に目覚ましい成績を修め、他の生徒はまず触れないような問題を質問し、ひたすら点数を稼ぎ続けたこの二年。
就像与三日月有所关联,选择了由三日月负责的委员会,负责的科目取得了特别优异的成绩,其他学生不先触碰的问题,持续提问,不断赚取分数的这二年。
その間、大包平は三日月になつきはしたが、あからさまな口説き文句を述べたことは一度もない。
期间,大包平虽然对三日月很亲近,但从未说过明显的拉拢话。
全ては、三日月に信頼され信用され、認めてもらうためだ。
这一切,都是为了获得三日月信任、信用,并获得认可。
身長はだいぶ伸びて、目線もほぼ同じ高さにまでなった。剣道のおかげで体格も発達したため、厚みはすでに三日月の華奢な身体よりもよほど厚い。
身高已经长了不少,视线也几乎达到了相同的高度。由于练习剑道,体格也发育得很好,厚度已经比三日月那瘦削的身体厚得多。
かつての記憶があるためか、大包平の言動も顔つきも、年齢にそぐわず大人びている。
或许是出于过去的记忆,大包平的言行举止和面容,都显得比实际年龄成熟许多。
おかげで女生徒からのアプローチがうるさいのだが、そんなことはどうでもいい。大包平の眼中にあるのは、三日月ただ一人だ。
因此女生们的追求变得很烦人,但那又有什么关系。大包平眼中只有三日月一个人。
出会うなり口説き、一二年次はともかく、三年になって今まで以上にまとわりついてくるようになった大包平に、このところ三日月の腰が引けていることはわかっていた。
自从相遇以来就不断追求,对于已经到了三年级、比以前更加纠缠不休的大包平,最近三日月已经感到腰部很不舒服了。
それでも当初は完全にあしらわれている感じだったが、夏を超えた頃から、なんだか距離を置こうとしている。
尽管一开始感觉完全被她掌控,但从夏天过后开始,她似乎开始刻意保持距离。
この傾向に、大包平は覚えがあった。
大包平对这种倾向有些印象。
かつて本丸で恋仲になる直前、元より感情の揺れに対して臆病だった三日月は、大包平から逃げるように距離をとった。
在城堡里即将陷入爱河之前,原本就因感情波动而胆怯的三日月,曾像躲避大包平一样拉开距离。
三日月は、大包平を好きになってはいけないと思っていたらしい。
看来三日月觉得不应该喜欢上大包平。
後から聞くと、自分に好かれるなど迷惑だとか、戦時に色恋などあってはないらないなど、それらしい理由をくどくど三日月は述べていた。
后来听说是,有人说我受欢迎之类的是烦人的,还有说战时有没有恋爱关系之类的,三日月啰啰嗦嗦地解释了一大堆看似合理的理由。
大包平からすると、いずれもわけがわからない理由だったのだが、かつての三日月と今生の三日月が似たような性格であることを加味すれば、気持ちが変化した時に逃げを打つことは予測された。
从大包平的角度来看,这些理由都让人无法理解,但考虑到过去的月夜和现在的月夜性格相似,那么在情绪变化时选择逃避是意料之中的事。
であれば、この傾向はむしろ歓迎される。
那么,这种倾向反而应该被欢迎。
だからこそ、大包平は被っていた優等生の皮を破ったのだ。
正因为如此,大包平才撕破了那层优等生的伪装。
「先生、俺は貴方がなんと言おうと、貴方を想い続けるぞ。貴方が切り落とさない限り、諦める気はもとより無い」
「先生,无论您说什么,我都会继续想念您。只要您不斩断这份情意,我自然不会放弃」
「それは……」
“那……”
「付きまとわれたくなかったら、嫌いだと言えばいい。そうすれば、こうして呼び出されることもなくなる。一言嫌いだと、ただそれだけのことだ」
「如果您不想被纠缠,直接说讨厌就好。那样的话,就不会有现在这种被召唤的情况了。一句讨厌,仅此而已」
もっとも、それでも俺は想い続けるがなと、大包平は付け加えた。
不过,大包平还是补充道,我终究还是会继续想念的。
三日月の人の良さに、つけ込んでいる自覚はある。
我清楚自己是在利用三日月的人的优点。
こう言えば、三日月は良心の呵責から余計に大包平を拒絶できないだろう。
如果说这样的话,三日月恐怕会因良心的谴责而更加无法拒绝大包平。
だが、大包平も焦っていた。
但是,大包平也很着急。
いくら惚れさせる自信があるとはいえ、かつてと今生はやはり違う。
虽然自信能让他心动,但过去和现在终究是不同的。
それに三日月は記憶がないのだから、人格や好みの傾向なども、刀のときとわずかであれ異なっている可能性は高い。
而且三日月没有记忆,所以他的性格、喜好倾向等,即使与用刀的时候只有一点点不同,可能性也很高。
大包平は、三日月の新しい側面を知るたびに、それこそ物理学を綺麗に教授する姿などに毎度惚れ直しているのだが、三日月も同様であるかはわからない。
大包平每次得知新月的新的一面时,都会再次迷恋上他教授物理时的样子,但新月是否也同样如此就不清楚了。
それに、このままだと大包平はここを卒業してしまう。そうなれば、今のように毎日顔を合わせることもできなくなる。
而且,如果这样下去,大包平就要从这里毕业了。那样一来,就无法再像现在这样每天见面了。
日々たくさんの生徒を見ている三日月の記憶の中で、自分が埋もれてしまうかもしれないと、大包平は怯えていた。
在每天看到许多学生的新月记忆中,大包平害怕自己可能会被埋没。
そう。らしくもなく、名物大包平は恐れ怯え、焦っていた。
是的。不像样子,名物大包平既害怕又颤抖,又焦躁不安。
「さぁ言え。俺が嫌いか。それとも……受け入れる余地はあるの」
「那么说吧。我是讨厌吗。还是……还有接受的余地呢」
しかし、全てを言い切ることはできなかった。
但是,没能把所有的话都说出口。
パコーーーン
軽快な音が、大包平の言葉を阻む。
清脆的声音,打断了大包平的话。
「……ろくに敬語も使えないような子供は、対象外だ」
「……连敬语都不会用的孩子,都不在考虑范围内」
呆れたような、どこか怒りを含んだ声で、三日月が答えた。
用一种厌烦的、夹杂着怒气的声音,三日月回答道。
その手には、丸められた教科書があった。大包平は、思わず舌打ちをする。
他手里拿着一本卷起来的教科书。大包平不由自主地打了个舌打。
今回こそは遺漏なく追い詰めたかと思っていたが、ついかつての口調に戻っていた。
本以为这次总算能毫无遗漏地逼问他,没想到他又恢复了过去的口吻。
するりと逃れていく三日月を、大包平は悔しげに見送る。
大包平懊悔地看着那弯明月悄然离去。
三日月の表情はもう涼しいものに戻っていて、果たしてどこまで心を揺るがせられたのか確信がない。
那弯明月已经恢复了冷漠的表情,他不确定自己究竟动摇到了何种程度。
それでも。
尽管如此。
「……俺は絶対に、諦めないからな…!」
“……我绝对不,会放弃的……!”
低い声でそう呟くと、大包平はさらなる自己研鑽を誓うのだった。
低沉的声音中,他低声说道,大包平发誓要进行更深入的自我修炼。
「また呼び出しか?」
“又要叫我了?”
職員室に戻るや聞こえてきた同僚の楽しげな声に、三日月は優雅に柳眉をひそめた。
当听到同事欢快的叫声从办公室传来时,三日月优雅地皱起了柳眉。
「鶯丸……わかっているのなら、自重させてくれ」
“莺丸……既然知道了,就请自重吧”
鶯丸と大包平が血縁にあることを、三日月はすでに聞き及んでいた。
鶯丸和大包平有血缘关系,这一点三日月已经听说了。
もとより鶯丸とは仲が良く、やんちゃだが優秀な従兄弟がいると、以前より聞かされていたのだ。
原本鶯丸和我就很熟络,听说有个淘气但优秀的堂兄弟,这事儿我早就知道了。
この地域の優秀な中学生は、よほどのことがない限りこの高校を受験する。
这个地区的优秀中学生,除非有特殊情况,都会报考这所高中。
そのため、運が良ければお前も会えるぞと言われ、三日月はぼんやりと楽しみにしていたのだが。
所以,如果运气好的话,你也能见到他,三日月一直若有所思地憧憬着这件事。
「入学式初日から、よくもまぁ飽きないものだ……」
「从入学仪式的第一天开始,真是让人有些厌倦……」
まさか出会ったその日に「俺のものになれ」と、十五にも満たない子供から言われるとは思ってもいなかったと、三日月は情けない顔で嘆息する。
三日月带着遗憾的表情叹息,没想到会在相遇的那天,被一个还未满十五岁的孩子说成「你要成为我的东西」。
しかし鶯丸は、それを楽しげに見守るだけで、特にどうとも言ってくれない。
但是莺丸只是兴致勃勃地看着这一切,什么也没说。
この薄情な同僚が、自分を助けるつもりなど毛頭もないことを、三日月はとっくに知っている。
三日月早就知道这个薄情寡义的同事根本没打算帮助自己。
助ける気なら、もっと前に助けてくれているはずで、三年にもわたって放置している時点で、鶯丸にその気がないことは明らかだった。
如果真的想帮忙,早就应该帮忙了,在已经放任不管三年的时候,莺丸没有那方面的意愿是很明显的。
それでもつい愚痴ってしまうのは、鶯丸くらいしか、このなんとも言えない気持ちを吐ける相手がいないからだろう。
但还是会忍不住抱怨,大概是因为除了莺丸之外,没有能倾诉这种难以言喻心情的人吧。
「早く、あきらめてくれればいいのだがな……」
「快点,你干脆放弃就好了……」
どうしてこんなジジィを捕まえて、青春の一番いい時期を無駄にするのかと、三日月が弱々しい声で言うと、鶯丸は目を猫のように湾曲させた。
三日月用微弱的声音说,为什么要把这种老顽固抓来,浪费青春最好的时光,莺丸的眼睛像猫一样弯成了弧形。
「なんだ、お前はあきらめて欲しいのか?」
「什么,你想让我放弃吗?」
「あきらめて欲しいもなにも……だめだろう。だって」
「也想放弃什么的……不行吧。因为」
「ふん、確かにな」
“哼,果然如此。”
鶯丸はそう言うと、手にした湯飲みから茶を啜った。常にマイペースなこの男は、いつも自分の速度を崩さない。
莺丸说完这话,便从手中茶杯里啜了一口茶。这个总是我行我素的男子,始终不改变自己的节奏。
三日月も同じくらいマイペースだと言われるが、これにはかなわないと思いながら、三日月はおそらく続くだろう鶯丸の言葉を待った。
人们说三日月也差不多是自己的步调,虽然这么想,但三日月还是觉得无法赶上,等待着鶯丸的话。
「だが、そろそろそれも終わるな」
「但是,差不多也该结束了」
十分な間をとった後、鶯丸がたゆたう茶の水面を見ながら言った。
过了足够的时间后,鶯丸看着摇曳的茶水面说道。
つながりや意図が伝わりづらいのもまた、鶯丸の特徴で、三日月は「なにがだ?」とすぐに聞き返した。
难以传达联系和意图也是鶯丸的特点,三日月立刻问「什么?」
「あと半年あまりで卒業だからな。立場が変わる」
「再过半年多就要毕业了。身份会改变」
つまり、今は教師と生徒だから、万が一にでも三日月が大包平を受け入れたら問題があるが、卒業すればその問題が解消するとでも言いたいのだろうか。
也就是说,现在还是老师和学生的关系,万一三日月接纳了大包平,那就会有问题,难道你想说毕业了这个问题就解决了?
「立場は変わるが、歳の差と性別は変わらんぞ」
「立场会改变,但年龄和性别不会改变啊」
「そんなことを気にしているのか?物理教師とは、なかなかに頭が固いな」
「你还在意这种事吗?物理老师啊,真是相当固执呢」
「そういう問題じゃなく……俺はともかく、大包平に悪いだろう。あれだけ優秀で……確かにまぁ、少々物言いに問題があるとは思うが、将来有望であることに変わりはなかろう。それが……こんなしおれたジジィ相手に、道を踏み外していいわけがない」
「不是那种问题……我嘛,总之对大包平不太好。他那么优秀……确实啊,我觉得他稍微有点说话问题,但改变不了他很有前途的事实。那……对这种落魄的老头子,我怎么能犯这种错误呢」
三日月の言葉に、鶯丸が小さく笑った。
面对三日月的话,鶯丸小声地笑了。
いつも柔和ながら、ポーカーフェイスを崩さない鶯丸の珍しい笑い声に、三日月は軽く目を見張る。
鶯丸总是温和,却从不破坏他扑克脸的罕见笑声,让三日月不禁微微睁大了眼睛。
いま三日月が言ったことは、あやまたずかつて刀であったときに、三日月が鶯丸に発したものと同じで、鶯丸はそれを思い出して笑ったのだが、当の三日月はそんなことはわからない。
现在三日月所说的话,和当年刀的时候三日月对莺丸说的完全一样,莺丸想起这些便笑了,但真正的三日月却不知道这些。
鶯丸は、しまったしまったと思いながら、懐かしく刀であった時を思い出していた。
莺丸一边想着“哎呀哎呀”,一边怀念着当年作为刀的日子。
刀のときは、三日月の方が先に大包平に惹かれていた。
作为刀的时候,是三日月先被大包平吸引的。
しかし、自制心が強い三日月は自分の気持ちを抑制し、やがて大包平が三日月に想いを寄せるようになってからも、これはいけないことだと自分に言い聞かせていた。
但是,自制力强的三日月抑制了自己的感情,即使后来大包平对三日月产生了爱慕之情,也一直对自己说这是不对的。
大包平は、押しても引いてもなびかない三日月にしびれを切らしていたし、三日月は三日月で、嫌いではないからこそ切り捨てられない感情に苦しんでいた。
大包平对那轮无论推拉都无法摆动的明月感到厌烦不已,而明月本身,正因为不喜欢,才无法割舍那份情感,备受煎熬。
それを鶯丸は見守りながら、ありていに言えば随分と楽しませてもらったのだが、まさか今生でも似たようなことができるとは思っていなかった。
莺丸在一旁默默守护着这一切,虽然简单来说确实得到了不少乐趣,但万万没想到今生还会发生类似的事情。
「鶯丸……笑っている場合ではないだろう。お前の血縁者だぞ?」
"莺丸……现在不是笑的时候吧。你可是我的血亲?"
このままでいいのかと、三日月は言う。
明月说道,感觉这样下去似乎也不错。
だがその言葉を、鶯丸は三日月にそっくりそのまま返してやりたいと思う。
但是,鶯丸想将那句话原封不动地回敬给三日月。
「別に構わんさ。どうせ、卒業したら顔を合わせる機会などぐんと減るし、そもそもアイツは遠くに行くだろうからな」
「没什么关系。反正,毕业后我们见面的机会会大大减少,而且他本来就打算去远方了」
大包平の学力では、今の家から通える大学はあまりにランクが低い。おそらく、都市部の有名大を受けることになるだろう。
以大包平的学习能力,从现在的家能去上的大学实在太过低等。大概,他会选择去城市里的名牌大学吧。
ならば、お前はもう大包平と会えなくなるのかもしれないのだぞと、鶯丸は言外に匂わす。
那么,你或许再也见不到大包平了,鶯丸暗自说道。
だが、三日月もさるもの。表情一つ変えず、「そうなってくれればいいんだがな」と返す。
但是,三日月也是没办法的事。他表情不变,回答道:“那就好,那就好。”
「……やれやれ」
“……真是的”
鶯丸は、小さくつぶやいて肩をすくめた。
鶯丸小声嘟囔着,肩膀微微耸动。
好きなくせに、とは言わない。
虽然嘴上不说,但并非不喜欢。
それは、三日月自身が認めて、受け入れるべきものだからだ。
那是因为三日月自己承认,应该接受的东西。
ただ、あの短気な大包平が、いつまで我慢できるかは俺は知らんぞと、鶯丸はこれまた心中で付け加えた。
不过,那只急性子的犬包平能忍耐到什么时候,我可不知道,莺丸又在心里补充了一句。
今でももう、十分すぎるくらいに、煮えきっているというのに。
现在也已经,足够沸腾过头了。
季節は巡り、受験まで残すところあとわずかとなった。
季节流转,距离考试只剩下不多了。
三年生が学ぶ階はなんとなくそわそわとしていて、浮き足立っているような、しかしどこか何かを恐れているような、受験期独特の緊張感にあふれている。
三年级的教室里,气氛莫名地紧张,既像兴奋得跃跃欲试,又像是害怕着什么,充满了考试季特有的紧张感。
その中で、大包平はひとり落ち着いていた。
在这之中,大包平却独自一人平静。
いや、実際はそれなりに荒れていたが、それは勉強に関してではない。三日月の、態度についてだった。
不,实际上他相当混乱,但那并非因为学习,而是关于三日月的态度。
結局、大包平はまだ全く三日月から結論を引き出せていない。
最终,大包平依然完全未能从三日月那里得到任何结论。
三日月はのらりくらりと大包平をかわし、直球の告白も懇願も脅迫も、何一つとして動じてくれない。
三日月轻而易举地绕过大包平,无论是直接的告白、恳求还是威胁,都无法让他有任何动摇。
刀の頃より泰然自若とした性分ではあったが、それでもこうまで焦らされると、もどかしさを通り越して怒りが湧いてくる。
虽然他比刀时期更加泰然自若,但即便如此被这样逼迫,也让他从烦躁中爆发出了愤怒。
俺はこんなに誠実に求めているので、受け入れも断りもしないなど、いささか無礼に過ぎるだろうと、大包平は受験とは関係なくピリピリしていた。
我如此真诚地寻求,你既不接受也不拒绝,这未免太过无礼了吧,大包平对此感到十分恼火,这与考试无关。
受験など些事だ。日々の積み重ねを大事にしていれば、あとは体調面のみ。大包平にとってこれは通過点でしかなく、頭を悩ませる議題ではなかった。
考试不过是小事。只要重视日常的积累,剩下的就只有身体调理了。对大包平来说,这不过是必经之路,并非让他烦恼的议题。
しかし。
但是。
「受験の相談をお願いします」
「请问我可以咨询一下考试的事情吗」
口実になるならば、いくらでも使わせてもらおうと、大包平は三日月を進路指導室に呼び出した。
如果需要一个借口,大包平愿意用任何理由,把三日月叫到了升学指导室。
いや、体面上は、三日月に進路指導を頼んだ大包平が呼び出された、ということになってはいるのだが。
不,从礼节上来说,应该是大包平请求三日月进行升学指导,才被叫来的。
「それで?今度は何だ」
「那然后呢?这次又是什么?」
少々呆れ気味の三日月に、大包平はずいと近寄る。
带着些许不耐烦的三日月,大包平远远地靠近。
「先日の問いへの返答を、まだもらっていません」
「我还没有收到你前几天问题的回答」
卒業を目前にして、切羽詰まった思いは、大包平を今まで以上に強引にした。
临近毕业,急切的心情让大包平比以往更加冲动。
三日月はどこか冷めた目線を大包平に向け、それでも結局、「嫌い」とも「断る」とも言わない。
三日月用带着几分冷漠的眼神望向大包平,但最终还是什么也没说,既没有说“讨厌”,也没有说“拒绝”。
その様に、大包平は癇癪の一つでも起こしたくなった。
大包平因此心里有些不痛快。
「俺は貴方が好きだ。貴方が手に入るならなんでもする。それでも、貴方は俺に答えをくれないのか」
“我喜欢你。如果你能到手,我什么都愿意做。但是,你为什么还不回答我?”
