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きらきらひかる/おばけちゃん的小说

きらきらひかる  闪闪发光

15,959字31分钟

凛ちゃんが引退後、田舎に引っ越してそこで一人で暮らす話。
凛酱退役后搬到乡下独自生活的故事。

※途中で潔が女性関係を匂わせる描写がありますが最終的には凛潔になります。
※中途会有暗示洁女性关系的描写,但最终会是凛洁结局。

※SF(少し不思議)な話かも。  ※或许是个带点奇幻色彩的故事。

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引退後の終の住処は海が近い田舎の町にした。  退役后,我选择在海边的小镇度过余生。
「海の近くに住みたいなら鎌倉に帰って来たら」と母親に言われたが、実家まわりは観光地なので人が多い。道を歩いているだけで知らない奴らに顔を二度見され、酷い時にはこそこそと盗撮をされるような生活はもうごめんだった。
母亲曾劝我"想住海边不如回镰仓老家",但老家周边是旅游区,人潮拥挤。光是走在路上就会被陌生人频频侧目,严重时甚至遭遇偷拍,这种生活我实在受够了。

一人暮らしの予定だったが、犬でも飼おうかと思ったので中古の一軒家を購入した。ただ、住んで一年経つが未だに俺の生活には犬はいない。
原本打算独居,但想着或许该养条狗,就买了栋二手独栋房。只是入住一年后,我的生活里依然没有狗的身影。

引っ越してすぐに、地元の小さなサッカーチームからコーチをしてもらえないか、と打診があった。少ないが給料も払うと言われたのでOKした。兄から「結婚もしねぇし仕事もしねぇなら、お前が家の中で孤独死した時に誰がお前を見つけるんだ。せめて地元の何かしらのコミュニティに定期的に顔を出せ」なんて言われていたからちょうど良いと思った。
刚搬来不久,当地小型足球队就来询问能否担任教练。虽然薪水微薄,我还是答应了。哥哥说过"既不结婚又不工作,你孤独死在家里时谁来发现?至少定期在本地社区露个脸",这差事来得正好。

サッカーを自分から取りあげたら残るものは何もないと分かっていたので、現役の時にもらった金はほとんど手付かずに残しておいた。家の購入やら家具家電や車の購入やらでそれを少し使い、今後の人生は残った貯金を食い潰すだけの予定だったが、少しだけ俺の寿命は伸びた。
我深知一旦离开足球就一无所有,所以球员时代赚的钱几乎原封不动地存着。虽然买房置办家具家电买车花掉了一些,原打算余生就靠这些积蓄过活,没想到寿命倒是稍微延长了些。

毎朝、海沿いをランニングする。朝日を反射させる水面を見るたびに「俺、海に憧れがあるんだよ。海なし県で育ったからかな」と言っていた男のことを思い出す。
每天清晨沿着海岸线跑步。每当看见波光粼粼的海面,就会想起那个总说"我啊,对大海特别向往,可能因为是在内陆县长大的吧"的男人。

「鎌倉って海があるんだよな?いつか連れて行ってよ」なんて言っていたアイツの約束とも言えない言葉を、とうとう最後まで叶えてやれなかったことだけが、俺の人生唯一の心残りだった。
"镰仓不是有海吗?哪天带我去看看吧"——连约定都算不上的这句话,最终没能为他实现,成了我人生中唯一的遗憾。


田舎の良いところは年頃の若者がいないところだと思う。30代前半の男が一人暮らしをしていると若い女を紹介したくなるのが田舎の人間の習性らしいが、肝心の若者がいない。そうすると、次は「都会に出た孫娘はどうか?」という話になるが「俺はゲイだから女は無理だ」と断ると途端に沈黙する。それ以降はたまに玄関前に果物だのお惣菜だのが置いていかれるだけで平和なものだった。
乡下最大的好处就是没有适龄年轻人。三十出头的独居男人总会让当地人想介绍年轻姑娘,这似乎是乡村的习性,但关键是没有年轻人。接着就会问"在城里工作的孙女怎么样?",而一句"我是同性恋对女人没兴趣"就能让对话戛然而止。之后偶尔会在门口发现水果或熟食,日子倒也清净。

ただ、噂がまわるのは早いので、近所の婆さんにそんな話をした次の週には、教えているサッカーチームの小学生に「コーチってゲイなの?」なんて無遠慮にも聞かれたりする。
不过谣言传得飞快,刚和邻居老太太聊过这事,第二周教足球的小学生就毫不客气地问我:"教练你是同性恋吗?"

「……だったらなんだよ」  "......是又怎样"
「え、俺たち狙われてる?」  "啊?那我们岂不是被盯上了?"
「ガキをそんな目で見るわけねぇだろ。気持ち悪ぃ。そもそも男なら誰でも良いってわけじゃない」
"谁会用那种眼神看小鬼啊。恶心死了。再说了又不是是个男的就行"

「じゃあゲイじゃなくない?」  “那你不是同性恋吗?”
「でも女を好きになったことはない」  “但我从没喜欢过女人”
「なんだそりゃ。……うちの姉ちゃんとかどう?姉ちゃん、コーチのことめちゃくちゃカッコいいって言ってたよ」
“什么嘛……我姐姐怎么样?我姐可是说过教练你超级帅哦”

「だからガキには興味ねぇ」  “所以我对小鬼没兴趣”
子供は苦手だと思っていたが、裏でこそこそするわけではなく、思ったことを直接ぶつけてくる素直さは一緒にいて楽だった。
我向来不擅长应付孩子,但眼前这个孩子不会在背地里耍小心思,总是直率地说出心中所想,和她相处反而让我感到轻松。

サッカーを辞めた後は、あんなに好きだったホラー映画やスプラッター映画には興味がなくなってしまった。名作、旧作、新作ごちゃまぜで目についた映画を眺めながら酒を飲むのが毎晩の習慣になり、そんな時にふと「アイツはもう引退しただろうか」と頭を過ぎることがあった。こちらに引っ越す時にスマホは解約したし、ニュースなどは見ないので、自分の半径10キロ圏外で起きる出来事は何ひとつ情報が入ってこないのだ。
退役后,我对曾经痴迷的恐怖片和血浆片突然失去了兴趣。每晚习惯性地喝着酒,随手点开那些新旧混杂的经典影片。每当这种时候,"那家伙应该也退役了吧"的念头总会掠过脑海。搬来这里时我注销了手机,也不看新闻,十公里半径外发生的任何事都与我无关。

サッカー選手の寿命は短い。30代に入っても数年現役を続けた俺も粘った方だったが、アイツの方が諦めが悪かった。人当たりの良いアイツは俺と違って引退後の仕事にも困らないだろうし、足が思うように動かなくなったら潔く見切りをつけるタイプだと勝手に思っていた。「世界一のストライカー」などという栄誉はとうに過去の栄光になっていたし、最後に何を手に入れたくてあんなにもがいていたのだろうか、と思う。それくらいは聞いておけば良かった。
足球运动员的职业生涯总是短暂。年过三十还能踢上几年,我已经算是坚持得够久了——但那家伙比我更不甘心。人缘极佳的他和我不同,退役后根本不愁出路。我原以为当双腿不再听使唤时,他会干脆利落地转身离开。"世界第一前锋"的荣耀早已成为过往云烟,他最后究竟在执着什么呢?这个问题,当初真该问个明白。

だらだらと飲んでいた酒がまわったのか、映画は途中だが、ついうとうとしてしまった。現役の時はこんなだらしない寝方をすることはなかったが、引退した今なら、ソファで寝てしまって風邪を引こうが身体を痛めようがどうでも良い。
或许是漫不经心喝下的酒开始上头,电影还没放完我就打起了瞌睡。现役时期绝不会这么邋遢地睡着,但如今退役了,就算在沙发上着凉感冒或落枕腰疼也都无所谓了。

潔が俺の前に立っていた。すぐに夢だと分かった。柄にもなく恋愛映画を観ていたせいだ。映画では新婚の夫婦が新居に友人を招いて結婚パーティーを開いていた。きっとそれを観た後に眠ってしまったから夢の内容もリンクしてしまったのだろう。
阿洁站在我面前。我立刻意识到这是在做梦。都怪自己破天荒看了爱情电影的缘故。电影里新婚夫妇在新家招待朋友举办结婚派对。肯定是看完就睡着了,所以梦境内容也衔接上了吧。

潔は見たこともないくらいに幸せそうな笑みを浮かべている。
阿洁露出了我从未见过的幸福笑容。

『結婚とかまだ実感湧かねー』  结婚什么的还没什么实感呢
そう言いつつ、そわそわしているのが伝わる。俺は思わず言っていた。
虽然这么说着,却能感受到他坐立不安的样子。我不由自主地脱口而出。

「……結婚の何がそんなに良いんだ」  "……结婚到底有什么好的"
俺の言葉に、潔は『うーん』と唸りながら言った。  面对我的话语,洁沉吟着"嗯——"了一声说道。
『色々と調べたんだけどさ。書類上でパートナーとして認められてないと、相手が入院とか手術する時、同意書にサインすることも出来ないんだって。俺、好きな人を看取れないの嫌だよ』
我查了很多资料。在法律文件上如果不被认可为伴侣,当对方住院或做手术时,连同意书都不能签字。我可不想连心爱的人都无法守护

「……」  "……"
コイツがそこまで大切に想う人がいるということ自体、俺には実感が湧かない。フィールド上では情けの一つもかけないこの男が。
我实在无法想象,这个在赛场上毫不留情的男人,心里竟会如此珍视某个人。

