女装した潔がカイザーと仲良くなる話【前編】 洁女装后与凯撒变亲近的故事【前篇】
罰ゲームで女装した潔が、偶然街でカイザーと出会いナンパされ、別の人として仲良くなっていきます。潔自身とカイザーは全く仲良くない設定です。前編はややギャグみたいな書き具合になっています。
因惩罚游戏而女装的洁,偶然在街上遇见凯撒并被搭讪,以另一个身份逐渐与他熟络起来。设定中洁本人与凯撒关系并不融洽。前篇的写作风格略带搞笑意味。
前・中・後編に別れる予定です。漫画の合間に書くので、一週間程度間をあけてのアップになるかと思います。
预计将分为前篇、中篇、后篇三部分。由于是在漫画创作间隙撰写,各篇之间可能会间隔一周左右更新。
下記注意書きをお読みになってお進みください。何でも許せる人向けだと思います。
请先阅读以下注意事项。我认为这是为能够包容一切的人准备的。
【注意】
・全編通して潔がよく女装しています。 ・整篇故事中洁经常穿着女装。
・また飲み会やってます。 ・又在开酒会了。
・女装した潔が「よい子」という別の名前を名乗ります。
・女装的洁自称是"好孩子"这个别名。
・キャラ崩壊が起こっている可能性があります。 ・可能会出现角色崩坏的情况。
また、前回の小説や漫画などにコメントやスタンプをいただき、ありがとうございました。ゆっくり返信させていただきます!
另外,感谢大家在上次的小说和漫画中留下的评论与贴图。我会慢慢回复的!
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潔世一は、わけあってドイツの街を女装して闊歩していた。
洁世一因故正女装漫步在德国的街头。
「あいつらほんと、覚えてろよ・・・」 "那群混蛋给我等着..."
こうなったワケを説明するためには、まず昨日の夜に遡る必要がある。
要说明事情为何会变成这样,还得从昨晚说起。
潔は今年、ドイツの名門・バスタードミュンヘンに所属して5年目を迎えた。
今年是洁效力德国豪门拜塔慕尼黑的第五个年头。
プロ選手としてのストイックな生活の傍ら、サッカー以外に趣味のない潔の暇を潰してあげるという名目で、遊び騒ぐため定期的にドイツを訪れるブルーロックのメンバーたちとの宅呑みは、潔の数カ月に1度の楽しみだ。
作为一名职业球员过着严苛生活、除了足球别无爱好的洁,以"帮他打发时间"为名义,那些定期来德国狂欢的蓝色监狱成员们举办的宅饮会,成了洁几个月才有一次的消遣。
まだ自分たちが高校生だった頃から変わらないノリに、さすがにそろそろドイツでの生活に慣れてきたとは言っても、こちらでできたチームメイトとはまた違う、実家のような心地よさを潔は感じていた。
尽管可以说已经逐渐适应了德国生活,但这种从高中时代延续至今的喧闹氛围,仍让洁感受到与当地队友截然不同的、如同回到老家般的惬意。
そう、この時までは。 是的,直到此刻为止。
「ねね、ただ普通に飲むのも飽きてきたっていうか・・・つまんないっしょ?今日一番最初に潰れた人が、明日女装して買い物に出かけるとかどう?」
"我说我说,光是普通喝酒也开始腻了吧...多没意思啊?要不今天第一个喝趴的人,明天女装出门购物怎么样?"
蜂楽は潔の家に差し入れした大量のサングリアとシードルを全員のコップへ1杯ずつ、軽やかに注ぎながら言った。
蜂乐一边轻盈地将带给洁家的大量桑格利亚汽酒和苹果酒倒入每个人的杯子,一边说道。
「絶、対、嫌だ。何言ってんだよ蜂楽・・・」 "绝、对、不要。你在说什么啊蜂乐..."