大包平は、顔を歪めた。
大包平的脸扭曲了。
「……受験の相談は」
「……关于考试的事」
「そんなものどうでもいい!」
「那种东西随便什么都行!」
大包平は、根性で初めて三日月に対して声を荒げた。
大包平用毅力第一次对三日月大喊。
「貴方が俺に価値を見出さないなら、どこを受けようが合格しようが意味がない!どうすれば貴方は俺に価値を感じる?断じるほどの価値も見出していないのか?あるいは……」
「如果你看不到我的价值,无论去哪里考都毫无意义!你怎样才能感觉到我的价值?难道你连能让我被拒绝的价值都找不到吗?或者……」
ひくりと、頰に引きつりを感じる。いびつな笑みが、口元に浮かぶ。
突然,脸颊感到一阵抽搐。扭曲的笑容浮现在嘴角。
「卒業さえしてしまえば、全てうやむやになるとでも……?そう、思っているのか……?」
"如果毕业了,一切都会不了了之……是这么想的吗……?"
大包平が浮かべた乾いた笑みに、三日月はわずかだが顔色を変えた。
面对大包平那干涩的笑容,三日月脸色微微变了变。
果たしてどういう思いを三日月が抱いているかわからない大包平は、強張った顔のまま三日月を見据えた。
大包平不知道三日月心中究竟在想些什么,依旧紧绷着脸,直视着三日月。
怒りと絶望と悲哀に燃える大包平の目は鮮やかで、三日月はどこか眩しげに目を細めた。
燃烧着愤怒、绝望与悲哀的大包平的双眼鲜亮夺目,弯月似乎有些过于明亮地眯起了眼睛。
「……こんなジジィに、かまける必要など、ないだろう……?」
“……对这种老太婆,我哪有闲工夫去管……?”
ようやく絞り出された言葉は、どこか言い訳じみていた。
终于挤出来的话语,带着几分辩解的意味。
ここまで言い募ってなお、お前は俺を信用しないのかと、大包平は眉を吊り上げる。
即便已经说到了这个地步,你仍然不信任我吗?大包平挑起了眉毛。
三日月はその顔を見て困ったように眉を寄せると、「あまり……年寄りをからかうな」などとまたふざけたことを言った。
三日月看着他的脸,皱起眉头,为难地说道:“别……别总拿老人开玩笑。”
大包平はますます表情を険しくし、思わず三日月ににじり寄る。
大包平表情更加严厉,不由自主地靠近三日月。
「伊達や酔狂で、誰が三年もかけて口説くと思っているんだ!からかっているわけなどない!」
“伊达这家伙醉得跟疯了一样,谁以为三年就能说动他!根本没在开玩笑!”
大包平は、ぎりりと奥歯を噛んだ。
大包平狠狠地咬紧了后牙。
怒りはもはや我慢の限界を超え、熱の本流となって大包平の身体を包む。指先がびりびりと痛み、頭の中が真っ赤に染まった。
愤怒早已超越了忍耐的极限,化作一股热流包裹着大包平的身体。指尖刺骨般疼痛,脑海中一片赤红。
燃え立つような怒りに任せて、大包平は三日月の襟元を掴み引き寄せる。
在大包平任由熊熊怒火驱使下,他攥住三日月领口将其拉近。
そしてそのまま、唇を奪った。
然后,夺走了她的唇。
与えたものは触れるだけの幼いキスだったが、今まで言葉はかけても自分からの接近は一切してこなかった大包平の、これはささやかな仕返しだった。
给予的只是触碰即止的幼嫩之吻,而大包平这个从未回应过自己靠近的男孩,这不过是微不足道的一点反击。
本当は、ちゃんと交際してからと思っていた。
其实,我本来是打算等认真交往之后再说。
だが、あくまでも自分を恋愛対象の外に置くというのなら、こちらにも考えがある。
但是,如果始终把自己放在恋爱对象之外,那我也有我的想法。
大包平は、しっかりと重ね合わせた後に、ようやく顔を離した。
大包平在仔细考虑之后,终于移开了视线。
愛ではなく怒りで行ったものだったが、それでもやはり、懐かしい柔らかさに一瞬泣きそうになる。
虽然出发时是带着愤怒,但即便如此,还是忍不住一瞬间想哭,因为怀念那温柔的气息。
この感触を、下手したら自分はもう二度と味わえないのかもしれない。
这种感觉,搞不好自己可能再也尝不到了。
それは、ひどく恐ろしい想像だった。
那是一个极其可怕的想象。
しかし、恐怖に背筋を冷やすより前に、目の前の三日月の反応に、大包平は気を取られる。
然而,在大包平被眼前的弯月反应吸引注意力之前,他还没来得及被恐惧冻住脊背。
「こ、こん……こんな……ば、馬鹿者ッ。か、軽々しくして、いいことでは、ないぞ……!」
「这、这样……这种……真是傻子。别轻率行事,那可不是什么好事……!」
どうせいつものようにはたかれるだろうと思っていた大包平は、目の前で赤面する三日月に目を丸くした。
大包平原本以为事情会像往常一样不了了之,于是瞪大了眼睛看着眼前涨红了脸的三日月。
「お、お前は慣れているのかもしれんが、お、俺は慣れておらんのだ、こういうことには……。と、年寄りをからかうなと、言っただろう……この、大馬鹿者ッ」
「你、你倒是习惯了吧,我、我可还没习惯呢,这种事……。我、我说你欺负老人了……这、这家伙真是大笨蛋」
うっすらと涙が浮かんだ目も、艶やかに染まった頬も、全て大包平の記憶の通りだった。
微微泛起泪光的眼眸,以及艳丽染色的脸颊,一切都和大包平的记忆中一样。
恥じ入り、困惑し、それでも決して拒絶はしていない。
感到羞愧,陷入困惑,但无论如何都没有拒绝过。
なんと初々しく、愛らしい反応だろうか。大包平は、三日月の花の相貌に思わず見入った。
何等か天真爛漫で愛らしい反応だろうか。大包平は、三日月の花の風采に思わず夢中になった。
そして。
「お前……童貞だったのか?」
思わず発してしまった余計な一言の結果、大包平は、入学式以降になる見事な平手打ちを頰に食らったのだった。
思わず口にした余計な一言の結果、大包平は、入学式以降になる見事な平手打ちを頰に食らったのだった。
「どうした、浮かない顔だな?」
「怎么了,脸色不太好啊?」
鶯丸は、職員室で残業にいそしんでいる三日月に、茶を差し出しながら声をかけた。
莺丸在办公室里忙着加班的三日月,一边递茶一边问道。
三日月は顔を上げると、ありがとうと茶を受け取る。
三日月抬起头,接过茶说了声谢谢。
「浮かないわけでは……」
「当然不是没想起来……」
「最近、俺の従兄弟はお前につきまとっていないようだな」
「最近,我那表弟好像不怎么跟着你了啊」
さくりと刺すように指摘してやると、三日月は複雑な表情を見せた。
像扎一样尖锐地指出后,三日月露出了复杂的表情。
せいせいした、という顔ができないのであれば、少しは応えてやればいいものをと思いつつ、鶯丸は何も言わない。
既然无法做出「我没事了」的样子,那稍微回应一下就好了,鸣丸想着,却什么也没说。
「つきまとうなど……。受験も間近だし、そちらを優先しているのだろう」
「跟踪什么的……。考试也快到了,估计你优先考虑那边了吧」
確かに、年も明けたため受験日は目前だ。
确实,新年已至,考试的日子也近在眼前。
大包平が受ける国立大学の入試日は若干先になるが、最後の追い込みに三年生は誰もが忙しい。
虽然大包平参加的国立大学的考试日期稍晚一些,但高三学生都忙于最后的冲刺。
大包平も、三日月が認めてくれなければ意味がないと言い放ちつつも、着実に模試の点数を伸ばしていた。
大包平虽然嘴上说着,如果三日月不认可就毫无意义,但确实在稳步提高模拟考试的分数。
この時期はもう、授業はほとんどやらないで自習ばかりだ。各自受験校やセンター試験の過去問を解き、不明点を先生に聞く。
这个时期,课程几乎都不上了,只有自学。每个人都做目标学校的或者中心考试的历年真题,有不明白的地方就向老师请教。
大包平は、いつも黙々と問題を解いていた。
大包平总是默默地解决问题。
授業中に質問に来ることは時々あるが、それ以外の時間は一切三日月に関わっていない。それは、この三年間で初めて見られる光景だった。
虽然上课时偶尔会来问问题,但除此之外的时间,他完全不理会三日月。这是这三年里第一次看到的景象。
「うるさいのがいないと、寂しいだろう」
"没有吵闹的人,会寂寞吧。"
「寂しいなど……」
"寂寞什么的……"
そう言う三日月の顔には、下手くそな笑みが浮かんでいた。
在这样的三日月脸上,浮现着笨拙的笑容。
鶯丸はそれを見て、やれやれと肩をすくめる。そんな顔をするくらいなら、せめて卒業まで待てと言えばよかったのに。
莺丸看着,叹了口气,肩膀微微耸动。与其做这样的表情,还不如等到毕业再说呢。
「まぁ、いずれにせよすぐ卒業だしな。静かになるぞ、よかったな」
“不过,总之很快就要毕业了。会变得安静,真好。”
駄目押しのように告げた少々意地の悪い言葉には、三日月は、ついに答えることはなかった。
三日月终究没有回答这如同最后通牒般、带着几分刻薄的言语。
「貴方が好きです。恋人になってください」
「我喜欢你。成为恋人吧」
それは、あまりにまっすぐな恋の告白だった。今までもさんざん口にしてきた言葉を、大包平は駄目押しとばかりに口にする。
那确实是一句过于直白的爱情告白。大包平把一直以来都挂在嘴边的话,像是最后通牒一样说了出来。
それでも、三日月はただ困ったように眉を寄せるだけだった。
然而,三日月只是像感到困扰一样皱起了眉头。
これを、あと何度繰り返せばいいのだろうかと、大包平は考える。
大包平思考着,这样的事情还要重复多少次才行。
場所は教務室、卒業してから数ヶ月経ち、今は春の大型連休のさなかだった。
地点是教务室,毕业数月后,正值春季大型连假期间。
思い返せば三年次、三日月を呼び出しては異口同音の告白を繰り返した。それでも反応してくれない三日月に焦れて、大包平はまず勉学に専念した。
回想起来是三年级时,呼唤着三日月,反复说着异口同声的告白。但对于没有回应的三日月感到焦躁,大包平首先专注于学业。
三日月には「どうでもいい」と言ったが、それでも本当に不合格を食らえば、三日月がそれを理由に断ってくると大包平は思っていた。
三日月说着“都行”,但大包平认为如果真的不合格,三日月会以此为由拒绝。
だから実にストイックに受験勉強を行い、見事に合格を勝ち取った。
因此他非常自律地进行备考,成功赢得了合格。
そして合格発表の日、報告と共にこの告白をした。
然后在合格公布的那天,我伴随着报告一起做了这个告白。
風は冷たく、暦の上では春だというのに、春らしさに欠ける三月だった。梅はもう散り、しかし桜にはまだ遠い。
风很冷,虽然日历上已经是春天,但三月的春天却显得有些欠缺。梅花已经凋谢,但樱花还远未开放。
色彩のないどこか冷え冷えとした学校で、大包平は三日月に幾度目かもわからない告白をした。
在色彩单调、有些阴冷的学校里,大包平不知第几次向三日月做了告白。
その時も、三日月はただ困った顔をするばかりで、否とも諾とも言わなかった。
那时,三日月只是露出困扰的表情,既没有拒绝也没有答应。
これでも駄目か、やはり教師と生徒という関係にこだわりがあるのか。
这还是不行吗,果然还是执着于师生这种关系吗。
確かに、今の段階で大包平の告白を受け入れて、それを誰かに知られたら面倒ではある。ならばあと少し待とう、卒業式まで待とうと、大包平は決めた。
确实,在这个阶段如果接受了大包平的告白,被别人知道了确实麻烦。那么再等等吧,等到毕业典礼再决定,大包平这么决定了。
いずれにせよ、合格発表から一週間もしないうちに卒業式だった。これだけ待ったのだから、一週間足らずの時間など、ないにも等しい。
无论如何,从合格公布到毕业典礼还不到一周。已经等了这么久,不到一周的时间,等于是没有。
だから、卒業式の日、大包平はやはり三日月に告白をした。
所以,在毕业典礼那天,大包平还是向三日月告白了。
「俺はもう、高校生じゃありません。だから、答えてください」
「我已经是高中生了。所以,请回答」
真摯に向けた言葉は、「今月の末日までは、ここの在籍扱いになっているぞ」という屁理屈のもと、両断された。
真挚的话语,在「本月最后一天之前,仍按在此处就读处理」这种无理取闹的基础上,遭到了断然拒绝。
やはり、うやむやにしようとしているのかと腹が立ったが、それならばと目を眇め、「では、完全に高校生じゃなくなったらまた来ます」と言い、今回このようにして、大包平は三日月を訪ねた。
果然,对方想含糊其辞,我气得直跳脚,但既然如此,我便眯起眼睛,「那,如果完全不再是高中生再来」,这次大包平就这样拜访了三日月。
そしてまた同じように告白をしたが、三日月はあれこれ言い訳をしてはぐらかす。
接着又做了同样的告白,但三日月还是找各种借口搪塞。
「だ、大学にはもっと、いい相手がいるだろう」
「啊,大学里一定还有更好的对象吧」
「関係ない。俺はお前が好きだ」
「没关系。我喜欢你」
「だから敬語を……」
「所以要用敬语……」
「もう先生と生徒じゃないから構わんだろう」
「我们已经是师生关系了,不用在意了吧」
三日月は、それでもなんだか困った顔をして見せる。
三日月还是面露难色。
「なんだ、言いたいことがあるなら言ってみろ。むしろ、ちゃんと答えを返せ」
「怎么了,如果想说就说出来。反而,应该给我一个明确的答复」
「いや……だが……その……」
「不……但是……那个……」
「お前なぁ」
「你啊」
大包平は呆れ声を出した。
大包平发出了一声不耐烦的叹息。
かつては上に仰いでいた三日月の顔も、今は同じか少し下にある。あと少しで、以前と同じ目線の差になるだろう。
曾经仰望天上的那轮弯月,如今也只在天稍下方。再过不久,或许就会恢复到和从前一样的视线高度了吧。
「だから、気がないのならさっさと振ってくれ。お前が終わりを告げない限り、俺はこうし続けるぞ。そんなのお前も……迷惑だろう」
"所以,要是没兴趣就快点放手。在你宣告结束之前,我将继续这样下去。你这样的人……真是麻烦吧"
最後の一言に苦さが混じったのは、自分でも認めたくないからだ。
最后那句带着痛苦,是因为自己也不愿承认。
しかし、この三日月が大包平をどうしても男として、恋人として見れない可能性はあると、最近やや気弱になってきていることは事実だ。
但事实上,最近我确实有些心虚,担心自己无论如何都无法将这轮弯月看作一个男子汉,看作一个恋人。
「それとも、俺がこうしてお前に振り回されている様を見て楽しんでいるのか?だとしたら、相当に悪趣味だが」
「还是说,你是在看我在这里被你折腾得这么狼狈而感到开心?如果是这样,那可真是相当没品味啊」
若干ヤケになった大包平が、踏ん反り返りながらそう言うと、三日月はますます眉を垂らす。
稍微有些恼羞成怒的大包平,梗着脖子说道,三日月更是皱起了眉头。
「そ、そういうつもりは……」
「我、我并没有那个意思……」
「つもりはなくても、お前がやっているのはつまりそういうことだ」
「虽然没有那个意思,但你做的事情不就是这么一回事吗」
睨みつけると、三日月は無残にもしおれてしまう。
凝视着,弯月凄惨地碎裂了。
どう考えても、気を持たせ続ける三日月が悪いのに、大包平はなんだか自分が悪いことをしているような気分になった。
无论如何,持续带着情绪的弯月明明是错的,大包平却莫名觉得自己好像做错了什么。
「だ、だって……」
「那、那是因为……」
「だって、なんだ」
「那是因为,什么」
「だって……ど、どうしてお前が俺を好きになったのか、よく、わからないし……」
「因为……你、到底是怎么喜欢上我的,我实在,不太明白……」
「一目惚れだ」
「是一见钟情」
大包平は傲然と言い切る。
大包平傲然断言。
いや、刀の時代を思い返せば、じわじわと惹かれていったのだが。今生について言えば、一目惚れといって構わないだろう。
不,回想刀的时代,其实是一步步被吸引过去的。若论今生,说是一见钟情倒也无妨。
しかし、三日月はそれでは納得してくれなかったらしい。
但是,三日月似乎并不满意。
口火を切ったせいか、怒涛のようにつまらない言い訳を並べ立てる。
或许是先开了口,他开始滔滔不绝地列举着无聊的借口。
「そんな一時のこと、どれだけ持続するかもわからんし、大学には俺なんかよりもずっといい人間がいるだろうし、何もこんな……一回りも年上の、それも男を相手にする必要など、どこにもないだろう……」
"这种一时兴起的事,能持续多久还不知道,大学里肯定有比我好得多的人吧,而且没有必要和这种……比我还大一圈的、还是个男的……"
「ほほう?」
"哦?"
不穏な声が、口から漏れる。
不安定的な声が、口から漏れる。
どれもこれも、大包平にしてみれば「だからなんだ」という内容だった。
だからなんだ?どれもこれも、些事に過ぎない。
だからなんだ?どれもこれも、些細なことに過ぎない。
しかし、こうも並べ立てられると、さしもの大包平も堪忍袋の緒が切れる。
しかし、こう並べ立てられると、さしもの大包平も堪忍袋の緒が切れる。
もともと、そう気の長い方ではないのだ。むしろ短い。三日月相手だから、ここまで譲歩して、我慢して、耐え忍んできたのだ。
原本,他就不是个有耐心的人。反而很急躁。正因为是三日月,所以他才一直到这里为止,让步、忍耐、忍受了下来。
大包平はびきりとこめかみに青筋を浮かべて、申し訳なさそうに縮こまる三日月に声を荒げた。
大包平怒气冲冲地青筋暴起,对着缩成一团、一脸抱歉的三日月大吼道。
「つまり貴様は、自分には好きになってもらう価値はなく、俺がこれほどお前を愛していると言っているのは一時の気の迷いで、時が過ぎれば忘れられると?年上の男相手に、阿呆な小僧が酔狂で愛を説いていると?そう言いたいんだな?」
“也就是说,你认为自己毫无价值,不值得我喜欢,我之所以说如此深爱着你,只是一时糊涂,等时间过去就会忘记?对一个年长的男人,一个愚蠢的少年在疯狂地宣扬爱情?你就是这样说的?”
