【6/30JB2024】カイザーの夏休み 【6/30JB2024】凯撒的暑假
6/30 JUNE BRIDE FES 東1ホール ア25a
6/30 六月新娘祭 东 1 展厅 A25a
にて頒布を予定しました。 预计将在该处发布。
「カイザーの夏休み」全年齢 《凯撒的暑假》全年龄向
web再録+書き下ろし 网络再录+新写
A6/56p A6/56 页
【booth】
https://omochi1lap.booth.pm/items/5873593
オフシーズンを日本で過ごすカイ潔の短編集。 在日本度过休赛期的凯洁短篇集。
山に登ったり、コイン精米に行ったりします。 去爬山,去碾米厂。
上げているカイ潔夏休み話(novel/20717210)に加筆修正し、書き下ろしを追加して1冊にしました。
在原发布的凯洁暑假故事(novel/20717210)基础上进行增补修订,并新增未公开内容集结成册。
表紙イラストは伊藤止めさん(user/777230)です。素晴らしいカイ潔をありがとうございます!
封面插画由伊藤止め(user/777230)绘制。感谢您带来如此精彩的凯洁同人图!
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青山ただ青を磨く 青山只顾打磨青翠
はあはあと荒い息が背中越しに聞こえる。 粗重的喘息声从背后传来。
「世一……まだ……」 "世一……还……"
カイザーのこんなに乱れた呼吸は聞いたことがない気がする。ちょっぴり優越感も覚えながら肩越しに振り返った。
我从未听过凯撒如此紊乱的呼吸声。带着些许优越感,我越过肩膀回头望去。
「もうちょっとだからがんばれよ。頂上着いたらおにぎり食べような〜」
"再坚持一下就到啦。等登顶后一起吃饭团吧~"
そう、俺たちは山にきている。 没错,我们来到了山上。
オフシーズンの休暇を利用して帰国する俺に、当然のようにカイザーはついてきた。
趁着赛季休假的空档回国,凯撒理所当然地跟了过来。
今は潔家に寝泊まりしており、俺の前では「日本家屋は狭い」などど宣うのでいつでも追い出す用意はできていたが、母さんには「イヨのごはんはうまい、また作ってくれ」と覚えたての日本語で伝えているのを見てしまうと冷たく当たることもできなくなり、まだ追い出すには至っていない。
现在暂住在洁家,这家伙在我面前总嚷嚷"日本房子太窄了",我随时都准备好把他赶出去。但看到他用刚学会的日语对妈妈说"洁妈妈做的饭很好吃,请再做给我吃"的模样,又狠不下心冷脸相对,至今还没能成功赶走他。
今日も母さんの用意した朝食を食べていたところ、ニュースで「富士山が山開きを迎えました」とアナウンサーが伝えた。
今天正吃着妈妈准备的早餐时,新闻主播播报着"富士山迎来开山季"的消息。
「日本人は山登りが好きなのか?」 "日本人很喜欢爬山吗?"
器用に箸を使いながらカイザーが口を開いた。 凯撒一边灵巧地用着筷子,一边开口问道。
「まあ山登りを趣味にしてる人は多いかもな。俺も時々トレーニングで登ってたよ」
"嗯,把登山当爱好的人确实不少。我以前训练时也经常去爬。"
「ふーん。まあ俺は一生登りたいとは思わないがな」 "哼。反正我这辈子是不想爬的。"
ん? 嗯?
「え、お前山登ったことないの?」 "诶,你从来没爬过山?"
「わざわざ登る意味が分からん」 "完全不懂特意去爬的意义"
まじか。ドイツ人、登山嫌いなのか? 真的假的。德国人讨厌登山吗?
今日は特に予定はない。天気もいい。最高の登山日和である。
今天没什么特别安排。天气也不错。正是登山的好日子。
「…カイザー、今日俺のトレーニング付き合って。いいもの見せてやるから」
"...凯撒,今天陪我训练吧。给你看点好东西"
リュックに荷物を詰める。靴はランニングシューズで十分だ。
往背包里塞着行李。运动鞋就够用了。
「あ、大事なの忘れてた!」 "啊,差点忘了重要的东西!"
玄関先でカイザーに日焼け止めを塗らせる。 在门口给凯撒涂防晒霜。
「耳とかもしっかり塗っとけよ〜」 "耳朵这些地方也要好好涂到哦~"
カイザーの白くきめ細かい頬やおでこに日焼け止めをするすると伸ばすと、されるがままの彼はげんなりとした顔をしている。
将防晒霜均匀涂抹在凯撒白皙细腻的脸颊和额头上时,任人摆布的他露出一脸生无可恋的表情。
「世一、嫌な予感しかしないんだが」 "世一,我有种不祥的预感"
「大丈夫、富士山までは行かないから!」 “放心啦,不会带你去富士山的!”
「誰が行くか」 “谁要去啊”
「お前の体力なら余裕だろ?」 “以你的体力肯定绰绰有余吧?”
