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「完成なんて無理だと思っていた」:伝説のゲームクリエイター小島秀夫、「Death Stranding 2」を語る
「我原本覺得根本不可能完成」:傳奇遊戲製作人小島秀夫談《死亡擱淺 2》

ジャンルを拡張し世界に熱狂的なファンをもつゲームクリエイター小島秀夫が、新作の構想にパンデミックが与えた影響から映画スターたちとの仕事まで、「Death Stranding 2」発売直前に『WIRED』のインタビューに応えた。
擁有跨類型作品與全球狂熱粉絲的遊戲製作人小島秀夫,在《死亡擱淺 2》發售前夕接受《WIRED》專訪,從疫情對新作構思的影響到與電影明星的合作,暢談創作歷程。
Hideo Kojima
PHOTOGRAPH: HIROMICHI UCHIDA/KOJIMA PRODUCTIONS
攝影:內田裕道/小島製作

東京滞在中、われわれは発売を間近に控えた「Death Stranding 2: On the Beach」の長く濃い体験版をプレイできたことに加え、伝説的ゲームクリエイター、小島秀夫監督にインタビューする機会を得た。小島は1時間にわたり、その新作ビデオゲームの制作秘話について語ってくれた。
在東京停留期間,我們不僅有機會試玩即將發售的《死亡擱淺 2:沙灘》長篇深度體驗版,更獲得了專訪傳奇遊戲製作人小島秀夫導演的機會。小島先生花費了一小時,向我們娓娓道來這款新作電玩遊戲的開發秘辛。

「Death Stranding 2」の発売を公に発表した際、小島は新型コロナウイルス感染症の流行を受けてその構想を大きく変更したことを明らかにした。第1作の「Death Stranding」はまさに当時の時代らしい発想から生まれた作品だったが、今回は、それからいままでのわずか6年間でどれだけ状況が変化したかを考えさせるストーリーとなっている。小島はその変化についてたびたび思いを巡らせてきた。
當小島秀夫公開宣布《死亡擱淺 2》發行消息時,他透露由於新冠肺炎疫情影響,遊戲的整體構想經歷了重大調整。前作《死亡擱淺》正是反映當時時代思潮的作品,而這次新作則將呈現短短 6 年間世界發生的劇變。小島經常思考著這些變化帶來的意義。

小島秀夫:「Death Stranding」の発売はパンデミック前で、世界は孤立や分断の方向へ進んでいました──例えば英国のEU離脱など。作品の背景には、「つながろう。つながらなければ大変なことになる」というメッセージを込めました。第1作のテーマ、ストーリー、プレイ内容はすべてこの構想が軸になっています。発売から3カ月後にパンデミックが起こり、とても驚きました。ある意味、本当に「Death Stranding」の世界のようだと感じました。
小島秀夫:「死亡擱淺」的發行時間在疫情爆發之前,當時世界正朝著孤立與分裂的方向發展──例如英國脫歐。我在作品中融入了「連結吧。若不連結將會面臨嚴重後果」這樣的訊息。第一作的遊戲主題、故事內容與玩法機制全都圍繞著這個核心理念展開。遊戲發售三個月後疫情爆發,這讓我感到非常震驚。某種程度上,真的讓人感覺就像「死亡擱淺」的世界成真了。

21世紀の現実世界にも、(「Death Stranding」の世界の)「カイラル通信網」のようなものがあります。インターネットです。1世紀前のスペイン風邪の大流行などとは状況が違いました。今回のパンデミックをぼくたちが乗り越えられたのは、インターネットがあり、人々がオンラインでつながることができたからです。ぼくたちのスタジオにも在宅勤務しているスタッフがいて、顔を知らない人もいます。
21 世紀的現實世界中,也存在著類似(《死亡擱淺》世界裡的)「手性網路」的東西。那就是網際網路。這與一個世紀前西班牙流感大流行的情況截然不同。我們之所以能度過這次疫情,正是因為有了網際網路,讓人們能夠在線上保持聯繫。我們工作室也有在家工作的員工,有些人甚至從未見過面。

当時、ライブコンサートは中止され、すべてがオンライン配信に移行しました。それがパンデミック中には避けられないことだったというのは理解しています。学校も同じでした。学生たちは友達と遊んだり先生から直接教わったりする代わりに、まるでYouTubeの動画を見るように画面を見て授業を受けていました。
當時,現場演唱會被取消,一切都轉為線上直播。我理解這在疫情期間是不可避免的。學校也是如此。學生們不再與朋友玩耍或直接接受老師教導,而是像觀看 YouTube 影片一樣,透過螢幕上課。

すべてがメタバースに向かって収束していくように感じました。テレビをつければ誰もが、これからはメタバースの時代だ、人と直接会う必要はないと話していました。でも、それは間違った方向に進んでいるとぼくは思ったんです。人間同士のコミュニケーションはそうあるべきじゃない。人との出会いは偶然で、予想もしないことが起きるものです。このままの道を歩んでいけば、そうしたものがすべて失われてしまうと感じました。
感覺一切都朝著元宇宙的方向收斂。打開電視,每個人都在談論即將到來的元宇宙時代,說人們不再需要面對面交流。但我認為這是一個錯誤的發展方向。人與人之間的溝通不該是這樣的。人與人的相遇應該是偶然的,充滿意想不到的驚喜。我感覺如果繼續這樣走下去,這些珍貴的東西都會消失殆盡。

Hideo Kojima

「Death Stranding 2」のエル・ファニング。

COURTESY OF KOJIMA PRODUCTIONS
由小島製作公司提供

── 小島によれば、「Death Stranding 2」のコンセプトは当初のものから大きく変更され、パンデミック後には人と人とのつながりに対する小島自身の考え方そのものも変わったという。
── 根據小島的說法,《死亡擱淺 2》的概念與最初版本相比有了重大改變,而疫情過後,小島本人對於人與人之間連結的看法也發生了轉變。