「そ、そこまでは……」
“那、那倒不是……”
「そこまでではないと言うならどこまでだ。え?」
「如果说还不够,那又是什么程度。嗯?」
眉間に深い皺を刻んだまま、大包平は三日月を睨む。
眉头刻着深深的皱纹,大包平瞪着三日月。
そして声高にこう宣言した。
然后他大声宣布道。
「いいだろう。そうまで言うなら、これが最後の譲歩だ。二年後、俺が成人する年の今の時期、もう一度お前を訪ねよう。そしてもう一度、俺はお前を求める。その時に俺を拒まなければ、もう知らん」
「好吧。既然你这么说,那这就是我最后的让步。两年后,在我成年的这个时期,我会再次拜访你。然后,我会再次向你求爱。如果那时你不拒绝我,我就不知道了。」
「し、知らんとは……」
「不、不知道……」
「お前は俺のものということだ。お前のふにゃふにゃした意思など知ったことか、拒まない限りは問答無用で俺ものにするからな。……首を洗って待っていろ」
「你是我的东西。你的叽叽喳喳的意志,我根本不在乎,只要你不拒绝,就别问问我,直接把你弄到手。……去洗洗头,乖乖等我」
もしくは、振る台詞でも考えているんだなと心中で思ったが、それを口にしたらダメージを食らうのは自分とわかっていたため、大包平は飲み込んだ。
或者,他心里在想这些花言巧语吧,但他知道如果把这些话说出口,受到伤害的会是自己,所以大包平咽下了这口气。
所在ない顔で自分を見上げる三日月をもう一度睥睨してから、大包平は教務室を出た。
他看着那副茫然无措地仰望着自己的月牙,再次怒视了一番后,大包平离开了教务室。
残された三日月が、頼りなく唇をわななかせたことなど、露知らず。
残存的三日月,不知不觉得让无助的嘴唇陷入了诱惑。
二年。決して短い期間ではない。だが日は流れ、やがてその日はやってくる。
两年。绝对不是短暂的期间。但是时光流逝,终将迎来那一天。
二年間、不安がなかったと言えば嘘になる。
两年间,如果说没有不安,那就是谎言。
いやむしろ、日々不安ばかりだった。自分は三日月にふさわしい人間になれているだろうか、三日月は自分以上に優れた人間に見出されていないだろうか。
不,反而每天都充满不安。自己是否已经成为了配得上三日月的人?三日月是否没有发现比自己更优秀的人。
不安が胸をよぎるたび、大包平は自分でそれを打ち消した。
每当不安涌上心头时,大包平总会自己将其否定。
そして、いままで以上に学問に励み、また刀の時と同様に身体も鍛えた。
然后,比以往更加努力于学问,又像练习刀法时一样锻炼身体。
一番辛かったのは長期休業の期間で、夏休みはともかく、正月にはやはり実家に帰らなくてはいけない。
最辛苦的是长期休假期间,夏天放假暂且不论,过年时终究还是不得不回到老家。
見慣れた光景の中で思い出すのはやはり三日月のことで、年頃の大包平にとっては、好きな人がいるのに手も足もでない今の状況は、心身ともにこたえるものだった。
在熟悉的光景中回忆起的是三日月,对于正值年岁的大包平来说,虽然心中有喜欢的人,但如今手无寸铁的状况,身心都难以承受。
だが、言い切ったのは自分だ。
但是,说这话的是我自己。
ギリギリと奥歯を噛み締めながら耐え、それを見てニヤニヤする鶯丸を睨みつけ、大包平は二年を過ごした。
大包平咬紧牙关苦苦支撑,看着那副幸灾乐祸模样的鶯丸,度过了两年。
そして大学三年になった五月、大包平は再び故郷の土を踏んだ。
到了大学三年级那年五月,大包平再次踏上了故乡的土地。
もうあとは、成就するか振られるかの二つに一つだ。
接下来,要么成功,要么失败,只有这两种可能。
どっちに転んだとしても、学校で結果を聞くのはさすがに嫌だと思った大包平は、悪いことと知りつつも、三日月の自宅に張ることにした。
无论结果如何,大包平觉得在学校得知结果实在太讨厌了,尽管知道可能会有不好的事情发生,但还是决定将此事告诉三日月的家。
鶯丸経由で店かどこかに呼び出すことも考えたが、三日月の場合、それを聞かなかったことにして帰りかねないとも思う。
也曾想过通过鶯丸联系店铺或哪里叫人来,但对于三日月来说,可能会选择假装没听到这件事然后离开。
いや、三日月の性格を考えると、聞いた以上は大包平を待ちぼうけさせたりはしないと思うのだが。
不,想想三月月的性格,我觉得只要知道了,就不会让大包平感到失望。
それでも、いままでの経緯を考えると、さすがに疑心暗鬼にも陥る。
尽管如此,回想至今的经过,果然还是陷入了猜忌的境地。
連休中も雑務があるため基本的に出勤していると、すでに鶯丸から聞き及んでいた大包平は、多少の罪悪感を覚えながら、年賀状を言い訳に聞き出した三日月の自宅前で待つ。
由于连休期间也有杂务,基本上需要出勤的大包平,虽然带着些许罪恶感,但还是以年贺状为由,在三日月的家门前等候。
何時間待っただろうか。昼過ぎから待ち続け、不審な目を向けてくる近隣住人には礼儀正しく挨拶をし、持ってきた文庫本を二冊読み切った段になって、ようやく待ち人はやってきた。
等了几个小时了吧。从中午过后一直等着,对投来可疑目光的附近居民礼貌地打招呼,直到读完带来的两本文库本,终于等到了人。
「……え?」
“……啊?”
小さく聞こえた声に、大包平は顔を上げた。
小声传来的声音中,大包平抬起头。
三日月の部屋は、階段から一番遠い場所にある。階段を登ってフロアに入れば、ドアの前の大包平が自然と見えるはずだ。
三日月房间位于楼梯最远的地方。从楼梯上去到楼层,应该自然能看到门前的大包平。
ばちりと、視線が重なる。
啪嗒一声,视线交汇。
三日月の細い肩が、びくりと揺れた。逃げるかなと、大包平は思った。
三日月纤细的肩膀猛地颤抖了一下。大包平心想,是要逃跑吗。
その時は、追わないつもりでいた。
那时,我本不想追赶。
三日月のことは好きだし、絶対に自分のものにしたかったが、それでも恐怖を植え付けることは本意ではない。
虽然我喜欢三日月,也绝对想将其占为己有,但即便如此,我也并非有意要播下恐惧的种子。
自分がやっていることが、ストーカーまがいであることはわかっている。
我知道自己正在做的事情,近乎跟踪狂。
だから、これで逃げたらもうそれが答えだと、大包平は思っていた。
因此,大包平心想,如果就这样逃走,那便是答案了。
しかし。
但是。
三日月は逃げず、戸惑いと恐れを顔に浮かべながら、そろそろと大包平に近づいてきた。
三日月没有逃跑,脸上浮现出困惑和恐惧,缓缓地向大包平靠近。
「お、おおかね、ひら……?大包平か……?」
「哦,哦,大包平,是……?」
「他の誰に見える」
「看起来像是其他人」
腕の長さ分くらいの、手を伸ばしてぎりぎり届かない距離で、三日月が立ち止まる。
伸出手臂,月亮停在了刚好够不到的距离,大约是手腕那么长。
大包平は寄り掛かっていたドアから身体を起こして、一歩離れた。
大包平从倚着的门边起身,向后退了一步。
三日月が、その気になれば部屋に逃げ込めるように。自分から、逃げられるように。
月亮要是想的话,就能逃进房间。自己,也能逃走。
だが、三日月はやはり動かず、ただ大包平を呆然と見つめるだけだった。
但是,弯月依然不动,只是呆呆地看着大包平。
「なんだ、惚けた顔をして」
"怎么了,脸上写着傻气"
大包平は、呆れたように肩をそびやかした。
大包平,像被逗笑似的耸了耸肩。
二年の間に伸びた身長は三日月を追い越して、鍛えられた体躯は刀の時と同程度になっている。
两年间长高的身躯已经超过弯月,锻炼出的体格达到了和刀同等程度。
三日月もそれなりの身体つきではあるが、やはり随分と細く映った。
三日月虽然也有相应的身材,但确实显得相当瘦削。
こんなに頼りなかっただろうかと大包平は思いながら、かえって愛おしさは増したように思う。
大包平心想,自己当时可真是让人依赖,反而觉得更加可爱了。
かつての三日月は、大包平の助けなどいらないほど強かった。
昔的三日月,已经不需要大包平的帮助那么强了。
それが好きになった理由の一つではあるのだが、恋人同士になってからは、いささか寂しくも感じていた。
虽然这是喜欢上他的一个理由,但成为恋人之后,也稍稍感到有些寂寞。
今生も、まぁ三日月は三日月で屈強な体育教師を投げ飛ばしたそうだから、決してひ弱ではないのだろうが、前よりは、自分が三日月と共にいる価値があるのかもしれないと、大包平は思う。
今生,听说三日月还是三日月,能将强壮的体育教师抛飞,所以或许并不软弱,但比起从前,大包平开始思考,自己与三日月在一起是否更有价值。
だがそれもこれも、三日月が自分の愛を受け入れてくれた場合についてだが。
但是这也是关于三日月接受了自己的爱的情况。
大包平は、手にしていた本をカバンにしまい、三日月をまっすぐに見た。
大包平把手里的书放进包里,直视着三日月。
背筋を伸ばし、表情を改める。
挺直脊背,改变表情。
そして、これが最後と三日月に言った。
然后,对三日月说这是最后一次。
「貴方が好きです。恋人になってください」
「我喜欢你。成为恋人吧」
[newpage]
三日月が初めてその男ーーー当時はまだ少年の域だったがーーーに会ったのは、彼が高校一年の時だった。
三日月第一次遇见那个男人——当时他尚是少年——是在他读高中一年级的时候。
生徒総代として、挨拶を述べる姿が印象的だった。
作为学生代表,他发言时的样子令人印象深刻。
まっすぐに伸びた背筋と、意志の強そうな目。その様は、十五に満たない少年にしては妙に大人びていて、三日月だけでなく、場にいた全員の目を引いた。
笔直伸长的脊背和看起来意志坚定的目光。那样子,对于一个不满十五岁的少年来说,显得异常成熟,不仅吸引了三日月,也吸引了场中所有人的目光。
まさかその日に、呼び捨てにされた挙句「俺のものになれ」と言われるとは思っていなかったわけで、気付けば三日月は、思い切り大包平少年の頬を叩いていた。
没想到在那一天,不仅被直呼其名,还被说成“要成为我的东西”,等回过神来,弯月已经尽情地拍打在大包平少年的脸颊上。
そして、動揺した。
然后,他感到动摇了。
この容姿だ、いままで何度も危険な目に遭ってきた。だから押し倒されそうになったり襲いかかられた時は容赦なく反撃するようにしていたが、告白だけで思わず手が出たのは初めてだった。
这副模样,迄今为止已经遭遇过多少次危险。所以每当被压倒或被袭击时,他都会毫不留情地进行反击,但第一次因为告白而情不自禁地伸出手,还是第一次。
しかも、相手は生徒だ。いままで生徒に襲われたことも何度かあったが、その時はうまくかわして手は出さずに済ませてきた。
而且,对方还是学生。虽然之前也曾被学生袭击过几次,但那时都巧妙地躲过了,没有动手。
それなのに、どうして。
那为什么。
とっさの行動に驚きすぎて、三日月はかえって妙に落ち着いて大包平に受け答えした。
因为对仓促的行动太过惊讶,三日月反而奇异地冷静地和大包平应对。
それでも鍵を大包平に任せてしまったのは、一秒でも早くその空間から逃げ出すためだった。
尽管把钥匙托付给了大包平,是为了能尽快逃离那个空间。
慌てて人気のない教務室に駆け込むと、三日月はひとり頭をぐるぐるさせる。
仓促地跑到偏僻的教务室,三日月独自烦躁地转着圈。
なんで手を出してしまったのだろう。かなりいい音がした。跡になるかもしれない。申し訳ないことをした。
为什么会动手呢。声音相当不错。可能会留下痕迹。做了很抱歉的事。
だが結局、どうして自分が咄嗟にあんなことをしたのか、三日月にはわからなかった。
但是最终,为什么自己会冲动做那种事,三日月也不明白。
思い起こせば、ひょっとすると自分はもうその時に恋に落ちていたのかもしれないと、三日月は思う。
回想起来,说不定自己那时就已经喜欢上他了,三日月心想。
いや、少年趣味はかけらもないはずだし、同性愛についてだって、自分がさんざん面倒な目に遭っていたため、若干の嫌悪感を抱いていたはずなのだが。
不,少年情怀应该一点都没有,而且关于同性恋,因为自己曾遭遇不少麻烦,应该多少有些厌恶感吧。
それでも、大包平の吸引力には、逆らえなかった。
尽管如此,我还是无法抵挡大包平的吸引力。
入学式以降、大包平は実に模範的な生徒で、模範的であればあるほど、三日月はどこか苦しかった。
入学式之后,大包平确实是个模范学生,越是模范,三日月越是感到痛苦。
自分が思わず手を上げてしまった時の、あの不遜で傲慢な態度が、どうしてか懐かしく思われてしまう。
自己不自觉地举起了手时的那种无礼而傲慢的态度,不知为何竟让人感到怀念。
なんでだろうか、大包平のことは何も知らないのに、あちらの方が「本当の大包平」だと感じるのだ。
为什么会这样呢?虽然我对大包平一无所知,却觉得对方才是“真正的大包平”。
そして、とても良い子にしている優等生の姿が、偽物のように感じてしまう。
然后,那个成为优等生的、非常优秀的孩子,却感觉像是个假货。
教師としては、偽ってでも「良い子」でいてくれた方が都合がいいはずなのに、あの傲慢で自分勝手な大包平を見たいと思う自分を、三日月は自覚していた。
作为老师,明明应该希望学生即使伪装也要做个“好孩子”,但三日月却意识到自己渴望看到那个傲慢自私的大包平。
自覚していたからこそ、三年になって急に距離を詰め、時に敬語を忘れるほどの勢いで自分に口説きかかってくる大包平に、動揺した。
正因为有这份自覚,到了三年级,大包平突然拉近了距离,有时甚至忘了使用敬语,用那种势头向自己搭讪,三日月感到十分动摇。
その時にはもう、三日月は自分の気持ちをごまかすことができなくなっていて、まるで何も知らない子供のようにただ、どうしようどうしようと頭を悩ませていた。
那时,三日月已经无法再掩饰自己的心情,只是像什么也不知道的孩子一样,茫然地烦恼着该怎么办。
心底落ち込んだのは、大包平を夢に見て夢精してしまった時だった。
心中感到沮丧的,是曾经梦见并沉溺于大包平的时候。
朝起きた時のあの絶望感は、いま思い返しても生々しい。
清晨醒来时的那种绝望感,至今回想起来依然历历在目。
夢の中で、三日月は大包平に抱かれていた。
梦中,三日月正被大包平拥抱着。
この時すでに、大包平は三日月の身長を越しかけていたが、夢の中では妙にいい身体つきになっていた。
那时,大包平已经快要超过三月月的身高,但在梦中,他的身材却显得格外匀称。
太い腕で抱きしめられ、苦しいほどの剛直に貫かれ、やめてと叫んでも犯された。
被粗壮的手臂紧紧拥抱,被痛苦到极致的刚直刺穿,即便叫着停下,还是被侵犯。
それなのに三日月は悦んでいて、口では拒んでも腰は勝手に揺れていた。
然而三日月却很高兴,嘴上虽然拒绝,身体却不由自主地摇晃着。
娼婦のような自分の様にも、あれだけ嫌悪していた同性愛に、それも抱かれる方で耽溺していた夢の中の自分にも、三日月はしばらく立ち直れなかった。
对于自己像妓女一样的样子,对于那么厌恶的同性爱,对于在梦中沉溺于被这样拥抱的自己,三日月好一会儿都站不直。
しかもそれは一度では終わらず、二度三度と三日月を襲う。
而且这并非一次就能结束,二度三度地袭击着三日月。
夢の中で大包平に抱かれるたび、心は情けないほど千々に乱れた。
每当在梦中被大包平拥抱时,心就会乱得可怜。
三日月のそんな内心などいざ知らず、大包平はあの手この手で、理屈をこねて三日月から答えを引き出そうとしてくる。
三日月哪里知道这样的内心,大包平却用各种方法,试图拐弯抹角地从三日月那里得到答案。
いやだ、もうやめてくれと心中で泣きそうになりながら、それでも三日月は教師としての体面を保とうとした。
不要了,求你不要再这样了,心中忍不住想哭,但三日月还是试图保持教师的风度。
いや、もはやただの意地だったのかもしれない。
或许,这已经只是单纯的固执了吧。
三日月は、怖かった。
三日月很害怕。
大包平が向けてくれる愛情があまりにも真っ直ぐで、その上あまりに自分にとって都合の良い展開で。
大包平向她表达的爱意太过直接,而且对自己来说太过有利的发展。
だから、どこかの瞬間で「全部嘘だ」と告げられる時が、そうでなくても、大包平の気持ちが離れる瞬間があるのではないかと、三日月は恐れた。
所以,三日月害怕,在某个时刻被告知“这一切都是谎言”时,即使不是这样,大包平的心也会离开的。
三日月には、自分のよいところがわからない。
三日月不知道自己的优点在哪里。
容姿ばかり注目されてきたせいもあるのだろう。自分の取り柄は、この見た目くらいだと心のどこかで思っている。
大概也是因为一直只被关注外表的缘故吧。我心中总想着,自己的优点大概也就只有这张脸了。
しかし容色など、はかないものだ。美しい期間など人生のごく短い時期で、あっという間に皺が刻まれ衰えていく。
然而容貌之类,终究是短暂易逝的东西。人生中美丽的时间本就十分短暂,转眼间就会刻上皱纹而衰老。
ならば、見た目だけの自分など、無価値も同然ではないか。
那么,只靠自己外表的我,不也和毫无价值没什么两样吗。
だから、大包平に自分が書いた数式を「美しい」と言われた時には、怖いくらいに胸が躍ったのだ。
所以,当大包平说我写的公式“很美”的时候,心里竟莫名地激动得厉害。
容色はいずれ衰える。だが、理論は衰えない。
容颜终将衰败。但,理论不会衰败。
三日月は研究者ではないから、示したのは借り物の理論に過ぎない。けれど、自分の教えを「美しい」と初めて称してくれたこの少年を、どうして好きにならずにいられるだろうか。
新月不是研究者,所以展示的不过是借来的理论。然而,这个首次称自己的教诲为“美丽”的少年,我怎能不心生喜欢呢。
押さえ込もうとして、隠そうとして、見て見ぬ振りをしようとして、どんなに必死になって取り繕っても、その仮面を大包平はあっさりと剥いでくれる。
想要抑制,想要隐藏,想要装作没看见,无论多么拼命地掩饰,大包平总能轻易地剥下那副假面。
勝手な期待を抱くなと自分を叱責しても、大包平ならばなどと心のどこかで期待が湧く。
虽然责备自己不要抱有任意外加的期待,但内心深处,对大包平的期待却难以抑制。
それでも、「教師と生徒だから」を言い訳にして、なんとか卒業式を乗り切った。
尽管如此,还是以“因为是老师和学生”为借口,勉强度过了毕业典礼。
乗り切ったのに、大包平がいない新学期は、自分でも信じられないくらい味気なく、自分がいかに大包平に心奪われていたか自覚させられる。
虽然度过了,但缺少大包平的新学期,连自己都难以置信地感到乏味,也让自己意识到自己有多么被大包平所吸引。
心のぽっかりと空いた穴は大きく、それなのにやはり怖い。
心里的空洞如此之大,即便如此,依然感到害怕。
誰かに、この何もない自分を預けることが怖い。
害怕把这种空无一物的自己托付给任何人。
五月にも来てくれた大包平にとても喜んでいるくせに、口をつくのは否定の言葉ばかりで、そんな臆病な自分にも嫌気がさした。
对于五月里来到的大包平,虽然内心非常高兴,但嘴里说的却全是否定的话,连自己这样的胆小鬼也感到厌烦。
自己嫌悪が深まる一方で、大包平への恋も積もっていき、もはや自分が何をしたいのか、三日月自身わからなくなっていた。
自我厌恶不断加深,对大包平的爱恋也日益累积,以至于连自己究竟想要什么,三日月自己也已经不清楚了。
だから、こんな自分だから、きっともう駄目になったのだと、三日月は思ったのだ。
所以,正因为是自己这样的,三日月心想,自己一定已经彻底不行了。
次に来るのは二年後だと宣言した大包平から、文字通りなんの音沙汰もなくなって、きっともう大包平は、もっと良い相手を見つけたのだと。
大包平宣布两年后再来,之后却字字音讯全无,三日月心想,自己一定已经彻底不行了。
それは三日月が大包平に向かって願ったことそのものだったのに、斬りつけられたかのように胸が痛んだ。
那明明是三日月向大包平许下的愿望本身,却像被斩击一般,胸中剧痛。
自分から拒んでおいて、失った存在を惜しむ自分の傲慢さにもまた落ち込み、三日月のこの二年は、実に無様なものだった。
明明是自己先拒绝,却对自己珍惜失去的存在感到傲慢,三日月这过去的两年,实在狼狈不堪。
それなのに、ようやく諦めがつこうとしていたところに、この男はまた姿を見せるのだ。
然而,就在三日月终于快要放弃的时候,这个男人却又出现了。
そして、三日月が懸命に覆い隠そうとする本心を、実に容易に軽やかに、大包平は暴いてくる。
接着,大包平轻易地、轻巧地揭穿了三日月拼命想要掩盖的真心。
「貴方が好きです。恋人になってください」
「我喜欢你。成为恋人吧」
告げられた言葉に、三日月は呆然とした。まさか来るとは思っていなかった。まさか覚えているとは。宣言した通りに実行するとは。
听到这句话,三日月呆住了。没想到会来。没想到还记得。没想到会真的照宣言那样做。
嘘だ、嘘だと思いながら、三日月は、泣いた。
想着是谎言,是谎言,三日月哭了。
[newpage]
ぼろりと溢れ出た涙に、大包平は大いに慌てた。
面对汹涌而出的泪水,大包平非常慌乱。
怒られたりはぐらかされたり、あるいはすっぱりと断られたり。あれこれ前もって考えてはいたが、想定だにしていなかった結果に、大包平は目を白黒させる。
被责备了,被敷衍了,或者干脆被拒绝了。虽然事先考虑了各种情况,但没想到会是这样,大包平目瞪口呆。
「……へ?は?……おい?」
“……嗯?啊?……喂?”