『それに単純に誰かにこの関係を認めて欲しいんだと思う。俺は』
而且单纯就是希望有人能认可这段关系吧。我是这么想的。

恥ずかしそうに潔が言う。  阿洁有些难为情地说道。
「……間抜け面」  "……傻样"
俺がそう呟くと、潔は『うるせー』と言ったが、声から「俺はいま人生で一番幸せです」と滲み出ていた。
我这样嘀咕着,洁虽然回了句"烦死了",但声音里却透出"我现在是人生中最幸福的时刻"的意味。

「……指輪、もうつけてんのか」  "……已经戴上戒指了啊"
潔の指に輝く傷ひとつないプラチナの指輪。まだ厳密にはコイツは独身のはずだ。潔は恥ずかしそうに手を握ったり開いたりする。
洁手指上闪耀着毫无瑕疵的铂金戒指。严格来说这家伙现在应该还是单身才对。洁害羞地反复握紧又张开手掌。

『俺、今まで指輪とかつけたことなかったからなんか違和感が凄くてさ。でも千切が"ずっと着けとけばそのうち着けてることすら忘れるくらい馴染む"って言ってたから練習してんの』
我以前从来没戴过戒指,所以特别不习惯。不过千切说'只要一直戴着,迟早会习惯到忘记自己戴着它',所以我在练习适应

「着けてんの忘れたらダメだろ」  "要是忘了戴可不行啊"
『お前はああ言えばこう言うな』  '你这家伙就爱抬杠'
そう言って潔は俺の足を軽く蹴る。コイツ浮かれてんな、と思う。
说着这话,洁轻轻踢了下我的脚。这家伙得意忘形了吧,我心想。

潔は愛する人と結ばれた。それはそんなに幸せなことなのだろうか。「世界一のストライカー」の栄誉を手に入れた時よりも?俺には分からない。
洁和他爱的人在一起了。这真的有那么幸福吗?比成为"世界第一前锋"时更幸福?我实在无法理解。

「……いま、幸せか?」  "……现在,你幸福吗?"
未練がましくも聞いてしまう。  我终究还是不甘心地问出了口。
あり得ないけど「幸せじゃない」と答えてくれたら、お前を攫う勇気も出てくるのに。
虽然不可能——但如果你回答"不幸福",我或许就能鼓起勇气把你夺走。

ただ、そんな俺の気も知らずに、潔は残酷にも『凛。俺、今、めちゃくちゃ幸せだよ』と言って笑った。
然而凛却对我的心思浑然不觉,只是残酷地笑着说:"我现在啊,幸福得不得了。"


目が覚めた時の不快感。潔は今も幸せだろうか、と思う。
醒来时的不适感。洁现在应该很幸福吧,我这样想着。

俺がこんな田舎に引っ込んだ理由。それは潔の嫁の情報も、そのうち産まれるであろう子供の情報も1mmも、耳に入れたくないからだった。兄貴はそんな俺の心境をなんとなく察していたのだろうと思う。「そんな田舎に行かなくても良いじゃないか」と言う両親を説得してくれたのは兄だった。
我躲到这种乡下来的理由。是因为我连一毫米都不想听到关于洁的妻子、以及他们即将出生的孩子的任何消息。大哥大概隐约察觉到了我的心情吧。说服说着"没必要去那种乡下"的父母的人,正是大哥。

ここにいれば、俺の中で潔は永遠にサッカーだけを追いかけ続ける。サッカーのサの字も知らないポッと出の女と永遠の愛を誓ったり、公園で子供とサッカーをしながら「パパは昔は世界一のストライカーになったこともあるんだぞ」みたいな虫唾が走るようなセリフを吐く父親になり下がることもない。いつまでもフィールド上でボールだけを追いかける潔世一のままだ。
只要待在这里,我记忆中的洁就会永远只追逐着足球。不会变成那种和连足球的"足"字都不认识的突然冒出来的女人许下永恒誓言,或是在公园陪孩子踢球时说出"爸爸以前可是当过世界第一前锋哦"这种令人作呕台词的平庸父亲。他永远都是那个在绿茵场上只追逐着足球的洁世一。

俺は最期まで何も知らないまま、一人で死んでしまいたかった。
我本想直到最后都一无所知地独自死去。


寒さが和らぎ、いつの間にか木々に緑の葉が茂り始めるようになった頃。サッカークラブの練習を終えて車で自宅に戻ると、家の前に誰かが立っていた。近所の婆さんが夕飯でも持ってきたか、と思いながら車を降りると、そいつはコチラを振り向いた。
寒意渐消,不知不觉间树木已开始萌发新绿的时节。当我结束足球俱乐部的训练驾车返家时,发现屋前伫立着人影。正想着或许是邻居老太太送晚饭来了,刚下车那人便转过身来。

「凛!」
その男は嬉しそうに笑って、玄関ポーチの階段を降りながら言った。
男人露出欣喜的笑容,边从门廊台阶走下来边说道。

「良かった!もう会えないかと思った!結構待ってたんだぞ!」
「太好了!还以为再也见不到你了!我可是等了很久啊!」

俺は幽霊を見たような顔をしていただろうと思う。  我当时的表情一定像见了鬼一样吧。
俺が必死に見ないようにしていた潔世一本人が、何故だか今、目の前に立っていた。記憶の中よりも少しだけ大人びたような気がする。と思って、そういやコイツももう30半ばになるはずだと気付く。
那个我拼命避免直视的洁世一本尊,不知为何此刻正站在眼前。感觉比记忆中更成熟了些。转念一想,这家伙也该三十过半了。

「……なんでここにいる」  "……你怎么会在这里"
辛うじてそう搾り出す。シーズン中じゃねぇのか、と思ってすぐに気付いた。コイツはもう"シーズン中"などではないのだと。案の定、潔はケロッとした顔で言った。
我勉强挤出这句话。正想着现在不是赛季期间吗,随即意识到——这家伙早就没有"赛季"可言了。果然,洁一脸轻松地答道。

「この前、冴と二人で飲んでさ。『凛、どうしてる?』って聞いたら『引退して時間があるなら会いに行ってやってくれ』ってここの住所教えてくれて……」
“前几天和冴一起喝酒的时候,他问我‘凛最近怎么样?’。我说‘既然你退役有空闲,不如去看看他吧’,然后他就把这里的地址告诉我了……”

余計なことを、とつい舌打ちが出る。潔はデカいキャリーケースを持っていた。どう見ても「数時間お喋りしたら帰ります」というような荷物量じゃない。俺の視線に気付いたのか心なしか潔は申し訳なさそうに言う。
我不由咋舌,暗骂自己多管闲事。洁拖着个巨大的行李箱。怎么看都不像是“聊几个小时就回去”的行李量。或许是注意到我的视线,洁有些歉疚地开口。

「急に来て悪いけどさ。家に泊めてもらえねぇ?出来ればニ泊」
“突然跑来是我不对...能让我借住几天吗?最好是两晚。”

「は?死ね。図々しいにもほどがあんだろ」  “哈?去死。你这脸皮也太厚了吧。”
「俺だって事前連絡したかったよ!でもお前、スマホ解約したんだって?手紙でも送ろうかと思ったけど、ぜってぇ返事こねぇじゃんと思って」
“我也想提前联系你啊!但听说你手机都解约了?本来想寄信的,又觉得你肯定不回”

「……なんでニ泊なんだ。せめて一泊だろ」  “……为什么非要住两晚。至少也该一晚吧”
「ここに来るのに移動何時間掛かったと思う?一泊だったら、明日の朝には出発しないと東京に帰れないし。ろくに話せねぇじゃん」
“你以为过来路上要花几个小时?要是只住一晚,明天早上就得出发才赶得回东京。根本没法好好说话”

「……」  “……”
コイツの図々しさは変わらないな、と思う。メンタルの強さだけは俺はコイツに敵わないと思う。俺はもう一度舌打ちをして、潔を追い抜かして玄関扉の鍵を開けた。
这家伙的厚脸皮还真是一点没变啊,我心想。论心理素质我确实比不上他。我又一次咂了咂舌,超过洁打开了玄关的门锁。

「何もねぇからな」  "可什么都没有啊"
「ありがとな!大丈夫!俺がお土産とか酒とか色々買ってきたから!」
"谢啦!没事!我买了伴手礼啊酒啊各种东西!"

そのせいでこの大荷物なのか、と思う。俺は笑顔で玄関をくぐる潔を見ながら、ため息を吐いた。
原来是因为这个才带了这么多行李啊。我望着笑容满面穿过玄关的洁,叹了口气。


その日の夕飯はビーフシチューで終わらせようと思っていたのに、潔が持ってきた酒やつまみを並べたら、何人が今日ここに泊まるんだみたいな量になってしまった。
本来打算用牛肉炖菜简单解决晚饭,结果阿洁带来的酒和下酒菜摆了一桌,简直像是今晚要有好几个人留宿的阵仗。

「一人暮らしの割には綺麗だなー」  "独居来说还挺整洁嘛"
潔が酒のグラスを片手に部屋の中を見回して言う。ここに引っ越してから数年経つが、この家に人を招いたことなど一度もなかった。普段俺しかいない部屋の中に、人が一人増えるだけで、何となく生命力が部屋に満ち溢れる気がする。いつも死んだような顔をしているフライパンや電気ケトルやテレビにすら血が通い始める。
阿洁端着酒杯环视房间说道。搬来这里已有数年,这间屋子却从未招待过客人。平日只有我独处的空间里,仅仅多出一个人,就莫名觉得整个房间都充盈着生命力。连总是死气沉沉的平底锅、电水壶和电视机都仿佛开始血脉流通。

「……別に普通だろ」  "……很普通吧"
「誰か招いたりすんの?」  “你邀请谁了吗?”
「するわけねぇだろ。俺がホームパーティを開くような人間に見えんのか」
“怎么可能。我看起来像是会办家庭派对的人吗?”