潔は当然断る。お前らは旅の恥として掻き捨てられるかもしれないが、俺は地元チームでサッカー選手やってるんだぞ、と。ファンが気づいたらどうなるか、考えただけで恐ろしい。
洁当然拒绝了。他心想:你们或许可以把旅行中的羞耻抛之脑后,但我可是在本地球队踢球的职业选手啊。要是被粉丝认出来会怎样?光是想象就令人毛骨悚然。
それに、蜂楽や千切なら似合うかもしれないとしても、俺が女装するのは完全にただの罰ゲームだ、とも思った。
而且他还想到,就算蜂乐或千切穿女装可能很合适,但自己女装完全就是个惩罚游戏罢了。
「いいんじゃねーの?ドイツ人からしたら、日本人なんてかなり華奢なんだから、女装だってばれやしねーよ」
"这不是挺好的嘛?在德国人眼里,日本人都挺娇小的,女装根本不会被识破啦"
こら、千切。乗るんじゃない。蜂楽が調子付いちゃうだろ。
喂,千切。别起哄啊。蜂乐那家伙会得意忘形的。
「それありだな!ドイツ人男にナンパされたりして」 "这主意不错!说不定还会被德国男人搭讪呢"
玲王が茶化したように言う。 玲王用调侃的语气说道。
その真後ろで、皆で作ったおつまみを中心とする円陣にも入らず、最近潔家に導入した座椅子の傾きを最大限にしてスマホをいじっている凪も、
就在正后方,连大家围坐分享零食的圈子都没加入,只是把最近刚添置的懒人沙发调到最大倾斜度玩手机的凪,
「俺がやるのはめんどいからやだけど、他の人は好きにして。どうせ俺潰れないし」
"虽然要我穿很麻烦啦...不过其他人随意。反正我又不会社死"
と言ってしまったので、特に賛成するでも反対するでもなく黙り込んでいる國神をこちら側に引き入れたとしても、現状反対派1名の潔陣営の敗北は多数決で決まってしまっていたのである。
由于这句发言,即便把既不赞成也不反对保持沉默的国神拉拢过来,当前反对派仅有一人的洁阵营终究还是通过多数表决落败了。
(まあ、俺が潰れなければいい話だよな・・・、俺、今まで潰れたことなんかないし大丈夫だろ)
(嘛,只要我不社死就没事...我至今从来没出过丑肯定没问题吧)
「仕方ねえなあ・・・」 "真拿你没办法啊……"
ため息交じりにやれやれと同意した潔は知らなかった。潰れた経験がなかったのは、潰されたことがないだけであって、潔が酒に強いからではないということを。
带着叹息勉强同意的洁并不知道。他从未醉倒的经历,仅仅是因为没人灌醉过他,而并非他酒量过人。
チームでも一番見た目が若く見える潔は、飲み会でも「子供に無理矢理飲ませているみたいでやりづらい」「潔の口に何かを突っ込むのはそこはかとない犯罪臭がする」と、本人の与り知らぬところで、唯一自分のペースで飲むことを許されているのだった。
在队里看起来最显年轻的洁,在酒会上也因"像在强迫未成年人喝酒般令人不适""往洁嘴里塞东西总有种说不出的犯罪感",在他本人毫不知情的情况下,成为了唯一被允许按自己节奏饮酒的人。
そんなこんなで、今夜の敗者は元々決まっていたようなものなのだ。
就这样,今夜的败者其实从一开始就已注定。
朝、硬い床の上、上裸で目覚めた潔の目の前には、袖が控えめのフリルになっているからし色のトップス、黒いロングのキャミワンピ、潔の頭の双葉まで再現した黒髪ミディアムヘアのウィッグが置かれていた。それを取り囲む5人の男と、5人の男に含まれる約1名の御曹司が呼んだスタイリストやメイクアップアーティスト達に期待のまなざしで見つめられていた潔は全てを察して、ええい儘よと男らしくトップスから順に袖を通したのだった。
清晨,赤裸着上身在坚硬地板上醒来的洁面前,摆放着袖口点缀着含蓄荷叶边的芥末黄上衣、黑色长款吊带连衣裙,以及一顶完美还原他额前呆毛的黑色中长发假发。被五名男性(其中包括约一名贵公子)及其召唤来的造型师、化妆师们用期待目光包围的洁瞬间领悟了一切,豪迈地说了句"罢了随你们便",便从上衣开始逐一穿戴起来。
折角の機会を体格の良い男達が取り囲んで隠してしまうのは勿体ないからという謎の理論で、潔は他のメンバーから10m以上前に離れた場所を1人で歩かされている。律儀に言うことを聞いてしまうのは、潔の良いところでも悪いところでもある。
基于"让好身材被一群壮汉围着太浪费机会"的奇妙理论,洁被安排独自走在距离其他成员十米开外的前方。这份老实听话的性子,既是他的优点也是缺点。
「もー、せっかくみんながいんのに、俺1人で過ごしてるみたいじゃん!」
"真是的!难得大家聚在一起,搞得像我一个人在逛似的!"