これは自分が慰めていいのだろうか、そもそも、どうして泣いているのか。
这是我自己该安慰他吗?而且,他为什么在哭呢。
困惑した大包平は、おたおたと両手を上に下に動かして、三日月に半歩だけ、近付いた。
困惑的大包平,手忙脚乱地上下挥动着双手,向月亮靠近了半步。
「だ、大丈夫か?どうした、そんな……」
「啊,没事吧?怎么了,那……」
泣くほど怖かったのか?という考えが、一瞬頭をよぎる。
难道是吓哭了吗?这个念头一闪而过。
三日月は、今生でかなり恋愛関係の面倒に巻き込まれているらしい。
三日月似乎今生相当卷入恋爱关系的麻烦中。
であれば、今までにこうして待ち伏せを食らって、怖い思いをしたことがあるのかもしれない。
如果是这样,那他之前可能已经这样设下埋伏,有过可怕的经历。
そのことにようやく思い当たった大包平は、さっと顔色を青ざめさせた。
终于意识到这一点的大包平,脸色瞬间变得苍白。
「す、すまん。別に危害を加えるつもりはなくてだな、確実にお前と会えて、なるべく人目につかな……あ、いや、無体を働くつもりもないぞ、断じて」
「呃、抱歉。并非有意要伤害你,确实想和你见面,尽量不引人注目……啊,不对,也没有故意放肆的意思,绝对没有」
失言したかと思いながら、大包平は懸命に弁明した。
大包平一边想着自己是不是说错话,一边拼命地辩解。
しかし、三日月は目を見開いたまま、特に嫌悪を浮かべるわけでもなく、ただぽろぽろと涙をこぼす。
但是,三日月依然睁着眼睛,既没有流露出特别的厌恶,只是默默地流泪。
「帰れと言うなら帰るし、二度と顔を見せるなと言うなら見せない。安心してくれ、俺は別に、お前を怖がらせたりいじめたりするつもりは決して……」
「如果你说走,我就走,如果你说再也不见,我就不见。放心吧,我并没有,特别想吓唬你或欺负你的意思……」
「……か」
「……吗」
「は?」
「咦?」
「……ばか」
「……傻瓜」
小さい声が、ようやく耳に届く。
小小的声音,终于传到了耳朵里。
思いもよらない言葉に、大包平は今度こそ固まった。
面对这意想不到的话语,大包平这次真的僵住了。
「ば、か……?」
「傻……?」
かすれた声で聞き返すと、三日月は小さくこくりと頷く。
用沙哑的声音反问时,弯月小幅度地点了点头。
頷くや、動きを止めていた表情が急にくしゃりと崩れ、子供のような泣き顔になった。
点了头,原本静止的表情突然扭曲,变成了孩子般的哭泣脸。
「ば、かもの……こん……こんな、だって、どうして……いまさら」
「傻……家伙……这……这种事,为什么……事到如今」
「い、今更もなにも、言っていただろう。大学三年になるこの時期にまた来ると……」
「唉,现在说什么都晚了,您该不会……。到了大学三年级这个时期,又会……」
「そんッ、そんな、だって……に、二年も、なにも……何もなくて、そんなの、駄目になったと……もう、他に誰かと……そう、お、思うだろう……!」
「什么啊,那种……因为……两年……什么都没有……什么都没有,那种的,已经不行了……已经,和其他人……是的,您,一定在想……!」
三日月はつっかえながら大包平をなじる。
三日月一边嘟囔着,一边责备大包平。
いやいや、散々答えを保留にしてきたのはお前だろうと大包平は思ったが、年上とは思えないいとけなさで泣く三日月に、責める言葉など言えるわけもない。
但是,大包平心想,明明是你一直拖延回答,可面对看起来不像年长的三日月哭着指责他的话,自己又怎么好意思开口呢。
ただ、とりあえず拒絶されたわけではないことだけはわかる。
只是,我知道至少没有被拒绝。
困り果てた大包平は、おずおずと三日月に手を伸ばした。
陷入困境的大包平,犹豫地伸出手去触碰三日月。
三日月は、避けない。
三日月没有躲开。
それでも、いつでも振りほどけるくらいの弱々しさで、大包平は三日月を抱擁した。
尽管如此,大包平还是用一种随时都会被甩开的脆弱,拥抱了三日月。
「て、手紙も、年賀状もなくて……何も、なくて……って、そんッ、お、お前はだって周りに……きっとモテるし、お、俺なんか、こんな歳で、男で……わ、忘れられて当然だと、思うに、決まってるだろう……!」
「啊、连信件和贺卡都没有……什么都没有……你啊,周围一定很受欢迎吧,我啊,这把年纪了,是个男人……想当然会被忘记吧,这一定是注定的……!」
三日月はされるがままに抱き寄せられ、それでも文句を言い続ける。
月亮任由地被拥抱,却依然不停地抱怨。
ゆるく握った拳が大包平の胸板を叩くが、力は全くこもっていない。
轻轻握紧的拳头敲打着大包平的胸膛,却毫无力气。
なんとも愛らしい八つ当たりに、大包平は呆れ、驚き、そしてなんだか、嬉しくなった。
面对这可爱的无理取闹,大包平感到既无奈又惊讶,不知怎的,还觉得有些高兴。
「……悪かったな。待たせて」
「……真糟糕。让你等了。」
「て、手紙、くらい……!くれたって、いいだろう、近況報告くらい、う、うぐいす、鶯丸も、いるのに……なにも、なくて、なにも……」
「就、信件、之类的……!就算给了,也好吧,近况报告之类的,啊,啊,鸽子,莺丸也在,却……什么都没有,什么都没有……」
ぐずぐずと鼻をすすりながら泣く三日月というのが、なんとも物珍しくて、大包平は妙にしみじみとしてしまう。
总是慢吞吞地抽泣的三日月,真是太过特别,大包平感到奇妙地寂寞。
刀の時の三日月は、何があっても泣かなかった。それが武人の務めと思っていたのだろう。
以前的三日月,无论发生什么都不会哭。他大概认为是武人的职责吧。
その誇り高い姿を大包平は美しいと思っていたし、頼もしいと思っていた。
大包平认为那骄傲的身影很美,也很可靠。
しかし、あくまでも人間として生まれ、育った三日月には、そんな武人の意地などあるわけもない。
但是,毕竟作为人类出生和长大的三日月,不可能有那种武士的气节。
いや、一応男としての矜持はあるのだろう。
不,或许作为男人,他还有一定的自尊心吧。
それでも、人としての心は刀としてのそれより柔らかい。記憶がないのであれば、より一層だろう。
但是,作为人的心比作为刀的心要柔软。如果没有记忆的话,那就更加如此了。
その弱さが、なんだかとても、愛おしかった。
那种脆弱,不知为何,显得格外可爱。
かつて刀であった時の自分であれば、弱いと一刀両断したかもしれない。
如果曾经是刀的自己,或许会一刀两断吧。
しかし、三日月自身のしなやかで柔らかな、それでいてなかなか相手に心の奥底を許さない頑なさを知っている今では、こうして本心をさらけ出してくれることが嬉しい。
但是,如今知道了三日月那既柔美又坚韧,却又并不轻易让他人触及心底的顽固,能够这样坦诚地袒露真心,我感到很高兴。
「お、俺……す、好きで、ずっと……でも、い、いえない、言ったら駄目だと……こ、こわくて、でも好きで、どうしたらいいか、わ、わからなくなって……」
「哦,我……喜、喜欢,一直……但是,不、不行,说了会不好,所以……我、我害怕,但是喜欢,不知道该怎么办……」
「ああ、そうだな。すまん。……困らせていたな、俺は」
「啊,原来如此。抱歉……我让你困扰了」
もう胸を叩くこともせず、ただすがって自分の思いを羅列するだけになった三日月の背中を、大包平は優しく撫でた。
大包平温柔地抚摸着三日月不再捶胸顿足,只是固执地列举自己想法的背脊。
三日月は、そのままひぐひぐとしばらく泣いていたが、やがて落ち着いたのだろう。
三日月继续抽泣了一会儿,然后似乎渐渐平静下来。
唐突にびくりと肩を揺らし、それから恐る恐る、顔を上げ、あたりを見回し始めた。
突然被肩头一摇,他惊恐地抬起头,开始环顾四周。
「……そ、の……」
「……那、个……」
「安心しろ、まだ誰も通っていない」
「放心吧,还没有人通过」
実を言うと、階段を挟んで反対側の部屋の住人が一人、怯えた顔をして自分の部屋に消えていったが、それは黙っておいてやろうと思った。
老实说,夹着楼梯的另一侧房间的住民,脸上带着害怕的表情消失在自己的房间里,但我决定还是保持沉默。
通ってはいない。うむ、嘘ではないと大包平は思いながら、三日月の涙に濡れた頬を撫でた。
没有通过。嗯,大包平心想这不是谎言,然后抚摸着被月光泪水打湿的脸颊。
「もう少し、ちゃんと話がしたいんだが」
「再び、しっかり話したいんだが」
「う……う、む……」
「唔……唔,嗯……」
「……部屋に、入っても?」
「……能进房间吗?」
三日月は目線を泳がせたが、此の期に及んでもはや他に選択肢がないことを観念したのだろう。
三日月游弋着视线,但到了这个地步,想必已经认识到再无其他选择了。
たどたどしい手つきで鍵を取り出すと、大人しくドアを開けて大包平を中に招いた。
用笨拙的手势取出钥匙后,他乖乖地打开了门,将大包平请了进来。
「その……来るとは思っていなかったから、あまり、綺麗ではないのだが……」
「那个……没想到你会来,所以有点,不整洁……」
「構わん」
「没关系」
どうせ、一人暮らしをしている大包平の家も変わらない。
反正,独居的大包平的家也不会有什么变化。
それなりに掃除はしているし、おそらく同年代の同じ境遇の学生の中ではいい方だろうが、それでも適度に散らかっている。
他确实打扫过,大概在同年代、同样境遇的学生中算是不错的,但仍然有些凌乱。
と思って上がった三日月の部屋は、思いもよらず片付いていた。
我上来的三日月房间,出乎意料地整洁。
どこが綺麗でないのだろうと思うほど、雑然とした様子はどこにもない。
几乎没有哪里显得杂乱,让我觉得不知道哪里不干净。
言い換えれば、生活感が薄かった。物がそもそも少なく、そのせいで掃除もしやすいのだろう。
换句话说,生活气息很淡。东西本来就不多,或许正因为如此才容易打扫吧。
この分だと、食事もろくに作っていないかもしれない、後で冷蔵庫を確認しようなど、大包平は頭の中で打算をした。
在这种情况,他可能连饭都没顾上做,得等会儿去检查冰箱什么的,大包平在心里盘算着。
「適当に座ってくれ。ちょっと、着替えてくる」
"随便找个地方坐下。稍微换身衣服过来"
三日月はそう言い残すと、ドアの一つに消えていった。
三日月说完,就消失在一扇门里。
おそらくはそこが寝室なのだろう。大包平がいるのは、1LDKのリビングにあたる部屋のようだ。
估计那应该是卧室吧。大包平所在的地方,好像是那个一室一厅的客厅。
テレビ台と、あとはソファセットのみ。ダイニング部分と繋がっているため、それだけでもうスペースはほぼ埋まっている。
电视台和沙发组。由于与餐厅部分相连,仅这些就已经几乎填满了空间。
それでも窮屈さがないのは、他に物がほとんど置かれていないからだった。
之所以没有感到拥挤,是因为几乎没有什么其他物品摆放。
「あいつ……刀の時よりも世捨て人感が増していないか……?」
"那家伙……比起刀的时候,是不是变得更超然了……?"
もともと、三日月はどこか達観しており何事にも執着が薄かった。
原本,三日月就有些超然,对什么事都不太执着。
人として生きてきたのであれば、あの頃よりもっと世俗的であってもおかしくなさそうなものなのに、どうしてまたと、大包平は眉を寄せた。
既然已经作为人类生活了,明明应该比从前更世俗些也不至于奇怪,可为什么还是——大包平皱起了眉头。
そこに、スーツを脱いでワイシャツとスラックスだけになった三日月が戻ってくる。
这时,脱下西装只穿着衬衫和西裤的三日月回来了。
「座っていてくれてよかったのに」
"真庆幸你坐下了"
赤い目元のまま、台所に向かおうとする三日月の腕を、大包平が掴む。
大包平抓住正要走向厨房、依旧红着眼眶的三月日的手臂。
「茶はいらん」
「茶是不必要的」
「しかし……」
「但是……」
「先に話だ。お前こそ座れ」
「先说正事。你坐下」
未だ三日月に対して少々の不信感を持っている大包平は、ここでごまかされたらもう我慢ならんと、三日月を無理やり自分の隣に座らせた。
对三日月仍有些许不信任的大包平,如果在这里被欺骗,他再也忍受不了了,于是强行把三日月拉到自己的旁边坐下。
三日月は居心地悪そうにもじもじしながら、ちょこんと小さく正座をする。
三日月似乎有些局促不安,微微缩着身子正坐着。
そこまでかしこまらなくてもと思いつつ、大包平は三日月の端正な横顔をじっと見つめた。
虽然觉得不必如此拘谨,但大包平还是凝视着三日月端正的侧脸。
これだけの近距離で三日月を見つめたのは、久々だ。
在如此近的距离凝视三日月,已经很久了。
教師と生徒という関係で出会ってしまったため、距離を詰めるには限りがあった。
由于是以教师与学生的关系相遇,想要缩短距离有着一定的限制。
一度キスを仕掛けた時には、息がかかるほど近付いたが、考えてみればあの瞬間以外は、いつも一定の距離を開けていた。
曾经试图接吻时,靠近得几乎能感受到呼吸,但仔细想想,除了那一刻,我们总是保持着一定的距离。
「その……さきほどは、すまなかった」
“那个……刚才,真是抱歉”
つい秀麗な顔に見入っていると、沈黙を破った三日月が、申し訳なさそうな声でつぶやいた。
不知不觉看得入神,打破了沉默的弯月,用带着歉意的声音低语道。
「あんな風に取り乱して……子供のような、八つ当たりをしてしまった。……すまん」
“那样失态……像个孩子一样胡闹了……真是抱歉”
八つ当たりとはどういうことだろうと大包平は首をかしげるが、おそらくは連絡を絶っていた大包平を責めたことについてだろうと見当をつける。
大包平疑惑不解地挠了挠头,但似乎意识到,问题可能在于责怪了与己失去联系的大包平。
考えてみれば、そんなに気になるなら三日月こそ鶯丸あたりを経由してでも連絡してくればよかったのだ。
想来,如果真的那么在意,三日月本该通过鶯丸那里联系自己的。
しかし、三日月の性格を考えると、自分から大包平にどうこうできるとは思えなかった。
然而,考虑到三日月性格,自己似乎不可能主动去管大包平的闲事。
「いや、俺がもう少し配慮するべきだった。悪い」
“不,我本该更周全些。抱歉。”
「あ、謝るな。……俺の方が、年上なのに……」
「啊,别道歉。……我年纪更大……」
なんだかしょんぼりしているなと思ったら、なるほどそれを気にかけていたのかと納得する。
我原本觉得他有点沮丧,后来才明白他是在担心这个。
刀の時の記憶がある大包平は、精神年齢についてはだいぶ年を食っているはずなので、三日月がどんな言動をしても気にならない。
因为刀的时候就有记忆的大包平,精神年龄应该比实际年龄大很多,所以无论三日月说什么做什么都不会在意。
しかし、三日月からしてみたら、一回りも下の、それも教え子の前であんな風に泣いてしまったことは、ひどくこたえるのだろう。
但是从三月的角度来看,在比自己小一轮,还是自己的学生面前那样哭泣,恐怕会非常难受吧。
「年齢は関係ない。俺がお前に辛い思いをさせたことは確かなんだから、三日月が落ち込む必要はない」
「年龄无关紧要。我确实让你受苦了,所以不必沮丧」
大包平はそう言うと、一瞬迷ってから手を伸ばした。
大包平说完,犹豫了一下,然后伸出手。
三日月の肩をそっと抱いてみて様子を伺うと、ほんのりと頰を染めてはいるが嫌がるそぶりはない。
轻轻抱着三日月,观察他的情况,虽然脸颊微微泛红,但没有表现出嫌恶。
なんとなく初々しい反応が新鮮で、大包平は思わず心臓をどくりと脈打たせた。
这种初次的反应让人感到新鲜,大包平不由自主地心跳加速。
大丈夫だろうか、怖がられないだろうかと思いつつ、大包平は少し、腕に力を込めた。
他是不是大丈夫?是不是会害怕?大包平想着,稍稍用力握紧了拳头。
三日月の身体が自然とかしいで、大包平の肩に引き寄せられる。三日月は一瞬だけ身体を強張らせたが、もそりと大包平の方に近付いてきてくれた。
三日月那副身躯显得有些僵硬,被大包平的肩膀吸引过去。三日月只绷紧了身体一瞬,便顺从地朝大包平靠近过来。
鼻先に、三日月の肌の匂いが香る。
鼻尖上,三日月肌肤的香气弥漫。
五月ともなればそれなりに気温がある。帰るまでにかいた汗をシャツが吸ったのだろう。
五月一到,气温也相应升高。衬衫想必吸干了回去路上出的汗。
懐かしい香りはそのまま欲望に直結し、大包平は不穏な動きを見せる自分の下半身に待ったをかけた。
那熟悉的香气直接与欲望相连,大包平给自己的下半身系上了等待的束缚。
まだだめだ、我慢だと言い聞かせようとするが、かつての記憶とこの二年間我慢し続けたツケが、大包平の理性をがんがんと殴ってくる。
还不行,我忍住,他试图说服自己,但过去的记忆和这两年间持续忍耐的代价,正狠狠地敲打着大包平的理智。