小島:「Death Stranding 2」の構想はパンデミック前にできていました。でも、あの経験を経た後、何か違うなと思って書き直したんです。
小島:「死亡擱淺 2」的構想其實在疫情前就已經有了。但在經歷過那一切後,我覺得有些不對勁,所以又重新改寫了。

最も奇妙な変化は、「孤立しないで、つながろう」というテーマのゲームをつくった直後にパンデミックが起こって、「つながりすぎるのもよくないのかもしれない」と思うようになったことです。だから一旦、「Death Stranding」における“棒と縄”の理論に立ち返りました。このテーマはゲーム中にたくさん散りばめられているので、プレイし終わったときにはぼくが伝えたかったことを理解してもらえるはずです。例えば、ぼくがコロナ禍で感じた気持ちを表現しているキャラクターもいます。
最奇妙的轉變是,就在我做完一款以「別孤立,要連結」為主題的遊戲後,疫情爆發了,讓我開始思考「或許過度連結也不是好事」。所以我決定重新回到「死亡擱淺」中「棍與繩」的理論基礎。這個主題在遊戲中隨處可見,相信玩家通關時一定能理解我想傳達的理念。比如說,遊戲裡就有角色反映了我疫情期間的感受。

いまのところ言えるのは、ロゴが手がかりになっているということです。前作「Death Stranding」のロゴは、糸が下から上の文字部分に向かって伸びていて、「つながろう」というのが全体のテーマでした。一方、「Death Stranding 2: On the Beach」のロゴは、糸が上から下の文字部分を吊り下げるように伸びてきていて、『ゴッドファーザー』のロゴにある操り人形の糸のようにも見えます。
目前可以透露的是,遊戲標誌暗藏玄機。前作《死亡擱淺》的標誌設計是絲線從下方延伸至字母部分,呼應「連結彼此」的核心主題。而《死亡擱淺 2:海灘之上》的標誌則改為絲線從上方垂吊字母,視覺效果類似《教父》標誌中操縱木偶的提線。

ゲームのなかでも、自分の体から出たワイヤーによって人々が上に引き上げられるようなシーンが登場します。ドールマンやロボット兵士などもです。これらすべてがヒントになっています。つながるということの意味を本気で考え始めると、やがて疑問がわいてくる。いま言えるのはこれだけです。詳しくは6月の発売後にゲームをプレイして確かめてください!
在遊戲中,會出現人們被從自己身體延伸出的纜線向上拉起的場景。還有玩偶人和機器人士兵等等。這些全都是線索。當你真正開始思考「連結」的意義時,疑問就會逐漸浮現。目前能透露的就這麼多。詳細內容請等到 6 月遊戲發售後親自遊玩確認吧!

パンデミックは誰もが経験したことだから、多くの人にとって共感できる感情があると思います。もちろん、100%そうだとは言い切れませんが。メタバースが悪だとは言いません。ただ、今回皆さんはわざわざここまで来て、4日間もゲームを体験してくれました。いまの時代、そういうことは普通オンラインで済まされるはずです。
這場疫情是每個人都經歷過的,我想對許多人來說都能產生共鳴。當然,我不敢說百分之百是這樣。我並不是說元宇宙不好。只是這次大家特地來到這裡,花了四天時間體驗遊戲。在這個時代,這種事情通常都是在線上就能解決的。

でも、このゲームのテーマはつながりです。「Death Stranding 2」を進めるうちに、やがてその意味がわかってくると思います。だからこそ、忙しいとわかっていても、皆さんに実際にここに来てほしかったんです。ぼくたちのスタジオに世界中から人が集まり、実際に顔を合わせて会話を始めている。東京駅からの景色を見たり、ふらっとレストランに入ってみたり、そういうことこそが人間らしい体験なんです。偶然や予期しない出来事が自然とつながっていく。でも、メタバースにそういうものは存在しません。
但這款遊戲的主題正是「連結」。當你深入遊玩《死亡擱淺 2》時,終將領悟其中真諦。正因如此,即便知道大家都很忙,我仍希望各位能親自來到這裡。看著來自世界各地的人們齊聚我們工作室,面對面展開對話。眺望東京車站的景色、隨意走進餐廳小憩,這些才是最具人性的體驗。偶然與意外自然交織成連結。然而在元宇宙中,這些都不復存在。

Hideo Kojima

「Death Stranding 2」の“配達”のシーン。

COURTESY OF KOJIMA PRODUCTIONS
圖片提供:小島製作

──「Death Stranding 2: On the Beach」のゲームプレイは前作よりもはるかにアクション寄りになっている。より正確に言えば、アクションは必須ではないが、プレイヤーが戦闘を選べる場面が増えた。前作はむしろ銃撃戦を避けていた部分もあり、敵を殺すとマップの一部が爆発するという、物語とリンクした仕組みによってプレイヤーに罰が与えられるような設計だった。続編ではこの点にも変化があるとして、小島はこう語った。
──《死亡擱淺 2:海灘之上》的遊戲玩法比前作更加偏向動作元素。更準確地說,雖然動作並非必要,但玩家能選擇戰鬥的場合確實增加了。前作甚至有刻意避開槍戰的設計,當玩家殺死敵人時,地圖部分區域會爆炸──這種與劇情連結的機制彷彿在懲罰玩家。關於續作在這方面的改變,小島是這麼說的:

小島:「つながるべきでなかった」というテーマと、本シリーズの「棒と縄の理論」については先ほども話しましたが、いまの時代、インターネットという縄によって世界はつながっていますが、それでも人々は銃という“棒”で争い合っています。だからこそ、“縄”をメインに使うゲームをつくりたかった。それが前作「Death Stranding」でした。
小島:剛才已經談過「本不該相連」這個主題,以及本系列的「棍棒與繩索理論」。當今時代雖然透過網路這條「繩索」讓世界相連,人們卻仍用槍械這種「棍棒」互相爭鬥。正因如此,我才想製作一款以「繩索」為核心的遊戲,那就是前作《死亡擱淺》。