「ははっ。確かに。……ってか何で一軒家?広すぎない?」
“哈哈。确实不像。……话说为什么买独栋?不觉得太大了吗?”

「犬でも飼おうと思ってた」  “本来还打算养条狗的。”
「飼わないの?」  “不养宠物吗?”
「住んでみたら別に一人でも大丈夫なことに気付いた」
“住下来才发现其实一个人也没问题”

「ふーん」  “这样啊”
潔が黙る。酒のおかわりをグラスに注ぐ俺に潔が言った。
阿洁沉默着。当我往杯子里续酒时,他突然开口。

「凛って寂しさとか感じねぇの?」  “凛你难道不会感到寂寞吗?”
そう言われて顔を上げる。潔と真正面から目が合う。  听到这句话抬起头来。与洁四目相对。
「……ない。それより誰かと一緒にいる方がストレスだ」
“……不会。比起这个,和别人待在一起反而更有压力。”

「……凛らしいなー」  “……真像凛会说的话啊”
そう呟く潔の方が何故だか寂しそうで、それに無性に苛立った。お前は寂しさを詰め合わせてくれる人間がもう既にそばにいるくせに。
他这样低语时不知为何显得格外落寞,这让我莫名感到烦躁。明明你身边早就有能驱散你寂寞的人了。

「凛って昼間何してんの?」  "凛白天都在做什么?"
「……地元のサッカークラブのコーチ」  "...在老家足球俱乐部当教练"
「えっ、何歳くらいの子達?」  "诶?教多大年纪的孩子?"
「小学生」  "小学生"
「マジかよ。凛ってコーチとか出来んの」  "真的假的。凛你还能当教练啊"
「別に。そんなたいそうなことは教えてねぇ。みんなプロを目指してるわけじゃねぇし。遊びでサッカーをやってるような奴らだ」
"没什么大不了的。我又不教什么高深的东西。他们又不是要当职业球员。就是一群踢着玩的孩子"

「あーそういうの良いな。俺もコーチやるならそっちの方が良いかも」
"啊这种挺好的。要是我当教练的话可能也更适合这种"

その時、ふと、こんな風に穏やかに潔と話をするのは初めてかもしれない、と思った。ブルーロックにいた頃はもちろん、プロになってからも潔と二人っきりで食事をしたことなど一度もない。
那时,我突然意识到,这或许是我们第一次如此平静地交谈。在蓝色监狱时自不必说,成为职业选手后也从未和洁单独吃过饭。

「なんか凛とこんな風に話すのって初めてだよな。すげぇ新鮮で楽しい」
"感觉和凛这样聊天还是头一回呢。超级新鲜又开心"

潔がヘラっと笑う。度々、コイツとは思考がリンクする時がある。
洁咧嘴笑了。经常会有和这家伙思维同步的瞬间。

そして、度々、コイツには俺の気持ちがバレているんじゃないかと思う時がある。
而且时常会怀疑,这家伙是不是早就看穿了我的心思。

「……あんまり飲み過ぎんなよ」  "……别喝太多了"
俺はそう言うことしか出来なかった。  我只能说出这样的话。


その日の夜。潔にはソファで寝てもらった。うちにはベッドが一つしかないからだ。
那天晚上。我让洁睡在沙发上。因为家里只有一张床。

俺はなかなか寝付けず、何度も寝返りを打ちながら朝方に少しだけうとうとした。
我辗转难眠,翻来覆去直到凌晨才稍微打了个盹。

夢を見た。潔と過去に一度だけ、カフェで待ち合わせをしたことがある。ブルーロックを出て、潔が渡欧する直前のことだった。
我做了一个梦。记得和洁只约过一次在咖啡馆见面,那是在离开蓝色监狱后,洁即将赴欧之前的事。

潔から「少しだけで良いから会わないか?」と連絡がきて、適当に東京のカフェを指定した気がする。
洁发来消息说"能不能稍微见个面?",我好像随便指定了东京的一家咖啡馆。

学校帰りの制服のまま待ち合わせ場所に向かうと、潔も同じように制服のまま、窓際のテーブルに座っていた。潔の前には鮮やかなメロンソーダが置いてあった。
放学后穿着校服赶到约定地点时,洁也穿着校服坐在靠窗的座位。他面前放着一杯鲜艳的蜜瓜汽水。

「……もう頼んだのかよ」  "......你已经点好了啊"
『ごめんて。でも何も頼まずに居座るの居心地悪くねぇ?』
『抱歉啦。不过什么都不点就赖在这里不会觉得不自在吗?』

「ふん」  「哼」
メニュー表を開き、俺はその時、適当にコーヒーか何かを頼んだはずだ。潔はメロンソーダの上に乗っているアイスを溶かしながら食べていた。俺はメロンソーダの炭酸がしゅわしゅわと上にのぼっていくのを見ることなしに見ていた。
翻开菜单时,我应该是随便点了杯咖啡什么的。洁正吃着漂浮在蜜瓜苏打水上渐渐融化的冰淇淋。我漫不经心地看着蜜瓜苏打的气泡滋滋地往上窜。

『呼び出しといてなんだけど』  『虽然是我叫你出来的』
潔は不意に口を開いた。  洁突然开口了。
『喋りたいこととか何もないんだ。ごめん。……ただ最後に凛に会っときたくて』
『其实也没什么想说的。抱歉……只是想在最后见凛一面』

メロンソーダの鮮やかな緑と夕日に照らされてオレンジに染まった潔のコントラストが妙に目についた。俺はこの景色を一生忘れないだろうと思った。
蜜瓜汽水鲜艳的绿色与夕阳染成橙红的洁形成奇妙对比,格外引人注目。我想我永远都不会忘记这幅景象。


次の日の朝。潔が「凛が教えてるサッカークラブを見学したい」などと言うから渋々連れて行った。まあどちらにせよ、家のまわりにはコイツが観光出来るようなものも何もない。せっかくこんなど田舎まではるばる来たのだから、どこかに連れて行ってやりたいという最低限のサービス精神は俺も持ち合わせていたので車を出した。サッカークラブは近所の小学校のグラウンドを借りてやっている。潔には「うわー、マジで凛、コーチやってんだ……」と何故かしみじみと言われた。
次日清晨。因为洁提出「想去看看凛执教的足球俱乐部」,我勉强带他去了。反正这乡下地方也没什么可观光的东西。既然他千里迢迢来到这种穷乡僻壤,我好歹也抱着最低限度的待客之心开车出门。足球俱乐部租用了附近小学的操场。洁莫名感慨道:「哇…凛真的在当教练啊……」

「うわ、潔世一じゃん」  "哇,是洁世一啊"
既に集まっていたガキ共は潔を見るなりそう言った。こんな田舎でも流石にサッカーをやってる子供達の間では潔も知名度があるのか、と思う。
早已聚集在此的小鬼们一见到洁便如此说道。看来即便在这种乡下地方,踢足球的孩子们当中洁也算小有名气。

「こんにちはー。今日、俺、見学して良い?」  "大家好。今天我能不能来观摩呀?"
潔は人好きのする顔でガキ共に聞く。その横で俺は黙々とカラーコーンを設置し始めた。
洁用那张讨人喜欢的笑脸询问着小鬼们。我则在一旁默默开始摆放训练用的彩色锥桶。

「え、見学じゃなくてコーチしてよ。元日本代表じゃん」
"诶,不是来观摩而是来当教练吧?你可是前日本代表队成员啊"

「いやーでも凛の邪魔になるからさー」  "哎呀~不过会妨碍到凛的训练啦~"
「ってか、潔世一ってなんでここにいんの?コーチと付き合ってんの?」
"话说洁世一为什么在这里?在和教练交往吗?"

とんでもない言葉が聞こえて俺は振り返った。潔も顔が固まっていた。
听到这番离谱的发言,我猛地转过头。洁的表情也瞬间凝固了。

「え?……俺が凛と?男同士だけど」  "诶?...我和凛?可我们都是男的啊"
「だってコーチ、ゲイじゃん」  "因为教练你本来就是 gay 嘛"
俺は思わず子供の背中を蹴り上げた。蹴られた子供と、それを見ていた周囲の人間が悲鳴を上げる。潔は俺から子供を庇うように立ち、子供の背中をさすりながら俺を見た。
我下意识朝那孩子后背踹了一脚。被踹的孩子和周围目睹的人都发出惨叫。洁像要保护孩子似的挡在我面前,一边揉着孩子的后背一边瞪我。

「ちょ、お前の脚力で人を蹴んなよ!しかも子供だぞ!」
"喂!别用你那田径选手的腿力踹人啊!而且还是小孩子!"

