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きらきら星のワルツ/町的小说

きらきら星のワルツ  闪烁星光的华尔兹

94,610字3小时9分钟

「きらきら星のワルツ」  《闪烁星光的华尔兹》
A6/356P/全年齢/3000円  A6 尺寸/356 页/全年龄向/3000 日元
※イベントではノベルティーのうちわ(先着順)が付きます。
※活动现场将赠送限量团扇(先到先得)。

また、性行為そのものの描写はないですが事後や上半身丸出しなどの描写があります!!
此外,虽然没有直接的性行为描写,但包含事后场景及上半身裸露等情节!!


素敵な表紙はきょたさん(@kiyotamaru_2)に描いて頂きました!!
精美的封面由きょた老师(@kiyotamaru_2)绘制!!

装丁は全て餃子さん(@gyouz4)にデザインして頂きました!
整体装帧设计均由饺子老师(@gyouz4)完成!


✦本のあらすじ✦  ✦故事梗概✦
女の子として生まれた潔世一が大学の夏季休暇にドイツに渡り色々あってカイザーと出逢い恋に落ちる、二ヶ月間のアバンチュールなラブコメ。
以女孩身份诞生的洁世一在大学暑假前往德国,经历种种邂逅凯撒并坠入爱河,为期两个月的浪漫爱情喜剧。

捏造満載かつ、男じゃないが故に世一がそもそも青い監獄に行けてないifの世界です。
本故事纯属虚构且因性别差异,设定中世一从未进入蓝色监狱的平行世界。

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後部座席が紙袋でいっぱいになった車に乗って。  坐进后座堆满纸袋的车里。
ゆったりとした運転──アレはなんの建物なのかとか、カイザーが解説しながら運転してくれたから──で辿り着いた場所は、やっぱり敷居が高そうなレストランだった。
悠闲的驾驶途中——凯撒边开车边讲解那些建筑是什么来头——最终抵达的目的地,果然还是家看起来门槛颇高的餐厅。

ただ、世一はさっきの高級百貨店ブロイニンガーで身嗜みをしっかり整えて貰っていたので。
只不过,世一刚才在那家高档百货店里已经让人好好打理过仪容了。

勿論緊張はするけれど、でもそこまで強い場違、、い感、、はもう感じなかったというか。うん。
虽然当然还是会紧张,但已经不会觉得特别格格不入了。嗯。

見た目って大事なん綺麗な格好をしていると自信に繋がるんだなと、身を持って実感したり。  亲身感受到外表果然很重要呢。

日本に帰ったら、勉強の合間にもうちょっと服装とかメイクとか頑張ってみようかなと思う。
想着等回日本后,在学习间隙也要多花点心思在穿搭和化妆上。

いきなり全部変えるのは照れ臭いから。とりあえず、スキンケアから見直す感じで。
突然全部改变会让人难为情,所以先从重新审视护肤步骤开始吧。

──あと、セレブ仕草って、やっぱり凄いなと思う。  ──还有就是,明星的举止果然很厉害呢。
というのもカイザー、レストランの入口で車を降りたと思ったら、そのまま入り口で待ち構えていたスタッフさんにキーを渡して車ごと預けてしまったのだ。
因为凯撒刚在餐厅门口下车,就直接把车钥匙交给等候在入口的工作人员,连车一起托管了。

なんでもバレーパーキングというサービスの一貫らしく。
据说这是代客泊车服务的一部分。

駐車を始めとした車の管理を全部を、レストラン側が代行してやってくれるんだそう。マジで凄い世界だ。
听说连停车在内的所有车辆管理都由餐厅代为处理。真是个厉害的世界啊。

「……は~~、ホントお洒落。もうさ、予想はついてるんだけど。ここ絶対に高いトコだよね」
"……呼——真的好时髦。虽然已经猜到了,这里绝对是个超贵的地方吧"

高い天井の、夜景が綺麗に見える景観の良い席。  高挑的天花板下,能欣赏美丽夜景的景观座位。
周りにはさり気なく柱とかが立ち並んでて、他のお客さんからの視線が届かない様になっている。
周围巧妙地竖立着几根立柱,巧妙地阻隔了其他客人的视线。

つまりここは、どう考えても色ん、、配慮、、のされた、VIP席。
也就是说这里怎么看都是经过各种考量的 VIP 席位。

まあ入口から既にちょ、、っと、、違う、、感じ、、だったから、そうなんだろなとは思ってたんだケド。
嘛,从入口开始就感觉有点不一样,所以我也猜到大概是这样啦。

「まァ、ミュンヘンが誇るミシュラン三ツ星ではあるな」
"嗯,毕竟是慕尼黑引以为豪的米其林三星餐厅呢"

「うわーッ! わ、わかってたけど、人生で初めて三ツ星レストラン入った……!」
"哇——!虽、虽然早就知道,但这可是我人生中第一次进三星餐厅啊……!"

「ふふ」  「呵呵」

勿論小声だけど、それでも高い声が出てしまう。  虽然刻意压低了声音,却还是忍不住发出高亢的音调。

でも、ここが三ツ星レストラン。  但这里毕竟是米其林三星餐厅。
そう言われると、さっきは服装メイクのお陰で乗り越えたつもりになれてた敷居が、突然エベレスト並みの高さに感じ始めてしまう。
被这么一说,方才还觉得靠衣着勉强跨过的门槛,此刻突然变得像珠穆朗玛峰般高不可攀。

あと、こんな機会なんてもう絶対に訪れないだろうし。正直、キョロキョロと周りを見渡してみたいけど。
而且,这样的机会恐怕再也不会有了。说实话,真想东张西望地好好看看周围。

でもそれをするのは普通に恥ずかしいので、手元にあったメニュー表をなんとなしに開いて──秒速でパタリと閉じた。
但这样做实在太羞耻了,只好随手翻开桌上的菜单——又飞快地合上了。

「……水一杯なら、なんとか」  "......一杯水的话,勉强还能应付"
「世一に出させるワケないだろ」  "怎么可能让世一请客"
「いやいやいや」  “不行不行不行”

──この、さらりと出される〝奢りますよ〟感、マジで慣れないな……。
——这种随口就说出“我请客”的感觉,真的让人很不习惯啊……

というか絶対、これは慣れちゃいけないヤツ。これに慣れた絶対に金銭感覚が狂う終わるぞぞ、なんて。
或者说,这绝对是绝对不能习惯的事情。要是习惯了这种状态,金钱观绝对会崩坏的,之类的。

思いながら、世一はもにょもにょと唇を動かしていく。
这样想着,世一蠕动着嘴唇含糊地嘟囔着。

つまり水ですら恐ろしく高かった事実に、世一は完全に萎縮していた。
面对连水都贵得离谱的事实,世一彻底蔫了。

「……三ツ星って意識し始めたら、なんかいきなり緊張してきたかも。ねえ、もう席座っちゃったけどさ、もうちょっとフランクな感じのトコとか……」
"……一说要开始在意米其林三星,突然就紧张起来了。喂,虽然已经入座了,但要不要换个更随性点的地方......"

「店の変更か? いいぞ、実は五ツ星ホテルラウンジも候補に入れてたんだ。腕のいいシェフがいて、」
"要换店吗?好啊,其实五星级酒店酒廊也在候选名单里。那里有位手艺超群的主厨,"

「──お星さまはね、三つくらいがきらきらしてて丁度いいよね。こちらのレストランのままでお願いします」
"──星星啊,三颗左右闪闪发亮就刚刚好呢。请让我们继续在这家餐厅用餐吧"

あわよくば割り勘が出来るトコに、と目論んだことがバレたのか。
八成是盘算着"说不定能 AA 制"的心思被看穿了。

にこやかな笑みで言外に〝もっと多い星高いランクに変更したいか?〟と圧をかけられて。世一は秒で降参の意を示した。
对方挂着亲切的笑容,言外之意却施加着"要不要换成更多星星?"的压力。世一立刻秒怂表示投降。

だって三ツ星でこんなに高いのに、五ツ星とかもうどうなるんだ。
毕竟三星就这么贵了,五星还得了啊。

てか五ツ星ってなに? そんなのあんの? 星が増えるほど強くなるとか? 七つ集めたら願いでも叶うの??
话说五星是什么东西?真有这种吗?难道星星越多就越强?集齐七颗还能实现愿望不成??

「──あぁ、ありがとう」  "──啊,谢谢"
「えっあ、ありがとうございます……」  "诶啊,非常感谢......"

なんて思っていたら、いつの間にか傍に立っていたウェイターさんに、無言で透明感のあるピンクの呑み物──泡があるから、多分シャンパン?──を注がれて。
正这么想着时,不知何时站在身旁的侍者默默递来一杯通透的粉色饮品──带着气泡,大概是香槟?──

それに吃驚していれば、グラスを手に取ったカイザーが唇を釣り上げ囁いてくる。
正当我为这意外愣神时,拿起酒杯的凯撒勾起嘴角轻声说道。

「ウェルカムドリンクだ。ロゼのシャンパーニュ。ヴィンテージは基本辛口しかないから、呑みやすいものを頼んだんだ。ほら、乾杯」
"这是欢迎饮品。玫瑰香槟。年份酒基本只有干型的,所以我点了容易入口的。来,干杯"

「あ! えと、乾杯」  "啊!那个,干杯"

つまりは、世一が緊張しないように、先に色々頼んでてくれたんだろうか。
也就是说,为了让世一不紧张,凯撒事先就点好了各种东西吧。

いつの間に、と思いながら。グラスを傾け微笑むカイザーに倣って、世一もグラスを軽く持ち上げる。
正想着"什么时候准备的",世一模仿着倾斜酒杯微笑的凯撒,也轻轻举起了酒杯。

そうして真似するように、試しにひとくち。  于是我也学着他的样子,试探性地抿了一口。

「……ン〜〜、甘くて美味しい! いつもビールかラドラーだったから、凄く新鮮!」
"……嗯~~,好甜好好喝!平时都喝啤酒或拉德勒,感觉特别新鲜!"

──口に果実の香りが広がると同時に、まろやかに弾けるシャンパンの舌触り。
——当果香在口腔中扩散的同时,香槟柔和的泡沫在舌尖轻盈绽放。

甘くて、凄く呑みやすい! 見た目からして取っ付きにくさを感じてたけど、予想外の美味しさにくぴりとまた一口呑んでしまう。
甜甜的,超级容易入口!虽然从外观上看觉得会很难接受,但出乎意料的美味让我忍不住又灌下一口。

でも甘くって、マジで美味しい!   但这甜味,真的超好喝!
甘いお酒好きだから、嬉しい!  我最喜欢甜酒了,好开心!

「お口に合ったようで何よりだ。世一はやっぱり甘口の方がお好み?」
"合您口味真是太好了。世一果然更喜欢甜口的吧?"

すると、同じようにシャンパングラスに口を付けながら、カイザーがこちらをチラリと見詰めてきて。
这时,同样将香槟杯凑到嘴边的凯撒,朝这边轻轻瞥了一眼。

その、微笑ましいものを見るような眼差しに。  那眼神,仿佛在注视着什么令人莞尔的事物。
途端、はしゃいでる自分がなんだかとても子供っぽく感じてしまう。
突然间,感觉自己欢闹的样子显得格外孩子气。

端的に言うと、すごく気恥ずかしくなってきた。  直白地说,就是感到非常难为情。

「ン、うん。多分そっちのが呑めると──……」  "嗯,嗯。可能那样更容易喝下去——……"
「ん? どうかしたのか?」  "嗯?怎么了?"

だから、照れ隠しのように答えようとして──ふと、手元、、見る、、
于是,为了掩饰害羞正想回答——突然,目光落在手上。

そう、シャンパーニュ、つまりシャンパンを。お酒、、ウェ、、ルカ、、ドリ、、ンク、、を!
没错,香槟,就是香槟酒。作为欢迎饮料的酒!

「お、おさ……ッ! え!? か、カイザー車で来てたよね!?」
"啊、啊糟...!诶!?你、你是坐凯撒车来的对吧!?"

「? そうだな」  “? 说的也是”
「い、呑酒運転になるんじゃ……!?」  “该、该不会要酒驾吧……!?”

なんだか、お店の空気に流されて普通にお酒呑んじゃってたけど。カイザーが呑んでるのを見守っちゃってたけど。
不知怎么的,被店里的氛围带着就自然而然地喝起酒来了。虽然一直看着凯撒在喝。

でも冷静に考えると、え、帰りの運転どうするの……?
但冷静想想,咦,回去的时候谁来开车啊……?