いま、世界には多くの争いがあります。結局のところ、縄でつながるだけですべてを解決することはできません。作中でもヒッグスが似たようなことを語ります──つながるためには棒も必要なんだ、と。ゲームを進めるうちに、ヒッグスの言わんとする意味がだんだんわかってくるでしょう。これが、ぼくが「つながるべきでなかった」と言った理由のひとつであり、ゲームの要素としてだけでなく社会全体に対する考察でもあります。
當今世界充滿紛爭。到頭來,光靠繩索連結並不能解決一切。遊戲中希格斯也說過類似的話──要建立連結,棍棒也是必要的。隨著遊戲進展,玩家會逐漸理解希格斯話中的深意。這正是我說「本不該相連」的原因之一,不僅是遊戲元素,更是對整個社會的思考。

──本作の重要なテーマのなかには「喪失」と「悲しみ」がある。その着想の背景には小島自身の個人的な経験も関係しているという。
──本作重要主題包含「喪失」與「悲傷」。據悉這些靈感背後,也與小島自身的個人經歷有關。

小島:これは内面からわき上がったもので、半分はぼくの実体験に由来し、もう半分はフィクションです。とても個人的な領域から生まれたテーマで、孤独感だったり、亡くなった人はどこへ行くのかという不思議や、きちんとお別れができなかった痛みなどの思いから来ています。
小島:這個靈感是從內心深處湧現的,一半源自我的親身經歷,另一半則是虛構。這是個非常個人化的主題,源自孤獨感、對逝者去向的困惑,以及未能好好道別的傷痛等情感。

「Death Stranding 2」誕生  《死亡擱淺》續作誕生

── 新作の「Death Stranding 2」は、前作の基本設計を引き継ぎつつ、あらゆる要素を拡張し改良している。その誕生について、特に開発初期のゲームプレイ面での構想について小島はこう語った。
──新作《死亡擱淺 2》在繼承前作基本架構的同時,全面擴展並改良了各項要素。關於這部作品的誕生,特別是開發初期的遊戲玩法構想,小島是這麼說的:

小島:PlayStation 4(PS4)からPlayStation 5(PS5)への移行も視野に入れて、主に変更を加えたのはゲームデザインとストーリーの部分です。
小島:考量到從 PlayStation 4(PS4)過渡到 PlayStation 5(PS5)的進程,主要調整的部分在於遊戲設計與劇情架構。

「メタルギアソリッド」の第1作を覚えているでしょうか。あれは潜入に本気で集中しなければすぐにゲームオーバーになってしまうつくりでした。ゲーム冒頭、エレベーターに辿り着くまでは何も武器がなく、そこを抜けてようやく武器が手に入ります。なぜそのようにしたかというと、もし最初から武器を装備させたら、プレイヤーはそれで敵を倒してしまうので、もはや“ステルス”ゲームにはならなかったはずです。だから、あえて武器を置かなかったんです。この決定は多くのプレイヤーから嫌われ、エレベーターに辿り着けさえしない人もたくさんいましたが。
還記得《潛龍諜影》初代嗎?那款遊戲的設計是如果沒有全神貫注於潛行,立刻就會迎來遊戲結束。在遊戲開場直到抵達電梯前,玩家沒有任何武器,必須通過這段考驗才能取得裝備。之所以這樣設計,是因為如果一開始就配備武器,玩家肯定會直接消滅敵人,這樣就根本稱不上是「潛行」遊戲了。所以我們刻意不放置武器。這個決定讓許多玩家感到不滿,甚至有不少人連電梯都到不了。

最初の「メタルギアソリッド」では、ステルスとは何かを理解してもらうための仕組みを多く盛り込みました。だから2作目では、プレイヤーがすでにその概念を理解しているという前提で、武器の入手をもっと自由にしました。敵の体の特定の部位を狙うこともできるようになりました。
在初代《潛龍諜影》中,我們植入許多機制來幫助玩家理解什麼是潛行。因此到了第二作,我們基於玩家已掌握這個概念的假設,讓武器獲取更加自由。甚至還能瞄準敵人身體的特定部位進行攻擊。

Hideo Kojima

「Death Stranding 2」の戦闘シーン。

COURTESY OF KOJIMA PRODUCTIONS
圖片提供:KOJIMA PRODUCTIONS

── 実際、「メタルギア」シリーズ全体を見ると、初代PlayStation(PS)のソフトとして登場した歴史的な第1作をベースにして指数関数的に、時に実験的に(「メタルギアソリッドV」でのオープンワールド導入など)進化してきたと言える。「Death Stranding」シリーズも同様の進化の道を辿っているようだ。
── 事實上,縱觀整個《潛龍諜影》系列,可以說是從初代 PlayStation(PS)平台發行的歷史性首作開始,就以指數級速度進化,期間更不乏實驗性嘗試(例如《潛龍諜影 V》導入開放世界)。《死亡擱淺》系列似乎也正遵循著相似的進化軌跡。

小島:「Death Stranding 2: On the Beach」でも同じアプローチを取りました。1作目は配達ミッションが中心となりますが、そんなコンセプトのゲームはそれまでになかったので、フラストレーションを感じた人もいたかもしれません。
小島:「《死亡擱淺 2:ON THE BEACH》同樣採用了這種手法。雖然首作以配送任務為核心,但由於這種遊戲概念前所未見,或許讓部分玩家感到挫折。」