「手加減したに決まってんだろうが。というか訳わかんねぇこと言い出したソイツが悪い」
"当然是手下留情了啊。不如说突然说出那种莫名其妙的话的家伙才有问题吧"

「いや、そんな……」  "不,那个......"
なおも会話を続けたら余計なことをバラされそうな気がしたので、俺はすぐに練習を始めた。潔は何か言いたげに俺を見ていたが、俺はそれに気付かないフリをした。
感觉继续聊下去可能会被抖出更多不该说的事,我立刻开始练习。洁似乎想对我说些什么,但我假装没注意到。

迂闊だった。こんな形でバレたくなどなかったのに。誰に八つ当たりすれば良いのか分からない。過去に軽率にも「俺はゲイだ」なんて周囲に言ってしまった自分自身か、口の軽い隣人か、デリカシーのないガキか。
太大意了。我本不想以这种方式暴露的。不知道该向谁发泄怒火才好。是过去轻率地向周围人宣称"我是同性恋"的自己,还是那个口无遮拦的邻居,抑或是那个不懂分寸的小鬼。

イライラとしているうちに、気が付いたら潔もグラウンドの隅の方でボールを蹴っていた。それを見て、子供達が歓声を上げる。
烦躁不安之际,回过神来发现洁也在球场角落踢着球。孩子们见状发出欢呼。

潔のボールを蹴る姿を間近で見るのは久しぶりだった。
近距离看洁踢球的身姿已是久违之事。

そういえば、俺はプロになってから一度も潔の試合を観戦したことなどなかった。映像で観たり、代表戦で一緒に戦ったり、チャンピオンズリーグで対戦したりしたことはあったが。一度くらい、客席に座って潔を観てみたかったかもしれない、と思う。引退後ならいつでもタイミングはあったはずなのに。
说起来,我成为职业球员后一次都没现场看过洁的比赛。虽然通过影像看过,也曾在国家队并肩作战,在欧冠赛场交过手。或许我也该找个机会坐在观众席看看洁踢球的样子。明明退役后随时都有这样的机会。

その日、潔は俺の邪魔をしないように、隅の方でサッカークラブとは無関係の見学のガキ共とボールを蹴り走り回っていた。俺よりもよっぽど潔の方がコーチ然としていた。
那天,洁为了不打扰我,一直在角落和那些与足球俱乐部无关的参观小鬼们踢球奔跑。比起我,洁反而更有教练风范。

「あーすげぇ汗かいた」  "啊——出了好多汗啊"
帰りの車で潔は満足そうに呟いた。ボールを蹴ったのは久しぶりだと言っていた。不測の事態はあったが、その後は特に何も問題は起きなかったし、潔を練習に連れて行ったのは良かったかもしれない、と俺は思えるようになっていた。
返程的车上,洁满足地喃喃自语。他说已经很久没踢球了。虽然发生了意外状况,但之后没再出什么问题,带洁来练习或许是个正确的决定——我渐渐开始这么觉得。

その日は帰りにスーパーに乗り、適当に飯の材料を買って夕飯にした。潔が「せっかく海沿いの町に来たんだし魚が食いたい」というので適当に魚を焼いた。それに味噌汁と白米と酒とつまみ。最後の夜がこんなに質素で良いのだろうか、と我ながら思ったが潔は割と満足そうだった。
那天回去时顺路去了超市,随便买了些食材做晚饭。因为洁说"难得来海边小镇想吃鱼",就简单烤了条鱼。配上味噌汤、白米饭、清酒和下酒菜。最后一晚吃得这么简陋真的好吗?虽然我暗自这么想,但洁看起来相当满足。

途中で交代で風呂に入り、あがってからもダラダラと酒を飲んだ。
途中轮流洗完澡,出来后继续慢悠悠地喝着酒。

「……明日、何時に帰るんだ」  "……明天几点回来?"
そろそろ日付が変わる。寝なくてはならない時間だろう。潔は酒のグラスに口をつけたまま「んー」と唸った。
日期即将变更。这应该是该睡觉的时间了。洁一边将酒杯抵在嘴边,一边发出"嗯——"的沉吟声。

「昼前くらい?」  "上午十点左右?"
「……駅まで車で送る」  "……我开车送你去车站"
「お、助かる。駅前でタクシーが全然いなくてさ。タクシー会社に電話したら手配してくれたけど、すげぇ待ったんだよなぁ。結構そこで時間ロスした」
"真是帮大忙了。车站前完全打不到出租车,打电话给出租车公司才安排到车,结果等了超级久。在那里浪费了不少时间呢。"

「だろうな」  "确实"
こんなど田舎で流しのタクシーが走ってるわけもない。バスは一日何本とかのレベルだろう。
在这种乡下地方怎么可能会有巡游的出租车。公交车估计一天也就几班的程度吧。

明日、潔は帰るのだ。東京まで何時間掛かるだろうか。次、ここに来ることはあるだろうか。その時、俺たちはいくつになっているのだろうか。
明天洁就要回去了。到东京要花多少个小时呢?下次还会再来这里吗?到那时候,我们又该是多少岁了呢。

そんなことを考えていると、潔がぽつりと言った。  正想着这些事,洁突然轻声说道。
「凛。俺――お前がいないと寂しいよ」  "凛。我——没有你在身边很寂寞啊"
寂しい、と言われてしっくりきた。そうだな、と俺も素直にそう思えた。
听到他说寂寞,我竟觉得无比贴切。是啊,我也坦率地这么想着。

ただ、この家に一人で住んでいる俺はともかく、コイツには嫁と子供がいるはずだ。それで寂しさを感じるだろうか。
不过,暂且不论独居在这个家的我,这家伙明明应该是有妻儿的人。这样也会感到寂寞吗。

「……お前には嫁と子供がいるだろうが」  "……你不是有老婆孩子吗"
責めるような気持ちになって俺は言った。  我带着责备的语气说道。
裏切り者。お前は俺を選ばなかったくせに。俺を一人にしたくせに。
叛徒。明明没有选择我。明明丢下我一个人。

潔は俺の言葉に目をぱちくりさせた。  洁对我的话眨了眨眼睛。
「は?嫁と、……子供?」  “哈?老婆和……孩子?”
「子供はまだか」  “还没要孩子吗?”
「いや、え?――俺、子供どころか奥さんもいねぇけど」
“不是,等等?——我别说孩子了,连老婆都没有啊”

しばし、沈黙が落ちる。噓吐いてんじゃねぇよ、と思いながら俺は吐き捨てた。
短暂的沉默降临。我一边想着“别开玩笑了”,一边甩出这句话。

「結婚秒読みって記事出てただろ」  "不是有报道说你们婚期将近吗"
「え?いつの?分かんねぇ」  "诶?什么时候的?我不知道啊"
「何年前か忘れたが、俺はネットニュースで見た。日本でも報道されたって兄貴が言ってた」
"记不清具体哪年了,我是在网络新闻上看到的。大哥说日本媒体也报道过"

「えー!?……うわー、あんまちゃんと憶えてないけど、そう言われたら昔そんなのあった、気がする……」
"哎——!?……哇啊——虽然记得不太清楚,但被你这么一说,好像确实有过这么回事……"

潔は本気で憶えてなさそうな顔をしていた。  阿洁一脸茫然,似乎真的不记得了。
その顔を見たら、俺はとんでもない勘違いをしていたのではないか、と思った。
看到她那副表情,我不禁怀疑自己是不是产生了天大的误会。

俺がこんなど田舎に引っ込んだのはコイツの結婚だか、嫁の出産だかのニュースを絶対に耳に入れないためだった。人から聞かれたら「そんなくだらない理由で」なんて言われそうだが、俺はそんなニュースを聞いたら、自分がどうなってしまうか分からなかった。コイツを殺してしまうか、コイツの嫁と子供を殺してしまうか、自分を殺してしまうか。だから何も知りたくなくて、こんな知り合いもいない海と山しかない田舎に引っ越したのだ。スマホも捨てて。
我之所以躲到这种穷乡僻壤,就是为了彻底避开关于这家伙结婚或是老婆生子的任何消息。要是被人知道理由,肯定会嘲笑"就为了这种无聊事",但我实在不敢想象听到那种消息后自己会变成什么样。可能会杀了她,或是杀了她的妻儿,又或是自我了断。所以我才什么都不想知道,搬到了这个举目无亲的深山海边,连手机都扔了。

「……凛って俺が結婚してると思ってたの?」  "......凛,你该不会以为我已经结婚了吧?"
潔が聞く。俺は急に居心地が悪くなってきた。潔は何やら考え込んだ顔をした後に言った。
洁问道。我突然感到一阵不自在。洁露出若有所思的表情后说道。

「凛っていま、彼女とかいる?」  "凛现在有女朋友之类的吗?"
「……いたらこんなとこに一人で住んでねぇ」  "……有的话就不会一个人住在这种地方了"
「凛って、ゲイなの」  "凛是同性恋吗"
昼間のガキが言った言葉を潔が都合良く忘れているはずもなかった。俺は口の中で舌打ちをした。なんと答えれば良いのか分からない。
洁不可能那么轻易就忘记白天小鬼说过的话。我在嘴里咂了下舌,不知该如何回应才好。

「ガキの言うことなんか真に受けんな」  "别把小鬼说的话当真"
「じゃあ、ゲイじゃねぇの?」  "那你不是同性恋吗?"
ゲイじゃない、と断言は出来ない。何故なら俺は男である潔をずっと好きだったからだ。もう何年も前からずっと。男を好きになる男がゲイだと言うなら俺はそうだ。
我无法断言自己不是同性恋。因为我一直喜欢着身为男性的洁。从好多年前开始就一直如此。如果喜欢同性的男人就是同性恋,那我确实就是。

