「日米合意があるかもしれません」 “日美之間可能會達成協議。”
現地時間7月22日、合意する数時間前。私は水面下で取材してから一瞬も間を置かず、上司に電話報告した。
當地時間7月22日,就在協議達成的幾個小時前,我在秘密採訪結束後毫不猶豫地打了電話給老闆。
日本の交渉団に同行してアメリカに出張していた中、飛び込んできた赤澤大臣がホワイトハウスに向かうという情報。すぐさま複数の関係者に取材すると、交渉は大詰め以上で、合意する可能性が高いというのだ。
當時他正陪同日本談判團赴美出差,得知赤澤部長即將前往白宮。他立即採訪了幾位相關人士,得知談判已接近尾聲,達成協議的可能性很高。
歴史的な瞬間が、そこまで来ていると覚悟した。 我意識到一個歷史性的時刻即將到來。
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関税交渉 トランプ大統領と合意するまで 關稅談判:直至與川普總統達成協議
急転直下といわれた合意。しかし、政府関係者への取材から、合意の1か月以上前には最後の一歩のところまで交渉が進んでいたことが見えてきた。
該協議被形容為突然發生,但對政府官員的採訪顯示,在達成協議一個多月前,談判已進入最後階段。
どうやって合意にこぎつけたのか。 你們是如何達成協議的?
日米交渉を担った交渉関係者たちの舞台裏を、記録する。
本片記錄了日美談判人員的幕後活動。
(経済部記者 河崎眞子)
合意の数時間前 協議簽署前幾個小時
經濟再生擔任部長赤澤被任命為日方首席談判代表
異例の関税交渉 前所未有的關稅談判
一連の関税交渉は、まさに綱引きのような攻防だった。
這一系列關稅談判是一場拉鋸戰。
少なくともトランプ大統領が就任したことし1月以降、つまり関税措置が発動される前から、すでに事実上の協議は始まっていた。
至少自川普總統一月上任以來,在實施關稅措施之前,事實上的談判就已開始。
通常“関税交渉”では、国や地域の間で、主に互いの関税率を引き下げる議論になる。しかし、日本とアメリカの間では2019年に“日米貿易協定”を締結しており、すでにアメリカからの輸入品に対する関税は極めて低くなっている。日本側が関税を引き下げる余地がない中で、日本政府は交渉できる材料から見つける必要があった。
通常,關稅談判是國家或地區之間的磋商,主要目的是降低彼此的關稅稅率。然而,日本和美國在2019年達成了《日美貿易協定》,而美國進口產品的關稅已經非常低。由於日本沒有降低關稅的空間,日本政府不得不尋找談判的議題。
当時、私が関係者への取材内容を書き留めたメモには、「アメリカ側から日本への具体的な要望が明確でない」「聞く人によって要望が異なる」と残っていて、アメリカの腹の内を慎重に探っている様子を思い出す。同時に「“やり損”にはしない」とのメモもあり、日米双方が受け入れられるギリギリのラインを見極めていたように感じた。
我記得當時採訪相關人員的筆記中,他們仔細探究了美國的真實意圖,並附上了“美方對日方的具體要求尚不明確”、“要求因人而異”等字樣。同時,還有一條註釋寫道:“我們絕不能讓此事以‘失敗’告終”,我感覺他們正在努力尋找日美雙方都能接受的界限。
3月以降、アメリカは鉄鋼製品・アルミニウムから始まり、自動車、自動車部品、それに一律10%の関税を相次いで発動した。一連の関税措置を日本政府は「国難」と表現し、4月には日米がそれぞれ交渉トップの閣僚を指名して、日米協議が本格化した。
自3月以來,美國先後對鋼鐵產品和鋁產品徵收10%的關稅,隨後又對汽車及汽車零件加徵關稅。日本政府將這一系列關稅措施描述為「國家危機」。 4月,日美兩國各自任命了各自的首席談判大臣,日美談判正式拉開序幕。
5月下旬には、合意に向けたボルテージが高まった。 到五月底,緊張局勢正在加劇,協議即將達成。
赤澤大臣が4回目に渡米した際、6月中旬のG7サミットでの首脳間の合意も視野に入れると、日米間で一致したからだ。実際、カナダで開催されたG7サミット中に日米首脳会談は実現したものの、最大の焦点だった自動車関税をめぐる両国の主張の隔たりが埋まらず、合意には至らなかった。
赤澤第四次訪美期間,日美雙方同意在 6 月中旬舉行的 G7 峰會上探討達成首腦協議。事實上,在加拿大舉行的 G7 峰會期間,日美兩國也舉行了首腦會談,但由於兩國在討論的最大焦點——汽車關稅問題上的立場分歧未能彌合,最終未能達成協議。
このころ、トランプ大統領は、自動車への追加関税をさらに引き上げる可能性に言及。7月に入ると、日本から輸入する幅広い品目に課す関税を30~35%まで引き上げることも示唆し、日本へのプレッシャーを強めていた。
在此期間,川普總統提到了進一步提高汽車關稅的可能性,並在7月建議將從日本進口的多種商品的關稅提高至30%至35%,加大了對日本的壓力。
しかも、G7サミットから約2週間後に訪米した赤澤大臣は、滞在期間中にアメリカ側の交渉トップのベッセント財務長官と会うことができていなかった。このまま交渉が長引くか、あるいはアメリカから一方的に交渉を打ち切られるか、不透明感が色濃くなったようにも見えた。
此外,赤澤外交部長在七國集團峰會結束約兩週後訪問美國,但其間未能與美國首席談判代表財政部長貝森特會面。這引發了人們對談判是否會拖延或被美國單方面終止的擔憂。
合意寸前だったG7前 G7 協議前
ただ、私には気になることがあった。 然而,有件事讓我很困擾。
G7サミットの直前、ある政府関係者が「すでに交渉は終わっているようなものだ」と語っていたのだ。いったい何が終わり、何が残っていたのだろうか。
就在七國集團高峰會召開前夕,一位政府官員表示:「談判好像已經結束了。」那麼,究竟哪些已經完成,哪些還沒完成呢?