「み、かづき……」
「嗯、三日月……」
名前を呼べば、情けなくもかすれていた。
如果呼唤他的名字,那微弱的情意也会消磨殆尽。
「その……そのだな……」
「那……那个……」
「……ん?」
「……嗯?」
ずっと目線を合わせず真正面を向いていた三日月が、ようやくちらりと大包平の方を見た。
三日月终于不再一直盯着对方,而是正面朝向大包平,瞥了一眼。
その表情はどこか熱を帯びていて、短い返事にも甘えるような響きがふくまれているように思う。
他的表情似乎带着一丝热度,即使是简短的回答,也仿佛蕴含着撒娇般的韵味。
それはただの願望かもしれない。しかし、実に甘く魅惑的な願望だった。
这或许只是个愿望。然而,这愿望确实又甜又迷人。
「……三日月」
肩に回していない方の手を、三日月の頰に添えた。
他把手放在了三日月脸颊上,那原本没有搭在肩上的手。
柔らかな感触。すべらかで、少し冷たく、しっとりと吸い付いてくる肌。
柔软的触感。光滑、略带凉意、紧紧吸附过来的肌肤。
ああ、自分はこれを知っている。
啊,我知道这个。
かつて幾度もこれに触れ、穢し、それでもなお清洌な輝きを失わないきらめきに胸を躍らせた。
曾经无数次触碰它,玷污它,却依然无法失去那清澈闪耀的辉光,让我的心雀跃不已。
向けられる目は、いままで向けられていた、どこか怯えるような、一線を引いた硬質なものではもはやない。
投来的目光,不再是过去那种带着怯意、划清界限的坚硬之物。
記憶の中の三日月と重なる目つき。全てを自分に委ねてくれる、信頼と甘えの目だ。
记忆中的三日月与重合的眼眸。是全然交托于我的、信任与宠溺的眼眸。
そんなものを向けられたら、我慢などできるわけもなかった。
如果面对那样的事情,我也无法忍耐。
「すまん、こらえが……きかない……」
「抱歉,我……忍耐不住……」
大包平はそうささやくと、三日月の柔らかな唇に自分のそれを重ねた。
大包平轻声说道,将自己的唇覆盖在皎洁的月牙形柔软唇上。
一度触れ、満足できずもう一度。
曾经触碰,却无法满足,想要再次触碰。
それでも足りなくて、三度四度と繰り返すうちに、重なりはどんどん深くなっていく。
即便如此仍觉得不够,在反复三番四次的过程中,重叠的情感变得越来越深沉。
どちらともなく口を開き、唾液で湿った粘膜が触れた時、大包平の理性が完全に崩れ落ちた。
对两者都犹豫不决地张开了嘴,当湿润的粘膜相触时,大包平的理性彻底崩溃了。
「ふ、ぅ……ん、ん……」
「唔……嗯、嗯……」
驚きに縮こまる三日月の身体を抱きしめながら、後頭部を押さえて逃がすまいとする。
在紧紧拥抱那因惊讶而缩成一轮弯月的身体时,他按住后脑勺,试图不让它逃脱。
差し込んだ舌は小さな三日月の口内を満たし、触れられる限りの範囲、すべてを舐めつくした。
伸入的舌头填满了小小的弯月口腔,在能触及的范围内,将一切舔舐殆尽。
舌先に感じる味は甘い。蜜のような唾液を、大包平は夢中になってすすった。
舌尖感受到的滋味是甜的。大包平陶醉地吮吸着蜜一般的唾液。
淫らな水音が響き、合間に三日月の苦しげな吐息が混じる。
淫靡的水声响起,其间夹杂着弯月痛苦的喘息。
「ふぁ、ふ……ぅん……んぅ、ん……」
「呼……呼……嗯……嗯……」
三日月は大包平の濃密な口付けから逃れようとはせず、むしろ少しでも答えようとしてくれているのか、懸命に口を開いて自らも舌を動かした。
三日月并不想躲过大包平的浓密吻,反而似乎在努力回应,拼命张开嘴,自己也动了舌头。
しかし三日月の舌は少し短いため、懸命にのばしても大包平の歯の裏にすら届かない。
但是三月月的舌头有点短,即使拼命伸长,也到不了大包平的牙齿后面。
逆に、差し伸ばしたそれを大包平に捉えられ、きつく吸われて身体をびくつかせる。
反而,伸出的舌头被大包平捉住,被狠狠吸住,让身体颤抖。
すがるように大包平の胸元にあてられた手はシャツを握りしめ、白かった頰は上気して赤く染まっている。
那只像藤蔓般攀附在大包平胸前的手紧紧攥着衬衫,原本白皙的脸颊因急促呼吸而泛起红晕。
三日月の気持ちの昂りが大包平にも伝わってきて、それにまた煽られる。
三日月高涨的情绪也传递给了大包平,再次被那股热情所点燃。
気付けば、大包平は三日月を床に押し倒し、呼吸の合間もないほどに口を吸っていた。
不知不觉间,大包平将三日月压倒在地,呼吸间隙也疯狂地吻着对方。
「は、ふぁ……は……ふ、はぁ……」
「啊……呼……啊……嗯……」
あまりの息苦しさと、ズボンに覆われ痛みすら感じるようになってきた足の間に、大包平がようやく顔を離した時には、三日月はすっかり目を蕩かせていた。
如此窒息般的痛苦,以及被裤子包裹着,连脚趾间的疼痛都开始清晰感受到时,大包平终于终于离开了三日月的脸。
「……三日月」
“……三日月”
上ずった声で、名前を呼ぶ。
用上扬的声调呼唤着名字。
「寝室は……あちらか」
“寝室……在那边。”
目線を、先ほど三日月が着替えに入ったドアにちらりと向ける。
目光,偶然瞥向刚才三日月走进去的门。
問われた言葉の真意がわかったのだろう。三日月の目に一瞬理性が戻る。
大概明白了他问话的真正意图吧。三月月的眼睛里,一瞬间理性回归。
しかし、三日月は小さくこくりと頷いた。
然而,三日月却小幅度地点了点头。
どこか物欲しそうな目つきに、大包平の足の間はまたびきりと大きさを増す。
那双似乎有些贪欲的眼睛,大包平脚下的东西又急剧增大。
にじみ出る色香は濃密で、これだけでくらくらとめまいを覚えてしまいそうだった。
渗出的色彩香气浓烈,仅此就让人头晕目眩。
「……行くぞ」
“……走吧”
大包平はそう宣言すると、三日月の腕を掴み、立ち上がらせた。
大包平这样宣言后,抓住三日月的手臂,让他站了起来。
もつれ合うように寝室に入ると、どちらともなく身体をまさぐって服に手をかける。
两人纠缠着进入寝室,都不由自主地摸索着身体,伸手去解衣服。
小さなボタンがもどかしく、いっそひきむしってやろうかとすら思った。
那些小小的纽扣令人烦躁,甚至想干脆扯掉算了。
三日月もそれは同様のようで、紅潮した顔を晒したまま不器用に、しかし懸命に指をかける。
三日月也是一样,脸上泛着红晕,笨拙却又努力地伸手去解。
幾度も失敗する三日月の様子に、大包平はつい懐かしさを覚えて微笑んでしまう。
面对三日月屡次失败的样子,大包平不禁怀念起来,微笑了起来。
「わ、笑うな……」
「我、别笑了……」
大包平の笑みに気がついた三日月が、そこか拗ねたような顔を見せた。
注意到大包平的笑意的三日月,脸上露出了类似撒娇的表情。
「すまん」
「抱歉」
馬鹿にしたわけではないのだがと思いながら、大包平は自分のシャツを乱暴にはだけた。
虽然心想自己并非被当作马鹿看待,大包平还是粗暴地扯开了自己的衬衫。
露わになったのは見事に鍛えられた肉体で、三日月はどこかうっとりとしたため息をついてそれを見つめた。
露出的正是那锻炼得恰到好处的肉体,三日月带着几分迷惘地叹了口气,凝视着那景象。
評価を感じることは心地よい。
感受到评价是件愉快的事。
大包平は誇らしい気持ちのまま、三日月のスラックスに手をかけた。
大包平带着自豪的心情,将手搭在了三月的牛仔裤上。
ベッドにゆっくりと押し倒しながら、しなやかな脚からスラックスを引き抜く。
慢慢地将身体压倒在床上,从修长的双腿上褪下牛仔裤。
相変わらず体毛の薄い肌は、大包平よりもひと回り年上のくせに、むしろ年若い少年のそれのように見える。
尽管皮肤依然光洁,比大包平年长一轮,却反而像少年般年轻。
下肢を覆うのは下着だけ、シャツははだけつつも腕は通したままという格好は、その玉の肌と相まってなんだか妙な罪悪感を大包平に与える。
只穿着内裤覆盖着下半身,衬衫虽然敞开着,但袖子还穿着,与大包平那圆滚滚的肌肤相映成趣,莫名地给他带来一种奇妙的不安感。
いけないことをしている。
正在做坏事。
そんな風に思うと、むしろ気持ちは高ぶった。
如果这样想的话,反而心情更加高涨。
思わず舌なめずりをしながら目の前の脚を撫でると、三日月がぞくりと肌を震わせる。
不知不觉舔了舔嘴唇,抚摸着眼前的腿时,弯月突然让肌肤颤抖起来。
「……綺麗だな」
“……真漂亮啊”
そう呟きながら、大包平は桜貝のような爪の並ぶ足を手にした。
边这样自言自语着,大包平握住了像樱花贝一样排列着爪子的脚。
「そ、そんな……」
「那、那样......」
まるでかしずくような大包平の仕草に、三日月は眉を寄せながら身をよじる。
宛如珍珠般光滑的大包平动作,三日月皱着眉,扭动着身子。
戸惑いを示しただけなのだろうが、その身体の柔らかな動きはどこか艶かしい。
或许只是表现出困惑,但那身体柔软的动作却带着几分妖娆。
大包平は笑みを浮かべながら、三日月の頼りなげな目をまっすぐに見る。
大包平脸上浮现出笑容,直视着三日月那依赖的眼神。
そして爪先に顔を近づけ、うやうやしくキスをした。
然后靠近指尖,恭敬地吻了一下。
「お、かね、ひら……」
「哦,可奈,打开……」
ひくりと動く指の先に、大包平は舌を伸ばす。
手指突然动起来,大包平伸出舌头。
見せつけるように爪を舐め、指先を舐め、足の甲に舌を移動させる。
炫耀似的舔着指甲,舔着指尖,舌头移到脚背。
残される唾液の軌跡をきらめかせながら、大包平の舌は三日月の足を這い上がった。
大包平的舌头在月光下爬上了三日月般的脚,残留的唾液轨迹闪闪发光。
「や、やめ……そんな……」
「呀,停下……那种……」
淫らな行いに、不慣れな三日月は息を荒くする。
对于这种淫秽的行为,不惯此道的三日月呼吸变得粗重。
触れるだけのキスですら動揺していたのだから、過去のこととはいえ散々経験を積んだ大包平の手管は、三日月にとってあまりに刺激が強すぎるだろう。
即使是只有触碰的亲吻都让她心神不定,那么即便是过去的经历,有着丰富经验的大包平的手法,对于三日月来说也过于刺激了吧。
だが、夢中になっている大包平は、配慮などする心の余地などもう持ち合わせていない。
但是,沉浸在其中的大包平已经没有余力去考虑周全了。
膝を唇で食み、軽く歯を立てる。こりこりとしか感触が心地よく、つい甘えるようにかじってしまうと、三日月が小さな喘ぎ声を漏らした。
用嘴唇啃咬膝盖,轻轻咬着牙齿。只有这种触感才让人感到舒适,不知不觉中,像撒娇一样啃咬起来时,三日月发出了小小的喘息声。
これが悦いのかと、大包平は柔らかな仕草で、三日月の太ももに噛み付いた。
悦いのはこれかと、大包平用柔軟な仕草で、三日月の太ももに噛みついた。
「あ、あ……」
歯型すらつかない程度の甘噛みだが、だからこそほどよい刺激として三日月を翻弄するらしい。
歯型もつかないほど甘い噛み付きだが、それが故に三日月を翻弄するほどよい刺激らしい。
目線をあげれば、完全に勃ち上がった三日月の陰茎が、下着から溢れて先端を覗かせていた。
目線を上げれば、完全に勃ち上がった三日月の陰茎が、下着から溢れて先端を覗かせていた。
とろりとした蜜をにじませるそこに、大包平は思わず小さくうなってしまう。
在这黏稠的蜜汁中,大包平不禁微微颤抖。
舐めたい。
真想舔一舔。
ここを舐めて、しゃぶって、吸って、思うさま三日月を啼かせたい。
想舔舐这里,想吮吸这里,想将这轮弯月吮泣出来。
大包平は、自分の欲望に従うことにした。
戴保平决定顺从自己的愿望。
「……腰を上げろ」
「…… 坐起来。
そう言いながら下着に手をかけると、三日月は素直に腰を浮かせた。
说这话时,她把手放在内裤上,三日月乖乖地抬起了她的臀部。
するりと下着を脱がせれば、硬くなった陰茎が跳ね上がる。どこか面白みすら感じる動きに、大包平は目を細めた。
如果你脱掉内裤,你坚硬的阴茎会弹起。 这个动作似乎有些有趣,戴保平眯起了眼睛。
「あ、ま……」
「啊,嘛……」
血管の浮いたそこを手にすると、三日月は初めて大きく身をよじり、拒むような仕草をして見せた。
当他用手触碰血管浮起的地方时,月亮第一次大幅度地扭动着身体,做出拒绝般的姿态。
「なんだ」
「什么啊」
早く舐めたいのにと、大包平はやや不満げな声を上げる。
虽然很想快点舔舐,但大包平还是发出了一声略带不满的声音。
三日月はへたりと眉を下げながら、身を起こして大包平の身体にすり寄ってきた。
三日月低垂着眉头,起身靠近大包平的身体。
「……俺もしたい。俺ばかりされているのは……なんだか嫌だ」
“……我也想。一直被这样对待……总觉得有点讨厌”
「……そうか」
「……原来如此」
三日月の主張は、なんとなく理解出来る。男であれば、確かに行為上に女役男役はあれど、相手を満足させたいと強く思うものだ。
三日月的主张,似乎可以理解。作为男性,行为上确实有女性角色和男性角色之分,但强烈希望让对方满意。
「だが、俺は舐めたい」
“但是,我想舔”
そう言いながら、大包平は三日月の陰茎をするりと撫でた。
一边说着,大包平轻轻地抚摸着三日月那像新月一样的阴茎。
「ん……それ、なら、俺もする」
“嗯……那样的话,我也来”
ひくりと陰茎を跳ねさせながら、三日月は大包平の下肢に手を伸ばした。
三日月猛地一挺阴茎,同时将手伸向了大包平的下半身。
未だ布に覆われている、しかし明らかに張り詰めていることがわかるそこを、三日月はたどたどしい手つきで撫でた。
虽然还盖着布,但能明显看出已经勃起了,三日月用笨拙的手法抚摸着那里。
それだけで、大包平の雄は中で硬度を増す。
仅此而已,大包平的雄性硬度在体内增强。
思わず苦しげな息を吐くと、三日月は大包平のベルトに手をかけて、そのまま前をくつろげた。
不由自主地发出痛苦的叹息,三日月将手搭在大包平的腰带上,直接向前瘫软。
「……大きい」
“……很大”
素直な、しかし淫らな言葉に、大包平は大きく胸板を上下させる。
面对这单纯却又淫秽的话语,大包平大幅地起伏着胸膛。
三日月の細い指先が、下着の上から形を確かめるように触れてくると、全身の血管が開いて血が勢いを増したように思った。
三日月纤细的指尖,像要确认内衣的形状一样轻轻触碰时,我感觉全身的血管都舒展开来,血液似乎也加速流动了。
「こ、ら……やめろ、馬鹿」
「不……住手,笨蛋」
「お前だって、触ったではないか」
「你明明也碰了」
どこか拗ねたような口調の三日月に、大包平は困ってしまう。
面对三日月那带着几分别扭的语气,大包平感到十分为难。
自分の欲望は満たしたいが、一方的に押し通せばきっと三日月は機嫌を損ねるだろう。
自己的欲望想要满足,但如果单方面强行通过,三日月肯定会不高兴吧。
ならばと、大包平は三日月の腰を引き寄せながら、自分も身体の向きを変えた。
那么,大包平一边把三日月往腰边拉,自己也改变了身体的方向。
「ちょ、これは……」
「咦,这……」
「これなら、いいだろう」
「这样的话,就好吧」
互いに寝そべりながら、顔を相手の下肢に向けた姿勢に、三日月が戸惑いの声を上げる。
在互相依偎的姿势中,三日月将脸转向对方下肢的姿态下,发出了困惑的声音。
どちらかが相手に伸し掛ると息が苦しくなってしまうが、こうして双方ともに寝そべっていれば問題なかろう。
无论哪一方向对方伸出手都会感到呼吸困难,但这样双方都保持依偎的姿势应该没问题吧。
大包平はそう結論付けると、目の前の三日月の陰茎を手で包んだ。
大包平下定了这样的结论,用手包裹了眼前三日月的前列腺。
「ふ、あ……」
“唔,啊……”
三日月の顔が見えないことだけが心残りだと思いながら、それはあとで堪能しようと大包平は口を開く。
想到无法看到三日月的样子才是唯一的遗憾,大包平还是决定稍后再慢慢欣赏,开口说道。
丸い先端を口に含めば、三日月の細い腰が怯えるように後ろに引いた。
将圆头含入口中,三日月纤细的腰肢便像受惊般向后缩去。
「おいこら、逃げるな」
"喂,别跑"
大包平は機嫌悪そうに言うと、三日月の尻を掴んで引き寄せる。
大包平不悦地说道,同时抓住三月日的屁股将其拉近。
「だ、だって、お前……」
“因为,......你。”
言い訳は聞くものかと、大包平は無視して再び陰茎を口に含む。唾液を絡みつけせながら、ためらいなく飲み込んでいくと、三日月は小さく短い声で喘いだ。
不知道他会不会听这个借口,戴保平没有理会,又把阴茎放进了嘴里。 当他毫不犹豫地吞咽时,他的唾液交织在一起,三日月用小而短的声音呻吟着。
「あ、あ、あ……んぁ、あ、そこ、そ……ふぅ、あ、ぁふ……」
“哦,哦,哦...... 嗯,那里,那里,那里...... 哇,啊,.......”