「あァ。ドイツは程度には寄るが呑酒運転は許されてるからな。だから問題はない」
"啊。德国根据程度是允许酒驾的。所以没问题"

「ウッソそうなの!?」  "真的假的!?"

思わず、ギョッと目を剥いてしまう。  我不由得瞪圆了眼睛。
でもだって、知らん情報すぎるってか──ドイツやばくね!?
但这信息也太惊人了吧——德国也太乱来了吧!?

呑酒運転合法って、そんなん事故ったらどうするつもりなのか。
酒后驾驶合法化?要是出事故了打算怎么办啊。

てかつまり、酔っぱらいが街の往来を運転してるってコト!? 何それ怖すぎる。
说白了就是醉汉在街上开车乱窜!?这也太吓人了吧。

いやそりゃドイツ人は日本人の世一よりもアルコール耐性ありまくりなんだろうけど。
虽说德国人的酒精耐受度肯定比日本这个全球第一的还要强得多。

ビールとか馬鹿みた水か?ってくらいに呑むし。  他们喝起啤酒来简直不要命似的。

でもアルコールって、認知機能低下するっていうし。  但酒精据说会导致认知功能下降啊。
普通にやっぱり、ミラも呑んだ後に足元覚束なくなってたりするし……。
说起来,米拉喝完酒后也经常脚步不稳呢……

「……〜〜~いや怖いって! シーズンはこれからだし、事故ったりとかあるじゃん」
"……啊啊不要啦好可怕!赛季才刚开始,万一出事故怎么办"

だから、世一が悩み悩みの果て文化の違いを考慮した末に絞り出した言葉に。  所以,这就是世一苦思冥想后挤出来的这句话。
けれどカイザーは、何も気にする素振りもなく。むしろワザとらしく両手を広げながら、軽い口調でこう答えてみせたのだ。
然而凯撒却毫不在意地,甚至刻意夸张地张开双臂,用轻快的语气这样回答道。

「じゃあ帰りは代行頼む。それなら安心だろ?」  "那回程就拜托代驾了。这样总该放心了吧?"
「え、ン……まあ、それなら」  "诶、嗯...好吧,既然这样"

──え、めっちゃ素直だ。  ──咦,居然这么坦率。
正直抵抗されると思ったので。普通に肩透かしである。
本以为会遭到正直的拒绝。结果却扑了个空。

いや抵抗されたら困っちゃってたんだけど。どうにもできないし。
其实要是真被拒绝反而会困扰呢。毕竟我也束手无策。

「実を言うと、そこまでアルコールに執着してるワケじゃあないんだ。ただ、アルコールは気分をリラックスさせるだろ? だから、世一と楽しく会話できたらと思ってさ」
"说实话,我倒也没那么执着于酒精。只是酒精能让人放松心情对吧?所以想着要是能和世一愉快聊天就好了"

すると語られた、呑酒、、理由、、|に。  他如此道来|饮酒的理由。
つまりこれは、自分への気遣、、なのだとやっと気付いた世一は──ハッとしながらなんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになってきてしまう。
终于意识到这是对方对自己的体贴,世一不由得——猛然惊觉般涌起满心愧疚。

「……! そ、そっか。えと、なんかごめん」  "……!原、原来是这样。那个,对不起..."
「謝ることじゃない。世一は選手を心配してくれたんだろ? 嬉しいよ、ありがとう」
"不必道歉。世一是在担心我吧?我很开心,谢谢你。"

「……うん。こちらこそ、ありがとう」  "……嗯。我才要谢谢你。"

──フォローまで、されちゃった。  ──居然连关注都回关了。
なんか本当に、カイザーってなにからなにまでスマートだ。
怎么说呢,凯撒这人真是从里到外都透着潇洒。

そう思ったら、また居た堪れなくなっちゃって。  这么一想,又觉得坐立难安起来。
気を取り直すように、手にしたシャンパンをくぴりと呑み込む。
为了振作精神,我举起手中的香槟抿了一口。

甘いシャンパンの味。  香槟的甜味。
さっきの話を聞いた所為か、口の中でパチパチ弾ける泡の刺激になんだか肩に入ってた力が抜けた気がして。
或许是听了刚才那番话的缘故,口腔里噼啪作响的气泡刺激感,似乎让紧绷的肩膀不知不觉放松了下来。

確かにアルコールって、リラックス効果あるのかも、なんて。思いながら、世一はまた一口喉に流していくのだ。
酒精确实有让人放松的效果呢——世一边这么想着,又往喉咙里灌了一口。

「さて、では気を取り直して、だ」  "好了,现在重新打起精神来吧。"

そう言って、カイザーがチラリと視線をどこかへ向ければ。
他这么说着,凯撒的目光不经意间投向某处。

途端に料理が運ばれ出して、世一は迷った末にウェイターさんにぺこりと頭を下げる。
话音刚落,料理就被端了上来,洁世一犹豫片刻后向服务员微微鞠躬。

こういうコト、してもいいのかわかんないけども。こういう時のマナー、ちゃんと調べてくればよかった。
虽然不太确定这样做是否合适。早知道就该好好查查这种场合的礼仪规范了。

「夜は長いからな。存分に楽しもう」  "夜晚还很长呢。让我们尽情享受吧"
「ん、うん。ふふ、美味しそー!」  “嗯,嗯。呵呵,看起来好好吃!”

お皿の上の、見たことのない料理。これがコース料理なのかも、正直よくわかんない。
餐盘上从未见过的造型。说实话,也不太清楚这是不是所谓的法式料理。

でも多分、カイザーは世一、、向け、、に用意してくれたんだなとも、思うので。
不过我想,这大概是恺撒特意为社交场合准备的吧。

これ以上、下手にガチガチになってるのは逆に失礼だよね、なんて。
再这样僵硬拘束下去反而显得失礼了呢——这样想着。

思いながら、世一はセットされたカトラリーにそっと手を伸ばしたのである。
世一一边想着,一边悄悄伸手拿起了摆放好的餐具。

✦✦✦

そうして、お酒と食事が順々に進んでいって。  就这样,酒菜依次上齐。
気付けば世一は───カイザーとのサッカー談義に、完全にのめり込んでしまっていた。
不知不觉间,世一已经完全沉浸在与凯撒的足球话题中。

いやでも、現役プロ選手とするサッカーの話、マジで楽しすぎる……。
不过说真的,能和现役职业选手聊足球,实在太令人兴奋了……

というのも、カイザーの視点と思考回路って凄く面白い、いや凄く気持、、いい、、のだ、、
因为,凯撒的视角和思维方式真的非常有趣,不,应该说是令人极度舒适。

時に自分の盲点想定外だった部分を突かれたり、時に同調シンクロするように相手の言いたい事が先回りして理解できたり……。
时而能精准指出我自己都没意识到的盲区,时而又能提前洞悉并同步理解对方想表达的内容……

何と言えばいいのか。このドイツに来て、本場ドイツのサッカーに触れてバチバチに活性化していた世一の脳に、心地よい刺激を与えて来るというか。
该怎么说才好呢。来到德国后,接触到正宗德国足球而处于高度兴奋状态的世界第一大脑,仿佛被注入了令人愉悦的刺激。

例えるなら、そう──〝世一がこう在りたかった選手としての姿思考〟とでも言うべきか。
如果要比喻的话,大概就是——"世界第一理想中的球员模样"这样的存在吧。

もしも自分が男で、そして現役のサッカー選手だったら。
如果我是个男人,而且还是现役足球选手的话。

きっとこう考えて、こう動いてただろうなという、その〝理想〟に──カイザーが、ピッタリとハマっている感覚があるのだ。
这种"理想"状态——凯撒完美契合的感觉,他一定会这么想,也一定会这么做吧。

そうしてそれは多分、世一のイタ、、勘違いでは、恐らくないのだと思う。
而且这大概,并非世界第一的自作多情。

何故なら段々とカイザーの方も、会話を相談、、の方向に舵を切り始めているように感じるので。
因为渐渐地,凯撒似乎也开始把对话转向商量的方向了。

「──ならさ、ほらあの8番の……えっと、ネス選手だっけ。むしろあっちのパス制度を上げて貰うとかは?」
"──那不如这样,你看那个 8 号选手……呃,是叫内斯吧?干脆让他多传球怎么样?"

「ネスの?」  "内斯的?"

ちなみに今の議題は〝どうやってマグヌス、、を成功させるか〟というモノ。
顺便一提,现在讨论的议题是"如何让马格努斯射门成功"。

というのも、カイザーが時々盛大にシュートをすっ、、ぽか、、てたのは、なんでもマグヌスという〝カーブするシュート技新・皇帝衝撃波〟を完成させようとしてのコトだったらしい。
因为据说凯撒时不时会严重射偏的原因,似乎是为了完成那个叫"马格努斯"的"弧线射门技巧"。

まァ、納得だ。突然制御ミスノーコンになるの、おかしいとは思ってたんだよ。
确实,这样就能理解了。突然出现控制失误,我也觉得挺奇怪的。

「そ。だってボールが止まってたら入るんでしょ。だから止まるパスを打たせる。それをカイザーが打って、マグヌス成功」
"没错。因为球停住的话就能打进去对吧。所以要让对方打出会停住的球。然后由凯撒来击球,马格努斯就能成功"

「超絶技巧じゃねーか」  "这技巧也太逆天了吧"

美味しい料理ですっかり緊張も解けたのか、お互、、口調もかなりフラ、、ンク、、になったように感じる。
或许是因为美味的料理彻底缓解了紧张,感觉彼此的说话方式都变得相当随意了。

つまり楽しい。ミラと呑んでる時みたい。  简直太开心了。就像和米拉一起喝酒时那样。

その流れで──世一が自分の言葉に合わせて指を三本立てていけば、カイザーに鼻で軽く笑われたけど。
顺着这个势头——当世一配合着他的话语竖起三根手指时,虽然被凯撒用鼻子轻蔑地哼了一声。

でも、小馬鹿にしたモノには感じなかったから。だから世一は、気追うことなくニッと口角を上げながら囁いていくのである。
但并没有感受到被小瞧的意味。所以世一毫不拘束地扬起嘴角,笑眯眯地继续低语道。

「カイザーだってやろうとしてることは超絶技巧じゃん。あくまで可能性出来たらの話だよ」
"凯撒你追求的不也是超绝技巧嘛。说到底只是可能性的话题啦"

「……まぁ、一理はあるな。めちゃくちゃだが」  “……嗯,确实有几分道理。虽然有点乱来。”

空になったお皿が、新しいお皿──もうデザートなんだ──に取り換えられていく。
空盘子被陆续撤下,换上了新的餐盘——已经是甜点时间了——

これにも、最初はワタワタしちゃったけど今はもう大分慣れて来た。ので、取り敢えずウェイターさんの目を見て微笑みながら会釈しておく。
最初面对这种服务时还会手忙脚乱,如今倒是相当习惯了。于是我抬头迎上服务生的视线,边微笑边点头致意。

「──というか、選択肢プレースタイルの固定化にマンネリ行き詰まり感じてるんだったらさ、いっそネス選手に自由にやらせちゃうのもありな気がする」
“——话说回来,如果觉得固定选项太单调的话,干脆让涅斯选手自由发挥说不定也不错呢”

「ネスを自由に? 何故だ」  "让内斯自由?为什么"

運ばれてきた、デザートのプレート。  送来的甜点盘。
見た目はマフィンやマドレーヌを彷彿とさせる質感の、円形のケーキ。
外观让人联想到马芬蛋糕或玛德琳蛋糕质感的圆形蛋糕。

上にはベリー系なんだろうシャーベットアイスが綺麗に盛られていて。
顶部漂亮地装饰着应该是浆果味的雪芭冰淇淋。

天辺にちょこんと乗ったミントからも、夏向けのデザートなのが見て取れる。美味しそう。
从杯沿点缀的薄荷叶也能看出,这是款夏日特调甜点。看起来就很美味。

だからきっとサッパリ系なんだろうと安心してパクリと一口──めっちゃラムっぽいお酒の味するなコレ。つかラムじゃん。
于是放心地认定这肯定是清爽系饮品,啊呜一口咬下去──这酒味怎么这么像朗姆。不对根本就是朗姆酒吧。

美味しいけどここに来てアルコール系が来るのはちょっと予想外かも。マジで美味しいけど。
虽然好喝,但突然出现酒精饮料还是有点意外。真的超好喝就是了。

「ン、ほら、今まで良くも悪くもカイザーに従順だったネス選手がさ、突然自由で創造性の高いクリエイティブなパスを出すようになったら。初見の敵は、間違いなく混乱すると思う。だって天変地異みたいなもんじゃん?」
"嗯,你看啊,向来对凯撒言听计从的内斯选手,突然开始踢出自由又富有创造性的传球。初次交手的敌人绝对会懵圈吧?简直像天地异变似的对吧?"