文句を言ってみても、遙か後ろをスパイ映画さながらの大げさな動きで追ってくるおちゃらけ集団には届かない。言っておくけど、普通より大分目立ってるぞ。
虽然嘴上这么抱怨,但后方那群用夸张如间谍电影般动作尾随的活宝们根本听不见。说真的,你们可比普通人显眼多了。
家の玄関を出てしばらくは当然、羞恥心が絶え間なく襲ってきた。人に出会うたびに、含みのある目線を向けられているような気がした。しかしそこは適応能力の天才、街中へ出る頃にはこの状況にもすっかり慣れてしまい、たまたま通りかかった店でアイスクリームを買うくらいの余裕さえ生まれていた。
刚走出家门时,羞耻感确实如潮水般不断袭来。每次与人擦肩而过,总觉得会收到意味深长的目光。但适应能力堪称天才的我,走到商业街时已经完全习惯了这种状况,甚至有余裕在路过的店里悠闲地买了支冰淇淋。
昨晩、潰れた潔を横目に他のメンバーで話し合った結果、潔にはあるミッションが課せられている。
昨晚趁着崩溃的洁不注意时,其他成员商量后给他布置了一项特殊任务。
それは、女性もののアパレルショップをはしごして、服から鞄、アクセサリーに至るまで、潔のチョイスでコーディネイト一式を買って帰るというものだった。もちろん1つの店で済ませるのではなく、一店舗につき1点しか買うことが許されない。
任务内容是辗转多家女装店,从服装到手提包再到饰品,全部由洁亲自挑选搭配整套行头。当然不允许在同一家店买齐所有物品,每家店铺限购一件商品。
対応してくれる店員に女装していることがばれないかヒヤヒヤしているところを楽しむためだろうが、潔にとっては目的さえ早く達成できれば1日この格好でいる必要のないこの条件は正直ありがたく思えた。
虽然这安排明显是为了欣赏洁在店员面前提心吊胆生怕女装暴露的窘态,但对洁而言,只要能尽快完成任务就不用整天保持这副打扮,这条件反倒让他暗自庆幸。
淡々と作業のように買い物を進める。 机械般地完成着购物流程。
「あとは靴だけだ!」 "现在就差鞋子了!"
本当は男性向けの店で揃って賑やかなショッピングを楽しみたかったのに、とむくれつつも、店員に勧められるがまま購入したクラッチバッグの入ったショッパーを新たに提げて店を出るために潔がドアを開けると、履き慣れないヒール付きのサンダルのせいでよろけてしまった。
原本想去男装店热热闹闹地享受购物乐趣,却只能闷闷不乐地拎着店员推荐的链条包购物袋准备离店。当洁推开店门时,因不习惯穿带跟凉鞋而踉跄了一下。
そのまま態勢を立て直すことができず、たまたま目の前の道を歩いていた男性とぶつかる。
还来不及调整姿势,就撞上了恰巧路过门口的男子。
「わ、すみませ・・・」 "对、对不起..."
潔が目線をあげると、そこには淡い金から濃い青へグラデーションのかかった、蜘蛛の糸のように細い髪、あまりにも整いすぎた顔面、首には特徴的な薔薇のタトゥーの男。
洁抬起头,视线所及是一个发色从淡金渐变为深青、发丝如蛛丝般纤细的男人——那张面孔精致得过分,颈部还纹着标志性的玫瑰刺青。
黒の帽子とマスクで一部覆われているが、どう見ても毎日顔を合わせているチームメイトの姿がそこにあった。
虽然黑色帽子和口罩遮住了部分面容,但怎么看都是每天见面的队友站在那里。
「あー、別に…」 "啊,没事..."
男が返答しようとして、口を閉ざし、目を見開いてじっと見つめてくる。
男人刚要回答,突然闭上嘴,睁大眼睛死死盯着我。
潔は心臓が早鐘を打つというのはこういうことを言うのかと、心の底から実感した。
洁此刻真切体会到,所谓"心如擂鼓"说的就是这种感觉。
(ば・・・ばれた!!終わった!!) (糟...糟了!!完蛋了!!)
こいつのことだから、明日には俺が女装趣味のクソ変態男(事実ではない)だとチームに知れ渡るだろう。
以这家伙的性格,明天全队都会知道我是个有女装癖的变态男(虽然并非事实)吧。
こいつが他の人間に直接吹聴するさまこそ思い浮かばないが、チームメイトの目の前で、「昨日は随分可愛らしい格好をしていたな世一ィ~。日本では男の間でもワンピースが流行っているのか?」とか、言ってくるに違いない。あぁ、脂汗と冷や汗が同時に出てる。
我实在无法想象这家伙会直接向其他人宣扬这件事,但他绝对会在队友面前说:"昨天你那身打扮可真可爱啊世一~。在日本连男生之间也流行穿连衣裙吗?"啊,冷汗热汗同时冒出来了。
一瞬の間に、目の前の男・・・もといミヒャエル・カイザーに自分の未来を蹂躙される光景が駆け巡り、潔は口をぽかんと開けたままその場に突っ立っていた。すると、
刹那间,洁脑海中闪过眼前这个男人——更正,米歇尔·凯撒践踏自己未来的画面,他张着嘴呆立在原地。这时,
「どこか痛むのか?」 "哪里不舒服吗?"
男が口を開く。 男人开口问道。
「えっ・・・いえ!大丈夫です!」 “啊…不用!我没事!”