「……だったら、悪いかよ」  "……那又有什么不好"
そうだ、と明確に肯定する事も出来ず、俺はこんな風にしか答えられなかった。潔は俺の顔をジッと見ている。
我既无法明确地肯定说"没错",最终也只能给出这般模棱两可的回答。洁定定凝视着我的脸庞。

「凛」  "凛"
潔が俺に手を伸ばす。頬を触られてぞくりとした。潔は蕩けるような目で俺を見ていた。酒のせいか。
洁朝我伸出手。当他的指尖触碰脸颊时,我不禁打了个寒颤。他那双融化般的眼眸正注视着我。或许是酒精作祟吧。

「本当は寂しいんだろ。一人で住むの」  "其实你很寂寞吧。一个人住。"
お前がそれを言うか、と思った。  这话居然从你嘴里说出来,我心想。
お前が俺を一人にしたくせに。――違う。それは俺の勘違いだった。潔は結婚してなくて、子供もいなくて、一人でここにいた俺に会いに来てくれたのだ。
明明是你让我变成孤身一人的。——不对。那是我误会了。洁并没有结婚,也没有孩子,他是专程来这个独居的住处见我的。

「凛も触って良いよ。俺のこと」  "凛也可以碰我哦。我的身体。"
潔が俺の耳横の髪をさらさらとかき分けながら言う。触るってどこに、と思ったが無意識のうちに手が動いていた。
洁一边拨弄着我耳边的头发一边说道。虽然想着"摸哪里",但手却无意识地动了起来。

潔の左胸に手を当てると、潔が笑った。  当我把手放在洁的左胸上时,洁笑了起来。
「なに?」  "干嘛?"
「……心臓触ってる」  "......在摸心脏呢"
ドクドクと潔の心臓が脈を打っているのが分かる。久々に触れた人の体温だった。
我能感受到洁的心脏在有力地跳动。这是许久未触碰到的他人体温。

「心臓の音分かる?」  "能听见我的心跳声吗?"
潔が囁く。俺が頷くと、潔が更に誘うように言った。  洁轻声问道。见我点头,他更加诱惑般地低语。
「……もっと触って良いよ」  "……可以再多碰一会儿哦"
これはそういうことだろうか。  事情就是这样吧。
潔は俺がゲイだと知っている。それにも関わらず身体に触って良いと言っている。
洁知道我是同性恋。即便如此他还是说可以触碰他的身体。

友達同士の触れ合いです、なんてとても誤魔化せる雰囲気ではない。
这根本不是什么"朋友间的正常接触"能糊弄过去的氛围。

俺は潔の服のボタンに手を伸ばした。ぷつりとひとつ外してみる。
我伸手摸向洁的衣扣。啪嗒一声解开了第一颗。

空いた隙間から手を滑り込ませると、潔の身体がぴくんと揺れた。指で触れた肌は思ったより滑らかだった。俺の指はカサついているだろうと思った。
从敞开的缝隙间滑入手掌时,洁的身体猛地颤了一下。指尖触碰到的肌肤比想象中更为光滑。原以为自己的手指会粗糙些。

先ほど、服の上から触れたのと同じように潔の左の胸、俺から見て右の胸に手のひらを当てる。
就像刚才隔着衣服触碰时那样,我将掌心贴在洁的左胸——从我这边看是右胸的位置。

「……緊張してんのバレるのはずい」  "......紧张得都露馅了"
潔の息は上がっていた。緊張しているのか興奮しているのか。俺の手のひらにじわりと汗が滲む。
洁的呼吸变得急促。不知是紧张还是兴奋。我的掌心渐渐渗出汗来。

「もっといっぱい触って」  “再多摸摸我嘛”
そう言われても困る。これ以上、どこを触れば良いのか。
就算你这么说我也很为难。还能摸哪里呢。

取り敢えず服の中に突っ込んでいた手を引き抜き、潔の服のボタンを全て外した。
总之先把伸进衣服里的手抽出来,解开了洁衣服上所有的纽扣。

「……太ったな」  “……你胖了呢”
「うるせ。現役辞めたらこんなもんだろ」  “吵死了。退役后不就这样么”
潔の腹にはもう筋肉は浮いていなかった。贅肉がついてる、という程ではなかったが、もうスポーツマンの身体ではない。俺はその腹に手を伸ばして肉を掴んだ。
洁的腹部已经看不到肌肉线条了。虽说还没到赘肉横生的程度,但早已不是运动员的体格了。我伸手捏了捏他肚子上的软肉。

「……触り心地は悪くない」  “……手感还不赖”
「褒められてる気がしない」  “完全高兴不起来啊”
一通り指で撫でたり手のひらで掴んでみたりした後に臍の下を撫でる。潔が悩ましげな声を出す。
用手指轻轻抚过,又用手掌试探性地握住后,开始摩挲肚脐下方。洁发出令人心痒的呻吟声。

「……その声やめろ」  「……别发出那种声音」
「違う。勝手に出ちゃうんだって」  「不是的。是它自己忍不住发出来的」
中指をズボンのゴム下に潜り込ませた。すぐに毛の感触がした。陰毛だ。コイツにも生えてんのか、と思った。海外での生活が長いと、脱毛する奴も多い。
将中指探入裤腰松紧带下方。立刻触到了毛发的质感。是阴毛。这家伙居然也长这个啊——在海外生活久了,很多人都会选择脱毛呢。

毛感触を楽しむように何度か撫でた後に徐々に手のひらをズボンの中に侵入させていく。手を後ろについて「好きに触って」のポーズをしていた潔が上半身を起こして俺の肩を掴んだ。そのまま潔の頭が俺の肩に擦り寄る。
像享受毛绒触感般反复抚摸数次后,手掌渐渐滑进裤子里。原本双手撑在身后摆出"随你摸"姿势的洁突然直起上身抓住了我的肩膀。他的脑袋就这样蹭上我的肩头。

「……っ」  "……"
声を出すな、と言ったせいか、潔は頑張って吐息だけを吐き出していた。最初は柔らかな手触りだったそこが、段々と硬くなってくる。
或许是被告诫不许出声的缘故,洁拼命压抑着只让喘息漏出来。最初柔软的手感逐渐变得硬挺。

無言でズボンの中で手を上下に動かしていると、そのうち潔が俺の手首を掴んだ。
当我在裤子里沉默地上下动作时,洁突然攥住了我的手腕。

「これ以上やったら、出るから」  “再继续的话...会射出来的”
「出せばいいだろ」  “射出来不就好了”
「やだよ。ズボン汚れる。……出して良いなら脱がせろよ」
“不要。裤子会弄脏的...要是允许射的话,先把裤子脱掉啊”

一旦性器から手を離してズボンと下着を一緒に引きずりおろした。潔も腰を上げてそれを手伝う。男の性器が出てきた。自分以外の男の性器をこんな風に見るのは初めてだった。
他暂时松开把玩性器的手,将外裤与内裤一并拽下。洁也配合着抬腰协助。男性的性器就这样暴露在空气中。这还是她第一次如此近距离目睹其他男性的生殖器。

コイツは好きに触って良い、と言っていた。どこまで許されるだろうか、と思い、俺は性器ではなくその後ろの穴の辺りを指で触ってみた。潔は驚いた顔をしたが止めはしなかった。
她说可以随便碰这家伙。我心想能被允许到什么程度呢,于是没碰性器,而是用手指试探了后面那个小洞周围。洁露出惊讶的表情,但并没有阻止。

「……凛、知ってるんだ」  "……凛,原来你知道啊"
「何を」  "知道什么"
「男同士でのやり方」  "男人之间的做法"
もっと頑なだろうと思った穴は刺激すると意外に柔らかかった。というか、少しぬるぬるしている気もする。男の穴は女と違って勝手に濡れないはずだ。潔が言う。
本以为会更加紧致的后穴,在受到刺激时意外地柔软。或者说,感觉还有点湿滑。按理说男性的后穴不像女性那样会自然湿润——洁这样解释道。

「指、挿れていいよ。……さっき洗って準備してきたから」
"可以...把手指插进来。...我刚才已经清洗准备好了"

「は?」  "哈?"
洗って?準備?潔の顔を見つめると、潔は恥ずかしそうな顔をしていた。
清洗?准备?我盯着洁的脸看时,他露出了羞赧的表情。

「……今日、イケそうだったら凛のこと襲おうと思ってた」
“……今天要是感觉能成的话,我本来打算袭击凛的”

「何言って……」  “你在说什么啊……”
「元々、ここに来た時からそう決めてた。凛に会いに行って、もし凛が恋人と住んでるとかじゃなかったら、一回くらい俺のことを抱いてくれってお願いしてみよう思ってた」
“其实从刚来这里的时候就这么决定了。想着去见凛,如果凛没有和恋人同居之类的情况,就试着拜托她至少抱我一次”

それを聞いて絶句した。思い切りのいい奴だとは思っていたが、こんなことを考えていたとは。ここ二日の潔はそんなことを感じさせず、いつものように無邪気な顔で笑っていたのに。
听到这番话我哑然失语。虽然一直觉得他是个干脆利落的家伙,但没想到居然在盘算这种事。这两天的洁明明完全没有表露出这种迹象,始终用那副天真无邪的表情笑着。