一口を咀嚼し終えた後、一息にそう言い切れば。  咽下一口蛋糕后,他斩钉截铁地说道。
同じ様にケーキを口にしていたカイザーが、愉快そうに口許に手を当てていく。
同样在享用蛋糕的凯撒,愉快地用手掩住嘴角。

──そういう仕草もまるで映画のワンシーンみたいにになってるんだから、白人ゲルマン系の美人て凄い。これはミラとかもそうだけど。
——连这种小动作都像电影场景般优雅,混血美人果然厉害。米拉也是这样呢。

「ふ、そんなに?」  "呵,有这么夸张?"
「そんなにー。ン、ん! このシャーベット美味しい! サッパリしてる」
“这也太——嗯,嗯!这个冰沙好好吃!好清爽”

「ふふッ、それはよかった」  “呵呵,那就好”

パクパクとシャーベットとラムケーキを一緒に口に入れて堪能する世一を、楽しそうに見てくるカイザーに。
看着世一大口大口地同时享用冰沙和朗姆蛋糕的满足模样,凯撒露出了愉快的笑容。

なにがそんなに面白いんだかと、思わなくもないけれど。
虽然心里不免嘀咕着“到底有什么好笑的”。

でもまぁ、減るものではないので。  不过嘛,反正也不会少。
アルコールが回ってふわふわしてきた頭で、世一も機嫌よく頬をまろやかな形にしていく。
酒精作用下晕乎乎的脑袋让世一也心情愉悦地舒展了柔和的眉眼。

「──それに、そんな法則性のないパスを予測して、支配するコトが出来たらさ。カイザーの選択肢は、今よりもずっと多くなると思う」
"──而且啊,如果能预测并掌控这种毫无规律可言的传球。凯撒的选择余地会比现在多得多吧"

「! つまり、これからは即興性重視にしろと?」  "! 所以你是说要开始重视即兴发挥?"

途端、猫のように細められたカイザーの蒼い瞳が、世一に鋭く向けられたけど。
突然,凯撒那双如猫般眯起的蓝眼睛锐利地投向世一。

でもそのどこか挑戦的な眼差しを、世一は真っ向から受け止めて。
但世一毫不闪躲地迎上那道挑衅般的目光。

むしろこちらも──お行儀悪いかもだけど──ピッとフォークの先をカイザーの方へと向けていくのだ。
反倒更过分地——虽然可能不太礼貌——将叉子尖径直转向凯撒的方向。

「カイザーなら、先読み出来るでしょ。一見意味不明な、思いつき100%クリエイティブ全振りの即興パス。むしろ完璧に従えてコントロールしてみたくない?」
"如果是凯撒的话,应该能预判吧?看似毫无章法、灵感 100%的即兴传球。不如说,我反而更想看看你能不能完美接住呢?"

今の規則正しくイイ、、コちゃん、、なネス選手が、果たしてどこまで自由気まま無邪気な猫ちゃんになれるかは、わかんないけど。
虽然不知道现在这个循规蹈矩的乖孩子尼斯选手,究竟能放纵到什么程度。

でも、やってみる価値はあると思うし──カイザーなら多分、出来る気がするのだ。
不过,我觉得值得一试——而且总觉得若是凯撒的话,或许能做到。

その根拠理論を問われたら言葉に詰まっちゃうけれど。それでも、心からそう思うから。
虽然被追问依据时会语塞。即便如此,我仍发自内心这么认为。

「……簡単に言ってくれるな?」  「……你说得倒轻巧?」
「んふふー。外野理想論ですから」  「嗯呵呵~因为是在外场嘛」

そう言って、大分氷が解けたカクテルをくぴりと呑み切る。
说着,他将融化了大部分冰块的鸡尾酒一饮而尽。

味は氷で薄くなっちゃったけど、でも水分が補充出来て丁度いいかも。
虽然味道被冰块稀释了,但正好能补充水分也不错。

なんか、結構アルコール回ってきてる気がする。  总觉得酒精开始有点上头了。

「……グラスが空いたな。次は何を呑む? 呑みやすさで言えば、これとかオススメだな。ラムにパイナップルやライムが入ったトロピカルな風味だ」
「......杯子空了。接下来喝什么?要说容易入口的话,我推荐这个。朗姆酒混合菠萝和青柠的热带风味调酒」

「へー、美味しそう! ……でも、これ以上呑んだらドイツ語わかんなくなっちゃうかも」
「哇,看起来好好喝!……不过再喝下去可能连德语都说不利索了」

吐いたり気持ち悪くなったりするタイプではないけど。
我倒不是会吐或者难受的类型。

そしてドイツに来てから結構呑むようになったんだけど。
其实来德国之后酒量倒是见长。

でもいつも、ミラと呑む時はチャンポンしないお腹で複数のお酒を混ぜないようにラドラー一択だったから。
不过和米拉喝酒时,为了不混着喝总是只选拉德乐啤酒。

今日みたいに色んなお酒を呑みまくって、どうなるのかが自分でも見当がつかない。
像今天这样狂饮各种酒,连我自己都不知道会变成什么样子。

だけどそれでも手が止まらないくらい、ここのお店のカイザーが勧めて来るお酒カクテル、すっごく呑みやすくて美味しいんだよな。
但即便如此还是停不下来,这家店的酒实在太顺口太好喝了。

だからもう一杯くらいは、行ける気がしなくもないというか。
所以感觉再来一杯也不是不行。

けど、ン~~、ほんとドイツ語、わかんなくなっちゃいそうなトコはある……。
不过,嗯~~德语什么的真的快要搞不懂了……

「あァなら──これをどうぞ、レディ?」  「啊呀──那这个给你,女士?」

そう言って、カイザーが差し出してきたモノ。  凯撒边说边递过来的东西。
それは黒いケースの───なんだこれ、イヤホン?  那是个黑色盒子的───等等这是什么,耳机?

「……? イヤホン?」  「……?耳机?」
「高精度の翻訳機能付きイヤホンだ」  "这是带高精度翻译功能的耳机"
「へぇ。翻訳機能付きってすごいね。付けてみてもいい?」
"哇哦,带翻译功能好厉害啊。可以试戴一下吗?"

「勿論。実は二台ある」  "当然。其实有两副呢"
「んふ、準備万端じゃん」  "嘿嘿,准备得真周到"

ケースに印字されたロゴは、え、MIKAGE日本の大手企業じゃん。
盒子上印的 logo,咦,这不是 MIKAGE 吗?

なんかアパレルのイメージあったけど、へ~~こういうのも作ってるんだ、なんて。思いながら、耳にイヤホンを装着してみる。
虽然印象中是个服装品牌,没想到还会做这种东西啊~一边这么想着,一边试着把耳机戴上了。

付け心地いいな。イヤーピースのサイズSにしてくれてるのかも。
佩戴感真不错。可能特意给我配了小号的耳塞吧。

ほんと、カイザーって気遣いがしっかりしててスマートだ。抜け目ない。
凯撒这人真是既体贴又周到,做事滴水不漏呢。

「さて、翻訳は……うわ、えっ? 待ってカイザーなんか喋ってみて!」
"那么,翻译就……哇,诶?等等凯撒你居然会说日语!"

「今のは日本語か? しっかり聴こえてるよ」  "刚才那是日语吗?我听得清清楚楚哦"
「え! え! ヤバ! すご!」  "诶!诶!糟了!好厉害!"

付けて話した瞬間に──日本語に訳された、自分のドイツ語に。
在接通对话的瞬间——我的德语就被实时翻译成了日语。

テンションが上がったままカイザーにもドイツ語を強請れば、それも見事に日本語に翻訳されて。
情绪高涨之下又缠着凯撒说了几句德语,结果也被完美翻译成了日语。

久々に聞いた母国語に嬉しく──いや、これ、もっと色々話せるやつだ! うれしい!
听到久违的母语正开心——等等,这玩意儿能翻译更多内容!太棒了!

「待ってマジでこれ凄くない? いつ開発されたの? こんなのあったら、語学勉強なんていらないじゃん」
"等等这真的超厉害吧?什么时候开发的?有这种东西的话根本不需要学外语了啊"

「なんでもどこぞの島国主催のイカれた計画プロジェクトで……アー、世一の母国か。すまない、悪く言う気はなかったんだ」
"据说是某个岛国主导的疯狂计划……啊、是世一君的祖国吗。抱歉,我没有贬低的意思"

「あぁ……アハ。いいよ別に。イカれてんなってのは当時も思ったし」
"啊……哈哈。没关系啦。我当时也觉得你脑子有问题"

──青い監獄ブルーロック計画か。  ——蓝色监狱计划啊。
久しく聞いていなかったなるべく耳に入れないようにしていた一大プロジェクトの名前に、取り敢えず形だけ笑みを作ってみれば。
听到这个久违的大型项目名称,姑且先扯出一个形式上的笑容。

ス、と空いたグラスが新しいモノに交換されたので、またウェイターさんに会釈する。いつの間に注文したんだろ。
唰地一声,空酒杯被换上了新的,于是又向服务生点头致意。什么时候点的酒来着。

「あれは配信サービスをやっていたらしいが。世一は見てたのか?」
"听说那家伙在做直播服务来着。世一看过吗?"

「最初だけ。カイザーは?」  "只看过开头。凯撒你呢?"
「俺は一度も。あァでも試合は観たな。U20代表だったか? 糸師冴が参戦するというから観た。五倍速で」
"我一次都没看过。啊不过比赛倒是看过。是 U20 代表队那场吧?因为听说糸师冴要参赛才看的。用了五倍速"

「んふ、ふふふ! 五倍速って。そんなんすぐ終わっちゃうじゃん」
"噗、哈哈哈!五倍速什么的。那样不是马上就结束了吗"

正直、この話はあんまりしたくないなって感じだったけど。
说实话,我本来不太想提这件事的。

でもカイザーも、配信BLTVは観てないようなので。ならまぁいっかと、会話に意識を向けていく。
不过看凯撒的样子,似乎也没看过直播。那应该没关系吧,我把注意力转回对话上。

あ、見た目からオレンジ系かと思ったら、パイナップルと──あとはライムかな。
啊,看颜色还以为是橙子味的,原来是菠萝和——还有青柠吧。

トロピカルな味で、美味しいなこれ。またラムベースだ。
热带风味,这个真好喝。又是朗姆基底的。

「……ン~~。糸師冴選手のコト、やっぱり同じ11傑だから気になる?」
“……嗯~~。果然因为是同为十一杰,所以会在意糸师冴选手的事吗?”

「他よりは意識はするな。あぁ、でもやめとけよ? アイツは最悪に口が悪い。選手としてなら有能だが、人として興味を向けるのは勧めない。協調性皆無で終わってるからな」
“确实比其他人更在意些。啊,不过还是算了吧?那家伙说话难听得很。作为选手确实优秀,但作为人实在不建议产生兴趣。毕竟他完全就是个毫无协调性的家伙。”

そうして叩かれる軽口に、なんだそれ、と楽しい気持ちになる。声のトーンが高いからかな。
听着这番被吐槽的玩笑话,不知为何心情变得愉快起来。大概是因为他的声调偏高吧。

自分でも単純だ。アルコールがイイ感じに回ってるからかも。
连我自己都觉得太单纯了。可能是酒精开始恰到好处地上头了。

「あはは! 口が悪いのはしってる! いつもインタビュー対応最悪だよね」
"哈哈哈!我知道你嘴巴很毒!每次采访都应对得超糟糕呢"

「口癖は〝生まれる国を間違えた〟だからな」  "口头禅可是'投错胎的国家'啊"

けど、そこで耳にした言葉ワードに。  但是,听到那句话时。
やっぱり、どうにも動きが止まっちゃって。しかもなんか、口まで弛くなりそうな気分、というか。
果然还是完全动弹不得。而且不知怎的,感觉连嘴巴都要松弛下来了,或者说。

「……生まれる国を間違えた、か。私は、なんていうか生まれる性別を間違えたなーって思うかも」
"……生错了国家吗。我啊,说不定会觉得是生错了性别呢"

「……詳しく聞いても?」  "……要详细说说看吗?"