でも、いまではそのコンセプトが広く理解されているので、今回はもっと自由度をもたせたかったんです。だから例えば、戦闘をしたいプレイヤーのために武器を使えるようにしました。使わなくてもゲームは進められますが。クルマやオートバイも使えます。2作目ではあらゆるものが手に入りやすくなっています。配達ゲームであることに変わりはありませんが、ゲームの仕組みの面でもっと自由を提供することを目指しました。
不過現在這個概念已經被廣泛理解了,所以這次我想賦予玩家更多自由度。例如,為了想戰鬥的玩家,我們加入了可使用武器的設計。當然不使用武器也能推進遊戲。汽車和摩托車也都能使用。在第二部作品中,各種要素都變得更容易取得。雖然本質仍是送貨遊戲,但我們力求在遊戲機制上提供更多自由選擇。

── その自由度は戦闘システムにも反映されている。確かに前作と比べるとかなり戦闘にフォーカスしているが、何より重要だったのは、プレイヤーが自分のスタイルで各ミッションに取り組めるようにすることだ。だからこそ、戦うことは強制されない。
── 這種自由度也反映在戰鬥系統上。確實與前作相比,本作更加聚焦戰鬥,但最重要的是讓玩家能以自己喜歡的方式完成每個任務。正因如此,戰鬥絕非強制選項。

小島:戦闘を重視してくれ、などと言いたいわけではありません。ただ、メタルギアのような作品をつくってほしいという声が世界中から多く届いていて、それに応えるかたちで戦闘の選択肢を増やしました。
小島:我並不是要說請重視戰鬥之類的話。只是從世界各地收到許多希望製作像《潛龍諜影》這樣作品的聲音,為了回應這些期待,我們增加了戰鬥的選項。

とはいえ、本作も基本的には配達にフォーカスしたゲームです。マップを迂回して敵を避けてもいいし、クルマやオートバイで拠点を突っ切ってもいいし、敵と戦ってもいい。どう行動するかをプレイヤー次第にしたかったんです。戦闘を選ぶプレイヤーのためには、武器のデザインをもっと使いやすく変える必要がありました。この部分を開発しているとき、実はちょっと不安もありました。というのも、「メタルギア」を一緒に開発したメンバーの多くがいまも在籍していて、何度も「これ、ちょっとメタルギアっぽすぎないか?」って議論になったんです。意図的に似せたわけではないのですが。
話雖如此,本作基本上仍是聚焦於配送的遊戲。玩家可以選擇繞過地圖避開敵人,也可以開車或騎摩托車穿越據點,當然也能選擇與敵人戰鬥。我們希望行動方式完全取決於玩家。為了選擇戰鬥的玩家,我們必須將武器設計修改得更易於使用。在開發這個部分時,其實有些許不安。因為許多當年一起開發《潛龍諜影》的成員至今仍在團隊中,我們經常討論「這樣會不會太像《潛龍諜影》了?」雖然並非刻意模仿。

── こうした自由度の高いアプローチは、アートディレクターでありキャラクターやメカのデザインも手がける新川洋司(「メタルギアソリッド」時代から小島とタッグを組んできた)、リードレベルデザイナーの吉池博明、テクニカルアートディレクターで環境デザインを統括する内田貴之、CTO兼テクニカルディレクターの坂本海旗男といったチームの仲間たちと共に推し進められた。
── 這種高度自由的創作手法,是由藝術總監新川洋司(從《潛龍諜影》時期就與小島搭檔,負責角色與機械設計)、首席關卡設計師吉池博明、技術美術總監兼環境設計統籌內田貴之,以及技術長兼技術總監坂本海旗男等團隊成員共同推動的。

探索、戦闘、潜入などのあらゆる場面において、開発チームはプレイヤーが自分のやり方で自由に動けるツールを提供することを常に重視してきた。だからこそ、長年にわたって銃撃戦やステルス要素の改良に力を注ぎ、新たな武器やメカニクスの導入、プレイヤーの操作キャラクターであるサムを個々のプレイスタイルに適応できるよう進化させてきた。
無論是探索、戰鬥或潛入等各種場景,開發團隊始終重視提供玩家能自由行動的工具,讓玩家能以自己喜好的方式遊玩。正因如此,團隊多年來持續精進槍戰與潛行要素,導入新武器與機制,並讓玩家操作的角色「山姆」能適應各種不同的遊玩風格。

Hideo Kojima

「Death Stranding 2」のワンシーン。

COURTESY OF KOJIMA PRODUCTIONS
圖片提供:小島製作

続いて小島は、今作の舞台としてメキシコが選ばれた経緯について語った。それは自然な選択ではあったが、当初の計画は違っていたという。
接著小島談到了選擇墨西哥作為本作舞台的緣由。雖然這是個自然的選擇,但最初的計畫其實有所不同。

小島:前作「Death Stranding」では、北米大陸を東から西へ横断してつなげました。アメリカンフロンティア探検の歴史をなぞるようなかたちです。その結果、米国にはすでにUCA(都市連合)ができているので、続編でも同じような場所を舞台にするかどうか悩みました。最初に考えていたのは、プレイヤーが第1作で実現したつながりが実は大きな間違いだったと気づき、すべてのつながりを切断しなければならないという展開でした。でも、それだと前作とまったく同じ舞台を再利用することになるというのもあって、しっくりこなかったんです。
小島:在前作《死亡擱淺》中,我們讓玩家從東到西橫越北美大陸進行連結。這種形式有點像是重現美國西部拓荒的歷史。由於遊戲結局時美國已經建立了 UCA(城市聯合),我們在構思續作時很苦惱是否要沿用相同場景。最初的想法是讓玩家發現第一代建立的連結其實是個重大錯誤,必須切斷所有聯繫。但這樣等於完全重複使用前作舞台,感覺不太對勁。

── 次に人々をつなぐ場所としてオーストラリアを選んだ理由は、その地理的な特徴にあった。東から西に向かって海に面して広がり、かつ大きすぎない土地が必要だった。それに最も適しているのがオーストラリアだったのだ。さらに、そこから「プレートゲート」というアイデアが生まれた。異なる大陸同士をつなぐポータルであるプレートゲートは、将来のさらなる続編にユニークな可能性を与える。
── 選擇澳洲作為新一代人類連結場所的原因,在於其地理特徵。我們需要一個從東向西沿海岸延伸、面積又不會過大的陸地。澳洲是最符合這個條件的選擇。此外,這個設定還衍生出「板塊之門」的概念。這種連接不同大陸的傳送門,為未來可能的續作提供了獨特的發展可能性。