実は、日本の提案内容はほぼ出そろっていて、細かい最後の詰めに入っていたのだ。
事實上,日本的方案已經基本完成,只是在製定細節。
例えば、交渉の中で、日本側はアメリカの自動車産業への貢献度に応じて、自動車の追加関税を引き下げる仕組みを提案していたが、その中のある1つの変数を議論していた。
例如,在談判中,日方提出了根據各國對美國汽車產業的貢獻度來削減汽車附加關稅的製度,該制度中的一個變數正在被討論。
日本政府関係者によると、この仕組みには、アメリカでの自動車の生産量やアメリカからの輸出量、雇用などを反映する変数があった。日本の自動車メーカーが、これまで一定程度の生産拠点をアメリカ国内に移してきた中で、日本としては過去の実績も反映させることを望んでいた。これに対して、アメリカ側がG7直前になって不満を示してきたというのだ。
根據日本政府官員介紹,該體系包含了反映美國汽車產量、美國出口量、就業率等因素的變數。鑑於日本汽車製造商正在將一定比例的生產基地轉移到美國,日本希望該體係也能反映過去的表現。然而,美國在七國集團會議召開前夕似乎對此表示不滿。
過去の実績を盛り込むか否かではじき出される関税率は大きく異なるわけだが、裏を返すと、この時点でこうした細かな部分の議論に達していたことのあらわれともとれた。
根據是否考慮過往表現,計算出的關稅稅率會有很大差異,但反過來,這也可以看作是此時已經就這些更細節的問題進行了討論。
少し脱線するが、この仕組みは合意のおよそ1週間前に立ち消えになったという。
稍微離題一下,這個計劃顯然是在協議達成前一周左右被取消的。
関係者によると、トランプ大統領が「complex(複雑)」と言って却下したそうだ。
消息人士透露,川普總統拒絕了該提議,稱其「複雜」。
「complex」は、「複雑なものには裏がある」と毛嫌いするトランプ大統領の口癖なんだとか。
顯然,「複雜」是川普總統的口頭禪,他不喜歡任何複雜的事情,因為「複雜背後隱藏著一些東西」。
結局、この仕組みに関係なく、自動車の関税率は15%で落ち着いた。
最終,不管這個制度如何,汽車關稅稅率還是確定為15%。
仲間になったラトニック商務長官 商務部長盧特尼克加入我們
話を戻そう。 讓我們回到正題。
一方、合意に至る最後の関門として立ちはだかったのは、トランプ大統領だ。
同時,川普總統是達成協議的最後一道障礙。
交渉トップに閣僚が指名されてはいたが、最終的にトランプ大統領がゴーサインを出さなければ何も決まらないのが実情だった。
儘管已經任命了一位內閣成員來領導談判,但現實情況是,除非川普總統最終批准,否則什麼都不會決定。
G7が直前に迫る中でも、複数の日本政府関係者からは、アメリカ側の交渉トップのベッセント財務長官について、「トランプ大統領に日米交渉の内容を報告していないのでは」と不満の声が漏れていた。
隨著 G7 會議臨近,多名日本政府官員對美國首席談判代表財政部長貝森特表示不滿,並表示「他似乎沒有向川普總統報告日美談判的內容」。
一方、金融業界出身のラトニック商務長官は、実業家のトランプ大統領とのつきあいが長く、ある関係者は「トランプ大統領と毎日のように話せるのは、友人関係にあるラトニック氏だ」と話していた。
另外,金融業出身的商務部長盧特尼克與商人總統川普交情頗深,有消息指出「盧特尼克是川普總統的朋友,幾乎每天都能和他通話」。
実際、6月下旬の7回目の訪米以降、赤澤大臣とラトニック商務長官は相次いで電話会談を行った。関係者によると、ラトニック商務長官から「電話で情報を共有してくれれば、一緒にトランプ大統領へのプレゼン方法を考えよう」と言われたそうだ。
事實上,自6月底赤澤第七次訪美以來,他與商務部長盧特尼克已連續進行了電話會談。據消息人士透露,盧特尼克部長表示:“如果能在電話中分享信息,我們可以共同商討如何將其提交給特朗普總統。”
さらに、プレゼン用のパネルも準備してくれたらしい。トランプ大統領を説得するために、閣僚レベルで協力関係ができていたのだ。