幻聴か?と潔は思った。あのミヒャエル・カイザーが、他人を気遣う言葉を発した。チームメイトになって5年目、初めてのことだった。
洁怀疑自己出现了幻听。那个米歇尔·凯撒居然说出了关心别人的话。成为队友五年来,这还是头一遭。
まあ、カイザーと潔は煽り以外で言葉を頻繁に交わすほど、お世辞にも仲の良いチームメイトとは言えないのだから当然と言えば当然だ。
不过说到底,凯撒和洁之间除了互相嘲讽外,实在称不上是关系融洽的队友,所以这种情况倒也正常。
カイザーとは、バスタード・ミュンヘンのダブルスタンダードとは呼ばれ始めてしばらく経つとはいえ、サッカー以外での繋がりは今のところ皆無だった。ロッカールームで会えば話しかけられることもあるが、一言二言嫌味を言われて、それに潔が血管を浮かせて終わる。
虽说两人被称作拜塔·慕尼黑的双重标准已有些时日,但足球之外的往来至今仍是零。在更衣室碰面时偶尔会被搭话,但往往只换来一两句刻薄言辞,最后总以洁气得青筋暴跳收场。
ましてや私生活で一緒に過ごすなんて、お互い5分も耐えられないのではないか。
更何况要在私生活中朝夕相处,恐怕连五分钟都难以忍受吧。
カイザーのことはサッカー選手として尊敬できるし、している。でも、サッカー外のカイザーのことを、潔はあまり知ろうとしてこなかった。
作为足球选手,洁确实尊敬着凯撒。但关于球场之外的凯撒,他从未试图去了解。
(何かわかんねーけど、気付かれてないっぽい・・・!)
(虽然搞不懂状况...但好像没被发现...!)
「お気遣いありがとうございます。不注意でぶつかってしまってすみませんでした・・・」
"谢谢您的关心。是我不小心撞到您了,非常抱歉..."
カイザーの意外な一面を見たことについてはさておき、あまり長く顔を合わせているのは身バレを案ずる身として得策ではない。すぐに目の前を去ろうと、潔は再度謝罪をして右足を踏み出した。
暂且不论看到了凯撒出人意料的一面,长时间面对面相处对担心身份暴露的我来说并非上策。洁再次道歉后,正要迈出右脚离开现场。
「ちょっと待て」 "等一下"
「うおっ!?」 "呜哇!?"
離れようとする潔の腕を、カイザーが勢いよく掴んで引き戻した。
凯撒猛地抓住准备离开的洁的手腕,将他拽了回来。
潔は、やはりバレたか?いやもしかすると慰謝料でも請求してくるのか?いやでもとんでもない年俸をもらっているコイツにこれ以上金が必要か?とぐるぐる意味のない思考を巡らせる。
洁心想:果然被识破了吗?不,说不定对方会来索要精神损失费?不过这个拿着天价年薪的家伙真的还需要更多钱吗?无意义的思绪在脑海中不停打转。
「1人でそんなクソでかい荷物持って、大変だろ?次の目的地まで持ってやる。」
"一个人搬这么重的行李很辛苦吧?我帮你搬到下一个目的地。"
どうやらバレたわけではないらしい。それにしてもこれでは、ただの親切なイケメンドイツ人にしか見えないから不思議だ。
看来似乎并没有暴露。即便如此,眼前这个人怎么看都只是个亲切的德国帅哥,真是不可思议。
「鍛えてるんで、気にしないでください!」 "我平时有在锻炼,请别在意!"
潔はカイザーの腕を振り払った。腕を掴んだのだから、彼だってフリル付きトップスの下にある、フィジカルトレーニングの賜物であるたくましい上腕筋をしっかりと感じることができただろう。
洁甩开了凯撒的手臂。既然抓住了手腕,对方肯定也清楚感受到了荷叶边上衣之下、那经过体能训练锻造出的结实肱二头肌。
それに重ねて、発したのがおおよそ女装を隠そうとしている男の言葉でないことに気づけないほど、潔は動揺していた。だって、いつものカイザーとあまりにも違うのだ。もしかして双子のお兄さんとかかな。
更令他心神不宁的是,自己脱口而出的话完全不像在掩饰女装的男人该有的反应。因为眼前的凯撒和平时判若两人。该不会是双胞胎哥哥之类的吧。
振り払われた手を気にした様子もなく、カイザーは距離を縮めて追撃する。
凯撒毫不在意被甩开的手,缩短距离继续追击。
「もちろん報酬は貰うつもりだ。お前日本人だろ?この近くに、日本人が経営しているカフェがある。1人で行くのは気が引けるから、付き合ってくれないか」
"报酬我自然会收。你是日本人吧?这附近有家日本人经营的咖啡馆。一个人去有点难为情,能陪我吗"
この台詞を聞いて、いくら鈍感な潔でも察した。今俺は、ナンパされている。しかもあのカイザーに。
听到这句话,就算是迟钝的洁也察觉到了。现在的我,正在被搭讪。而且是被那个凯撒。
もちろん断りたかったが、これまでの人生で男にナンパされた経験は潔にはない。
当然想拒绝,但洁至今的人生中从没有过被男性搭讪的经验。
途端、戸惑いに支配され、助けを求めようと付近で待機して居るであろう仲間達の姿を探すが、どこにもさっぱり見当たらない。
瞬间被困惑支配,想要寻求帮助而环顾四周寻找应该在附近待命的同伴们的身影,却哪里都完全找不到。
(あいつら、こんな大事な時にどこ行きやがったんだよ!!)