小島:プレートゲートのコンセプトがあれば無限に続編をつくれます! もちろん、具体的な計画はまったくありませんが。でも、ひとつだけ構想は頭にあります。ぼくが自分でつくることはないと思いますが、このプロジェクトを誰かに引き継げば、その人が実現できるでしょう。
小島:只要有傳送門的概念,續作就能無限延伸!當然目前完全沒有具體計畫。不過我腦中已有一個構想。雖然應該不會由我自己來製作,但只要把這個企畫交接給合適的人選,相信就能實現。

── 小島は続けて、今作に昼夜のサイクルを導入したことについて語った。プレイヤーはサムの部屋で眠るだけで時間を変えられるので、自分の好きな時間帯を選んでプレイすることができる。ただしこの仕様は、カットシーンの演出にいくつか小さな問題も引き起こした。カットシーンもゲーム内でプレイヤーが設定した時間帯に応じた描写で再生されるからだ。
── 小島接著談到本作導入晝夜循環系統的設計。玩家只需在山姆的房間睡覺就能改變時間,可自由選擇喜好的時段進行遊戲。不過這項設定也為過場動畫帶來些許技術問題,因為過場畫面會根據玩家設定的遊戲內時間呈現對應的光影效果。

さらに小島は、プレイヤーの行動を分析することの重要性についても語った。特に、前作「Death Stranding」における非同期型マルチプレイについてはそうした分析が重要になった。そのシステムでは、プレイヤーが設置した橋やはしごなどのオブジェクトをほかのプレイヤーと共有することができた。なかでも高速道路は特に人気を集め、前作が発売されてから5年経ったいまでもプレイヤーたちが建設と管理を続けていることには小島も驚いているという。小島本人は建設にはあまり興味がなく、プレイする際ははしごのようなシンプルな道具を使うのが好きだと語った。
小島進一步談到分析玩家行為的重要性。特別是前作《死亡擱淺》中的非同步多人模式,這類分析顯得格外關鍵。該系統允許玩家設置的橋樑、梯子等物件能與其他玩家共享。其中高速公路特別受歡迎,小島表示即使遊戲發售五年後的現在,仍有玩家持續建設與維護,這點讓他相當驚訝。小島本人坦言對建設興趣不大,遊玩時偏好使用梯子這類簡單工具。

Hideo Kojima

「Death Stranding 2」の戦闘車両。

COURTESY OF KOJIMA PRODUCTIONS
由小島製作提供

それでもこのシステムが好きなプレイヤーのために、小島は「Death Stranding 2」にモノレールなどの新たな要素を多く追加している。さらに小島は、ゲーム内での「いいね」の意味についても説明した。それはSNSの「いいね」に非常に近い仕組みで機能する。
然而,為了喜愛這套系統的玩家們,小島在《死亡擱淺 2》中新增了單軌列車等多項要素。此外,小島也解釋了遊戲中「按讚」功能的意義,其運作機制與社群媒體的「按讚」極為相似。

小島:開発チームで最初に話し合ったテーマのひとつが「いいね」でした。「いいね」は通貨ではなく、もらってもアイテムが手に入ったりキャラクターが強くなったりするわけではありません。当初、チームはこのシステムを導入することにかなり慎重でした。それは現実世界の「いいね」に近く、具体的な価値はありません。もらえると嬉しいというだけです。
小島:開發團隊最初討論的主題之一就是「按讚」。「按讚」並非貨幣,獲得後也不會得到道具或讓角色變強。起初團隊對於導入這個系統相當謹慎。這與現實世界的「按讚」很相似,沒有具體價值。純粹是獲得時會讓人開心而已。

ゲームデザイン的に見ると、ちょっと不思議ですよね。普通ならポイントを貯めてランクが上がったり、報酬がもらえたりします。でも、このゲームでの「いいね」はあくまで個人的なモチベーションです。SNSの「いいね」と同じようなものをつくりたかったんです。結果として、プレイヤーには気に入ってもらっているようです。もっと批判が来るかと思っていました。最初は反対していたチームメンバーたちも、最終的に納得していました。
從遊戲設計角度來看,這確實有點奇妙。通常遊戲會設計累積點數提升等級或獲得獎勵。但這款遊戲的「按讚」純粹是個人動機。我們想打造類似社群媒體「按讚」的機制。結果看來玩家們相當買單。原本預期會招致更多批評。最初持反對意見的團隊成員們最終也都接受了。

ルカ・マリネッリとの出会い  與盧卡·馬里內利的相遇

── 第1作、そして今回の第2作もまた、多くの有名俳優の出演によって映画とゲームの世界をつなぐ作品だ。俳優の選定について、小島はいつも人としてのつながりを基準にしていると言う。起用する俳優の多くは、もともと小島自身が映画で観てプロとしての演技に惹かれたことをきっかけに声をかけている。
──無論是首部作品還是這次的第二部作品,都透過眾多知名演員的演出,將電影與遊戲的世界連結起來。關於演員的選定,小島表示他總是以人與人之間的連結作為基準。許多受邀演出的演員,原本就是小島自己在觀賞電影時被其專業演技所吸引,進而主動聯繫的。

そうした連絡は基本的に小島が自らとる。そして、ルカ・マリネッリをはじめとする俳優本人やその事務所が小島のファンだったということも多く、話がスムーズに進むのだという。
基本上這些聯繫都是由小島親自處理。而且包括路卡·馬里內利在內的演員本人或其經紀公司,很多都是小島的粉絲,所以洽談過程往往相當順利。