──これ、後で絶対に後悔するやつだ。  ──这绝对是事后会后悔的类型。
そう思う。そう思うのに、何故だか止められる気がしない。
明明这么想着。明明这么想着,却不知为何无法阻止自己问出口。

「さっき、配信は最初だけ観たって言ったじゃん。あれ、途中で観るのやめたんだ。なんかもう、嫉妬でどうしようもなくなっちゃったんだよ」
"刚才不是说只看了一开始直播吗?其实看到一半就关掉了。因为嫉妒得实在受不了啦"

「嫉妬?」  "嫉妒?"

それはここが異国ドイツで、カイザーが日本人じゃない違う環境で生きて来た人だから。カイザーがいつも、世一に優しくしてくれるから。
因为这里是异国他乡 而凯撒又不是日本人。因为凯撒总是对世一那么温柔。

だからこんな、詰ま、、らな、、泣き、、を打ち明けて、楽になろうとしてる。
所以才会像这样 倾诉着无聊的牢骚 试图让自己好受些。

やめときゃいいのに。絶対、言った後に後悔するって、わかってンのに。
明明可以不说出口的。明明知道说完之后一定会后悔的。

「そ。──私も男だったらサッカー続けられたのかな、私もあそこに立ててたのかなって、思っちゃって」
"是啊...我在想,如果我也是男生的话,是不是就能继续踢足球了呢?是不是也能站在那个赛场上呢?"

「…………」  "…………"

ほら見ろ、困ってる。困らせてる。  看吧,让人困扰了。我总是在给人添麻烦。
どうすんだよこの空気。ホント、もっとちゃんと空気読めよ。
这气氛也太尴尬了吧。真是的,你倒是看看场合啊。

「世一は、いつまでサッカーを?」  "世一,你打算踢足球踢到什么时候?"
「……15歳まで」  "……15 岁为止"

どうしよう、もう止めとこうかな。  怎么办,要不现在就放弃算了。
そう思うけど。でも、カイザーの視線が妙に優しくて。だからなんか、やっぱり口が弛んでしまって、止められない。
虽然这么想着。但恺撒的目光却异常温柔。所以不知怎的,嘴角还是不自觉放松下来,根本停不住。

馬鹿だな。ホント、ばかだ。  真是笨蛋。真的,太傻了。

「日本の未成年者が通う学校は、12歳までと15歳までと18歳までに分かれててさ。んで15歳までは、家の近くの学校に女子のクラブチームがあったんだけど。でも、そこは年齢制限で15歳までしかダメで。じゃあ高校……16歳からの学校でサッカーしようにも、その為には遠くのトコに行かなきゃダメで」
"日本未成年人就读的学校分为 12 岁为止、15 岁为止和 18 岁为止三个阶段。15 岁之前,我家附近学校有女子足球俱乐部。但那里有年龄限制只收 15 岁以下。等到高中——16 岁开始的学校想继续踢球的话,就必须去很远的地方才行"

そうだ、年齢制限。  没错,年龄限制。
試合に出れる年齢は指定されてて、高校生は中学生の試合には出れなくて。
参赛年龄有明确规定,高中生不能参加初中生的比赛。

だから世一は中学を卒業する年齢になった時、クラブから〝そろそろ次のチームを探した方がいい〟と《除籍通告され》たのだ。
所以世一在达到初中毕业年龄时,就被俱乐部下达了《除籍通知》,建议他"该找下个队伍了"。

「日本の学校の部活クラブって、朝練とか絶対あるから。単純に計算しても、朝練に間に合わせる為には朝4時起きの帰りは10時とか11時過ぎくらいになるなーとか。だったら学校以外のクラブチームってなっても、やっぱり行ける範囲にあるとこは男しか入れないトコばっかで……諦めちゃった」
"日本学校的社团活动,晨练什么的都是强制参加的。简单计算下,为了赶上晨练得凌晨 4 点起床,回家都要晚上 10 点 11 点了。就算换成校外俱乐部,能去的范围里也只有男生能进的队伍...最后就放弃了"

両親は〝お金の心配はしなくていい、やりたい事をやればいい〟って、言ってくれたけど。
虽然父母说过"不用担心钱的问题,做你想做的事就好"。

でも、他でもない世一自身が、やり切れる気がしなかった。
但偏偏是世一自己,觉得无法坚持下去。

通学時間が勿体ないとか、そういう事をうだうだ考えて。
想着上学路上浪费时间之类的事情,絮絮叨叨地纠结着。

諦める理由を自分で探して自分で見付けて、落ち込んで。
自己寻找放弃的理由,自己找到后,又陷入消沉。

脳裏に蘇るあの頃の苦い記憶に。はくりと、息が震える。
那段苦涩的记忆在脑海中复苏。呼吸,突然颤抖起来。

「根性がなかった。探せば、もっと本気だったら。それこそ寮がある学校とかに行けばよかっただけだったのに。結局どこかで辞める理由を探してて、それで見付けちゃって。……なのに、青い監獄ブルーロックで、私と同い年の男の選手が、男っ、、てだ、、けで、、──」
"是我太没骨气了。要是认真去找的话...其实只要去有宿舍的学校就行了。结果却在到处找放弃的理由,最后还真被我找到了。......可是在蓝色监狱里,和我同岁的男选手们,仅仅因为是男性就——"

───ノア様に。  ——就能得到诺亚大人的指导。
憧れのノア様と同じ空間の同じ舞台フィールドで、直接指導して貰える立場に、あん、、簡単、、──違うな。彼らはちゃんと、凄い選手だった。
和我憧憬的诺亚大人站在同一个舞台,身处同一片空间,如此轻易就能获得亲自指导的资格——不对。他们确实都是非常出色的选手。

ふ、と息を吐く。あれから青い監獄ブルーロックは一度プロジェクトの終わりを迎えて、今は第二期をやってるんだっけ。アイドルみたい。
呼,长叹一口气。那之后蓝色监狱第一季项目已经结束,现在是在进行第二季吧。简直像偶像团体一样。

そういうの流行ってるもんね結局次も男しかお呼びじゃないんだもんずるいなぁ。  这种流行趋势真不错啊。

「……いや、全国各地の日本から、選りすぐりのFWが集められたんだから。性別だけの問題じゃないんだけどさ」
"......不,这可是从全日本各地精选出来的前锋阵容。不单单是性别问题"

そう、仮に青い監獄ブルーロックが女子にも門戸もんこを開いたとして。  没错,即便蓝色监狱对女性敞开大门。
でもそこに、世一が招かれることはないのだ。  但世界第一的她绝不会收到邀请。

だって世一は、青い監獄ブルーロックが始まった17歳の頃には──もうサッカーを、諦めてしまっていたんだから。
因为世一在蓝色监狱开始的 17 岁时——就已经放弃足球了。

「………あー、ごめん、なんか暗くなっちゃ、」  "………啊,抱歉,突然搞得这么沉重,"

なのに、なにを今更言ってるんだか。  可事到如今还说这些做什么。
そう思って、折角の楽しい時間ムードを台無しにしたことを、謝ろうとすれば。
正想着要为破坏这难得的欢乐时光道歉时。

「──俺は、惹かれなかった」  "──我没有被吸引"
「え?」  "诶?"

不意に届いた言葉に。世一はいつの間にか伏せてしまっていた瞳を、ふと持ち上げる。
突如其来的话语。世一不知不觉低垂的眼帘,突然抬起。

そこには、手に持ったグラスを見詰めながら揺らす、カイザーの姿があって。
只见凯撒正凝视着手中摇晃的酒杯。

「U20日本代表と青い監獄ブルーロックが戦った試合を観たが。俺はこれっぽっちも、興味を惹かれも唆られもしなかった。青い監獄ブルーロック側に魅力がなかったからだ」
"我看了 U20 日本代表对阵蓝色监狱的比赛。但我连一丁点儿兴趣都没被勾起,也没被激起斗志。因为蓝色监狱那边毫无魅力可言。"

「え……」  "诶……"

──耳を疑う。  ——简直不敢相信自己的耳朵。
思わず瞬きながら動きを止めれば、同じようにカイザーもゆっくり瞳を瞬いていく。
我不由自主地停下动作眨了眨眼,而凯撒也同样缓缓地眨动着双眸。

そうして、金ぶちに飾られた蒼が静かに世一の方へと向けられ、て。
于是,镶着金边的蓝色眼眸静静转向世一的方向。

「U20チームの糸師冴に対して青い監獄ブルーロックは勢いばかりで決定打に欠けていた。攻撃パターンの組み立ては早いが、攻守どちらにも対応できる勘のいいMFがいな、、事が致命的だった。だから糸師冴の猛攻に始終押される一方で、ああもあっさり点を奪われる。チームが機能的であれば攻撃の起点となれただろう糸師冴の弟は、しかし兄からの猛攻を防ぐのに付きっ切りで持ち味を活かせず、FWとしての仕事を果たせてはなかった。他の選手だってそうだ。特技持ちはチラホラいたが、どれもこれもが実力を出し切れないまま終わった。前半に取った同点の一点だって奇跡みたいなもんだろ。たまたま発生したドミノ倒しに近い。しかもあそこで確実に糸師冴はやる気を失った。自軍のFW主戦力に見切りをつけたとも言うか。だからそこで攻撃が失速して、前半は終了。最終的に3─1で青い監獄ブルーロック側が勝ったが、それだって前半終了後に糸師冴が試合を降りたから主戦力ゲームメイカーを失ったU20側が失速し──」
"面对 U20 队的糸师冴,蓝色监狱空有气势却缺乏决定性打击。虽然进攻模式构建得很快,但没有能在攻防两端都应对自如的机敏中场是致命伤。所以全程被糸师冴的猛攻压制,才会那么轻易丢球。如果团队运转正常本可成为进攻起点的糸师冴弟弟,却因疲于防守兄长的猛攻而无从发挥特长,未能完成前锋的职责。其他选手也是。虽然有几个身怀绝技的,但全都未能完全发挥实力。上半场扳平的那一球简直像奇迹吧?更接近偶然发生的多米诺效应。而且那时糸师冴明显丧失了斗志。或者说对己方前锋彻底失望了。所以进攻就此停滞,上半场结束。最终蓝色监狱 3-1 获胜,但那也是因为上半场结束后失去主力的 U20 队因糸师冴退赛而──"

「ま、待って待って待って!」  "等、等一下等一下!"

突然始まった怒涛のダメ出しマシンガントークに、世一は慌てて両手を開いてカイザーへとかざした。
面对突然开始的滔滔不绝的严厉批评,世一慌忙张开双手挡向凯撒。

でも、なんだ一体。なんでこんな──いやすっごい詳しいな!?
可是,这到底是怎么回事。为什么这么——不对,简直详细得惊人!?

「す、すごい観てる! すごい観てんじゃん!」  "你、你看得好认真!这不是看得超仔细嘛!"
「試合は観たって言ったろ」  "我不是说过看过比赛了"
「五倍速って言ってた!」  "你明明说是用五倍速看的!"
「糸師冴が帰るまでは二倍速で、帰ってから五倍速にしたからな。詰まらな過ぎて」
"在糸师冴回来之前是二倍速,回来之后直接调到五倍速。无聊透顶了"

「でも、早送りで……、………ゔ~~~ッ」  "但是快进的话......,.........呜哇~~~"

──頭の中が、色な感情でぐちゃぐちゃになっていく。
──脑海中,各种情绪乱成一团。

ずっと、悔しかった。不満だった。でもそれを、誰にも言うことが出来なかった。
一直以来,都感到不甘心。充满不满。却无法向任何人倾诉。

だって、言ってどうなるって話だ。  毕竟,说了又能怎样呢。
仮に青い監獄ブルーロックが女子も招集して、そして仮に世一が17歳までサッカーを続けていたとしても。
就算蓝色监狱也召集女生,就算世一坚持踢球到 17 岁。

そこに自分が呼ばれる可能性が、あるかすらもわからないのに。
连自己是否会被选中都无从知晓。

青い監獄ブルーロックには──正直複雑な思い悪感情を抱いていた。
对于蓝色监狱——说实话心情很复杂。


あそこから世界に飛び出た数名、、選手、、  从那里走向世界的几名选手。
彼らの成功を願うと共に、彼らの名前を見る度に〝ずるい〟と嫉妬してしまって。
在祝愿他们成功的同时,每次看到他们的名字都会嫉妒得觉得"太狡猾了"。

けどそれが今、現役プロサッカー選手世一の在りたかった理想の姿であるカイザーに、こうも───あぁ、ダメだ。
但如今面对现役职业足球选手凯撒时,这种情绪竟会——啊,不行。

これは、こんな、こんなに酷い嫉妬まみれの醜い感情なんて。  这种、这种、如此不堪的感情。

「おいおい。そんな仔犬みたいに呻いて、一体どうした?」
"喂喂。像小狗一样呜咽着,到底怎么了?"