戸惑うような、しかしどこか甘たれるような声に、大包平は気をよくする。
那迷茫,但又有些甜美的声音,让戴保平心里好多了。
もっと悦くしてやろうと、喉を開いて根元まで飲み込んだ。
我张开嗓子,顺着根部咽了下去,希望能让它更愉快一些。
しかし、三日月もされているばかりは嫌だとばかりに、大包平の下着をぐいと下ろしてきた。勢いよく飛び出た陰茎は頰を打ち、しかしそれにひるむことなく三日月は指を絡める。
然而,新月不想就这样结束,所以他拉下了自己的内裤。 他的阴茎用力地弹出来,他拍打着自己的脸颊,但三日月没有退缩,而是将他的手指交织在一起。
根元から先端にかけて、締め付けるようにしごかれた大包平は、思わず低い声を喉から絞り出す。
从根部到尖端,大包沛仿佛紧绷一般被挤压着,不由自主地从喉咙里挤出来一声低沉的声音。
翻弄されてしまったことが悔しくて、なんて生意気なと口を動かせば、今度は三日月も口を開いて先端を飲み込んできた。
我很沮丧,因为我被折腾了,当我动了动嘴说多么厚颜无耻时,这一次三日月也张开了嘴,吞下了尖端。
感じやすい場所が、熱く湿った肉に包み込まれる。
让人感觉舒适的地方,被滚烫潮湿的肉体包裹着。
小さな舌が、つたなくも懸命に大包平の性感を探り当てようとしていることが、肌の感触を通じて伝わってくる。それだけで大包平は、いまにも達しそうになった。
能通过肌肤感受到,那小小的舌头正微弱却努力地寻找着大包平的敏感之处。仅凭这一点,大包平似乎就要达到了。
「あぁ、クソ……たまらん……」
「啊,该死……受不了……」
息継ぎの合間につい口にすると、三日月の舌の動きがより大胆になる。
在呼吸的间隙中不经意间脱口而出,三日月舌头的动作变得更加大胆。
思わず自分の足の間に目線をやれば、先端を懸命に吸う三日月が見え、そのはしたない顔つきに背筋が震えた。
忍不住将视线投向自己的脚间,看见那弯月牙正拼命地吮吸着尖端,那可怜的模样让脊背颤抖不已。
つい腰を振って喉奥にまでねじ込みたくなる衝動を、大包平はなんとかしのぐ。
大包平费了好大劲才忍住想要扭动腰肢、让喉咙都发痒的冲动。
気を紛らわせるために、大包平は目の前の三日月の陰茎を再び口内に導き入れた。
为了分心,大包平再次将眼前的月牙阴茎引导进嘴里。
溢れる蜜をすすり、根元に舌を這わせて裏筋に沿ってなぞる。くびれに軽く歯を立てて、先端を指先で割りながらえぐるようにこすった。
吮吸着溢出的蜜液,舌头在根部游走,沿着背筋缓缓滑动。轻轻咬住根部,用指尖划破尖端,像用指甲刮擦一样地揉搓。
口の中で脈打つそれは、三日月の快楽を素直に示す。自分の手で溶けていく三日月の身体に、大包平はうっとりと目を細めた。
口中搏动的那东西,直白地展示着新月般的快感。大包平凝视着,任由新月般身体在自己手中融化,渐渐眯起了眼睛。
「ふぁ、は……ぁん、あ、そこ……も、もむな、この……」
「啊……嗯,啊,那里……也,也好,这……」
恥じ入った声を出されて、大包平はようやく、無意識のうちに三日月の尻を掴んでいたことに気付く。
被羞辱的声音引诱下,大包平终于意识到,自己无意识中已经抓住了新月的后部。
自覚した上でその肉を揉むと、柔らかい感触に妙に嬉しくなってしまい、やめろと言われたのにより激しく揉んでしまう。
在意识到这一点后,揉捏着那肉,竟对柔软的触感感到奇妙地愉悦,因被要求停止而更加激烈地揉捏。
「ば、ばか……もう……」
「唉,傻瓜……都……」
三日月は、恥ずかしそうに身をよじる。その様もまた愛らしく思われ、大包平は意地悪く尻の割れ目に指を這わせた。
三日月羞涩地扭动着身体。那样子显得格外可爱,大包平坏笑着将手指伸向了她的臀部裂痕。
「そん……そこ、お、大包平……」
「那……那里,哦,大包平……」
困惑しきった声を上げながら、三日月は強くは拒まない。どうしようと言いたげな顔で目を泳がせながら、腰は小さく揺れている。
虽然困惑地喊出了声,但三日月并没有强烈拒绝。她用求助般的目光游移着,腰肢微微摇晃。
どこか誘うかのような仕草に、大包平は煽られこそすれ、行為を止めることなどできるわけもない。
大包平被某种似是而非的举止所煽动,非但无法停止行为,反而更加深了诱惑。
それに、どうしたって三日月のことは愛しいのだから、欲はただ増していくだけだ。
此外,无论如何,我对三日月都是怀有爱意的,欲望只会不断增长。
「……三日月」
我慢ならなくなった大包平は、上半身を起こして三日月の顔を覗き込んだ。
变得不再迟钝的大包平,抬起上半身,窥视着新月般的脸庞。
「すまん、抱きたい」
「抱歉,想抱抱你」
「な……」
「那……」
あまりに直球な言葉に、三日月は絶句する。
面对如此直白的言语,三日月一时语塞。
「本当は、もっと時間をかけて慣らさなくていけないし……そもそも、抱く側と抱かれる側も決まっているわけではないのだが」
「其实,应该花更多时间来习惯……而且,本来就不存在谁该抱着谁的情况啊」
三日月にとっては、身体も心もこれが初めてだ。
对于三日月来说,这是身体和心灵第一次这样。
同じ男として大包平を抱きたいと思っていてもおかしくはないし、本当はもっと大事に、時間をかけてやるべきだとはわかっている。それでも。
虽然作为同样身为男性的自己,想要拥抱大包平也并非没有道理,而且自己也明白应该更加珍惜,花更多时间去对待。但是。
「それでも、俺はお前を抱きたい」
「但是,我还是想拥抱你」
今生に生を受けて、ずっと三日月を求めていた。
自出生以来,就一直追寻着三日月。
再会した時の歓びはいまでも克明に思い出せるほど鮮烈で、そのあとはただ、過去の記憶といまの欲望の間で懊悩し続けた。
重逢时的喜悦至今仍鲜明得历历在目,之后便只是在过去的记忆与现在的欲望之间持续苦恼。
三日月が欲しくて、この手にしたくて。
想要那弯新月,想要握在手中。
それは、三日月の心ばかりの話ではない。肉体も含めて、全てを自分だけのものにしたかった。
那并非仅是新月的心意。连同肉体,想要将一切都据为己有。
この柔らかく熱い肉を思って、自分を慰めた回数などもう覚えているわけもない。
想起过多少次,用这柔软而温热的肉来安慰自己。
こんな風に、蕩けた三日月を目の前にしてしまえば、自律も誇りも保っていられようか。
如果面对这样残缺的弯月,还能保持自律和骄傲吗。
ただ三日月の許しだけが欲しく、大包平は目に懇願の色を浮かべた。
她只渴望得到弯月的原谅,大包平眼中浮现出恳求的神色。
「お、お前は……いいのか?だって」
「你、你……还好吗?因为」
「こんな一回りも年上の男の身体がどうこうとか言いだしたら、問答無用でいまから犯すぞ」
「要是你敢对这么大一岁多的男人身体指手画脚,我现在就不管三七二十一先办了」
三日月の変な遠慮を察知した大包平は、みなまで言わさずたたみかけた。
察觉到三日月那古怪的拘谨后,大包平不再多言,直接掀开了她的和服裙摆。
完全に図星だったようで、三日月は小さく肩をすくめる。
似乎完全被看穿了心思,三日月小声地耸了耸肩。
「だって……」
「因为……」
「だっても何もない。いいから、俺に抱かれるか、少なくとも今はそのつもりがないか、それだけ答えろ」
「因为什么都没有。所以,要么就让我抱住你,至少现在没有那方面的打算,回答这些就够了。」
傲然と言い放つ大包平に、三日月は眉を垂らし、それからつんと口を尖らせた。
面对大包平的傲慢宣言,三日月垂下了眉毛,然后嘴角微微上扬。
「……お前は、ずるい奴だ」
「……你是个狡猾的家伙」
「なんだと?」
「什么啊?」
ずるいとは、聞き捨てならない。
不公道的事情,不能听之任之。
大包平が片眉を跳ね上げると、三日月はますます拗ねた顔をして見せる。
大包平扬起一边眉毛时,三日月更显出撅起的脸。
「だって……いままで散々俺に一方的に好きだの付き合えだの言っておいて、どうして此の期に及んで、俺に選ばせようとするんだ」
“明明……之前一直对我单方面地说喜欢我、要和我交往,为什么到了这个时候,还要强迫我选你”
恨みがましい目で見上げながら、三日月が頰を染める。
三日月用充满怨恨的眼神仰望着,脸颊泛起红晕。
「お、俺のことをそんなに好きで、だ、抱きたいなら……好きにすれば、いいだろう、もう……」
“哦,你那么喜欢我,想抱我……那就随便你好了,已经……”
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三日月の目の端に、じわりと涙が浮かんだ。
在三轮月亮的边缘,悄然浮现泪光。
それは悲哀の涙には見えない。おそらくは羞恥と、そして。
这并非悲伤的眼泪。或许只是羞耻,然后是。
「もう何も、考えられないようにすれば、いいだろう……」
“或许再也不该去想什么了……”
消え入りそうな声で言われた誘い文句に、大包平の理性は、今度こそぶつりと音を立てて完全に切れた。
在大包平的理性,被那近乎消逝的声音彻底撞碎,发出决绝的声响。
「あん、は、ふぁあ……は、ぅう……んぁ、あ、あ、ぁあ……!」
「啊、是、呃……是、嗯……啊,啊,啊……!」
か細い嬌声に混じって、ぐじゅぐじゅと卑猥な音が部屋に響いている。
在纤细的娇笑声中,咕叽咕叽的淫秽声音在房间里回响。
三日月は仰向けに転がされ、腰を持ち上げるようにして足を左右に開かされていた。
月亮仰面倒下,像抬起腰部一样,双腿向左右分开。
閉じそうになる太ももは大包平の身体と腕で防がれて、音を立てながら指を飲み込む場所をいやらしくも晒している。
即将闭合的大腿被大包平的身体和手臂挡住,发出声音的同时,也厌恶地暴露了手指被吞咽的地方。
三日月の狭い場所は、めいっぱいに広がって大包平の太い指を三本も受け入れており、同時に前もゆったりといじられていた。
狭窄的三日月之地,已完全伸展开来,容纳了大包平三根粗壮的手指,同时前方也宽敞地被抚弄着。
先端の割れ目からはとめどなく蜜が溢れ、時折ひくひくと愛らしく震えている。
从尖端裂缝中,不断溢出蜜液,偶尔微微地、可爱地颤抖着。
初めてとは思えない蕩けぶりに、手を動かす大包平はつい鼻息を荒くした。
初次般的荡漾姿态,让动手的大包平不禁粗重地喘了口气。
「ずいぶん、感じやすいな。……ここも」
「真是,很容易就能感受到……这里也一样。」
「んぁッ、あ、あぁあ……」
「嗯……啊,啊……」
中に収めた指を折り曲げて、ふっくらとした場所をこりこりといじれば、三日月の腰が大きく跳ねた。
将指尖收拢,用力揉搓鼓起的地方,三日月形的腰肢便大幅度地弹跳起来。
そのまま指先でとんとんと叩いてやると、柔らかな肉が甘えるように絡みついてくる。
就这样用指尖狠狠地敲打,柔软的肉便撒娇般缠绕上来。
きゅうきゅうと締め付けてくる感触が気持ちよくて、つい思うさま触れてしまうと、引きつるような嬌声の合間に泣き声が混じる。
紧缩的触感让人感到愉悦,一不小心触碰到,便在拉扯般的娇呼声中夹杂着哭声。
「ッ、く……ふぁ……んうっ、ふ……ふぅ、ぅうう……!」
「呃、唔……呼……嗯啊、唔……唔……呜呜……!」
目に溜まった涙が、三日月が大きく身をよじった拍子に溢れ出す。
眼中积攒的泪水,在三日月大幅度扭曲的瞬间涌出。
赤く染まった頰を伝う涙の筋に、大包平はしまったと指の動きを緩めた。
顺着染成红色的脸颊流淌的泪痕,大包平缓缓放慢了手指的动作。
「すまん、きつかったか?」
「抱歉,很痛苦吗?」
「ふぁ……ん、ぅう……ひ、どい……」
「呼……嗯、啊……啊、好痛……」
ぐし、と鼻をすすりながら三日月が大包平を睨む。
吸着鼻子,弯月般的光芒瞪着大包平。
しかしその目つきにはどこか甘えがあって、自分に寄せられている愛情を感じてしまって大包平はむずがゆくなる。
但是他的眼神中带着一丝娇憨,让他感觉到了自己被寄予的关爱,大包平不禁烦躁起来。
いつも優しく、優しいのにどこか人を寄せ付けない三日月の、こんな態度を見せられてしまったら、愛おしくなるに決まっている。
明明总是温柔,却总是让人难以接近的三日月,要是被看到这样的态度,肯定会被觉得可爱。
思わずニヤついてしまうと、三日月はますます機嫌を損ねたように涙を増やした。
忍不住嘴角上扬,三日月像是更加不高兴了似的,泪水流得更多了。
「す、すまん。可愛くて、つい」
"对、对不起。太可爱了,我忍不住"
「かッ……!」
「咳咳……!」
ぼろりと漏れた大包平の本音に、三日月は目を見開き顔を真っ赤にした。
面对大包平毫不掩饰的真心话,三日月瞪大了眼睛,脸颊瞬间变得通红。
「可愛い」と言われると過剰に照れるところは、刀の時も今も変わっていないのだなと、大包平はまたニヤつく。
看来被说「可爱」时过度害羞的这一点,无论是过去还是现在,大包平都没有改变啊,他再次露出了坏笑。
取り乱すことなど滅多にないくせに、大包平が「可愛いな」とたまに言うと、拗ねたような怒ったような顔で「可愛くないッ」とむくれるのだ。
明明很少会慌乱,但只要大包平偶尔说「真可爱」,他就会用一种像抱怨又像生气的表情,嘟囔着「才不可爱呢」。
それがまた可愛いのに、三日月はどうやら本気で自分を「ひなびたジジィ」と思っているらしい。
那样子又很可爱,但看起来三日月似乎真的把自己当成「可爱的爷爷」了。
天下五剣のなかでもっとも美しいと言われているくせにと思うのだが、自己認識というものはまぁ、そんなものなのかもしれない。
明明被称为天下五剑中最美的剑,但或许自我认知就是这样吧。
「感じてもらえるなら、嬉しいに決まってるだろう。そんな姿を見せられたら、可愛いに決まってる。そう怒るな」
「如果感受到了,那肯定是开心的。如果看到了那样的样子,那肯定是可爱的。别生气了」
苦笑しながら身を乗り出して三日月の目元に口付けると、三日月はフンと鼻を鳴らす。
苦笑着向前探身,在三轮月的眼下留下一个吻印,三轮月发出一声「哼」的鼻音。
未だに直らない三日月の機嫌に、大包平は首をかしげる。あまり長引かせる性格ではないのに、どうしたのだろう。
仍然无法消气的三日月,大包平歪着头。他不是那种会拖延太久的人,到底是怎么了。
だがその理由は、すぐに三日月本人の口から告げられた。
但原因很快就从三日月本人口中说了出来。
「……ずいぶん、手慣れているな」
"……你这家伙,倒是挺熟练的嘛"
愉悦に溶け舌足らずになった声は、不機嫌のあまり、低かった。
愉悦得有些语无伦次的声调,因为太过不高兴,声音也变得很低。
「予習したんだ」
「我预习过了」
大包平は即答した。
大包平立刻回答。
手慣れているのは当然だ。刀の時に、それはもう散々まぐわってきたのだから。
当然很熟练了。在刀的时候,已经乱七八糟地练习了很多次了。
しかし三日月の側から考えれば、高校一年の時に告白してきた男が、確かにこんな風に物怖じせず行為を進めてきたら、どういうことかと思ってもおかしくない。
但是从三日月的角度考虑的话,高中一年级的时候告白过的那个男生,确实这样毫无畏惧地推进行为,也不是不可能想到的事情。
間をおけば不審に思われる。自分の誠実を疑われたらたまらないと、大包平は咄嗟に頭に浮かんだ言い訳をした。
如果间隔太久会引人怀疑。大包平心想如果被怀疑不诚实,那就糟了,于是立刻想到了一个借口。
「……予習?」
“……预习?”
しかし、言葉の意味を別のとった三日月は目つきを険しくした。
但三日月曲解了词义,眼神变得凶狠起来。
「馬鹿、変な風に受け取るな。今の時代色々あるだろう。動画とか、ブログとか……」
“傻瓜,别往奇怪的角度理解。现在时代不同了,各种东西都有吧。视频啊、博客啊……”
やや苦しい言い訳ではあったが、それなりの説得力はあったらしい。
这番解释虽然略显勉强,但似乎还是具有一定的说服力。
三日月は不審そうな目つきのまま、それでも幾分か表情を和らげてくれた。それを見て、大包平は胸をなでおろす。
三日月依旧眼神可疑,但多少缓和了表情。看到这一幕,大包平长舒了一口气。
「それより、お前は全くないのか?」
"说起来,你完全不在吗?"
「は?」
「咦?」
「いや、俺と会う前に……」
「不,在我见到他之前……」
誰かとしていても、おかしくはない。
作为一个人,这并不奇怪。
そもそも三日月は男なのだし、大包平に出会う前に恋愛ごとの一つ二つ、何よりこの容姿なのだから、彼女の一人や二人いてもおかしくないだろう。
毕竟三日月是个男人,在大包平遇到他之前,恋爱中的一些事情,更重要的是这副容貌,她有一两个伴侣也并不奇怪吧。
そう考えると、正直なところ非常に腹立たしいのだが、それを認められないほど狭量でもない。
这么想的话,虽然坦白说非常生气,但也不是到了无法承认她的地步。
どうなんだ、と言いたげに目を合わせると、三日月は当惑げに目線を泳がせた。
怎么了,说着目光对上,三日月困惑地游移视线。
「……い」
“……是”
「ん?」
「嗯?」
「な……い、ないッ!こ、これが……は、初めてだッ」
“不……不是,不是的!这、这……是第一次啊”
半ばヤケになったような調子で、三日月は声を荒げる。
三日月半是醉醺醺的样子,声音变得粗犷。
「……情けない中年で悪かったな。男は無論……女ともない」
「……真是个没用的中年,真糟糕啊。男人固然……女人也不是」
顔を赤くしてぶすくれる三日月が可愛く、また自分が正真正銘の初めての相手であることが嬉しく、「お前の年齢で中年とか言ったら、本当の中年に殴られるぞ」と突っ込むこともつい忘れる。
那颗涨得通红的弯月可爱地鼓起了腮帮,又因为自己确实是第一次的对手而高兴,竟连「以你的年纪说中年,会被真正的中年人揍」这样的话都忘了吐槽。
「……だがどうして」
「……但是为什么呢」
モテそうなのに、と言うと、三日月は小さく嘆息した。
明明看起来很有魅力,可一说到,弯月就小声叹了口气。
「……女は怖い。……男も」
「……女人很可怕。……男人也一样。」
消え入りそうな声に、なんとなく三日月が今まで辿ってきた人生が透けて見えた気がして、大包平は自分の無神経ぶりに気が付かされる。
听着那几乎要消失的声音,大三平忽然觉得,自己迄今为止的人生轨迹似乎都透过这声音显露出来,让他意识到自己的冷漠。
普通の人生であれば、他の教師から「三日月先生は自衛しないとね」などと、冗談交じりにでも言われないだろう。
如果是普通的人生,大概不会从其他老师那里听到“大三平先生如果不自保的话”之类的玩笑话吧。
むしろ、今まで何もなかった、無理やり誰かに陵辱されずここまで生きてきてくれたことに、自分は感謝せねばなるまい。
反而,对于自己一直毫发无伤、被迫忍受着凌辱却依然活到如今的事实,自己必须心怀感激。
大包平は、謝罪の意味も込めて三日月の口元にキスを落とした。
大包平含着歉意,在三日月唇边落下了一个吻。
幾度か与えると、三日月の方から応えてくれる。
多次之后,三日月会回应过来。
俺はいいんだな、怖くないなと確かめるように、大包平は何度も唇を重ね、時に舌も差し出した。
我没事,不害怕,大包平一次次重叠着唇,有时还会伸出舌头,以此确认。
三日月は臆することなく、自分から大包平の舌に吸い付いてくる。
三日月毫不羞涩,主动吸着大包平的舌头。
ちゅ、ちゅ、と立つ小さな音の可愛らしさに、大包平の足の間がまた温度を上げた。
咻、咻,那站立时发出的小小的声音的可爱之处,让大包平的脚间再次升温。
しばらくキスをし続けて、互いにうっとりと息を吐く。混じり合う吐息がなまめかしい。
持续亲吻了一会儿,两人陶醉地吐出气息。交织的吐息带着一丝甜腻。
その時、ふと思ったことを大包平はそのまま口に出す。
那时,大包平直接说出了突然想到的事情。
「ということは、自分でしたこともないのか?……ここも」
“也就是说,自己也没有做过?……这里也是。”
中に収まったままだった指を、大包平はくちゅりと動かした。
原本就收在里面的手指,大包平轻轻动了动。
「ふぁ、はッ……!っ、たり、まえだろう…!」
「啊,是……!嘛,果然是……!」
「そうか、残念だ」
「这样啊,真遗憾」
思わず平手打ちの体勢に入った三日月だが、心底残念そうな声を出した大包平に、手を振り上げたままの姿勢で止まる。
虽然三日月不自觉地摆出了拍手表示遗憾的姿势,但面对真心感到遗憾的大包平,他保持着举起手的姿势停了下来。
「な、なにが……」
「呐、什么……」
「いや、一度くらい、俺を抱くか抱かれるかする想像をしてくれていたらと思っていたんだが……それはなかったのかと思ってな」
「不,我本来以为你至少会偶尔想象一下抱着我或者被我抱着的场景……没想到你竟然没有这么做呢」
自分は何度もしたのにと、大包平は切なく思う。
大包平觉得,自己明明已经做过了好几次了,却依然感到悲伤。
三日月にとって、自分はまだ子供の枠内なのかもしれない。が、ならばそれを今日で終わらせるのみと決意を新たにしていると、一方の三日月はますます顔を赤くしていた。
或许在月夜看来,自己还只是个孩子。但是,既然如此,那就决定今天就结束这一切,月夜的脸颊也因此变得更加红润。
「そんッ、そんな……そんな、そ、想像……」
「嗯……,那样……那样,想……」
「すまんな。俺は高校時代から何度もしていたから、少し、お前に期待していた」
「没关系。我从高中时代就经常这样,所以稍微有些期待你」
「ばッ、ば……馬鹿ッ、この……!」
「笨蛋……笨……,混蛋……!」
「だから、謝っているだろう」
「所以,你道歉了吧」
大包平は慌てふためく三日月に、黙らせるようにキスを一度すると、さぁそろそろ覚悟しろと言わんばかりに悪い笑みを浮かべた。
大包平在慌乱的三日月面前,默不作声地吻了一下,脸上浮现出坏笑,仿佛在说“差不多该做好觉悟了”。
「何も考えられないように、だったか?ずいぶんと余裕をもたせてしまったな。ここも大分ほころんだし……そろそろ味わわせてもらうぞ」
“什么也想不到吧?我真是给了你太多余地了。这里也差不多要裂开了……差不多该让你尝尝滋味了”
大包平はそう言うと、三日月の中をぐるりとかき回した。
大包平说完,在三日月中转了一圈。
「ぁあ、あ、あぅ……!」
“啊啊,啊,啊……!”