小島:そんな感じでキャスティングしています。もちろんオーディションもしますが、やはり直接のつながりで選ぶことが多いです。これは「OD」や「Physint」といったほかのプロジェクトについても同じです。
小島:我們大致上就是這樣進行選角的。當然也會舉辦試鏡,但多數時候還是透過直接關係來選擇演員。這點在《OD》和《Physint》等其他專案上也是一樣的。

── ただし、ゲームの撮影は映画の撮影ほどシンプルではない。
── 不過,遊戲拍攝可不像電影拍攝那麼單純。

小島:体力的にも精神的にも、非常に負担の大きい仕事です。撮影に入る前にまず俳優をスキャンし、髪型やメイク、衣装などを決めてデータをつくります。そして、シーンを収録するためには関係者全員のスケジュール調整も必要です。
小島:無論是體力或精神上,這都是份負擔極重的工作。正式開拍前得先掃描演員,決定髮型、妝容與服裝來建立數位資料。要錄製場景時,還得協調所有相關人員的檔期。

しかも、映画と違って3、4カ月ですべてを一気に撮り終えることはできないので、開発期間中に何度も集まらなければなりません。ぼくたちにとっても俳優にとっても大変なプロセスです。3カ月で撮ってはい終わり、とはいきません。その後にはアフレコ作業もあります。ルカが演じるニールのように、カットシーンだけでなくNPCとして登場するキャラクターは、ため息、呼吸音、うめき声なども録音しなければなりません。この作業がなかなか終わらないんです。大変ですよ。当然ながら、俳優たちは同時にほかの仕事もしていますしね。
更何況,與電影拍攝不同,我們無法在三四個月內一口氣完成所有拍攝,必須在開發期間多次召集演員。無論對我們團隊或演員來說,這都是相當艱辛的過程。不可能三個月拍完就結束,後續還有配音工作。像路卡飾演的尼爾這種不僅出現在過場動畫,還會作為 NPC 登場的角色,連嘆息聲、呼吸音、呻吟聲等都需要錄製。這些後製工作遲遲無法結束,真的很辛苦。畢竟演員們同時還有其他工作在身。

Hideo Kojima

「Death Stranding 2」のルカ・マリネッリ。

COURTESY OF KOJIMA PRODUCTIONS
由小島製作公司提供

── 小島は、「Death Stranding 2」で非常に重要かつ謎に包まれたキャラクターを演じるルカ・マリネッリのキャスティングについて詳しく語った。イタリア人俳優のマリネッリが演じるニールは、これまでに公開された情報からすると、前作でマッツ・ミケルセンが演じたクリフの立場を引き継ぐような存在に思える。
──小島秀夫詳細談論了在《死亡擱淺 2》中飾演極其重要且充滿謎團角色的路卡·馬林內利的選角過程。從目前已公開的資訊來看,這位義大利演員飾演的「尼爾」,似乎將繼承前作中由麥斯·米克森飾演的「克里夫」所代表的地位。

小島:以前から何度か話していますが、ぼくはルカ・マリネッリが主演するイタリア映画『マーティン・エデン』を観て強い衝撃を受けました。観たのはパンデミック前だったかもしれませんが、日本でのプロモーションのためのコメントも書きました。その後、ルカ本人からメールが届いたんです。子どもの頃からぼくのファンで、ぼくのコメントも読んだと書いていました。ルカのほうから配給会社にぼくの詳しい連絡先を尋ねてくれて、そこから交流が始まりました。
小島:雖然之前已經提過幾次,但我在觀賞由路卡·馬林內利主演的義大利電影《馬丁·伊登》時受到極大震撼。這可能是在疫情爆發前的事了,我還為該片在日本宣傳時寫了推薦文。後來路卡本人直接發郵件給我,說他從小就是我的粉絲,也讀過我的評論。是他主動向發行商詢問我的詳細聯絡方式,我們的交流就這樣開始了。

ルカを起用することを考えたとき、そのキャラクターはマッツ・ミケルセンが演じたものを超えなければならないとわかっていました。「そんなことできるのか?」と自問しました。マッツのキャラクターは「Death Stranding 2」に戻って来ることはできないので、ファンのなかにはがっかりする人もいるはずです。だからこそ、それ以上の存在になれる人を探さなければならなかった。ルカのことを思い出したぼくは、直接メールを送って出演を依頼しました。彼はすぐに引き受けてくれました。
當我們考慮選用路卡時,就明白這個角色必須超越麥斯·米克森所詮釋的版本。「真的能做到嗎?」我不禁自問。由於麥斯的角色無法回歸《死亡擱淺 2》,肯定會讓部分粉絲感到失望。正因如此,我們必須找到能夠更上一層樓的人選。想起路卡後,我直接發郵件邀請他出演。他立刻就答應了。

──「Death Stranding 2」にはルカ・マリネッリの妻のアリッサ・ユングも出演している。彼女を小島に紹介したのはマリネッリだった。
──在《死亡擱淺 2》中,路卡·馬里內利的妻子艾莉莎·容格也參與演出。正是馬里內利將她介紹給小島認識。

小島:ルーシーというキャラクターを演じる俳優を探していたのですが、パンデミックの真っ只中だったのでなかなか見つかりませんでした。ある日、ルカに自分の“相手役”は見つかったかと訊かれて、まだだと答えました。すると、実は妻も俳優で、監督もしていると言うので、会ってみたんです。アリッサはとても素晴らしく、知的で、ルーシー役にぴったりだと感じました。ふたりをスキャンしたのはパンデミックが最高潮に達したころでした。ニールはノーマンとのシーンもあり、アリッサが演じるルーシーは主にルークとのシーンになります。これ以上はネタバレになるので、詳しくは言えませんが。
小島:當時我們正在尋找飾演露西這個角色的演員,但由於正值疫情高峰期,一直難以找到合適人選。某天,盧卡問我是否已找到他的「對手戲演員」,我回答還沒。這時他告訴我,其實他的妻子也是演員,同時擔任導演工作,於是我們就安排見面了。艾莉莎表現得非常出色,充滿智慧,我立刻覺得她就是飾演露西的完美人選。我們對兩人進行掃描建模時,正值疫情最嚴峻的時期。尼爾會有與諾曼的對手戲,而艾莉莎飾演的露西則主要與盧克有互動場景。為了避免劇透,恕我無法透露更多細節。