(那些家伙,这种重要时刻到底跑哪去了啊!!)
気を散らしているうちに潔はいつの間にか巧く言いくるめられ、気づいた時にはカフェの椅子に座り、あんこがこれでもかとのったあんみつを頬張っていた。
就在洁走神之际,不知不觉被对方巧言说服,等回过神来时已坐在咖啡厅的椅子上,正大口吃着堆满红豆馅的蜜豆凉粉。
「う、うんま~~!!!ドイツにもこんな店、あったんだな!!あんこの味が京都で食ったやつと一緒だ!」
“呜哇~~!!!德国居然也有这样的店啊!!红豆馅的味道和京都吃的一模一样!”
「そりゃ良かった」 “那太好了”
ドイツ人1人では行きづらいと誘ったくせにナンパ男はコーヒーを注文しただけだったので、この店に来たかったというのはやはりナンパ男のナンパ口上だったのだと潔は再確認した。
明明是因为德国人一个人去会尴尬才邀请他的,结果搭讪男就只点了杯咖啡,洁再次确认了"想来这家店"果然只是搭讪男的搭讪话术罢了。
「ミヒャエル・カイザーだ。」 "我是米歇尔·凯撒。"
やっぱり双子とか、他人のそら似ではないらしい。チームメイトがナンパ男だと、こんな形で知りたくは無かった。だが、自分が女装していることがバレるよりははるかにマシだ。
果然不是双胞胎或者长相相似的陌生人。真不想以这种方式发现队友是个搭讪男。不过比起女装身份暴露,这已经好太多了。
そういえばカイザーは、よく女性関係で週刊誌を騒がせている、とゲスナーが言っていたな。
说起来格斯纳曾提过,凯撒经常因为男女关系问题登上八卦周刊。
「あ、えと、よろしく、カイザー。」 "啊、那个...请多指教,凯撒。"
「で、お前の名前は?ファーストネームだけでもいいから教えろ」
"那,你叫什么名字?只告诉名字也可以"
「よい・・・」 "好..."
いつもの癖で世一、と言いかけたところでギリギリ思いとどまり、
就在他差点脱口而出"世一"这个习惯称呼时,总算及时刹住了车,
「こ!・・・よい子!」 "乖!...乖孩子!"
と名乗る。ちょっと無理矢理感があるかもしれない。だがコイツはドイツ人だ。多分違和感とか覚えないだろう。
自称是这个名字。虽然可能有点强行套用的感觉。但这家伙是德国人。大概不会觉得有什么违和感吧。
「よい子。よろしく」 "好孩子。请多关照"
カイザーは薄く微笑んだ。普通の女なら、きっとこの時点で落ちてるだろう。
凯撒露出了淡淡的微笑。如果是普通女孩的话,此刻肯定已经沦陷了吧。
そう、普通の「女」なら。 没错,前提是普通的"女孩子"的话。
「あのー、カイザーってさ、ドイツで知らない人はいないってくらいのサッカー選手だよな。こんなに普通に街歩いて、初対面の・・・女・・・とカフェとか入っちゃっていいわけ?」
“那个…凯撒在德国可是家喻户晓的足球明星吧?就这样随随便便走在街上,和初次见面的…女生…进咖啡馆真的没问题吗?”
「声をかけたのはお前が初めてだから分からない」 “主动搭话的人里你是第一个,所以我不清楚”
微笑みを保ったまま、カイザーが答える。ははーん、こいつ、こうやって女を喜ばせてるんだな?俺は男だから騙されないぞ、と潔はひとり勝ち誇った気持ちになった。
凯撒保持着微笑回答。呵——原来如此,这家伙就是用这种手段讨女孩子欢心啊?我可是男的才不会上当呢,洁在内心得意地宣告胜利。
「へー、そりゃ、うれしいな」 “嘿~那还真是令人开心呢”
形だけの笑顔を返したところで、潔はあることに気づいてしまった。
我勉强挤出一个敷衍的笑容,这时洁突然意识到一件事。
(もしかして、こいつ手早そうだし、今日そういう・・・エッチなことをしようとしてるつもりじゃ・・・!?)