「もう、止めんからな」
「再也不要停了啊」
そして指を引き抜くと、腹につきそうなくらいに反り上がった自分の雄を、その柔らかな場所に押し当てる。
然后当他抽出手指时,将自己那几乎要弯成弓形的阳具,压向那柔软的地方。
「力を抜け、息を吐いて……そう、上手、だ……」
「放松力气,吐出气息……对,很好,是吗……」
ゆっくりと、陰茎が肉に包まれていく。柔らかくてあたたかくて、そしてとても懐かしい。
慢慢地,阴茎被肉包裹起来。柔软而温暖,而且非常怀念。
淫らで不埒な感触なのに、同時にひどく神聖で尊いものにも感じられるこれを、再び感じられることがとても嬉しかった。
尽管感觉如此淫秽不堪,但同时又能感受到无比神圣和尊贵,能够再次体验到这种感觉,我感到非常高兴。
「ひ、は……ぅあ、あ、あ……は、はぃ、はいって、なか……んんんッ…!」
「唔……是……啊……啊……是……是,是的,里……啊啊啊啊……!」
三日月は、伸び上がるように身体をくねらせた。
弯月状的身体向上伸展。
引けてしまいそうになる腰を、逃すまいと掴みながらのしかかると、汗で濡れた胸板が触れ合う。
在想要挣脱即将松开的腰肢时,她压了上去,汗湿的胸脯相互接触。
そのままどちらともなく唇を求め合うと、自然とつながりは深くなった。
自然而然地,两人相拥着,嘴唇相触,关系变得愈发亲密。
「ひぁッ、ひ…!う、そだ、うそ、そんッ、そんな……そんなに、あッ、あ、あ……奥、は、はぃ、って…!」
「啊……我……!不,是,不,是……那样……那样地,啊……啊,啊……深处,是,是哦,啊……!」
ずぶずぶと容赦なく入り込んでくる大包平の怒張に、三日月はどこか怯えたように目を見開く。
面对大包平毫不留情地侵入,三日月像是有些害怕似的睁大了眼睛。
大丈夫だ、壊れやしないと、大包平は口の中でつぶやきながら夢中になってキスを与える。
没关系,不会坏的,大包平一边在口中低语,一边专心地给予亲吻。
もういっそ、三日月の穴という穴すべてを塞いでやりたい。
干脆,想把所有“三日月之穴”都堵上。
この愛らしく美しい生き物の、全てを自分で満たしたい。
想让自己填满这个可爱又美丽的生灵的一切。
本能的で直情的な気持ちのまま、大包平は三日月の中を拓いていく。
大包平带着本能的、直率的情感,在“三日月”中开拓着。
一番太いところが収まり、竿の中程を過ぎると、少し細くなる根本部分はずるんと一気に収まった。
最粗的部分被容纳,过了竿子中段,那稍微细一点根部部分猛地一下子收缩了。
「ふぁッ、は…!」
「呼…啊…!」
急に奥を叩かれた三日月は、仰け反りながら甲高い声を上げる。
突然被后背重击的三日月,仰面倒地的同时发出尖锐的声音。
きゅうと締まった内側に、大包平は一瞬持っていかれそうになり息を詰めた。
在紧绷的内侧,大包平一瞬间差点被冲垮,屏住了呼吸。
「クッ……ふ……ぅ、は……」
「咳……呼……啊……」
しばらく身を硬くして、やり過ごしてから息を吐く。
稍作停顿,硬挺片刻后,长舒一口气。
頭がくらくらして、三日月より先に自分が何も考えられなくなりそうだと、若い自分の身体を恨んだ。
头晕目眩,连弯月之前都觉得自己什么念头都生不出来,年轻时的身体让我恨之入骨。
「ふぅ、ふ……んぅう……」
“呼……呼……嗯……”
だが三日月もまた、初めての感覚が辛いのか、大包平にしがみつきながらひくひくと中を震わせていた。
但弯月似乎也因为初次的感觉太过难受,紧紧抓住大包平,身体微微颤抖。
意識しているのではなく、勝手に震えてしまうのだろう。ひくつくたびに、三日月自身が苦しそうに声を漏らす。
似乎并非有意为之,而是不由自主地颤抖着。每当颤抖时,那弯月似乎也痛苦地发出声响。
しかし、苦しげでありながら明らかに愉悦が滲んでいて、それが大包平を安堵させた。
然而,虽然痛苦,却明显渗出愉悦,这让大包平感到安心。
「……少し、動くぞ」
“……稍微,动起来了呢”
「ふ、ぁ……」
“唔,啊……”
きつく瞼を閉じながら、三日月が小さく頷く。
三日月紧紧地闭上眼睑,微微点头。
大包平はゆっくりと腰を引き、狭い菊穴の入り口付近にまで戻った。
戴保平缓缓地将臀部拉回的狭窄入口处。
いきなり奥を突くと苦しいと、刀の時に三日月が入っていたことを思い出す。
当他突然戳了戳后背时,他想起了在剑的时候,他心里有一弯新月。
まずは入り口を、快楽を得やすい場所をいじってやろうと、大包平は小刻みに腰を前後させた。
首先,为了玩弄入口,那个容易获得快感的地方,戴宝培来回摆动着臀部。
「んんッ、ん、ぁあ…!」
「嗯嗯…、嗯、啊…!」
入り口を広げるように先端を抜き差しし、少しずつ深度を増していく。
像推开入口一样,将尖端探入,逐渐增加深度。
やがて聞こえてくる湿った音に興奮を覚えながら、過去の記憶と先ほどまで指でいじっていた時の場所を頼りに、えぐる角度を変えていった。
不久便听到了湿漉漉的声音,感到兴奋,凭借过去的记忆和刚才用手指触摸过的地方,改变了挖掘的角度。
「ひッ、いぁ、あッ…!」
「嘶…、哎呀、啊…!」
びくんと、三日月の身体が大きくしなった。
突然,三日月的身体变得巨大起来。
探りあげた悦い場所に、大包平は口角を上げて目元を染める。
在探索到的愉悦之地,大包平嘴角上扬,眼角泛红。
「……ここか?」
“……这里吗?”
先端で突き、雁首でこすると、三日月は面白いほどに鳴いた。
从尖端刺入,用雁首扭动,三日月有趣地鸣叫。
叫ぶように声を上げ、女のように身悶える三日月を見下ろしながら、大包平は愛するものを征服する歪んだ快楽を自覚する。
高声呐喊,俯视着像女人一样身不由己的三日月,大包平意识到征服所爱之物所带来的扭曲快感。
「ああ……すごいな……。絡みついてくるぞ……」
「啊……真厉害啊……快要缠上来了……」
「ひぅッ、ひ…!や、ぃや……そこ、そッ……し、したら、だめ……!」
「呼……呼…!要、要……那里、那……做、做了就、不行……!」
三日月は涙をこぼしながら首を振ったが、快楽に溶けた目でそんなことを口にしても、説得力など欠片もない。
三日月一边掉眼泪一边摇了摇头,但用那双陶醉的眼睛说出这样的话,根本毫无说服力。
何より、三日月の内側はすっかりと柔らかくなっていて、嫌と言っているのに自分からきゅうきゅうと吸い付いてくる。
最重要的是,三日月内心已经完全软了下来,明明说着讨厌,却自己主动黏糊糊地贴了上来。
「だめ?こんなにこぼしておいて?」
“你为什么不洒那么多?”
だから、つい意地悪をしてしまう。
这就是为什么我最终变得刻薄。
勃起しながらだらだらと蜜をこぼす三日月の陰茎を手にして、大包平は三日月をさらに追い詰めた。
随着新月的阴茎在勃起时懒洋洋地洒出花蜜,戴保平将新月更加逼入绝境。
ゆるゆるとしごけば、三日月は淫らに腰をくねらせる。
如果你松松垮捏它,新月会不雅地摆动它的臀部。
「ひぁッ、ひ、あ、しなッ…!そ、こ、しな……んぅうッ、う、あ…!で、でるぅ……」
「啊……、啊、啊……!那、那……啊……唔……啊……!要、要出来……」
三日月は泣きじゃくりながら絶頂が近いと告げるが、大包平はそれを許さない。
三日月一边哭个不停,一边告诉大包平他快要到高潮了,但大包平不允许。
「まだ駄目だ、我慢しろ」
「还不行,要忍耐」
そう言って根本に小指を絡めると、きつく締めて射精をさまたげた。
说着,他将小指缠绕在根部,紧紧地夹住,阻止了射精。
「あ、ひ……ひど、ひッ、ひどい……!」
「啊,好……好过分,好可恶……!」
「ここで出たらくたびれるだろう。まだ、駄目だ」
「在这里出来就会被累坏的。还不行」
加虐的な悦びを感じながら、大包平は徐々に腰の動きを大きくしていく。
加虐般的愉悦感中,大包平逐渐加大了腰部的动作。
奥の方まで進んでいくと、圧迫感が増すのか、三日月が苦しげに胸を上下させた。
往深处前进时,压迫感增强,三日月痛苦地起伏着胸膛。
「は、ぅう……ぅあ、あ……やッ、いや……す、ごい、なか……い、いっぱい、いっぱいで……」
「啊,唔……唔啊,啊……呀,不对……好,好恶心,里面……好,好多,好多啊……」
ぐずぐずと泣きながら、三日月は自分の下腹部をもどかしそうに撫でる。
三日月一边断断续续地哭泣,一边烦躁地抚摸着自己的下腹部。
その仕草がどれほど淫猥で、男を煽るかわかっていないのだろう。
她大概不知道自己的这个动作有多么淫秽,多么能挑逗男人。
刀の時もそうだったが、三日月は本当に質が悪い。大包平の触れて欲しくない部分を見事に暴き、知りたくもなかった獣のような心底をむき出しにさせる。
刀的时候也是这样,三日月真的太差劲了。她巧妙地揭露了大包平不想被触碰的部分,把那种连自己都不想知道的野兽般的本性暴露无遗。
だから、悪いのはお前だと、大包平はぐいと腰を深く押し付けた。
所以,错的是你,大包平深深地压低了腰。
「ふぁ、あ……!ふか、ぃい……お、おく、いやだ、おくぅ……」
「啊……!唔……好痛……不要……好痛……」
すすり泣く三日月に腕を伸ばし、逃がすまいと抱きしめる。
伸出手臂,紧紧抱住哭泣的三日月,不打算放过。
上にのしかかってゆるゆると奥をかき回せば、腰を引く隙間もなくなった三日月は、ただ一方的な中を犯されるだけだ。
若是从上面压下来,慢慢地探索深处,腰弯下的缝隙也消失的三日月,只能任由单方面的侵犯。
「はん、は、ぁあ……!そ、こ、そこ、へんッ……おく、いやッ……ふぅッ、ふ、あぁあ……!」
「嗯,哈,啊……!那,那,那里,不……哦,不对……呼,呼,啊……!」
最初はゆっくりと、確かめるように奥を突く。
起初,他缓缓地,像确认一样向深处刺去。
やがて押し付けるようにぐりぐりとえぐって、最後には腰が浮くほど強く突き上げた。
渐渐地,他像推压一样扭动着,最后甚至猛地向上挑起,让她的腰都离开了地面。
三日月はもう言葉も言えず、ただ細くかすれた悲鳴を上げ続ける。
三日月已经说不出话来,只是持续发出细长的悲鸣。
それでも中は柔軟に受け止めてくれて、気持ちいい気持ちいいと波打った。
尽管内心依然柔韧地接纳着,感受着愉悦,愉悦,波浪般涌动。
愉悦を得ているのは三日月だけでなく、大包平も汗を垂らして息を荒げることしかできない。
获得愉悦的不仅是三日月,大包平也只能够汗流浃背,喘息粗重。
ただ朦朧とする意識の中、夢中になって三日月に口付けを与える。
在朦胧的意识中,专心致志地给三日月亲吻。
つながりあっている場所からも、絡み合った舌からも水音が立ち、その淫らさに身体はどんどん本能に支配されていく。
从彼此连接的地方,从纠缠的舌尖,都传来水声,身体在那种淫靡中,一步步被本能所支配。
「ッ、きだ、好きだ、三日月……!」
「呃、木田,喜欢啊,弯月……!」
キスの合間に絞り出すように叫ぶと、三日月はこくこくと浅くうなづいた。
在接吻的间隙,像挤出来一样喊道,弯月深深地微微点头。
「ふ、ぅうッ、ふぁ、あ、す、き……!お、おれ、もッ……すき……!」
「嗯,呜……啊,是,喜……!我,我也……喜……欢……!」
すすり泣きながら、声を震わせながら、それでも懸命に答えてくれる三日月が愛おしい。
一边抽泣,声音颤抖,但仍然努力回答的弯月,真可爱。
押しつぶさんばかりに抱きしめて腰を振ると、互いの身体で三日月の陰茎がもみくちゃになる。
- 当她拥抱和摇晃臀部时,新月的阴茎与彼此的身体乱七八糟。
「ひぃッ、あ……も、むり、むりぃ……ぃく、いッ、い、くぅ…!」
“哦,哦...... 莫,穆里,穆里...... 我要去做,我要去做,我要去做......!
がくがくと腕の中で震えながら告げる三日月に、大包平は今度は絶頂を止めなかった。むしろ、いっそ共にと、奥を貫く動きを早くする。
说着,新月在他怀里颤抖着,戴宝培这次并没有停止高潮。 相反,我们共同努力,以加快渗透到深处的运动。
大包平ももう、限界が来ていた。頭が真っ白になっていく感覚に浸りながら、大包平は大きく息を吐く。
戴保平已经达到了极限。 沉浸在大脑一片空白的感觉中,他重重地呼出一口气。
「……好き、だ……!」
「……喜欢、是……!」
かすれた声で漏らした言葉が、三日月に届いていたか確かめる術はない。
无法确定那用沙哑声音说出的词语是否传到了三日月那里。
二人はほぼ同時に絶頂にいたり、大包平は三日月の中に、三日月は大包平の腹に、互いの欲望を撒き散らす。
两人几乎同时达到了高潮,大包平在月光中,月光在大包平的腹部,彼此的欲望四处散落。
全てを出し切るまで全身の強直と震えは止まることなく、出し切った後も緊張はなかなか解けなかった。
直到耗尽所有,全身的强直与颤抖才不会停止,耗尽之后,紧张感也迟迟未能缓解。
余韻は激しく、息もままならない。ようやくまともに呼吸できるようになった時は、疲労感でくたくたになっていた。
余韵激烈,几乎喘不过气。好不容易能正常呼吸时,已筋疲力尽。
それでも三日月の上にのしかかることなく、少し身体の位置をずらしたのは無意識のうちの行いだった。
然而并未踏上那轮明月,稍稍调整身体位置,是无意识的举动。
額をシーツにこすりつけながら、深々と嘆息する。未だにふわふわする意識を懸命に引き戻しながら、大包平はちらりと隣の三日月の目線をやった。
将额头抵在床单上,深深叹息。努力将飘忽的意识拉回,大包平瞥了一眼邻床那轮明月的目光。
三日月もまた汗を肌につたわせていて、柔らかそうな唇からはぁはぁと荒い息を吐いている。
那轮明月也汗湿了肌肤,柔软的唇间发出粗重的喘息。
閉じたままのまぶたを開かせたい、あの瞳をのぞき込みたいと思ったが、その前にとゆっくり腰を引いた。
我想睁开紧闭的眼睑,窥视那双眼睛,但在那之前,我慢慢收起了腰。
「ん、ふぅ……う……」
「嗯、呼……啊……」
わななく唇から、甘い声が漏れる。
不由自主地,甜蜜的声音从唇间漏出。
ずるんと全てを引き抜くと、三日月の身体は小さく痙攣した。そのいとけない姿に、若い大包平の身体は早速反応しそうになる。
当所有东西被缓缓抽离时,新月般身体的小小抽搐。那无助的姿态,年轻的大包平的身体似乎立刻就要有所反应。
ぞくぞくとした高ぶりを抱えたまま、大包平は三日月の頭を撫でた。
带着兴奋的悸动,大包平抚摸了新月般的头。
三日月は重たそうな瞼をゆっくり開くと、首を巡らせて大包平と目を合わせる。
三日月缓缓睁开沉重的眼帘,转动脖颈与大包平对视。
ぱちりと目が合うや、ふふと幸せそうに小さく笑った三日月に、大包平の心臓がどくんと跳ねた。
目光交汇的瞬间,大包平看到三日月幸福地轻笑,他的心猛地一跳。
「お、かね、ひら……」
「哦,可奈,打开……」
叫びすぎたせいで声は嗄れ、力が入らないままの唇のせいで頼りなく揺れている。
因为叫喊过度,声音变得沙哑,无力支撑的嘴唇摇曳不定。
だがにじむ甘さは隠しきれず、目には幸福が満ちていることがわかった。それだけで、大包平はもう感極まってしまう。
但那逐渐消散的甜意却无法掩饰,从眼中满溢的幸福,足以让大包平感动至极。
「……三日月」
くしゃりと、顔が歪んだ。
突然,脸部扭曲了。
夢じゃない。
不是梦。
夢じゃない、現実だ。これは現実で、自分は再び、この愛しい存在と一つになれた。恋人になれた、認めてもらえた。
不是梦,是现实。这是现实,自己再次与这个亲爱的存在融为一体。成为了恋人,得到了认可。
他の誰でもなく、自分を選んでもらえた。記憶がなくても、この時代の常識から少し外れた関係でも、三日月は自分を選んでくれた。
不是别人,是自己被选择了。即使没有记忆,即使在这个时代有些超乎常理的关系,三日月也选择了自己。
この腕に再び、この男を抱くことができた。
再次能将这个男人拥入这双臂中。
溢れ出す感情には、今まで押さえ込んできた不安と焦燥も含まれていて、全てが報われた今、自分は本当に恐れていたのだなと、大包平は実感する。
在奔涌而出的情感中,包含了至今为止一直压抑的不安与焦躁,大包平在此时真切地感受到,在一切得到回报的此刻,自己其实真的在恐惧。
情けなくも浮かぶ涙に、三日月は浮かべる笑みを深くした。
在不禁涌上眼眶的泪水中,三日月深深地扬起了笑脸。
「……なんだ、どうした……」
“……怎么了,发生什么事了……”
可愛いやつだなぁと、三日月が笑う。
真是个可爱的小家伙啊,三日月笑着。
そして手を伸ばすと、大包平の頭を抱き寄せて、優しい手つきで撫でてくる。
于是伸出手,将大包平的头抱过来,用温柔的手势抚摸着。
子供扱いするなと言いたいが、今は確かに分が悪い。何より三日月の手が心地よくて、大包平は甘たれるように汗ばんだままの三日月の胸板に顔を埋めた。
我想说别把我当孩子,但现在确实很糟糕。最重要的是三日月的手让人感觉很舒服,大包平像陶醉一样,脸埋在汗湿的三日月胸膛上。
鼻先に漂う懐かしい肌の香りも、吸い付いてくるような感触も、全てが大包平の胸を締め付ける。
鼻尖飘来的熟悉肌肤的香气,那种让人着迷的触感,全都紧紧攫住了大包平的心。
三日月は何度も頭を撫で、時折髪に唇を落としてくれた。
三日月多次抚摸着他的头,偶尔把嘴唇落在他的发上。
受け入れられている喜びは何にも勝り、大包平は湧き上がる感情を止められない。
被接纳的喜悦胜过一切,大包平无法抑制涌上心头的情感。
「……三日月」
“……三日月”
「ん……?」
“嗯……?”