Hideo Kojima

「Death Stranding 2」の世界。

COURTESY OF KOJIMA PRODUCTIONS
由小島製作提供

──「Death Stranding 2」のなかでも特にお気に入りのシーンとして小島が挙げたのは、ルカ・マリネッリとアリッサ・ユングを撮影したあるシーンだ。
──在《死亡擱淺 2》中,小島特別提到他最喜歡的一個場景,是與路卡·馬林內利和艾莉莎·容格共同拍攝的某個片段。

小島:ルカはその当時、ジョー・ライト監督によるドラマ『Mussolini: Son of the Century(ムッソリーニ:世紀の落とし子)』の撮影もしていました。ニール役をオファーしたときのルカはとても美しくて、若き日のアラン・ドロンのようでした。でも、スキャンをする日にはすっかり見た目が変わってしまっていました。何があったのかと聞いたら、「ムッソリーニ役のために太っているところなんだ」と答えるんです。どうしようもなかったので、そのままスキャンしました。
小島:路卡當時同時在參與喬·萊特執導的戲劇《墨索里尼:世紀之子》的拍攝。當我們邀請他飾演尼爾時,路卡看起來非常俊美,就像年輕時的亞蘭·德倫。但到了掃描當天,他的外貌完全變了樣。我問他發生了什麼事,他回答說:「為了演墨索里尼正在增肥。」實在沒辦法,我們只好就那樣進行掃描了。

1年後にモーションキャプチャーの段階になると、彼はまたさらに違う見た目になっていました。「ああ、これは想定していたルークじゃない」と思いましたが、最終的にはデジタル処理でなんとか対応しました。大変ではありましたが、ルカの演技は実に素晴らしかった! アリッサとのシーンの多くはふたりきりで演じるものですが、現実の夫婦だからこその見事な化学反応を生み出してくれました。
一年後進入動態捕捉階段時,他的外貌又變得更不一樣了。我當時心想:「這跟預想中的路克完全不同啊」,但最終還是透過數位處理成功調整。雖然過程很辛苦,但路卡的表演實在太精彩了!與艾莉莎的許多對手戲都是兩人單獨演出,正因為是現實中的夫妻,才能產生如此絕妙的化學反應。

ルカは舞台出身で、アリッサは俳優であると同時に監督でもあります。現場ではアリッサが仕切ろうとすることもありました! 撮影はロサンゼルスにあるSIEスタジオで行ないました。ハリウッド映画で使うような巨大スタジオで、ぼくとスタッフ数人で現場の指揮に入りましたが、ほかにも技術者やメイク担当など多くの人がいました。そんな大勢の人たちが、ルカが演技を始めた瞬間に集まって見に来たんです。あれは初めての経験でした。
路卡出身舞台劇,艾莉莎則是演員兼導演。拍攝現場有時會出現艾莉莎想主導的情況!我們在洛杉磯的 SIE 工作室進行拍攝。那是在好萊塢電影等級的大型攝影棚,雖然只有我和少數工作人員負責現場指揮,但還有許多技術人員和化妝師等團隊成員。當路卡開始表演時,所有人都不約而同聚集過來觀看,那真是前所未有的體驗。

「Death Stranding」のサウンド  《死亡擱淺》的配樂

── 小島の作品は美しいサウンドトラックでも知られており、「Death Stranding 2: On the Beach」も例外ではない。本作で注目のアーティストのひとりであるウッドキッドと小島は、2020年にパリで偶然出会った。かねてから小島のファンだったウッドキッドは、そのとき自身の楽曲をひとつ演奏して自己紹介をした。小島はウッドキッドのミュージックビデオにも「Death Stranding」の世界観に通じる雰囲気を強く感じとり、そこから今作の楽曲制作への参加を依頼することを決めた。
──小島的作品向來以優美配樂著稱,《死亡擱淺 2:海灘》也不例外。本作備受矚目的合作音樂人伍德基德,其實是 2020 年小島在巴黎偶然邂逅的。身為長期粉絲的伍德基德當時演奏了一首自己的作品作為自我介紹。小島從他的音樂錄影帶中強烈感受到與《死亡擱淺》世界觀共鳴的氛圍,因而決定邀請他參與本作音樂製作。

このシリーズにおいて音楽は非常に重要な要素であり、それは前作の音楽性を大きくかたちづくったロウ・ロアーことライアン・カラジヤの死後さらに意味を増した。第2作にもライアンの家族から送られた未発表の楽曲を収録していることを小島は明かした。
在這個系列中,音樂扮演著極其重要的角色,特別是在塑造前作音樂風格的 Low Roar(萊恩·卡拉賈)去世後,其意義更加深遠。小島透露,第二部作品中也收錄了來自萊恩家人提供的未公開樂曲。

音楽の選定においても、小島は俳優のキャスティングと同様のアプローチをとる。
在音樂的選擇上,小島採用了與演員選角相似的方式。

小島:俳優を選ぶときのように、ぼくが直接アーティストに連絡をします。既存の曲を使わせてもらえないか尋ねることもあれば、新曲をつくりたいと言ってくれることもあります。そうしてやりとりが始まります。
小島:就像挑選演員時一樣,我會直接聯繫藝術家本人。有時是詢問能否使用現有歌曲,有時對方會主動表示想創作新曲。就這樣展開互動。