「最悪、部屋を真っ暗にして、凛に目を瞑ってもらって、俺が勝手に乗っかったら良いかなとか。凛には頭の中で女の子のことでも考えてもらったら勃つかなとか」
"最坏的情况,把房间弄得漆黑一片,让凛闭上眼睛,我自顾自地骑上去也行吧。或者让凛在脑子里想着女孩子的事情,说不定就能硬起来。"

「……なんだそれ」  "……这算什么啊"
「だって凛は男は抱けないだろうと思ってたから。……ねぇ、指、もっと挿れてみて」
"因为我以为凛肯定没法接受被男人抱。......来,手指再插深一点"

そう言われて、いまだに訳が分からないまま指にグッと力を入れると、穴はくちゅっと音を立てながら口を開いた。ローションが入っていたようだ。その滑りに導かれるように指が中に入っていく。
听到这句话,虽然还是不明就里,但手指猛然用力时,后穴随着啾的一声张开了。里面似乎已经涂了润滑液。在滑腻的触感引导下,手指顺势滑入深处。

「あ、ヤバ。凛の指、太い……」  "啊、糟了...凛的手指、好粗......"
指だけで気持ち良さそうな顔をする潔を見て、コイツ慣れてんなと思う。初めて穴に何かを入れました、という顔では決してない。
看着仅凭手指就露出舒服表情的洁,心想这家伙还挺熟练的。完全不是第一次被进入身体时会有的表情。

限界まで指が奥まで入った辺りで少しまわりの壁を触ってみる。粘膜の感触がした。当たり前だが。この中に性器を突っ込んだら絶対に気持ちが良いはずだ。暖かくて柔らかくて包み込まれる。
当手指深入到底时,轻轻触碰周围的内壁。能感受到黏膜的触感。这是当然的。要是把性器插进去绝对会舒服得要命。又温暖又柔软,还会紧紧包裹住。

「凛。男の気持ち良いところ知ってる?」  "凛。你知道男人哪里最舒服吗?"
「……そんなとこねぇだろ」  "……怎么可能有那种地方"
「あるんだって。もっと手前なんだけど。一緒に指入れる」
"真的有的。就在更靠前的位置。把手指一起放进来"

そう言うと、潔は自らの穴に躊躇なく指を突っ込んだ。驚いたのは俺だった。穴の中で潔の指と触れる。
说着,阿洁毫不犹豫地将手指插进了自己的后穴。震惊的反而是我。在穴道里触碰到阿洁的手指。

「こっち。ここ。俺の指が触ってる場所分かる?」  "这边。这里。能感觉到我手指碰到的位置吗?"
なんで俺はコイツに性感帯を教わってんだ、なんて今の状況についていけない。コイツ、サッカーにしか興味ないです、みたいな顔をしといて。潔の指の上に自分の指を重ねてその上からグッと押すと、潔の身体が揺れた。
为什么我要让这家伙教我敏感带啊,完全跟不上现在的状况。这家伙明明摆着一副"我只对足球感兴趣"的表情。把手指叠在洁的手指上用力按压,洁的身体立刻颤抖起来。

「あっ!ヤバいそれ」  "啊!那个...太要命了"
グッグッと更に刺激する。潔が首を逸らした。そのままソファに倒れそうになるので、遠慮なく上から覆い被さる。
我又连续加重力道刺激。洁别过脸去。眼看他就要倒在沙发上,我毫不客气地直接压了上去。

「指どけろ。やりにくい」  "手指拿开。碍事"
気持ち良いところはもう分かったのでそう言うと、潔の指が抜けた。今度は直接俺の指でそこを刺激する。
既然已经知道舒服的地方在哪了,我这么说着,洁的手指便抽了出来。这次换我直接用手指刺激那里。

「んんっ、凛、上手ぁ……」  "嗯嗯、凛、好厉害……"
「こんなもんに上手もクソもねぇだろ。ただ刺激してるだけだ」
"这玩意儿哪有什么厉害不厉害的。不过是在刺激而已"

「でも、自分でやるより気持ち良い……」  "但是、比我自己弄要舒服……"
溶けた表情でそうのたまう潔に身体の芯が熱くなった。自分でやるより?いつも自分でこんなことしてんのか。先ほどよりも乱暴に指を動かすと、潔がぎゅっと目を瞑った。
洁那副融化般的表情说出这种话,让我身体深处都热了起来。比自己动手强?难道你平时都自己这样弄吗?我比刚才更粗暴地活动手指,洁紧紧闭上了眼睛。

このままイかせてみたい気もするが、それはそれでもったいない気もする。コイツはそう何回もイけるだろうか。一回イッたら「もう満足した」などと言わないだろうか。
虽然有点想就这样让他高潮,但又觉得那样太浪费了。这家伙能高潮好几次吗?要是射过一次就说"已经满足了"怎么办。

俺は指を引き抜いて自分のスエットに手を掛けた。肌着ごとズリ下げると、勃ち上がった性器が出てくる。そのまま潔の穴に挿れようとするのを潔の手が止めた。
我抽出手指搭上自己的运动裤。连内裤一起往下拽时,勃起的性器弹了出来。正当我准备直接插进洁的后穴时,他的手拦住了我。

「え、凛。そのまんま挿れるの?コンドームは?」  "等、凛。就这么直接插?不用避孕套吗?"
「持ってるわけねぇだろ」  “怎么可能有啊”
「マジで……」  “真的假的……”
「……ここからドラッグストアまで車で十分掛かる。買いに行けってか?我慢出来んのか」
“……从这里到药店开车都要十分钟。你是要我去买吗?能忍得住?”

穴の入り口を性器でぐりぐりと刺激する。潔が興奮したようにはあはあと呼吸している。
他用性器在穴口反复摩擦刺激。洁似乎兴奋起来,呼吸变得急促起来。

「……どうしよう、凛」  "......怎么办啊,凛"
「なんだよ」  "怎么了"
「我慢、出来ない」  "我...忍不住了"
潔がそう言った瞬間、俺は自分の性器を潔の穴に捩じ込んだ。潔の背中が大きくしなる。俺は潔の太ももを抱き抱えて持ち上げた。
当洁说出这句话的瞬间,我把自己的性器狠狠插进了洁的后穴。洁的脊背剧烈弓起。我顺势托起他的大腿将他整个人抱了起来。

潔は「やだ」だか「待って」だか言っていたように思う。だけど興奮した俺の耳にはその音が意味を成して届くことはなかった。
我觉得洁好像说了"不要"还是"等等"之类的话。但兴奋状态下的我,那些声音传到耳朵里时已经失去了原本的意义。

狭い中を押し広げる。流石に途中で潔の顔を見たら、目を瞑って痛みに耐えていたので腰を止めた。
在狭窄中强行开拓。中途看到洁紧闭双眼强忍疼痛的表情,我停下了腰部的动作。

「……いてぇか」  "......疼吗?"
「……正直、ちょっと痛い。でも抜かないで」  "......说实话有点痛。但别拔出来"
潔の足が俺の背中にまわる。俺は潔の背中に手を回して持ち上げた。
洁的双腿环绕在我的背上。我伸手环抱住洁的背部将她托起。

「ぇ……っ?」  「诶……?」
潔が間抜けな声を上げる。そのままソファに座り、膝の上に潔を乗せた。
洁发出呆愣的声音。我就这样抱着她坐到沙发上,让她跨坐在我腿上。

潔と向かい合う。潔はバランスを取ろうと俺の身体につかまった。自然とお互いに身体を抱き締めあうような形になる。
我们四目相对。洁为了保持平衡而抓住我的身体。两人很自然地形成了相互紧拥的姿势。

「潔」  「纯洁」
名前を呼ぶと、自然と顔が近付いた。  当呼唤名字时,两人的脸庞自然而然地靠近。
最初はお互いに遠慮がちに唇を触れ合わせるだけだった。次第に、口が開き、舌が絡まった。
起初只是小心翼翼地轻触彼此的嘴唇。渐渐地,双唇开启,舌尖交缠。

キスをしていると、キツかった穴がゆっくりとうねるように柔らかくなるのが分かった。そのまま重力に従って穴に性器が全て埋まる。潔は俺の頭を抱き抱えるような格好で少しだけ顔を離して囁いた。
在接吻时,能感觉到原本紧绷的穴道正缓缓蠕动变得柔软。就这样顺应着重力,性器完全埋入其中。洁以环抱我头部的姿势稍稍拉开距离,在我耳边呢喃。

「凛がずっと好きだった」  "我一直都喜欢凛"
「……ああ」  "……嗯"
「凛が、誰かと住んでるなら諦めようと思ってた」  "如果凛和别人同居的话,我本来打算放弃的"
一瞬、潔が泣きそうに顔を歪ませるので、ついつられて俺の目頭もツンと痛くなった。
看到洁一瞬间扭曲了表情仿佛要哭出来,我也不由得跟着鼻头一酸。

「……でも誰かと住んでて欲しかったかも」  “……不过或许我也希望有人能一起住吧”
「……どっちだよ」  “……到底是哪种啊”
「俺も分かんない。凛が、一人でこんな広い家に住んでたんだと思うと、それも寂しい」
“我也不知道。想到凛你一个人住在这么大的房子里,总觉得很寂寞”