「……なんか、カイザーに扱き下ろされてるの聞いて、ちょっとスカっとしちゃった自分が居て。自己嫌悪、してる」
"……不知怎么的,听到凯撒被贬低的话,心里莫名觉得痛快。这样的自己让我感到厌恶"

頬に手を当てて、背中を丸める。  用手捂住脸颊,蜷缩起后背。

悪口を、言いたい訳ではなかった。  并不是想说别人的坏话。
でも悪口を誘導してしまっていた──それに気付いて、最悪な気持ちになっている。のに。
可是却诱导了恶言相向——意识到这一点时,心情糟糕到了极点。明明不该这样的。

でもやっぱり、気持ちが楽になってしまっている。  可不知为何,内心反而轻松了起来。
彼らの成功を願っているはずなのに、なのに青い監獄ブルーロックの名が広く周知されたあの試合を酷評されて。
本该祝愿他们成功的,却在那场让蓝色监狱之名广为人知的比赛后遭到严厉批评。

胸がすくような思いに、今なってて。  此刻心中涌起一阵畅快感。

──最低だ。私ほんとに、嫌な子だ。  ──太差劲了。我真是个讨厌的家伙。

「あ〜〜最低だ、私」  「啊~~太差劲了,我」
「そうか? 健全な思考回路だろ。嫉妬には悪意がよく効く。特効薬だ」
「是吗?这才是健全的思维方式吧。嫉妒用恶意来治最有效。特效药哦」

「………」

そんなことないよ、と。言えない時点でもう、同意しているようなもので。
才没有这回事呢——可当这句话说不出口时,就已经等同于默认了。

氷が解け始めて分離してきたお酒カクテルを、勢いよく喉に流し込んでいく。
他将开始融冰而变得分层的酒液,猛地灌入喉咙。

──一気にグラスを空にすれば、流石にアルコールが辛くてくらりと脳が回る感覚がする。
——一口气喝干整杯后,酒精的辛辣终于让大脑天旋地转起来。

でも、これじゃまだ足りない。  但这样还不够。

「……、………別に、悪く言いたいわけじゃないんだよ。そもそも青い監獄ブルーロックはFWだけを集めたチームなのに。皆本職じゃないDFとかを凄く上手にやってた。それであの鉄壁DF愛空選手率いるのU20代表から点をもぎ取ったのは、凄い事だよ」
"……其实,我并不是想说他们不好。蓝色监狱本来就是只选拔前锋的队伍。那些本职不是后卫的球员却能把防守做得那么出色。能从 U20 代表队那铜墙铁壁般的防线里撕开缺口得分,确实很了不起。"

「糸師冴が帰って試合を降りてからのな。U20代表側はFWがパッとしない。だから糸師冴を失い決定力が欠落したU20代表はみるからにガタつきだした。泥仕合の始まりだな。つーか、MF糸師冴より得点能力の低いFWってなんだよって話だが。あのFW、結局一点も取れなかったろ」
"自从糸师冴离队后,U20 代表队的锋线就黯淡无光了。失去糸师冴导致他们缺乏终结能力,整支队伍明显开始崩盘。简直就是泥潭混战的开始。要我说,前锋得分能力还不如中场算怎么回事?那群前锋到最后连一分都没拿到吧。"

「それは、まぁ……」  "这个嘛......"

自分の綺麗、、が、カイザーの容赦のない正論、、で塗り潰されていく。
自己冠冕堂皇的说辞,正被凯撒毫不留情的正确论断逐步瓦解。

何も言えない。言えやしない。  我什么也说不出口。根本说不出来。
そこまで言わなくてもとか。もう少し手心をとか、思うけど。
虽然心里想着"何必说到这种地步","稍微手下留情一点"之类的话。

だけどそれが、どう、、して、、口か、、ら出、、て来、、ない、、  但那些话语,无论如何都涌不到嘴边。

だって実際、世一だって思っていたのだから。  因为实际上,我也确实认为他就是世界第一啊。
なんだ、全然ダメじゃないか糸師冴には全く届いてないじゃんって。あの時確かに。  什么嘛,明明一点都不差啊。那时候确实。

「糸師冴が消えて猛攻を始めた青い監獄ブルーロックと、糸師冴を失って守備一択になったU20代表。どちらも起点は糸師冴で、糸師冴が居なくなってから試合スピードが著しく失速した」
"随着糸师冴消失而开始猛攻的蓝色监狱,以及失去糸师冴后只能专注防守的 U20 代表队。两者的转折点都是糸师冴,自从糸师冴离场后比赛节奏就明显放缓了"

カイザーが視線を世一からチラリと外せば、すかさずウェイターが近くに寄ってきて。
当凯撒的视线从世界第一身上微微移开时,侍者立刻机敏地靠了过来。

そうしてメニュー表の文字列の一つにトンッと指を当てるカイザーに、薄く微笑んだ彼は無言で頷き離れていく。
对着这样用指尖轻点菜单上某行文字的凯撒,他微微含笑点头示意后便默默退开。

──さっきから、そうやって追加の注文をしてたんだろな。
──你从刚才开始,就一直这样追加点单对吧。

「……あの試合の勝利条件は〝世界レベルの糸師冴に勝つこと〟。それが〝青い監獄ブルーロックが世界に届くことの証明〟だった。けど実際は──成功したとは、とても言い難い結果だ」
"……那场比赛的胜利条件是'战胜世界级的糸师冴'。那本该是'蓝色监狱能触及世界的证明'。但实际上──很难说我们取得了成功"

「え? でも……海外から、あんなにトップ選手が来たのに?」
"诶?可是......明明有那么多顶级选手从海外赶来?"

ウェイターを思わず目で追いかけていれば聴こえた──意外、、言葉、、に。
我不由自主地追随着服务员的背影,却听见了──这番出人意料的话语。

思わず吃驚して世一が問いかければ、カイザーは何ともワザとらしい仕草で肩を竦めてみせた。
世一不禁惊讶地发问,凯撒故意夸张地耸了耸肩。

綺麗な青い毛先が、肩からさらりと流れ落ちていく。  漂亮的蓝色发梢从肩头轻盈滑落。

「大金貢がれりゃ来るやつは来るだろ。ちなみに俺にも声が掛かってた」
"砸够钱自然有人愿意来。顺便说句,他们也邀请过我"

「エッッ!?」  "诶——!?"
「当時は19歳でドイツのU20代表だったからな。まぁ行かなかったが」
"当时才 19 岁就入选了德国 U20 代表队啊。虽然最后没去成就是了"

──あれやっぱり、大金動いてたんだ……。  ──原来如此,果然是有巨额资金在运作啊……
いやでも、そっか。まあそりゃ、そうだよね。そしてそこにカイザーも、呼ばれてたんだ。
不过等等。也对,毕竟是这样嘛。而且凯撒当时也被邀请了呢。

頭の中に、青い監獄ブルーロックに招集されたビックネーム強豪クラブの花形選手たちの顔が浮かぶ。
脑海中浮现出被召集到蓝色监狱的那些大牌球员的面孔。

5つの国の、5人の指導者マスターたち。彼らの下には、各国の20歳以下の選手たちが居て。
五个国家,五位领导者。他们麾下聚集着各国 20 岁以下的年轻选手。

そっか、そこにカイザーも。  原来如此,凯撒也在那里啊。

「……なんで行かなかったの?」  "……为什么没去呢?"
「俺がこの手で潰したいと思う才能はいなかったから」
"因为还没有值得我亲手摧毁的才能"

不穏なワードに、ほんのちょっと眉を上げて。  听到不安分的词汇,只是微微挑了挑眉。
けど、それを指摘する前に──ウェイターさんが新しいグラスを持ってきたから、まずはそっちに会釈する。
但在指出这点之前——侍者恰好送来了新的酒杯,便先向对方点头致意。

机に置かれた、ライトブルーの綺麗なカクテル。  桌上摆放着天蓝色的漂亮鸡尾酒。
それを手に取りながら、世一はポツリと言葉を落としていくのだ。
世一一边拿起酒杯,一边轻声抛出一句话。

「えっと……糸師凛とか、あと蜂楽廻選手とか。今世界で戦ってる人もいるよね?」
“那个……比如糸师凛,还有蜂乐回选手。现在世界上也有在活跃比赛的人对吧?”

「……まあ、そこら辺だけだな。一応こっちブンデスでも名前は聞く奴はいる。今世一が言った二人と、あとは……士道龍聖とか?」
“……也就那几个吧。这边倒是也听说过几个名字。除了刚才你说的那两人,还有就是……士道龙圣之类的?”

──ア〜〜あの、中々に発言が過激な……。  ——啊~~就是那个,发言相当激进的那个……
レ・アールであの、、レオナルド・ルナと、糸師冴を挟んで──味方なのに何故か──小競り合って得点争いをしている姿を思い出しながら。
回想起在雷·阿尔球场时,他明明是同队却不知为何——夹在莱昂纳多·卢纳和糸师冴之间——跟人起冲突的场景。

グラスに口を付けて、くぴりと一口。うん美味しい。  将玻璃杯凑近唇边,轻轻啜饮一口。嗯,真好喝。
なんかココナッツ系の、まろやかで呑みやすい味だ。  有种椰子风味,口感圆润顺滑容易入口。

「ん、……やっぱ、そこら辺は目立つんだね」  "嗯……果然那家伙在人群中很显眼呢"
特出した武器ウィークポイントを持つ奴は、他よりはな。ただ、どいつもこいつも苦戦中だろ。奴らには、起爆剤劇的要素が欠けてる。運命的な革命出逢いを体感しない選手に、進化は起こり得ない。……まぁその、、で言えば、冴にべったりの士道龍聖は例外か」
"拥有特殊武器的家伙总会比别人醒目些。不过现在那群家伙都陷入苦战了吧。他们缺少引爆剂——没有经历过命运般革命的选手,是不可能进化的。……嘛,从这点来说,死心塌地跟着冴的士道龙圣倒是个例外"

他は、どんな選手がいたっけ。  其他还有哪些选手来着。
確か、烏旅人に、凪誠士郎に、蟻生十兵衛──そういえば蟻生十兵衛って、この前パリコレに出たんだっけ。
记得有乌旅人、凪诚士郎、蚁生十兵卫——说起来蚁生十兵卫,前段时间是不是还去了巴黎时装周来着。

予想外の所で名前見て、吃驚した記憶ある。  在意外的地方看到名字,记得当时特别惊讶。
そのままモデルに転職とかすんのかな。せっかくサッカー選手になれたのに。もったいな。
该不会要直接转行当模特吧。明明好不容易才当上足球选手的。真浪费啊。

「……カイザーにとって、青い監獄ブルーロックって成功? 失敗?」
"……对凯撒来说,蓝色监狱算是成功?还是失败?"

なんとなしに呟いた言葉。  这句无心脱口而出的话语。
それが妙に響いてしまって。堪らずひとり、気まずい気持ちになる。
却异常刺耳地回荡着。让我独自陷入难以忍受的尴尬情绪中。

けど、やっぱり答えは気になって。  可终究还是在意那个答案。
だからカイザーの方にチラリと視線を向ければ──そこには、グラスをゆらりと傾ける姿があれそういえば、カイザーっていつおかわりしたっけ
于是将视线悄悄投向凯撒——只见他正轻轻摇晃着酒杯。

「どちらでもない。日本という極東の島国サッカー後進国に世界からの関心を寄せさせるという名目じゃあ成功なんだろうが──あの計画プロジェクトの最終目標は〝W杯優勝〟なんだろ。それで言うなら、夢のまた夢だ。ただ、選手の移籍実績出荷ルートは出来たからな。自国での育成ではなく海外移籍での活躍をメインにしていけば、その内可能性は上がるんじゃないか?」
"都不是。虽然以'让世界关注远东岛国日本'的名义来说算是成功了——但那个计划的终极目标是'世界杯夺冠'吧?要这么说的话,还差得远呢。不过,球员转会这方面倒是有了实绩。只要不以国内培养为主,而是主打海外转会发展的话,说不定将来可能性会提高?"