(该不会...这家伙动作这么利索,今天该不会打算...要做那种色色的事吧...!?)
そこまで持ち込まれてしまったら、男であること、というか潔であることがバレるのは必然だ。そんなアヤシイ雰囲気になる前にさっさとお暇しなければ。
要是真发展到那一步,自己是男儿身——不,是"洁"这个身份暴露就是必然的了。必须赶在这种暧昧气氛形成前赶紧开溜。
「あ、あの~、申し訳ないんだけど、この後友達と約束あって。そろそろ店出て靴買いに行かないと・・・」
"啊、那个...实在不好意思,我之后和朋友有约。差不多该离店去买鞋了..."
「あぁ、そうか」 "啊,原来是这样"
潔はホッとした。ここで食い下がられたら、また断りそびれてしまうかもしれない。性格上、あまり深くない関係の人に強く出ることなんてできないのだ。
洁松了一口气。如果对方继续纠缠的话,自己可能又会错过拒绝的时机。以他的性格,实在不擅长对交情不深的人强硬表态。
「じゃあ、次の予定を立てたいから連絡先を交換しよう」
"那我们来交换联系方式吧,方便下次约时间"
カイザーはスマホの画面をこちらに向け、某連絡アプリの登録用QRコードを見せてきた。あとはこちらがカメラでそれを読み込むだけの状態だ。
凯撒将手机屏幕转向这边,展示出某通讯软件的注册二维码。现在只需用摄像头扫描就能完成添加。
そうくるか、と潔はいっそ感心した。ついでに、次はそうやって俺をホテルに呼び出すつもりだな、とかなり失礼なことも思った。
"居然来这招",洁反倒有些佩服起来。顺带还相当失礼地想着:接下来该不会打算用这招把我约去酒店吧。
冷静に考えて、交換に応じる気が潔にあったとしても、カイザーと連絡先を交換したことはないものの、連絡アプリの名前はよい子ではなく世一だ。カイザー1人のために今名前をよい子に変えることはできると言えばできるが、既に登録している他の大多数の人におかしな印象を植え付けること間違いなしだろう。
冷静想想,就算洁有意交换联系方式,虽然没和凯撒交换过,但通讯软件上的昵称可不是"好孩子"而是"世界第一"。要说为了凯撒一个人现在把昵称改成"好孩子"倒也不是不行,但肯定会给已经添加的其他大多数人留下奇怪印象。
「・・・ごめんなさい、お・・・私、連絡アプリとか、やってなくて・・・」
"......对不起,那、那个......我不用通讯软件......"
そうおずおずと答えると、スマホを引っ込めたカイザーは無言で自身の鞄を漁り始めた。
结结巴巴这么回答后,收回手机的凯撒沉默着开始翻找自己的书包。
さすがに機嫌を損ねて帰り支度を始めてしまったのだろうか。
该不会真的惹他不高兴,开始准备回去了吧。
潔は日本人らしく、こんなところに連れてきて美味しいものを食べさせてもらったのに申し訳ないな、という気になったが、その様子を黙って見守った。
洁很有日本人的特点,明明被带来这种地方还让人请客吃了美食,心里觉得过意不去,却只是默默注视着对方的举动。
すると、その予想とは裏腹にカイザーが鞄から紙とペンを取り出し、さらさらと数字を書き連ねる。
然而出乎意料的是,凯撒从包里取出纸笔,唰唰写下几行数字。
その紙をこちらにずいと寄越して、言った。 他把那张纸往这边一推,开口说道。
「俺の電話番号だ。掛ける気になったらでいいから、連絡してくれ」
“这是我的电话号码。想打的时候再联系我就行。”
「へ・・・」 “哎…?”
呆気にとられて思わず受け取ってしまう。こんなことをしなくても、店を出て一歩目に出会った女性に声を掛けるだけで今夜の相手が見つかりそうな男なのに。
我不由得愣住了,下意识接过了纸条。明明他根本不需要这么做——像他这样的男人,只要走出店门对第一个遇见的女性搭讪,今晚的约会对象就唾手可得。
わざわざ連絡先の交換すら断る女に対して、ここまでする必要があるだろうか。
对一个连交换联系方式都拒绝的女人,有必要做到这种地步吗?
「・・・わかった」 "……好吧"
(もしかしてカイザー、女装した俺のこと、・・・結構気に入ってる?)
(难道说凯撒……其实挺喜欢女装的我?)