そう言って潔が俺のこめかみにキスをする。鼻を小さく啜る音が聞こえた。
洁这样说着,亲吻了我的太阳穴。我听见他轻轻吸鼻子的声音。

お前がここに住めば良いだろ、と思った。お前なら一緒に住んでやっても良い。
让你住在这里不就好了,我心想。如果是你的话,一起住也行。

「ん……凛、そろそろ、動いていい?」  "嗯……凛,差不多可以动了吧?"
潔がはあはあと息をしながら腰をうねらせる。きゅうきゅうと穴で締め付けられて俺も息が詰まった。コイツ、どんだけエロいんだよ。腰をガンと突き上げると、潔が喉元を逸らして喘いだ。
阿洁一边急促喘息一边扭动腰肢。被小穴紧紧绞住的我也呼吸停滞。这家伙到底有多色啊。我猛地向上顶腰,阿洁别过脖颈发出娇喘。

「ぁっ、ああ……っ」  "啊、啊啊……"
潔は快感に耐えるように目を瞑って眉根を寄せている。俺が突き上げなくても自分で勝手に腰を上下させて快感を追いかけるその姿にやけに興奮した。
洁紧闭双眼皱起眉头,仿佛在忍耐着快感。明明不需要我抽插,她自己就主动扭动腰肢追逐快意的模样,反倒让我异常兴奋。

唇に噛み付くと、潔の腕が俺の頭に回った。俺は潔の腰を持って上下運動を手伝った。
当我咬住她的嘴唇时,洁的双臂环上了我的后脑。我顺势托住她的纤腰协助她上下起伏。

「凛、好き……っ」  "凛...我喜欢你..."
潔が呟く。俺はそれに応えるように潔の舌を自分の舌で掬い上げた。
洁呢喃着。我如同回应般用舌尖卷起她柔软的舌。


その後、ベッドに移動して何度か潔を抱いたが、何度目かで潔が息も絶え絶えに「もうギブ……」と言ったのでやめた。
后来我们转移到床上,我抱着洁做了好几次,直到某次她气若游丝地说"不行了……投降……"才停下。

風呂に湯を溜めて一緒に入って身体を綺麗にしてやり、再びベッドに戻った頃にはもう夜が明けそうな時間だった。ベッドに横になり、潔を後ろから抱き締めながら、カーテンを開けっぱなしの窓が明るくなるのを見た。ザザッという波の音が部屋に届くくらい静かだった。
放好洗澡水一起洗净身体后,再回到床上时天都快亮了。我搂着洁躺在床上,从没拉窗帘的窗户看着天色渐明。万籁俱寂,只有沙沙的海浪声传入房间。

「凛。俺もここ一緒に住んじゃダメ?」  "凛。我也搬来这里住好不好?"
腕の中の潔が呟く。俺はその後頭部に鼻を埋めて言った。
怀里的洁轻声问道。我把脸埋在她后脑勺的发丝间回答。

「……なんもねぇぞ」  "……什么都没有啊"
「凛がいるじゃん。……犬飼いたいんだっけ?俺も飼ってみたい。散歩とかちゃんと連れて行くし」
"不是有凛在嘛。……你不是想养狗吗?我也想养。遛狗什么的我会好好负责的"

母親に犬をねだる小学生みたいなことを言う。  说着像向母亲央求养狗的小学生般的话。
犬がいれば、いつかコイツが俺に愛想を尽かしたとしても、勝手に一人でここを出て行く、なんてことも出来ないかもしれない、と思った。潔は自分で飼うと決めた命に対してそんな無責任なことはしないはずだ。
我想着,要是养了狗的话,就算哪天这家伙对我厌烦了,也没法擅自一个人离开这里吧。洁对决定要饲养的生命应该不会那么不负责任。

俺がそんな最低なことを考えているとは知らずに潔は弾んだ声を出す。
完全没察觉我正在想这些龌龊事的洁发出雀跃的声音。

「この家なら大型犬も飼えるよな。デッカい犬がいいなー。凛はデカいから小型犬だと足元見えなくて蹴っ飛ばしたりしそうだし」
"这房子养大型犬也没问题吧。好想养巨型犬啊——凛个子太高,要是养小型犬估计会看不见脚边,一不小心就踢飞了。"

「俺をなんだと思ってんだ。テメェは。……犬ってどこで売ってんだ。ペットショップか?」
"你把我当什么了。混账东西。......狗要去哪里买?宠物店吗?"

「まあ、大体はそうじゃない?でも最近は保護犬とか引き取ってる人も多いらしいけど」
"嗯,基本都这样吧?不过听说最近领养救助犬的人也很多。"

「ふーん」  "哼"
潔は張り切ってどの犬種が言いだの名前を考えなきゃだの言っている。俺は好きにすれば良いと思った。
阿洁正兴致勃勃地讨论着该选什么犬种、必须取什么名字之类的事。我觉得随他喜欢就好。

「……ちゃんと世話しろよ。死ぬまで」  "......要好好照顾它啊。直到它死为止"
「分かってるって。そんな軽い気持ちじゃないよ」  "知道啦。我可没这么随便"
「逃げたら地の果てまで追いかけるからな」  “就算逃到天涯海角我也会追过去”
「こわ。ってか逃げるって何?バケモノでもいんのここ?」
“好可怕。话说逃什么逃?难道这里有妖怪吗?”

「そうだ」  “没错”
そう言って潔の顔を掴みこちらを向かせる。そのまま唇を合わせると潔がくすぐったそうに笑った。何度か触れ合わせた後に潔が囁いた。
说着便捧起洁的脸转向自己。当双唇相触时,洁痒痒地笑了起来。几次轻吻后,洁低声呢喃道。

「俺、明日――ってか今日か。一旦東京帰るわ。んで、部屋の解約手続きとかしてくる。……家具ってどこまでこっちに持って来ていい?」
"我明天——不对应该说是今天吧。要暂时回趟东京。然后去办退租手续什么的。......家具可以带多少过来这边?"

「一通り揃ってるから全部捨てて来い」  "这边基本都齐了,全扔了就行"
「マジか」  "真的假的"
「服だけでいいだろ」  "带衣服过来就够了"
「ベッドは?」  "床呢?"
「いらない。一つで良い」  "不需要。一张就够了"
「……そうだな」  "……也是啊"
瞬きをしたらまつ毛が触れ合いそうな距離に潔がいた。足を絡めて、背中に手を回して、触れてない場所がないくらいにくっ付く。潔が囁いた。
近到眨眼时睫毛都会相触的距离里,洁就在那里。双腿交缠,手臂环抱后背,紧密相贴到几乎没有未接触的部位。洁轻声低语道。

「凛は俺がこっちに戻ってくるまでに犬の名前でも考えといてよ」
"凛在我回来之前先想好狗狗的名字吧"

「……なんで俺が」  "……为什么是我来想"
「俺は引っ越し手配とかで忙しいし。凛は暇だろ。それに考えることがあった方が寂しくないよ、きっと」
"我要忙着安排搬家的事。凛很闲吧。而且有点事情想想的话,应该就不会觉得寂寞了"

そう言って潔が慰めるかのように俺の背中を撫でる。俺は潔の胸元に顔を埋めた。我ながら子供みたいな仕草だと思うが、潔は笑ったりしなかった。
洁这么说着,像安慰似的轻抚我的后背。我把脸埋进洁的胸口。虽然觉得自己像小孩子一样,但洁并没有笑话我。

そうだ。俺はずっと寂しかったのだ。きっと明日からまた寂しくなる。
是啊。我一直都很寂寞。明天开始肯定又会寂寞起来。

「なるべく早く片付けて戻ってくるからな。少し待ってて」
"我会尽快处理完事情回来的。等我一下"

潔が俺の頭を撫でる。俺は返事の代わりに潔の身体に回していた腕にぎゅっと力を込めた。
阿洁轻抚我的头。我没有回答,只是环抱着他身体的手臂更加用力了。


次の日、潔は宣言通りに東京へと帰って行った。潔がいなくなった部屋の中で、俺はこの二日間のことは夢だったんじゃないかと思うようになった。そんな時、俺はPCで『ペット 名付け』や『犬 名前』などと検索して気分を紛らわせた。潔が帰ってからすぐに犬を飼いに行けるように、保護犬の里親募集サイトなども探した。
第二天,阿洁如他所说返回了东京。在没有阿洁的房间里,我开始怀疑这两天的经历是否只是一场梦。这种时候,我就会在电脑上搜索"宠物 取名"、"狗狗 名字"之类的关键词来转移注意力。为了等阿洁回来后能立刻去领养狗狗,我还查找了很多流浪犬领养网站。

スマホを解約したのは間違いだった、と気付いたのは潔が東京に帰って1ヶ月ほど経ってからだった。おそらく、家の解約だの引越し手続きなどで手間取っているのは分かる。アイツは俺と違って人並みに交友関係があるので、そういう奴らに別れの挨拶をして回っているのかもしれない。スマホさえあれば、潔がいま何をしているのか分かったはずだ。
意识到注销手机是个错误,是在洁回东京大约一个月后。我明白他可能正忙着退租房子和搬家手续之类的事。那家伙和我不同,有着正常的社交圈,说不定正在四处和朋友道别。要是有手机的话,我就能知道洁现在在干什么了。

そろそろ実家に連絡して兄貴経由で潔の情報を聞こうか、なんて考え始めていた頃、ようやく潔が戻ってきた。潔は大量の荷物を持って部屋に入り、ソファに座るなりガーッと喋り出した。
就在我考虑要不要联系老家、通过哥哥打听洁的消息时,洁终于回来了。他带着大堆行李进屋,一屁股坐在沙发上就开始滔滔不绝。