「………そっか」  "……这样啊"

───そっかぁ。  ——原来如此啊。
夢のまた夢、か。そう頭の中で反芻してみれば、なんだか妙に肩から力が抜けてしまって。ふぅと肺から深く息を溢す。
这也不过是梦中之梦吧。在脑海中如此反刍着这个念头时,不知为何肩头突然卸了力气。从肺腑深处呼出一口长息。

「複雑そうな顔だな」  "表情很复杂啊"
「複雑だよ。なんとなくわかってても、プロやって結果も出してる選手に言われるとちょっと凹む」
"确实复杂。虽然隐约明白这个道理,但被专业且取得成果的人当面指出来,还是会有点受打击"

「自分のことじゃないのに?」  "说的又不是你的事?"
「自分の事じゃなくても、ン~~。やっぱり同じ日本人としては応援してるから」
"就算不是为了自己,嗯~~。毕竟作为同胞日本人,还是会为他加油的"

だって〝W杯優勝〟は、他でもない世一自身の〝夢〟なのだから。
因为"世界杯夺冠"不是别的,正是世一自己的"梦想"啊。

そうだ、サッカー選手は諦めてしまったけれど。  是啊,虽然已经放弃了成为足球选手。
でも、あの優勝杯トロフィーの事は、今だって変わらず追いかけているのだ。
但是,对那座冠军奖杯的渴望,至今仍未改变。

いつか、あの優勝杯トロフィーを手にする為に。  终有一日,为了捧起那座冠军奖杯。
その為に、世一は理学療法士を目指して日々勉強に身をやつしている。
为此,世一正日夜苦读,立志成为理疗师。

まぁ、とはいっても最近は、少し、、サボり気味ではあるけど。
不过嘛,最近倒是有点偷懒的倾向。

「そりゃ悪い事をした。世一を落ち込ませる気はなかったんだ」
"那件事真是抱歉,我本没想让世一消沉的"

「……わかってるよ。それにこうは言ったけど、実際のトコ客観的な意見は、すごく勉強になる」
“……我明白的。虽然嘴上这么说,但客观意见确实让我受益匪浅。”

──そろそろこの夢から醒める今までの世一の日常に戻る準備を、しなくちゃな。
——差不多该做好从这个梦境中醒来的准备了。

日本はW杯にはまだまだ遠い。  日本队距离世界杯还很遥远。
これは公然の事実で、だからこそ日本サッカーには努力が必要。
这是众所周知的事实,正因如此日本足球才更需要努力。

それは、ずっと前からわかってたコトだ。  这件事,我早就心知肚明。

けど、その事実をカイザー現役プロ選手から改めて指摘されると──やっぱり、悔しい気持ちになる。
可是当凯撒再次点破这个事实时——果然还是会觉得不甘心。

なら、努力しなきゃ。  那就必须加倍努力。
世一は選手にはなれないけれど。それでもその力になれるよう、そろそろサボってた勉強を再開して、一秒でも夢を叶える理学療法士になる為に学ばなきゃ。
虽然成不了世界第一的选手。但为了能成为助力,差不多该重新捡起荒废的功课,哪怕只争取一秒也要为圆梦而学习。

だって世一には、それしか出来手段がないんだから。  因为对世一来说,这是他唯一能做的事。

「世一はサッカーが好き?」  "世一喜欢足球吗?"
「好き。諦めたけど、やっぱり嫌いにはなれなかった。だからこうやって勉強してるし……」
"喜欢。虽然放弃了,但终究还是没法讨厌。所以现在才会这样努力学习......"

気持ちを新たに、くぴりと一口お酒カクテルを呑む。  他重新振作精神,仰头灌下一口酒。
甘くてまろやかなアルコールの味。氷が解けてきて、ちょっと水っぽくなってきた。
甘甜醇厚的酒精滋味。冰块渐渐融化,口感变得略带水感。

この綺麗なスカイブルーは、一体なんていう名前なんだろう。
这抹美丽的天空蓝,究竟该叫什么名字呢。

「勉強? なにかサッカー関連の大学にでも言っているのか?」
"学习?你该不会进了什么足球相关的大学吧?"

「あー、アスレティックトレーナーとか、理学療法士とか。日本の大学で、そういうの勉強してるんだ。いつかどこかのクラブで働けたらなって」
"啊——像是运动防护员或者物理治疗师之类的。我在日本的大学读这些专业。想着有朝一日能在某个俱乐部工作就好了"

頭が、なんだかふわふわする。  脑袋感觉轻飘飘的。
お酒、やっぱりちょっと呑みすぎたかも。  果然还是喝得有点多了吧。

そう思って、思いながら口にして──段々と羞恥心が湧いてくる。
这么想着,一边想一边说出口——渐渐涌上羞耻感。

だって、他でもないカイザーブンデス選手の前で、理学療法士がどう将来は選手をサポートする仕事に就きたいとか言うだなんて。しくった。言わなきゃよかった。
因为偏偏是在凯撒面前,说什么理疗师之类的话。搞砸了。不说就好了。

流石に、意識高いとか夢見がちすぎるとか思われ、  果然,会被认为是有上进心之类的吧,


「──それはドイツでか?」  "──那是在德国吗?"


はくりと、息が止まった。  啪地一下,呼吸停滞了。

それは、どこか空気、、ピリ、、つい、、た気、、から、、、で。
因为总觉得,周遭的空气突然变得紧张起来。

それに、だから世一は慌てて──手を前に翳しながらジェスチャーを使っての、本気の否定の言葉を口にする。
而且,所以世一慌忙地──一边用手挡在面前一边说出否认的话。

だってこれ、絶対勘違いされてるやつだその為に近づいたとか思われたかも  因为这绝对是被误会了啦!

「………いや! 流石に敷居高いよ! 確かドイツはドイツの資格ないとダメじゃん? 喋るのだってほら、日常会話くらいだし、筆記もまだまだだし、そんな」
「………不是!这也太强人所难了吧!我记得德国不是必须要有德国本土的资格证才行吗? 而且说话方面你看,也就日常对话水平,笔试也还差得远呢,这种程度」

「世一のドイツ語はとても上手い。ストレスなく話せる」
「世一的德语非常棒。能毫无压力地交流」

すると、焦ってペラペラと舌を回す世一の言葉を、否定するようにカイザーは強い声音トーンで遮ってきたので。
世一慌忙间喋喋不休的话语,被凯撒用强硬的声线打断。

その勢いに。思わず一瞬押し黙ってしまった世一は、前に翳していた手を控え目に下ろしてみる。
这股气势。让世一不由得瞬间噤声,原本挡在面前的手也怯怯地放了下来。

──なんか、思ってた反応と、違ったかも?  ──咦,好像和预想的反应不太一样?

「……今、日本語使ってるのに?」  「……你现在,不是正在用日语吗?」
「酒が入ったらふに、、ゃふ、、にゃ、、になるもんだろ。俺だって今はクソ早口だ」
“喝了酒不就会变得软绵绵的吗。我现在说话也快得跟机关枪似的”

「………ふふ」  “………呵呵”

探り探りで、言葉を投げかける。  我小心翼翼地试探着抛出话语。
けれど、それにもカイザーは、柔らかく微笑んでくれたから。
但恺撒依旧回以了我温柔的微笑。

あぁ誤解された接触を疑われたワケではないんだと安心して、世一はひっそり息を吐いた。
世一确认对方并非误解后,悄悄松了口气。

というかカイザーの口調、たまにスラング混ざる若者言葉強めになるなって思ってたけど。
话说凯撒的用词偶尔会夹杂些俚语呢。

でも日本語になると、それって〝クソ〟って感じに略されるんだ。ちょっと、面白いかも。
但翻译成日语时,这种词往往会被简化为"クソ(该死)"之类的表达,还挺有意思的。

「なんかカイザー、褒めるの上手で照れるな。さっきまであんなに辛口だったのに」
"凯撒突然这么会夸人,反而让人害羞起来了。明明刚才还那么毒舌"

「良いと思ったものには素直に褒めるさ。世一のドイツ語は、称賛に値する」
"我觉得好的东西就会坦率地夸奖。世界第一的德语水平,值得称赞"

「……ん、ありがと」  "......嗯,谢谢"

カイザーの言葉には裏がない。と思う。  凯撒的话语里没有虚伪。我是这么认为的。
そうして、だからこそ真っ直ぐ視線を向けられながら掛けられた言葉に──じんわり心が温かくなる。
正因如此,当被他用如此坦率的眼神注视着说出这番话时——心底会缓缓涌起暖意。

あと、生粋のドイツ人に語学を褒められるのは、純粋に嬉しい。
还有,被地道的德国人夸奖语言能力,真的特别开心。

此処ドイツでもやってけるんじゃないかって。夢に一歩近づけてるのかもって。
说不定在这里也能坚持下去呢。或许离梦想又近了一步。

身の程知らずにも、錯覚できるから。  正因为不知天高地厚,才能产生这样的错觉。

「──俺は大学に行ってなくてさ。だから教えてくれないか? 世一はいつもどんなことを学んでるんだ?」
"──我没上过大学。所以能告诉我吗?世一平时都在学些什么?"

柔らかな口調に、優しい声音。表情だって、作っ、、たよ、、うに、、朗らかで。
温柔的语气,柔和的声音。连表情都刻意保持着开朗的样子。

もしかしたら、さっき一瞬だけ世一が焦っ警戒したことに、カイザーは気付いているのかもしれない。
或许,凯撒已经注意到世一刚才那一瞬间的慌乱。

「えっと、いつくかのコースに分かれてる感じ。私はその中で、スポーツ選手の肉体作りと、怪我とかの機能回復とか治療法とか。あと栄養学もちょっとやってる」
"呃,大概分成几个方向。我主要负责运动员的体能训练、运动损伤的功能恢复和治疗方法这些。还稍微涉及一点营养学"

「一度にそんなに?」  "一次性学这么多?"

なるべく端的にと要点を纏めれば、省略しすぎて驚かれてしまった。これは間違いなく誤解されてる。
要是尽量简洁地总结要点,结果省略太多反而让人吃惊。这绝对是被误会了。

流石にそんな、一度に全ての資格取得を目指させるような詰め込み式の大学ではない。
毕竟不是那种让人一口气考取所有资格证书的填鸭式大学。

まぁ最も、世一は時短合理性重視でソレ、、を目指しているんだけども。
不过说到底,世一确实是以节省时间为目标才这么做的。

「二年目までは一通りをザックリやって、来年から自分が進みたいコースを選択する、みたいな感じなんだ。栄養学のほうは……これは通信で、個人的にやってる感じ。知識があっても無駄にはならないから」
"前两年先把基础课程大致过一遍,明年开始选择自己想专攻的方向,大概就是这样。营养学那边...这是通过函授课程,我自己私下在学。反正多学点知识总没坏处"

「凄いな……。世一は勤勉家だ」  "真厉害啊……世一真是个勤奋的人"

褒められるのは、純粋に好きだから。だから素直に感服したようなカイザーの言葉に、頬が一瞬弛んでしまう。
被夸奖纯粹是因为喜欢。所以面对凯撒这句发自内心佩服的话语,脸颊一瞬间放松了下来。

けど、それだとただ自慢して悦に浸っているようで嫌なので。
但是,那样的话就像是在自我炫耀沾沾自喜,让人讨厌。

表情筋を慌てて引き締めながら、誤魔化すようにやや俯きグラスに視線を向ける。
慌忙绷紧面部肌肉,假装不经意地微微低头将视线投向酒杯。

──あぁ、水のグラデーションができちゃってる。早くのまなきゃ。
──啊,水的渐变色都出来了。得快点喝掉才行。

「……えっと、でもこれは、私だけじゃないよ。他の人だって、やってる人はやってるし」
"……那个,不过这个不是我一个人独有的。其他人也有人在这么做"

「そんな謙遜するな。褒められたら素直に受け取ればいい。俺だって、その方が気持ちいい」
"不用这么谦虚。受到夸奖就坦率接受好了。对我来说,这样反而更让人开心"

ゆったりとした、カイザーの言葉。  凯撒用舒缓的语调说道。
それに、世一はチラリと視線を上げて。くぴっと喉にアルコールを流し込みながら、ややとろついた声音で小さく呟く。
而且,世一微微抬起视线。一边咕嘟地咽下酒精,一边用略带醉意的声音小声嘀咕。

「……そういうもん?」  "……是这样吗?"
「あぁ」  "嗯"
「じゃあ……ありがと。うれしい」  "那……谢谢。我很开心"

なんか、やっぱり飲みすぎかも。  好像真的喝太多了。
顔が熱い。頭がふわついてる。そろそろお冷、頼んだ方がいいかもしれない。
脸颊发烫。脑袋晕乎乎的。差不多该点杯冰水解酒了。

なんて、ゆるんだ思考で思っていれば。  脑海中竟浮现出如此松懈的念头。

「……アー~、今思い出したが。そういえばドイツに居るな。日本人のメディカルトレーナー」
"......啊~现在才想起来。说起来德国确实有位日本籍的医疗训练师"

「えっ」  "诶?"
「あれは女子リーグの方だったが……。下部組織にいた頃に、一度見かけたことがある。練習試合の施設だったかな……。なにかこう、細い針のようなもので選手を治療してた気がする」
"虽然那是女子联赛那边的......在青训营时期曾见过一次。好像是在练习赛的场馆......记得是用那种很细的针状物给选手做治疗"

「……たぶん鍼灸だ!」  "……大概是针灸!"