潔は少しカイザーが哀れになった。自分ではそこまでうまく女装できている自覚はないが、玲王がどこかから呼んできたスタイリスト達によって、ドイツ人にはそれなりに可愛らしい女の子に見えているのかもしれない。もしくはカイザーが、上腕筋の逞しい女がタイプだったのかもしれない。
洁世一忽然觉得凯撒有点可怜。虽然自己并不觉得女装扮相有多完美,但或许是玲王从某处请来的造型师团队手艺了得,在德国人眼里确实算得上可爱女孩子——又或者凯撒本就钟情于肱二头肌发达的类型。
どちらにせよ、いいなと思って連絡先まで渡した相手が女装した男だったなんて、俺だったらトラウマもんだ。この場合、カイザーも潔と同じく蜂楽たちの道楽の被害者と言えるだろう。
无论如何,对心生好感还交换联系方式的对象竟是女装男子这种事,换作自己绝对会留下心理阴影。这么看来,凯撒和洁一样都是蜂乐他们恶作剧的受害者吧。
それでも、ドイツには女装した潔より美しい女性はいっぱいいるし、カイザーと報道のあった女性は美女ばかりだとも聞いている。
即便如此,德国比女装的洁更美的女性比比皆是,而且听说与凯撒传出绯闻的女性个个都是美女。
潔は、回転のやたら速い頭をフルに使って、正解を導き出した。
洁充分发挥他那转得飞快的脑袋,得出了正确答案。
これが世に言う、キープってやつか!と。 这就是世人所说的"备胎"吧!
潔は貞操観念のイカれている(仮)カイザーを勝手に心底軽蔑したが、頭の中にもう1つの余計な考えが浮かんだ。
洁在心底擅自鄙视起这个贞操观念崩坏(暂定)的凯撒,但脑海中又浮现出另一个多余的念头。
逆に考えれば、だ。 换个角度想想。
うまくカイザーにバレずにやり取りを続ければ、いつも潔を魅了しているあのシュートの秘密を、私生活から探れるのでは無いか。
如果能继续和凯撒来往而不被他识破,说不定就能从私生活方面探寻到那个总是吸引着洁的射门秘密。
「潔世一」としてならまったく聞けるような関係性にもないし、直接聞くのは癪だと思っているけれど。
如果是以"洁世一"的身份,根本不可能建立起能打听到这种消息的关系,而且直接去问也太让人火大了。
「よい子」なら聞けるんじゃないか…? 但如果是"好孩子"的话...说不定能问出来?
こっそりと敵情視察をしているようで後ろめたい気持ちもあるが、コイツは俺(女装後)をセフレにしようとしているのだから、俺だってこのチャンスを利用しても、いいよな?
偷偷摸摸来侦察敌情确实有点心虚,不过这家伙可是想把我(女装后)当炮友啊,那我趁机利用这个机会也不算过分吧?
どんなトレーニングしてるとか、どんなプロテイン飲んでるかくらい聞いても、いいよな…?
问问他在做什么训练、喝什么蛋白粉之类的应该没关系吧…?
潔の胸は一時的に、恋にも似た高鳴りで満たされた。
洁的胸口一时被近似恋爱的悸动填满。
(この偶然が、俺のサッカーの糧になるかもしれない!)
(这次偶遇说不定能成为我足球生涯的养分!)
「じゃあ、気が向いたら電話するよ」 "那等我心情好了给你打电话"
これまでにない元気のいい声でカイザーに語りかけ、潔が席を立つ。
洁用前所未有的活泼语气对凯撒说完,起身离席。
「ああ、それでいい」 "嗯,这样就行"
会計はとうに済んでいたようで、カイザーも続いて立ち上がり、2人で店を出る。
账似乎早就结清了,凯撒也跟着站起来,两人一同走出店门。
残っていた靴の買い物を済ませて、友達と合流するからと別れた。
买完剩下的鞋子后,洁以"要和朋友会合"为由与凯撒分道扬镳。
カイザーはその間、ずっと潔の荷物持ちに徹していたので、余裕もあってこりゃモテるだろうな、と潔は思った。
凯撒全程都坚持帮洁拎包,这份游刃有余让洁不禁暗想:这家伙肯定很受欢迎吧。
結局蜂楽に電話してみると、合鍵で先に潔の家に帰っているということで、潔は怒りを通り越して呆れた。人を散々オモチャにしておいて、飽きたら帰宅かい、と。
试着给蜂乐打电话才知道,那家伙居然用备用钥匙先回洁家了。愤怒过后涌上心头的是深深的无力感——把人当玩具耍够了就自顾自回家,这算什么啊。
電車を乗り継いで家に戻り、煩わしい洋服を脱ぎ捨てて化粧を洗い流した潔は、ラフなTシャツに着替え、冷蔵庫からお茶を取り出してコップに注ぐ。
辗转乘电车回到家,洁迫不及待地脱掉繁琐的女装洗掉妆容。换上宽松 T 恤后,他从冰箱取出茶水倒入玻璃杯。
それを一気に飲み干して、ゴトリと音のするほどコップを勢いよくシンクに置きながら、自分の家で我が家のようにくつろぐエゴイストたちに吠えた。
他一口气喝完水,把杯子重重砸在水槽里发出"哐当"声响,对着这群在自己家却像在自家一样放松的自我主义者们吼道。
「お前らがいなくなってたせいで、俺大変だったんだぞ!カイザーに出くわしたりさぁ~・・・!」
"都怪你们突然消失不见,害我遇到大麻烦了!居然撞见了凯撒那家伙~...!"