吐息と共に名前を呼ぶと、三日月が愛おしむような声で返事をする。
随着吐息呼唤名字,三日月用爱怜般的声音回应。
嬉しい、好きだ、可愛い、大事にすると思いながら、大包平の口からぽろりと出たのは、全く違う一言だった。
在想着“开心”、“喜欢”、“可爱”、“要好好珍惜”的时候,大包平嘴里突然说出的,却是完全不同的一句话。
「……もう一回したい」
「……想再来一次」
ぷは、と、三日月が思わずといった様子で吹き出す。
「……うるさい」
「……好吵」
俺だってこの情けなさはわかっているんだと思いつつ、若い身体はすっかりやる気になっていて、出したばかりなのに痛いくらいに硬くなっている。
虽然知道你也明白这种软弱,但年轻的身体完全充满了活力,刚射出来就变得又硬又痛。
「だって、お前……ふふ。こんな風に涙ぐんで甘えて……それでその一言とは……ふふっ」
「因为,你……呵呵。像这样哭泣撒娇……然后那句……呵呵」
「クソ……仕方ないだろう!お前が……」
「混蛋……没办法了吧!你……」
「……ん?」
「……嗯?」
だが、その先を大包平は口にしなかった。なんだかこれ以上三日月に弱みを見せるのが業腹で、もういっそいじめてやった方がいいと目を吊り上げる。
然而,除此之外,他没有说什么。 不知何故,他不想再向三日月示弱,他抬起眼睛,想着自己应该再欺负他了。
そのまま手を三日月の腰に回し、まだ閉じきっていない濡れた菊穴に指を忍ばせれば、三日月はのけぞって愛らしく鳴いた。
他把手搂在三日月的腰上,手指滑进还没合上去的湿漉漉的里,新月发出可爱的尖叫。
「ふぁ、あ、んぁ……!」
“哇,啊,......!”
「お前だって、足りないだろう?」
“你还不够好,对吧?”
三日月の腕から逃れて身を伸ばし、耳をかじりながら囁けば、三日月はさあっと頰を染めた。
从三日月的怀里逃出来,伸出手在他耳边低语,三日月脸红了。
「そんッ……こと、な……んんんッ…!」
“哦,是的...... 什么。。。。。。 嗯嗯......!
中に放った精液ごと混ぜるように搔き回すと、そこはぐちゅぐちゅといやらしい音を立てた。
当我搅拌它,使其与里面释放的精液混合时,它发出了难闻的声音。
そのまま指を抜き差しすると、三日月の身体はもうぐずぐずと崩れていく。
如果你按原样将手指拉进和拉出,新月的身体就会在虚境中坍塌。
あっという間に快楽に飼い慣らされてしまうのは、三日月の心のどこかに、うっすらと刀の時の記憶が残されているからかもしれない。
转瞬之间变得沉溺于快乐,或许是因为三日月内心深处还残留着一些刀时代的记忆。
そうあってくれたら嬉しいなと思いながら、大包平は三日月の身体をひっくり返した。
想着如果这样就好了,大包平翻转了三月月的身体。
二十代の体力はさすがのもので、少しの休憩で大包平はすっかり元気になっている。
二十多岁的体力果然非同小可,稍作休息后大包平就完全恢复了精神。
「いい景色だぞ」
“景色真不错啊”
意地悪くささやいて三日月の背中に舌を這わせながら、細い腰に手を当て持ち上げる。
恶狠狠地低语着,舌头在弯月的背上蜿蜒游走,手按住纤细的腰身将其举起。
そのまま剛直を押し当てれば、淫らな場所はあっさりと大きなそれを受け入れた。
就这样将刚直顶住,淫秽的部位轻易地接纳了那巨大的东西。
「ふぁあ、あ……んぅうーーーッ……!」
「啊……啊……嗯……呜……!」
「まだ、もっと……今までの分、食わせてもらうからな……」
「还不够……要吃光之前的份……」
大包平はそう言うと、三日月の首筋に噛みついた。
大包平说完,便咬住了三日月的手腕。
この暑さはかなわんなと、三日月は首筋をハンカチでぬぐった。
这天气真是热得受不了,三日月用手帕擦了擦手腕。
もともと寒すぎるのも暑すぎるのも苦手なのに、社会人というものは問答無用で出勤しなくてはいけないのだから、たまらない。
原本就既怕冷又怕热,可身为社会人却不得不无条件地去上班,真是让人受不了。
もう九月も半ばにさしかかったというのに日差しは暑く、夏を終わらせてなるものかと思ってでもいるかのような気温が続いていた。
明明已经快到九月了,阳光却依然毒辣,气温持续着仿佛要结束夏天却又像在持续的感觉。
早く帰ってシャワーを浴びたい、できればビールの一本でも飲みたいと思いながら、自宅のドアの鍵を開ける。
早些回家想冲个澡,如果可以的话,还想喝上一瓶啤酒,想着这些,我打开了自家大门的钥匙。
そのままぐったりとした身体でドアを開けた瞬間。中から伸びてきた腕が三日月を玄関に引き入れた。
就这样拖着疲惫的身体打开门的那一瞬间。从里面伸出的手臂将三日月引入了玄关。
「へぁッ!?」
「呼……!」
思わず漏れた情けない声に赤面する暇もなく、三日月はひんやりとした空気の中に放り込まれる。
还没来得及为那声不争气的叹息而脸红,三日月就被扔进了微凉的空气中。
と思うや、今度は燃えるように熱い何かと身体が触れた。
总觉得,这次身体触碰到的像是能点燃般炽热的东西。
「お、大包平……」
「哦,大包平……」
驚きと戸惑いを隠さないまま、三日月は抱きしめてきた年下の恋人の名を呼んだ。
三日月没有隐藏惊讶和困惑,叫出了怀中比自己年幼的恋人的名字。
「帰って来るならそうと……。あといきなりドアを開くな、驚くだろう……」
「如果你要回来,那就那样……。还有,突然开门可会吓到人的……」
大包平が機敏な男でよかった。そうでなければ、いまごろ咄嗟の判断で、投げ飛ばすか蹴り飛ばすか吹き飛ばすかしていたかもしれない。
大包平是个机敏的人,这真是太好了。如果不是这样,现在可能还在紧急判断是扔飞还是踢飞,还是吹飞。
細身だから侮られることが多いが、こう見えて三日月は各種武道の有段者だ。ちょっとやそっとの不審者など、その気になれば瞬時に撃退できる。
因为身材瘦小,经常被人轻视,但看似这样,三日月却是各路武道的持段者。稍微有点可疑的家伙,只要他有心,就能瞬间击退。
「……会いたかった」
“……想见你”
それなのに、この男ときたらお構いなしにこんなことをつぶやいてきて、その上この汗臭い身体をぎゅうぎゅう抱きしめてくるものだから、困ってしまう。
可偏偏是这家伙,毫不顾忌地这样嘟囔着,还紧紧地抱住这副汗臭臭的身体,真是让人困扰。
「ちょ……あ、汗が……」
“咳……啊,汗……”
「いい匂いだ」
「好闻的」
そんなことを言うなと、三日月は縮こまる。
不要说这种话,三日月缩了起来。
一応職員室には冷房が入ってはいたが、それでも行き帰りで湿ってしまったシャツなど、絶対にいい匂いがするわけがない。
虽然员工室里有空调,但来回路上湿透的衬衫,怎么可能散发出好闻的气味。
やめてくれと腕の中から逃れようとすると、どうやらそれが不興を買ったらしい。
想要从怀抱中挣脱,说不要这样,似乎惹他不高兴了。
大包平は腕の力を増しながら、三日月を玄関の壁に押し付ける。
大包平逐渐增强手臂的力量,将弯月形的东西按向玄关的墙壁。
「こ、こら、この……」
「等、等一下,这个……」
もがくうちにすっかりと壁に追い込まれ、背後からぴったりと密着される。
在挣扎的过程中,他完全被逼到了墙壁上,从背后紧紧地贴了上来。
自然と尻に大包平の股間が当たり、そこがもう硬く張り詰めていることが伝わってきた。
自然而然地,大包平的生殖器碰到了他的后腰,能感觉到那里已经变得坚硬而紧绷。
息がつまり、赤面する。確かに会うのは久々だが、それにしても早すぎるだろう、このケダモノと、三日月は心中で文句を垂れる。
呼吸急がしくなり、赤面する。確かに久しぶりに会うのはだが、それにしても早すぎるだろう、このケダモノと、三日月は心中で文句を垂れる。
「や、やめろ、嗅ぐな馬鹿……!」
うなじに鼻先を押しつけられ、すんすんと匂いを嗅がれる気配がした。そんなことをするなと抗議すれば、止めるどころか舐められた。
だから汗がと思うのに、大包平の舌先は淫らにうごめき、うなじから耳元までをたどっていく。
「ふ、あ……」
「唔、啊……」
思わず声が漏れてしまうのは、三日月とて高ぶり初めているからだった。
不知不觉间漏出声音,是因为三日月初次显摆高傲的缘故。
最初に繋がり合ってから、一年半が過ぎた。一番最近会えたのが春の連休だから、もう数ヶ月も前。
从最初连接起来算起,已经过去一年半了。最近一次见面是春天的连休,所以已经是几个月前的事了。
その間、もちろん互いに連絡は欠かさなかったし電話も頻繁にしていたが、それでも実物には敵わない。
这段时间,当然没有互相失联,也经常打电话,但终究比不上真人相见。
声を聞いて、身体に触れて、匂いを嗅げば、自然と気持ちは溶けてしまう。
听到声音,触摸身体,闻到气味,心情自然会融化。
「合格したぞ、ここから通うことになった」
“合格了,从这里通行。”
意識がふわふわとし始めたところで、急に大包平が何か言う。
意识开始模糊的时候,突然大包平说了些什么。
一瞬理解が追いつかなくて、三日月は懸命に言われたことを頭の中で反芻する。
一瞬间没能理解,三日月努力在脑海中反复咀嚼被说的话。
「……ほ、本当、か?」
「……那、真的吗?」
ようやく飲み込んだ時には、大包平の手は三日月の胸板に回っていた。
好不容易咽下时,大包平的手已经绕到了三日月胸甲上。
「あんッ、あ、こら……!」
「啊、不、等一下……!」
「正確にはここではなく、学校の近くに下宿することになるが……今よりはずっと近くなる」
「准确来说不是这里,而是要在学校附近租房住……不过会比现在近很多」
ちゃんと話を聞きたいのに、大包平の指先は三日月にいたずらばかりする。
我明明想好好听你说话,可大包平的指尖却一直在三日月上嬉戏。
胸板を弄って乳首を探し当てるや、ぎゅうと指で押しつぶし、快楽を引き出そうとしてくる。
他拨弄着胸脯,找到乳头后,用手指紧紧地挤压,试图从中引出快感。
刺激を受けて硬くしこってきたそこの先を、爪でくすぐるようにひっかかれると、三日月はたまらず喉を震わせた。
当指尖像挠痒一样刮擦着那因刺激而变硬的地方时,三日月忍不住喉咙颤抖起来。
「ひ、ぁあ……あッ、んぅ、ふ……!」
「唔、啊……啊、嗯、唔……!」
「電車で小一時間程度だからな、ここから直接学校に向かうこともできるだろう。……頑張った甲斐があった」
「电车也就一个小时左右,从这里直接去学校也是可以的。……努力总算没有白费」
法学部に進学した大包平は、そのまま法科大学院に進むことになっていた。
进入法学部的大包平,接下来要直接进入法科大学院。
その受験がちょうどこの九月にあり、そのため夏休み期間もこちらに戻らず、受験勉強に専念していたところだった。
那场考试正好在这个九月,因此暑假期间也没有回来这边,专心备考。
それが見事に合格し、合格率と利便性から選んだ大学院に来年の春から通う、立地的に三日月の家からもそう遠くはないから、今よりもずっと会えるようになると、大包平は言いたいのだろう。
结果顺利通过了考试,从合格率和便利性考虑,选择了这所大学院,从明年春天开始上课,虽然从地理位置上看,离那间弯月形的家也不算太远,但大包平心想,应该能比现在见得更多吧。
だが、当の三日月は仕掛けられる愛撫のせいで、答えることもままならなかった。
但是,真正的弯月因为被设下的爱抚所困扰,也无法回应。
「ふぁ、は……あん、こ、の……待て、こんな……」
「啊……等、等一下,这……」
「構わんだろう、お前の腰も揺れている」
「没关系啦,你的腰也在摇晃呢」
「ち、ちが……ば、場所が、こんな……外に、声が……」
「啊、啊……不对……地方……竟然……在外面……声音……」
「どうせ一番奥の部屋だ、誰も前を通ったりしない」
「反正是一间最里面的房间,谁也不会从前面经过」
どんなに止めても、大包平は聞いてくれない。
无论怎么停,大包平都不听。
それどころか、三日月のベルトに手をかけて外すと、下着ごと下に引きずりおろした。
不仅如此,当他把手伸向三日月腰带并解开时,连同内裤一起向下拖拽。
「も、この……んあッ、あ…!」
「也,这……啊……!」
「……濡れてるぞ」
「……湿透了」
三日月の陰茎に触れた大包平が、愉快そうにささやく。
被三日月触碰的大包平,带着愉悦的语气低语。
顔を真っ赤にしながら、三日月はそれでもぞくぞくとした震えを止められない。
三日月涨红了脸,却还是无法停止那颤抖。
大包平は確かに性急だが、指摘された通り、先ほどからつい腰を揺らめかせているのは三日月自身だ。
大包平确实性急,但正如所指出的,从刚才开始不住地摇摇晃晃的,正是三日月自己。
会えない期間、熱をためていたのは大包平だけではない。
无法相见期间,积累热情的只有大包平一个人。
「話はいいから……先にしたい。抱かせろ」
“话先不说……先办了。抱紧我”
直情的な言葉をささやかれると、そのまま脱力して崩れ落ちそうになる。
听到如此直白的话语,他整个人都软了下来,几乎要崩溃。
どうしてこうこの男は、年齢と中身がかみ合っていないんだと、三日月は八つ当たりしたい気分になった。
为什么这个男人年龄和内涵不匹配呢,三日月产生了想要发泄的冲动。
だが、その前に。
但是,在此之前。
「んッ、ぅう……も、い……から、わ、わか……ッ、から、そうじゃ、なくて……」
“嗯哼,唔……也,是……我……我明白……哼,所以,不是……”
「なんだ」
「什么啊」
不満そうに言う大包平の顔を、三日月は首を反らして覗き込む。
三日月扭过头,窥视着满脸不满的大包平的脸。
「……キス、が、したい……」
「……想、接吻……」
欲情し切った目でそう告げれば、大包平が目を見開いた。
用充满渴望的眼神那样告知,大包平睁大了眼睛。
そしてすぐ嬉しそうに破顔すると、焦らすことなく与えてくれる。
然后她很快便绽开笑脸,不催促地便给了我。
あふれんばかりの恋情が伝わって来るキスに、三日月はうっとりとまぶたを下した。
满溢的恋情传递过来的吻中,三日月陶醉地垂下了眼帘。
おかしなものだと、三日月は思う。
三日月心想,这真是荒唐。
男も女もなんだか嫌で、怖くて、恋愛ごとは避けてきた。
男人和女人都让人讨厌,令人害怕,他一直避开恋爱之事。
欲を満たすための、あるいは見せびらかすための道具としてしか自分は見られていないと思ってきたのに、この男からの愛撫には何故か甘さしか感じない。
虽然自己一直被认为是满足欲望的工具,或是炫耀的道具,但为何从这男人身上感受到的只有甜蜜。
身体はどんどん慣らされて、いままさに熱い高ぶりをこすりつけられているそこは、すっかり性器として変えられてしまった。
- 我的身体已经越来越习惯了,她现在摩擦火热的骄傲的地方已经完全变成了生殖器。
それなのに、嫌じゃない。
然而,我并不讨厌它。
むしろ、大包平のためならば、どんな変化でも受け入れられるとさえ思ってしまう。
其实,他甚至认为,为了道保平,他可以接受任何改变。
まるで引き寄せられた運命の相手のようだと、理系らしからぬロマンチシズムに、三日月は酩酊感を覚える。
就好像他被一个注定要被他吸引的伴侣所吸引,三日月被这种似乎不是科学的浪漫主义所陶醉。
かつては、若さが過ぎればきっと飽きるだろうと後ろ向きになったりもしたものだが、大包平の熱情は冷める気配など微塵もない。
曾经,我也曾向后看,觉得青春逝去便必定会厌倦,但大包平的热情却丝毫不见冷却的迹象。
それどころか、最近はとみに増しているように思えて、三日月はいまにも溺れそうだ。
不仅如此,最近似乎愈发强烈,三日月几乎要沉溺其中。
だがそれさえも心地よく、もっとひたっていたいと願ってしまう。
但这感觉如此美好,甚至渴望更加彻底的沉沦。
「お……かね、ひら……んんッ、あ、やぁ……」
「哦……嗯,开……啦……啊,呀……」
入り口をこすってくる指先に、三日月は嬌声を上げて身悶えた。
手指蹭着入口,月亮发出娇声,身体感到兴奋。
「一回、ここで……すまん、早く、したい。ずっと……我慢して、もう……!」
“一次,就在这里……对不起,快点,想要。一直……忍耐,已经……!”
大包平の切羽詰まった声に、嬉しいと思ってしまう自分も大概だ。
大部分人都以为大包平焦急的声音是开心的。
仕方ない奴という顔をしておきながら、求められることに安堵と歓喜を覚えている。
明明脸上装作无奈的样子,却对被要求感到安心和喜悦。
「ん……いい……なか、触ってくれ……」
「嗯……好……里面,摸我……」
幸せだな、と思いながら、三日月はささやいた。
一边想着好幸福,三日月轻声说道。
目の前にある鋼色の目に宿る欲望に、胸がきゅうきゅうと締め付けられる。
被眼前钢色的眼睛中寄宿的欲望,胸口紧紧地揪紧。
ああ、思い出す。
啊,我想起来了。
初めてこれを見た日。美しかったな、愛おしいな。
第一次看到它的那天。多美啊,多可爱啊。
そう思いながら、入り込んできた指先に、三日月は蕩けた悲鳴をかすかに上げた。
想着这些,三日月在我伸入的指尖上,微微荡漾起悲鸣。
この恋は濃く、甘く。まだしばらく、熱は下がりそうにない。
这份爱浓烈而甜蜜。似乎还要再热一会儿,还没要退去。