カイザーが、突然聞き逃せないコト世一的超重要ワードをさらりと囁いてきたのだから。
因为凯撒突然轻描淡写地说了句让人无法忽视的话。

お冷存在コトなんて秒速で頭から追い出した世一は、そのまま両手をぎゅッと握りながら──前のめりの姿勢で。今日一番の喰い、、付き、、を見、、せて、、しま、、った、、のだ。
世一在瞬间就把水的存在抛到九霄云外,双手紧紧攥着——身体前倾。展现出了今天最积极的反应。

「わ、私もそれ勉強してる! 筋肉が緊張してるとこに刺して疲労回復させたりできるんだけど。そっか、ドイツでもちゃんと需要あるんだ」
"我、我也在学这个!可以把针扎在肌肉紧张的地方帮助恢复疲劳。原来德国也有这方面的需求啊"

「あるある。この国にない技術は稀少だからな。ウチBMだって、メディカルトレーナー五人の内二人は外国籍だったはずだ」
"确实如此。这个国家稀缺的技术很珍贵。我们医疗训练师五人中就有两人是外籍人士呢。"

「え! そ、そうなんだ……!」  "诶!原、原来是这样啊……!"

──これ、凄い情報な気がする。  ——这简直是重磅情报。
自分が目指す場所に居る、他でもない当事者からの生情報。
来自目标领域核心当事人的第一手消息。

こんなの、中々聞ける事じゃない。  这种机会可真是难得一见。
もっと必須スキルあればいい技術とか、そういう情報知れたりしないかな。
要是能多了解些必备技能之类的信息就好了。

そう思う世一を知っ、、てか、、知ら、、ずか、、、カイザーは魅力的に微笑みながら更に言葉を繋げていく。
不知是否察觉到了世一的心思,凯撒带着迷人的微笑继续说着。

「……直接的な関りはないが、確かうちの理学療法士は前に女子リーグに居た筈だ。詳しい話を聞いておこう」
"......虽然没什么直接关系,但我记得我们的理疗师以前确实在女子联赛待过。我去帮你详细打听下"

「エッッ……! 」  "诶诶……!"

一瞬、脇目も振らずに〝よろしくお願いします!!〟と縋り付きそうになって──でもすぐ〝いや待てこの人プロでこれからシーズン入りするマジで忙しい人だから!〟と理性で緊急停止ブレーキをなんとか掛ける。
一瞬间,差点就要目不转睛地喊出"请多指教!!"扑上去——但立刻用理性紧急刹住车"等等这人可是职业选手马上要进入赛季的超级大忙人啊!"

危なかった。マジで危なかった。  好险。真的超危险。
いや本音でいえば知りたいけど。聞いて欲しいけど。なんなら紹介までして欲しいけども。
不过说实话还是想知道的。想让他听听。甚至还想让他帮忙引荐呢。

でも、そこまで面倒見てもらうのってどうなの? って、流石に思ってしまうので。
不过,让人照顾到这种程度真的好吗?——想到这里,世一终究还是犹豫了。

「〜~ッで、でも……! 忙しいだろうから」  "那、那个……!你肯定很忙吧"
「別にこれくらいは。それにコネクションを作っておくのはドイツでの就職に有効だしな」
"这点小事无所谓。而且建立人脉对在德国就业也有帮助"

だから苦渋の決断で断ろうとした世一に──けれどカイザーは、さらりと何気なく答え誘惑してくるのである。
就在世一准备痛苦地婉拒时——凯撒却轻描淡写地给出了这样的回答。

しかも、世一的に聞き逃せない言葉ワードまで、オマケで戦略的に付けて。
而且,世一还附赠了绝对不能错过的赠言。

「しゅ、しゅうしょく……」  "就、就职……"
「選択肢の一つにドイツがあったっていいだろ。今から動けば、出来る事は多くある」
"把德国作为备选方案之一也不错吧。现在开始行动的话,能做的事情还有很多"

──ドクドクと、騒ぐ鼓動がうるさい。  ──扑通扑通,躁动的心跳声吵得人心烦。
これは、アルコールの所為? お酒カクテルで酔ってるから、自分に都合のいい言葉が聴こえてる?
这是酒精的作用吗?因为喝醉了,所以才会听到对自己有利的话?

ちがう、そんなワケない。これは現実だ。だって、だから今、握り込んでる手の甲が痛い。
不,不可能。这是现实。因为此刻,我紧握的拳头正隐隐作痛。

今日、百貨店ブロイニンガーで綺麗にして貰った爪が喰い込んでいるのだ。
今天在百货公司精心修剪的指甲正深深掐进掌心。

つやつやした、上品な薄ピンクのネイルポリッシュ  那泛着光泽、优雅的浅粉色美甲。
髪と顔を整えられてた時に、一緒に塗ってくれたやつ。そっちの方が、絶対可愛いからって。
帮我整理头发和脸的时候,一起涂的那个。因为你说那样绝对更可爱。

「世一は、ドイツブンデスは嫌?」  "世一,讨厌德国吗?"

小首をゆるく傾げたカイザーが、静かに問い掛けてくる。
微微歪着头的凯撒轻声问道。

まるで悪魔の囁きだ。なのにさらりと金髪がこぼれる姿は、悪魔というより宗教画で描かれる天使のようで。
简直像恶魔的低语。然而那流泻而下的金发姿态,比起恶魔更像是宗教画中描绘的天使。

「ヤ、じゃ、ない……」  "不、不是这样的……"

まるで全身がスピーカーになったみたいに、耳の奥で自分の心拍が鳴り響いてる。
仿佛整个身体都变成了扬声器,耳膜深处回荡着自己的心跳声。

胸の奥に丁寧に仕舞っていた自分の欲望エゴが、無理やりこじ開けられていく感覚。それに、声が震えて。
胸腔深处被精心封存的欲望,此刻正被蛮横地撬开。连带着,声音也开始颤抖。

けど、でも、それは確かに───世一の願い、だったから。
可是、但是、那确实——是世界第一的梦想啊。

「ブンデスが、いい……!」  "本德斯,真棒……!"

だから、勢い余って泣きそうになる世一に。  于是对着激动得快要哭出来的世一。
目を細めて口角を吊り上げたカイザーは「それは素晴らしい」と薄く笑って。そのままゆったりと、こう言葉を落としてきたのだ。
凯撒眯起眼睛扬起嘴角,淡淡地笑着说"那真是太棒了"。接着从容不迫地,这样说道。

「──まだ少し呑もう。互いを知るには、時間があまりにも足りな過ぎる」
"──再喝一会儿吧。要了解彼此,时间还远远不够"

そうなのかな。  也许吧。
カイザーがいうなら、そうなのかも。  既然凯撒这么说,或许真是这样。
だから世一は水っぽくなった軽く鼻を鳴らして、コクリと小さく頷いた。
所以世一轻轻抽了抽鼻子发出水声,微微点了点头。

だって、夜は長いから。  毕竟,夜晚还很漫长。
だってもっと、この時間に──浸かってみたかった、から。
因为我还想——更深地沉浸在这场梦里。

✦✦✦

そうして今──世一の頭は、過去イチと言っていい程にふわ、、つい、、いた、、
于是此刻——世界第一的头脑,正飘忽得堪称史上之最。

純粋に、呑み過ぎたのだ。  纯粹是,喝得太多了。
シャンパンから始まり、白ワインを数杯とデザート付近からカクテルを数種類いくつか
从香槟开始,几杯白葡萄酒到甜点时段又换了几种鸡尾酒。

普通にこの量を、しかもチャンポンで呑んだのなんて、人生初。
我这辈子第一次喝下这么大量的混酒。

つまりは現在、許容を超えたアルコールに中枢神経が抑制されて脳が機能低下しているのだろう。
也就是说现在,中枢神经被超量的酒精抑制导致大脑机能下降了吧。

大学に入学仕立ての時期に〝こうなるから羽目を外し過ぎないように〟と言われた内容を、まさか今更実感するコトになるとは。
大学刚入学时被告诫"喝成这样可别玩过头了",没想到现在居然亲身体会到了。

──でも変なの。ミラと呑む時はまだ、ここ、、じゃないのに。
──不过真奇怪。和米拉一起喝的时候,明明还没到这种程度啊。

いや量がそもそも違うけど。でも、アレかな。やっぱ、チャンポンがいけなかったか……。
不过数量本来就不一样。但,是不是那个呢。果然,杂烩面不太行啊……。

なんて思っていれば、歩いていた脚からカクリと力が抜ける。
正这么想着,走着路的双腿突然一软。

「おっと。世一、身体に触れても?」  "哎呀。世一,可以碰你身体吗?"
「ん? ン~~」  "嗯?嗯~~"

カイザーが、なんかいってる。  凯撒在说着什么。
それはわかって。でもなんて言ってるのかは、わかんなくて。
这个我知道。但具体说了什么,却完全听不懂。

だからぽやぽやしながら適当に頷けば、するりと腰に手が回される。あ、こゆこと?
所以我就迷迷糊糊地随便点头应付,结果突然有只手滑到腰间。啊,原来是这种意思?

そうして、ギシリと音がしたと思えばお尻と背中になにかの感触。
正想着,随着吱呀一声响,屁股和后背就传来了某种触感。

これ椅子に座らされる? 座り心地がいい……。  这是要让我坐在椅子上吗?坐起来还挺舒服的……

ついでに、身体になにやら固い布みたいな──あぁ、シートベルト?──モノが巻き付けられ、カチンと施錠の音。
紧接着,有什么硬邦邦的布料一样的东西——啊,是安全带吗?——缠上了身体,咔嗒一声上了锁。

じゃあやっぱり、これシートベルトだ。  那果然就是安全带吧。

「……くるま?」  「……这是汽车?」
「そう、車だな」  "对,是汽车呢"

反対側から、カイザーの声がする。  从对面传来凯撒的声音。
いつの間に。視線が近いから、そこは多分運転席で。でもほんと、いつの間に?
什么时候过来的。因为视线很近,那里大概是驾驶座吧。但真的,什么时候过来的?

ふしぎ。時間の感覚がおかしい。全部一瞬に感じる。全部が、ふわふわきらきらしてる。
好奇怪。时间感变得不对劲。一切都像发生在一瞬间。所有事物都轻飘飘地闪着光。

「? くるま……」  "? 车子……"
「家に帰る為には、車に乗らなきゃだろ?」  "要回家的话,不坐车怎么行?"

ブゥンとエンジンが掛かる音がして、身体に軽い振動。
引擎嗡鸣声响起,身体传来轻微的震动。

そうして徐々に変わり始める景色に、世一の頭に一瞬なに、、が掠めて──でも、それがなんだったか思い出せない。
望着窗外逐渐变换的景色,世一的脑海中突然闪过什么——但终究没能想起那究竟是什么。

なんだっけ。たしか、ダメって。  想不起来了。好像是不行来着。
でもなにが、だめなんだっけ……。  可是,到底是什么不行呢……。

「おうちー?」  "回家吗?"
「そう、世一も知ってるお家だ。丁度この前の試合の映像があるんだ。一緒に観よう」
"对,就是世一也知道的那个家。正好有上次比赛的录像,一起看吧"

──しあい? 試合?  ──比赛? 比试?
瞬間、アルコールでとろつきっぱなしの世一の頭に浮かんだのは、大好きなサッカーの姿映像だった。
瞬间,酒精浸泡得晕乎乎的世一脑海中浮现的,是最心爱的足球身影。

というコトは、つまり? 試合と言うのは、サッカーって、ことで……?
也就是说,所谓的比赛,指的是足球……?