「えっ、うっそ~!そんな面白い展開になってたんなら見とくんだった!」
"诶~骗人的吧!要是知道剧情这么有趣我就留下来看了!"
蜂楽の目の色が変わる。 蜂乐的眼神突然变了。
「それで、ばれたのか?」 "所以,被发现了吗?"
続いて千切も身を乗り出して文字通り乗ってくる。 紧接着千切也凑上前来,字面意思地加入了对话。
「いや、なんかうまく誤魔化せたっぽいけど・・・」 "不,好像勉强糊弄过去了..."
「なーんだ、つまんねー」 "切,真没劲"
こちらを向いていた玲王が目線を手元の本に戻す。潔は読もうと思ったこともない、小難しい経済誌だ。
玲王转回视线,重新低头看向手中的书。那是洁连翻都没想翻过的艰深经济杂志。
「つまんねーとか言うな!てかなんで勝手にいなくなってんだよ!」
"少说无聊这种话!话说你干嘛擅自消失啊!"
潔はあの時の史上最高に肝の冷えた感覚を思い出して、怒りを増幅させた。
洁回想起当时那种史上最令人胆寒的感觉,怒火更盛。
「だって潔、開始30分くらいで全然恥じらいがなくなってるんだもん。俺たちは恥ずかしがる潔が見たかったのにー!」
"因为小洁啊,开场 30 分钟就完全不会害羞了嘛。我们明明是想看害羞的小洁才来的——!"
悪びれもせず蜂楽が答える。 蜂乐毫不怯场地回答。
「そしたら千切が、疲れたから座れる店に入りたいって言いだしてさ」
"然后千切就说累了想找家能坐的店"
と、玲王。 玲王说道。
「言っとくけど俺は止めたぞ」 "先说好我可是阻止过的"
國神だけは、ちゃんと潔に対して申し訳なさそうなポーズを見せたので許すとして。
只有国神对洁露出了抱歉的表情,所以原谅他吧。
「俺はみんなに付いてっただけだから知らなーい」 "我只是跟着大家而已,不知道啦~"
凪もいつもどおりだからこれもまあいい。だけど、人が怒ってんのにゲーム続行すんのはやめろよな。
凪也和平常一样,这个就算了。但是别人在生气的时候还继续打游戏就过分了吧。
「・・・今日の晩飯はみんなの奢りだよな?もちろん」
"……今天的晚饭大家请客对吧?当然的"
潔がそう問いかけると、肉だ肉ー!と何故か奢る側の蜂楽が潔よりも先にディナーのメニューを決めてはしゃぎ始めた。
当洁这么问时,"吃肉吃肉!"不知为何反倒是请客方的蜂乐比洁先决定了晚餐菜单,开始兴奋起来。
まあいいか、と気持ちを切り替えて、鞄にあるカイザーの電話番号を携帯に登録する。
算了就这样吧,洁转换心情,把包里凯撒的电话号码存进手机。
「なんか、変なの」 "总觉得,有点奇怪呢"
潔は少し愉快な気持ちになって、他のメンバーにバレないようにくすりと笑った。
洁心情变得有些愉快,为了不被其他成员发现而偷偷抿嘴笑了。
毎日のように顔を合わせているカイザーと、知らない人としてやりとりした、変な一日。
和每天见面的凯撒装作陌生人相处,度过了奇怪的一天。
さらには連絡先までもらって、そのまま交流を続けようとしている自分。
甚至还要到了联系方式,就这样打算继续保持交流的自己。
明日はオフだ。 明天是休息日。
みんなは朝イチの便でそれぞれの国に戻ってしまうし、同じチームのカイザーも当然オフだ。
大家都会搭乘早班航班各自回国,同队的凯撒自然也是休息日。
予定は何もないし、電話してみてもいいかもな。 反正也没别的安排,要不试着打个电话吧。
逢おうって言われたら、もう女装なんかしたくないし当然断るけど。
要是对方提出见面,我肯定不想再女装了当然会拒绝。
会えないことを理由に連絡が来なくなるならその時はそれでいい。
如果因为见不了面就不再联系,那也随它去吧。
そうしてこの日から、カイザーと潔、もとい「よい子」のおかしな交流は始まった。
就这样从那天起,凯撒和洁——不对,是和"好孩子"之间奇妙的交流开始了。
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