── 本作にはほかにも、キャロライン・ポラチェック、モンゴルのシンガーソングライターであるマグノリアン、ワルシャワとベルリンを活動拠点とするピアニストであるハニャ・ラニなどのアーティストが参加している。どの楽曲にも自分の好みが反映されている、と小島は言う。音楽によってさまざまな感性が交ざり合うことで、ゲームの世界観にさらなる奥行きが加わっている。
── 本作還有其他藝術家參與,像是卡洛琳·波拉切克、蒙古創作歌手瑪格諾莉安,以及以華沙和柏林為據點的鋼琴家哈妮亞·拉尼等。小島表示,每首樂曲都反映了他的個人喜好。透過音樂的融合,各種感性交織在一起,為遊戲的世界觀增添了更多深度。

「完成なんて無理だと思っていました」  「我原本以為根本不可能完成」

インタビューの最後に、「Death Stranding 2: On the Beach」の制作で最もやりがいを感じた点について小島に聞いた。
在訪談的最後,我們詢問小島秀夫關於製作《死亡擱淺 2:沙灘》時最有成就感的部份。

小島:難しい質問ですね。このゲームのコンセプトは、パンデミック中に完全にひとりで書きました。
小島:這真是個難題呢。這款遊戲的概念,是我在疫情期間完全獨自一人構思出來的。

(新川)洋司は週に1度くらい来てくれたけど、それ以外はほとんど誰にも会わずに作業しました。本当に大変な時期でした。一部のスタッフはまだ在宅勤務でしたし。それでも色々な困難を乗り越え、いまこうして完成を目前にしています。
(新川)洋司大概每週會來一次,但除此之外我幾乎都是獨自作業。那真的是段非常艱難的時期。部分員工仍維持居家辦公。儘管如此,我們還是克服了各種困難,現在終於即將完成這部作品。

パンデミック中は、完成なんて無理だと思っていました。どのスタジオも同じように感じていたと思います。撮影もできないし、すべてが止まってしまっていて、「こんな状況でどうやってゲームをつくればいい?」と悩みました。でも、本当に多くの人の支えがあったおかげで、もうゴールは目の前です。パフォーマンスキャプチャーを始めたのは21年だったと思いますが、そのころはロサンゼルスに行って演出を直接指揮することができませんでした。スタジオから渡航が許可されなかったので。それはどこのスタジオも同じでしたが。だから、すべてをリモートで行なうしかありませんでした。東京からロサンゼルスの現場にオンラインでつないで制作を進めました。
疫情期間,我一度覺得根本不可能完成。我想所有工作室都面臨同樣困境。無法進行拍攝,一切停擺,我苦惱著「這種情況下到底該怎麼製作遊戲?」但多虧有許多人支持,現在終點線就在眼前。我記得是 2021 年開始動作捕捉的,但那時無法親自飛往洛杉磯指導演出。因為工作室不允許出差,這點所有公司都一樣。所以我們只能全程遠端作業,從東京透過網路連線指揮洛杉磯現場的製作。

Hideo Kojima

「Death Stranding 2」サムとルー。

COURTESY OF KOJIMA PRODUCTIONS

俳優たちは当然スタジオに行きましたが、わたしは遠隔で「ここに立って」「あそこを歩いて」「こうやって」などすべてを説明しなければならず、とても難しい作業でした。iPadやスマホを使って指示を出していましたが、あまりうまくいかなくて。頭がおかしくなりそうだ、と思ったこともありました。
演員們當然是到工作室報到,但我必須遠端指揮「站在這裡」、「走到那邊」、「這樣做」等所有細節,這是非常困難的工作。雖然嘗試用 iPad 或手機下達指令,但效果不太理想。有幾次真的覺得自己快要瘋掉了。

そんなとき、ソニーで働く知人が「mado」を開発したんです。日本語の「窓」です。それは巨大なスマートフォンのようなもので、ドアのようにも見えるモニターで、双方向で映像と音声をやりとりできる装置です。そのモニターの前に立てば、ロサンゼルスのスタジオの内部が見えました。音も映像もすべてリアルタイムで届きます。そこを通って向こう側に行くことはできないのが残念ですが。この「mado」を2台貸してもらって、おかげで必要な映像をどうにか撮影できました。ノーマンも「mado」のすぐそばまで近づいてきたことがありましたよ。
就在那時,一位在索尼工作的朋友開發了「mado」——日文意思是「窗戶」。這是一個類似巨型智慧型手機的裝置,看起來像門的顯示器,能夠雙向傳輸影像和聲音。站在那個螢幕前,就能看見洛杉磯工作室內部的實況,聲音和畫面都是即時傳送。可惜的是無法真正穿過它到達另一邊。我們借用了兩台「mado」,總算設法拍到了需要的畫面。諾曼(Norman)也曾經靠近到幾乎貼著「mado」的位置呢。

大変だったけど、素敵な体験でもありました。対面での作業なら、その場で直接話してすぐに変更もできます。でもリモートだと、週1や月1のミーティングになってしまい、どうしても進みが遅くなる。ときには、すでに却下されたアイデアに誰かがまだ取り組んでいることが判明する、なんてこともありました。どのスタジオでも同じような問題が起きていたと思います。それで、いちばんやりがいを感じたのは何か、ですよね。それは結局、こうして最後までやり遂げて、このゲームを完成させられたことです。
雖然過程艱辛,但也是難得的體驗。如果是面對面工作,當場就能直接討論並立即修改。但遠距作業時,會議頻率變成每週或每月一次,進度難免拖延。有時甚至會發現,有人還在執行早已被否決的提案。我想每個工作室都面臨過類似問題。要說最有成就感的事?終究還是像這樣堅持到底,完成了這款遊戲。

(Originally published on wired.ITALIA, translation by Risa Nagao/LIBER, edited by Nobuko Igari)
(原文刊載於 wired.ITALIA,由長尾理沙/LIBER 翻譯,五十嵐信子編輯)

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