にやにやしながらカイザーの目を覗き込むと、諦めが見て取れた。
我贼笑着偷瞄凯撒的表情,发现他已经放弃挣扎了。
「お前がそういう目をしている時は止められんからな。まあ怪我のリスクがないなら付き合ってやらんでもない」
"你这副表情的时候我可拦不住。不过既然没什么受伤的风险,陪你玩玩也不是不行"
ため息ついたぞこいつ。幸せ逃げるぞー。 这家伙居然叹气了。幸福要溜走啦——
潔家から一時間と三十分。山の麓の駅に到着した。リュックは世一が背負い、カイザーには帽子を被せ手ぬぐいを首に巻いてやる。
从洁家出发一小时三十分钟后。我们抵达了山脚下的车站。世一背着登山包,我给凯撒戴上帽子,还在他脖子上系了条手巾。
登りはじめて三十分たって分かったこと。カイザーは山登りが苦手らしい、ということ。サッカーをしている時には涼しい顔しか見たことないが、今はかなり汗をかいてるし、顔も赤い。だんだんかわいそうになってきて「…帰る?」と聞いたら荒い呼吸の間に「…登る」と返された。
开始攀登三十分钟后发现了件事。凯撒似乎很不擅长爬山。虽然踢足球时总是一副游刃有余的表情,现在却大汗淋漓,脸也涨得通红。看他越来越可怜的样子,我问道"…要回去吗?"他在急促的呼吸间隙回答"…继续爬"。
様子を伺うと、ふらついたりはしていないし、いつもが余裕すぎるくらいなのでまだ体調的にはいけそうだ。まあここで引き返すのもプライドが許さないのだろう。
观察他的状态,虽然脚步有些虚浮,但平时总是游刃有余的样子,看来体力还撑得住。不过现在打道回府的话,他的自尊心大概也不会允许吧。
とは言いつつ体調不良に陥らせるわけにもいかないので、こまめに休憩をとって水分を摂らせ、そのたびにおでこを触ったり脈を確認したりして無理はさせないように、少しずつ登ってきた。
话虽如此,也不能真让他累垮,所以每走一段就让他休息喝水,每次都要摸摸额头把把脉,确保不让他逞强,就这样慢慢爬了上来。
いくら九十分間ピッチを走り回る体力があっても、平地を走る体力と登る体力は違うらしい。
就算有在球场上狂奔九十分钟的体力,看来平地奔跑和登山所需的体力还是不一样。
「お、もうちょっとかも」 "哦,应该快到了"
空が開けて、登山道の終点に着く。 天空豁然开朗,抵达了登山道的终点。
「着いた!」 "到啦!"
カイザーの手を取ってくるりと振り向かせる。 我抓住凯撒的手让他转了个圈。
「ほら、がんばったご褒美!」 "看,这是努力的奖励!"
そこには雲ひとつない底抜けに青い空と、小さく見える街並み、遠くの山々があった。今日は天気がいいからかなり遠くまで見える。
眼前是万里无云的湛蓝晴空,俯瞰着缩成微型的城市轮廓与远方的连绵山脉。今天天气格外晴朗,视野能一直延伸到地平线尽头。
「いい景色だろ」 "风景不错吧"
カイザーはピッチでの唯我独尊な様子とは対照的に、日常では静寂を好む。なんとなく、この景色は気に入ってくれる気がしていた。
与球场上唯我独尊的姿态截然相反,凯撒在日常生活中偏爱宁静。冥冥中总觉得,这样的景致应该会合他心意。
「…山が青い」 "...山是青色的"
ぽつりとカイザーが呟くのを聞いて、はっとした。 听到凯撒突然的低语,我不由得心头一震。
じわじわと暖かい気持ちが込み上げてくる。 一股暖意渐渐涌上心头。
「…やっぱお前最高だな」 "...果然你最棒了"
天気がいい日は肉眼でもフィルターをかけたように山が青く見える。昔、父さんが山に連れてきてくれてからその景色が好きで、それを見たくて山にくることもあった。世一が好きな景色をカイザーも感じてくれていることが嬉しかった。
天气晴好的日子里,即便用肉眼望去,群山也如同加了滤镜般青翠欲滴。从前父亲带我来过山里后,我就爱上了这般景致,有时甚至会专程为看这景色而来。想到世一钟爱的风景也能被凯撒感知到,这份心意让我欣喜不已。
「またきてやってもいい」 "下次还可以再来"
あのあと座っておにぎりを食べて、水筒に入れてきた冷たいお茶を飲んで、また休憩しながら下りてきた。帰りの電車の中で、眠る直前のように目を閉じたままカイザーがぼそぼそ言って、愛おしいったらなかった。
之后我们坐着吃了饭团,喝了保温杯里带来的凉茶,休息片刻后便下山了。返程的电车上,凯撒像临睡前那样闭着眼睛嘟囔着,那副模样简直可爱得让人受不了。
「ん、またこような」 "嗯,下次再来吧"
次の日の朝飯の食卓で、日焼けしたところが痛いとちくちく言われるのは、また別の話。
至于第二天早餐桌上,被晒伤的皮肤火辣辣地疼这件事,那就是另一回事了。
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