此外,他們顯然還為演講準備了一個小組,表明他們為了說服川普總統,已經在內閣層面建立了合作關係。
前夜の予行演習 排練前一天晚上
そして、7月下旬。およそ1か月ぶりとなる8回目の訪米。
然後,七月下旬,我第八次訪問美國,距離上次訪問大約一個月。
関係者によると、日本の交渉団の到着日に、トランプ大統領との会談がセットできる可能性が急浮上。
消息人士透露,突然出現了在日本談判團隊抵達當天安排與川普總統會晤的可能性。
その日の夜、赤澤大臣をはじめとする日本の交渉団は、ラトニック商務長官の自宅で2時間以上におよぶ「予行演習」を行ったという。
據報道,當晚,赤澤部長和日本談判團隊在商務部長盧特尼克的家中進行了兩個多小時的「演練」。
この中では、数字が好きなトランプ大統領にとって、わかりやすい成果になる“演出”を確認。
其中,我們可以看到一個對於熱愛數字的川普總統來說將會產生易於理解的結果的「成果」。
例えば、アメリカに投資する日本企業への出資や融資などの枠組みについて、最初は予算より少なく見積もった4000億ドルを提示し、会談中に金額を引き上げるという作戦を用意したという。
例如,關於對在美投資的日本企業的投資和貸款框架,他們最初提出的金額為4000億美元,低於預算,隨後計劃在會議期間提高這一金額。
翌日、ようやくトランプ大統領との会談時間が固まった。しかし、会談があることそれ自体、事前に公表されることは無かった。
第二天,與川普總統的會面時間終於確定,但會面並未提前宣布。
そして、現地時間の夕方、ホワイトハウスでの会談は70分におよんだ。そして、トランプ大統領は自身のSNSで、幅広い品目への関税を15%にするなどの合意内容を明らかにした。
當地時間晚間在白宮舉行的會談持續了70分鐘,川普總統在其社群媒體帳號上公佈了協議細節,包括對多種商品徵收15%的關稅。
ただ、最大の焦点だった自動車関税には触れられておらず、これまで幾度もやりとりを重ねてきた政府関係者たちに水面下で取材し、15%になったと確認した。
但對於最受關注的汽車關稅卻隻字未提,在對與政府多次打交道的官員進行幕後採訪後,確認關稅定為15%。
長い、半年間だった。 這是漫長的六個月。
日米合意に達したあと
最大の焦点だった自動車関税の引き下げの合意も取り付けた、日米関税交渉。
ただ、課題はまだ残っている。日本時間8月1日、日本に対する15%の関税は合意どおり大統領令が署名され、7日後に発動される。
一方、自動車への新たな関税率は、大統領令署名の手続きもまだ行われておらず、依然として25%の追加関税が課せられる状態が続く。
そして、これから関税が課される可能性のある半導体や医薬品。
今回の合意で日本側が約束した自動車や半導体、エネルギーなど9つの分野の投資計画の進捗(しんちょく)の管理もある。
日米双方が合意内容を着実に実行するのか。“歴史的な交渉”は、まだ終わっていない。
こぼれ話
日米交渉の間、自動車と並んで話題にのぼったのは、日本の聖域=コメだ。
政府関係者への取材では、定期的に「日本の交渉カードにコメが入っていないか」と質問したが、はっきりと否定された。
ところが、トランプ大統領は「日本はわれわれのコメを受け取ろうとしない」などコメに関する不満を繰り返し示していた。
そこで、合意直前に「最後の一押し」として、「ミニマムアクセス」と呼ばれる仕組みの枠内で、実質的にアメリカからの輸入割合を増やすことを提案したという。
先般のトランプ大統領との会談では、ラトニック商務長官が「日本のコメの市場開放は大きな成果になる!」と助け船をだしてくれたそうだ。
(7月23日おはよう日本などで放送)
2017年入局
台湾や中国にも滞在経験
松山局を経て、現在は経済部で通商政策を担当
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