「 さっかー?」  "足、足球?"
「あぁ、サッカーだ」  "啊,是足球赛"
「みるー!」  "我要看——!"

いつの試合? どこの試合?  这是什么时候的比赛?哪里的比赛?
ノア様シュート打つかな。何点取るかな。アシストよりもゴールがみたい。ノア様は傍若無人な自己中プレーであればあるほどイイ。
诺亚大人会射门吗。能得几分呢。比起助攻更想看进球。诺亚大人越是旁若无人的自我风格打法就越棒。

脳内がお花畑サッカー一色になる感覚。だけど楽しい。サッカーは、考えるだけで楽しい。だからきゃっきゃと笑った世一は、そのままノア様のベストプレーを頭に思い浮かべていく。
脑海中仿佛开满鲜花的感觉。虽然很傻气但很开心。光是想着足球就让人快乐。所以咯咯笑着的世界第一,就这样在脑海里不断回放着诺亚大人的最佳表现。

去年、永遠の宿敵ドルトムントをノア様が蹂躙した試合。
去年诺亚大人碾压永恒宿敌多特蒙德的那场比赛。

あの後半27分に決めた強引な割り込みからの無回転ナックルシュート、あれホント格好よかったな……。
下半场 27 分钟那次强行突破后踢出的无旋转射门,那球真是帅爆了……

「ほら、ついたぞ」  "看,我们到了"
「ンー」  “嗯——”

車の振動が止まる。目的地に到着したみたい。  车子的震动停止了。看来是到达目的地了。
でも時間の感覚がわからない。何分たった? 五分? 十分?
但对时间的感觉已经模糊。过了多久?五分钟?十分钟?

目的地ってどこだろ。  目的地究竟是哪里呢。
近かったのか遠かったのかもわからない。  不知道是近还是远。
でも近かったのかも。いや何度か曲がってたから、遠かったのかな。
不过也许很近。不对,拐了好几个弯,可能挺远的吧。

「んん?」  "嗯?"

そうして、手を引かれるまま車から降りてみれば──なんか知らん光景だ……。
就这样被牵着手下了车——眼前是全然陌生的景象……。

なんてか全面真っ白。  一片纯白。
床も壁も天井も白い。目に痛い感じ。  地板、墙壁、天花板都是白色的。刺得眼睛生疼。
こんなTHE 光属性! みたいな空間、あのお洒落なんだか無機質なんだかよくわからない黒と金を基調とした家の中にあっただろうか。
这种"极致光属性!"般的空间,真的存在于那个既时髦又莫名无机质、以黑金为主色调的房子里吗?

いやあれ、思い返すとこの家割と白いかも。家具がやたらに黒いだけで。
不对等等,回想起来这房子其实挺白的。只是家具全都乌漆嘛黑罢了。

じゃあ白かったわ。どこだここ。  原来是一片雪白。这是哪里啊。

「ここどこ……?」  "这里是哪儿……?"
駐車場ガレージだな。ほら、こっち」  "停车场啦。来,这边"

なんて言葉と共に、カイザーに腰を引き寄せられて歩かされる。
伴随着这句话,被凯撒揽着腰往前走。

自分のヒールから鳴るカツカツって音が部屋に反響して、不思議な気分。
皮鞋发出的咔嗒声在房间里回荡,有种奇妙的感觉。

そうして数歩程度で着いた場所には──ウワなんか、家の中なのにエレベータがある。おもろ。
就这样走了几步到达的地方——哇靠,家里居然有电梯。真有意思。

なんで家の中にエレベータあるの。うけるなんで。  为什么家里会有电梯啊。笑死我了。

「んはっあはははッ! んははッ! えれべーた~~!」
"嗯哈哈哈!嗯哈哈!电梯~~!"

「うんうん。二階まで一気にいこうな」  “嗯嗯。一口气上二楼吧”
「ぇえ! にかぃまでいっきにいけちぁう?!」  “诶诶?!能一口气上二楼吗?!”
「エレベータは凄いよな。俺もよく感心するよ」  “电梯真是厉害啊。我也经常觉得很佩服呢”

チン、と小さな音が鳴って、スライド式の扉が中央から両サイドに向けて開かれていく。
叮,随着一声轻响,滑动式的门从中央向两侧缓缓打开。

その中は、床が白くて壁は黒と天井は黒。  地面是白色的,墙壁和天花板则是黑色。
ガレージは全面白だったのに、エレベーターの中はやっぱり黒に金だった。いや床は白いけど。
车库明明整体都是白色,电梯内部却依然是黑金配色。不过地板倒是白色的。

そうして出た時も──あれ、ここカイザーのお家だ。  走出电梯时也——咦,这里是凯撒的家?
なんでカイザーのお家にいるんだっけ?  为什么我会在凯撒家里来着?

「? おうちだ……?」  「? 这里是……家?」
「世一は好きだろ? 俺の家」  「世一不是最喜欢了吗?我家」
「ん? ぅん……あ♡ おうむー! おーむのかびん!」
「嗯? 唔……啊♡ 鹦鹉!是鹦鹉的花瓶!」

「オーム?」  「鹦鹉?」

浮かんだ疑問も、例のセンスが死滅した花瓶が視界に入れば簡単に撹拌かくはんしてしまう。
浮现的疑问也会在视线触及那个审美消亡的花瓶时轻易被搅乱。

でも、花瓶だ。玉蟲だ。もはや愛着まである。  但毕竟是花瓶啊。是玉虫啊。甚至已经产生了眷恋。
玉蟲といったらアレ。あれなんだっけ。なんかちょっと不安定で不安になる感じの、らんらんしてる……あ、思い出した。
说到玉虫就想到那个。那个叫什么来着。有点不稳定让人不安的、闪闪发亮的……啊,想起来了。

「ら~らんっらんらららんっらんっら~~」  「啦~啦♪啦啦啦♪啦啦~」
「俺のウサギちゃんはご機嫌だな」  "我的小兔子今天心情不错嘛"

歌えばもっと楽しくなってしまって、世一はご機嫌にくふくふ笑う。
唱着歌心情越发雀跃,世一开心得噗嗤噗嗤笑起来。

なんでカイザーのお家にいるんだっけ。わかんない。あ、トロフィー室だ。はいりたいな。
为什么会在凯撒家里来着。搞不懂。啊,是奖杯室。好想进去看看。

「あ〜〜」  "啊~~"

──なんて、思ったのにカイザーはその部屋トロフィー室を通り過ぎてしまって。
──明明这么想着,凯撒却径直走过了那个房间。

それに世一が残念に思っていれば───そのまま辿り着いたのは、とある扉の前。
而如果世一感到遗憾的话──最终抵达的,是某扇门前。

「……? ここ、はぃっちぁらめ……」  「……?这里、不是更衣室……」

他と変わらない外観。でも世一は知ってる。  与其他房间别无二致的外观。但世一心里清楚。
ここは確か、カイザーの寝室へやだ。いつも鍵がかかってる、カイザーの寝る秘密の場所。
这里确实是凯撒的卧室。那个总是上着锁、凯撒睡觉的地方。

「ンー? どうして?」  "嗯?为什么?"
「らって、いぅもかぎ……ぁえ? あいたぁー」  "钥、钥匙也……啊咧?打开了"

だから、ダメだよと世一は言おうとして。  所以世一正想说"不可以这样"。
けれど、そんな世一の手をするりと取ったカイザーは──そのまま、ドアノブを、世一の手ごと包んでガチャリと回してみせたのだ。
然而,凯撒却灵巧地捉住了世一的手——就这样将门把手连同世一的手一起包裹住,咔嚓一声转动起来。

でも、開けちゃうんだ。開いちゃうんだ。  但是,门开了。真的开了。
鍵、掛かってないんだ……?  难道...没上锁?

「ほら、どうぞお姫様」  "来吧,请进吧,小公主"
「んわ……」  "嗯……"

そうして視界に入る、部屋の中。  映入眼帘的,是房间内部。
広いことはよくわかる。けど暗くて、全貌はハッキリとは見えない。
能明显感觉到空间很宽敞。但光线昏暗,看不清全貌。

完全な暗闇というワケではないのだ。  倒也不是完全的漆黑一片。
いつも付けっ放しにしているのか、それともセンサーでもついているのか。
是平时就一直开着没关,还是装了感应器呢。

天井と壁の境界線のラインが、部屋そのものを囲むように柔くぼうッと光っていて。
天花板与墙壁交界处的线条,如同温柔地环抱着整个房间般泛着朦胧的光。

だからなんとなく、暗闇に弱い世一日本人の瞳でもシルエットだけは把握できる。
所以即便是对黑暗不太适应的世一的眼睛,也能隐约辨认出轮廓。

多分、真ん中に大きなベッドがある。それはわかる。  大概正中央摆着一张很大的床。这点倒是能确定。
逆に言うと、それしかわかんない。  反过来说,我也只知道这些了。

「なんれ、ここ?」  "咦,是这里吗?"
「こっちの部屋の方が大きなテレビなんだ」  "这边房间的电视更大些"
「そーらの?」  "那边的?"
「そうそう」  「对对」

──でも、テレビなんてどこにもみえない……。  ──可是,电视什么的根本看不到啊……
世一の目に見えてないだけで、この部屋のどこかにあるんだろうか。
或许只是世一看不见,其实藏在这个房间的某个角落吧。

そう思って、カイザーに導かれるまま世一は部屋の中央に向かってよたよたと歩いていく。
这样想着,世一被凯撒牵引着,摇摇晃晃地朝房间中央走去。

アルコールが回って、脚がうごかしにくい。  酒精上头,腿脚不听使唤。
あとヒールも厄介。はやく脱いで、うんと伸ばしたい……。
还有高跟鞋也碍事。真想赶紧脱掉,好好舒展一下……

「ほらここ、天井を観てみろ」  "快看这里,抬头看看天花板"
「てんりょ……あ~! あったぁ」  "天...啊~!在那里呢"

世一がダイナミックに三回転しても、きっと落ちないだろうキングサイズのベッドに腰かけて。
世一就算来个华丽的三周旋转,也绝对摔不下这张超大号双人床,他正坐在床边。

カイザーの言葉通りに天井を見上げてみれば、やっとお目当てのテレビモニターが目に入る。
按照凯撒说的抬头望向天花板,终于看见了心心念念的电视机。

でも凄い。天井にテレビがついてるだなんて、つまり寝ながら試合テレビが見られるってことだ。マジでそれよすぎ!
这也太酷了吧!天花板上居然装着电视,也就是说躺着就能看比赛。这配置简直绝了!

「てれびあったぁ! あはは、っわ」  "真的有电视耶!啊哈哈哈~"

だから世一は、その感動を伝えるべくカイザーのコトを見上げようとしたのだけれど。
所以世一为了传达这份感动,正想抬头看向凯撒。

けど何故か、カイザーは世一の身体を、とさ、、りと、、ベッ、、ドに、、押し、、倒し、、てき、、のだ、、
可不知为何,凯撒却将世一的身体轻轻推倒在床上。

「……んぇ?」  「……诶?」

ぱちりと、瞳が瞬いた。  睫毛轻颤,眼睛眨了眨。

暗いお空から、カイザーの髪がさらりと垂れ落ちて。  从昏暗的天空中,凯撒的发丝轻轻垂落。
世一の頬の表面を、青で染まった金糸が撫でてくる。  染上青色的金线拂过世一的脸颊。

それがまるで、流れ星みたいだなあって。  那简直就像,流星一样啊。
ぼんやり思ってた、ら。  我正恍惚地想着。

「かいらぁ? なぁに──ン、」  「凯拉?怎么啦──嗯,」



補足すると、三ツ星レストランの方が五ツ星ラウンジよりも料理のお値段が高い事が多いそうです。
补充说明一下,据说三星级餐厅的菜品价格往往比五星级酒廊更贵。

三ツ星は料理に対する評価で、五ツ星はホテルに対しての評価基準なので。
因为三星是针对料理的评价标准,而五星则是针对酒店的评价体系。

イベントで余った分を通販に回す予定です。  活动剩余的部分我们计划通过电商渠道销售。
よろしくお願い致します!  请多关照!

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