「部屋の解約ってより家財を処分するのに手間取った。まだ使えるやつは売ったけど、それも大変だったし、売れないやつは粗大ゴミ回収頼んだけどすぐには引き取ってくれないんだよ!2週間後とか3週間後とか言われんの!あとは、これからしばらく会えない奴と飯食ったりなんとかしてたらすげぇバタバタだった」
"与其说是退租房子,不如说处理家具更费劲。能用的我都卖了,但这也够麻烦的,卖不掉的就预约了大型垃圾回收,可他们居然不能马上来收!说什么要等两、三周!还有就是和那些暂时见不到面的家伙们吃饭告别,简直忙得脚不沾地"

後日、衣類などの段ボールが4,5個届くらしい。空いている部屋を掃除しておいたからそこをお前の部屋にしろと言った。
据说过几天会有四五个装着衣物的纸箱送到。我告诉他已经打扫好了空房间,让他把那里当作自己的房间。

「でも寝るのは凛と一緒のベッドだろ?」  "不过睡觉还是要和凛同一张床吧?"
「……ダメかよ」  "……不行吗"
「いや。そういうことじゃないって。ってか、帰ってくるの遅くなってごめんなー。凛、拗ねてんだろうなぁと思ったけど、連絡の取りようがないしさ。スマホないってマジで不便だから買えよ」
"不是。我不是那个意思。话说回来,我回来晚了真是抱歉啊。我猜凛肯定在闹别扭吧,但又没法联系你。没有手机真的超不方便,赶紧去买一部啦"

「死ね。拗ねてなんかない」  "去死。谁在闹别扭了"
騒がしく喋り散らかす潔から逃げるようにキッチンに向かう。コーヒーでも淹れてやるか、と電気ケトルに水を淹れていたら潔もキッチンまで着いてきた。
为了躲避喋喋不休的洁,我逃也似地走向厨房。正想着"要不给他泡杯咖啡吧",往电水壶里灌水时,洁也跟到了厨房。

「凛、会いたかったよ」  "凛,我好想你啊"
そう言って背伸びして頬にキスをして、嵐のようにリビングに戻って行く。
他说着踮起脚在我脸颊亲了一下,又像阵风似地跑回客厅。

俺は潔にキスをされた頬をこすりながら、そういえば数日前に近所の婆さんに羊羹をもらっていたことを思い出した。いつもなら「羊羹なんて食べないからいらない」と突っぱねるところをアイツの顔が浮かんだので黙って受け取った。
我揉着被洁亲过的脸颊,突然想起前几天附近的老婆婆给了羊羹。往常我肯定会拒绝说"我不吃羊羹,不用了",但当时脑海中浮现出那家伙的脸,就默默收下了。

羊羹を棚から取り出しながら、浮かれているのは俺か、と思った。
从架子上取下羊羹时,我心想:这么雀跃的该不会是我自己吧?


この家は海沿いに建っていて、一階の海側に広いテラスがついている。潔は一日に一回はテラスに出て海を眺める。朝日だったり、夕日だったり、夜の何も見えない海を、何が楽しいのかよく眺めていた。今日は夕日だった。季節はめぐり、少し肌寒くなった。俺は海を見ている潔に声を掛けた。
这栋房子建在海边,一楼临海处有个宽敞的露台。洁每天至少要来露台看一次海。有时是朝阳,有时是晚霞,甚至黑得什么都看不见的夜海,他总能看得津津有味。今天看的是夕阳。季节流转,已略带寒意。我对望着大海的洁喊了声。

「寒いからもう部屋の中に入れ。コーヒー淹れた」  "天冷了快进屋吧。咖啡煮好了"
「お、サンキュー」  "噢,谢啦"
そうは言うが、潔はなかなか部屋の中に入らない。俺はため息を吐いて、ソファの上にあったタオルケットを持ってテラスに出た。
话虽如此,洁却迟迟不肯进屋。我叹了口气,拿起沙发上的毛巾毯走向阳台。

「おい、せめてこれを肩に羽織れ」  "喂,至少把这个披在肩上"
そう声を掛けると、潔が振り返った。俺はその光景を見て足を止めた。
听到我的喊声,洁转过身来。看到这幅景象,我不由停下了脚步。

こちらを向いて笑う潔と、その後ろで沈みゆく夕日。海は穏やかで、風も少ない。俺はこの光景を前に見たことがある気がした。
面向我微笑的洁,和她身后缓缓沉落的夕阳。海面平静无波,微风轻拂。这场景让我觉得似曾相识。

「?どうした?」  「?怎么了?」
潔が不思議そうに俺に聞く。俺は潔の肩にタオルケットを放り投げて言った。
阿洁一脸疑惑地问我。我把毛巾毯扔到他肩上说道。

「いや、……デジャヴだ」  「没什么......就是既视感」
「ん?何だっけ、それ」  「嗯?那是什么来着?」
「……前にもお前とここでこうしてたことがある気がする」
"……总觉得以前也和你这样待在这里过"

「えー?いつだろ」  "诶——?什么时候啊"
潔はタオルケットを羽織りながら呟く。  阿洁披着毛巾毯小声嘀咕道。
この光景を見たことがある、と思ったのは一瞬だけで、既にその感覚はなくなっていた。
这种似曾相识的感觉只持续了一瞬,很快就消失无踪了。

「ここで凛とお喋りしたことなんてないよな?予知夢じゃね?」
"我和凛在这里聊过天吗?该不会是预知梦吧?"

「そんな能力ねぇよ」  "我可没这种能力"
潔の横に並び、テラスの手すりに腕を乗せる。潔は俺の肩に頭を乗せて言った。
我走到洁身旁,将手臂搭在阳台栏杆上。洁把脑袋靠在我肩头说道。

「結婚とかまだ実感湧かねー」  "结婚什么的还是没什么真实感啊"
照れ臭そうなその声色にこちらまでむずむずする。  那带着羞涩的声线让我心头痒痒的。
この国ではまだ同性婚は出来ないが、俺たちが住んでいる市では「パートナーシップ宣誓制度」というものがあるらしい。法的な拘束力はないが、同性同士のカップルでも結婚に類似した権利が取得出来るらしい。来週、二人でここから少し離れた市役所に行く予定だった。
虽然这个国家还不允许同性婚姻,但我们居住的城市似乎有个叫"伴侣宣誓制度"的东西。虽然没有法律约束力,但同性伴侣也能获得类似婚姻的权利。下周我们俩原本计划要去离这儿稍远的市政府办理。

「……結婚の何がそんなに良いんだ」  "......结婚到底有什么好的"
我ながら天邪鬼だと思う。潔は困ったような顔をする。
连我自己都觉得太别扭了。洁露出了困扰的表情。

「色々と調べたんだけどさ。書類上でパートナーとして認められてないと、相手が入院とか手術する時、同意書にサインすることも出来ないんだって。俺、好きな人を看取れないの嫌だよ」
"我查了很多资料。在法律文件上如果不被认可为伴侣,当对方住院或做手术时,连同意书都不能签字。我不想失去为心爱之人送终的权利啊。"

コイツが「好きな人」とサラッと口にしてしまえることに更にむず痒くなる。それはつまり俺のことで。恥ずかしそうに潔が続ける。
这家伙居然能面不改色说出"心爱之人"这种话,让我更加心痒难耐。那说的分明就是我。洁继续说着,神情羞涩却坦率。

「それに単純に誰かにこの関係を認めて欲しいんだと思う。俺は」
"而且单纯就是...想让别人认可这段关系。我是这么想的。"

「……間抜け面」  "......傻样"
俺がそう呟くと、潔は「うるせー」と言ったが、声から「俺はいま人生で一番幸せです」と滲み出ていた。
我这样低声呢喃时,洁虽然回了句"烦死了",但声音里却渗出"我现在是人生中最幸福的时刻"的意味。

「……指輪、もうつけてんのか」  "……戒指,已经戴上了啊"
その時、潔の指に輝く傷ひとつないプラチナの指輪に気が付いた。朝は着けていなかった気がする。潔は手を握ったり開いたりしながらその手を海側にかざした。
这时我注意到洁手指上那枚闪闪发亮、毫无瑕疵的铂金戒指。早上似乎还没见他戴着。洁反复握拳又张开,将那只手举向海的方向。

「俺、今まで指輪とかつけたことなかったから違和感が凄くてさ。でも千切が『ずっと着けとけばそのうち着けてることすら忘れるくらい馴染む』って言ってたから練習してんの」
"我以前从来没戴过戒指,所以特别不习惯。不过千切说'只要一直戴着,迟早会习惯到忘记自己戴着它',所以我在练习适应呢"

「着けてんの忘れたらダメだろ」  “忘记戴可不行啊”
「お前はああ言えばこう言うな」  “你这人怎么老是顶嘴”
そう言って潔は俺の足を軽く蹴る。俺はそれをいなした後に「少し待ってろ」と言って部屋に戻った。二階の寝室に向かう。部屋の中には最近新調したクイーンサイズのベッドが鎮座している。その隣の棚の上に箱が二つ。片方の箱は開いている。俺は開いていない方の箱を手に取った。ぱかっと開けると、潔が手に着けているのと同じデザインのリングが収まっている。
洁说着轻轻踢了下我的脚。我躲开后说了句“稍等”便返回屋内。走向二楼卧室。房内摆着最近新换的 Queen Size 大床。旁边架子上放着两个盒子,其中一个开着。我拿起未开封的那个,啪地打开——里面躺着与洁手上同款的对戒。

それを左手の薬指に着けて、俺はテラスに戻った。潔は俺の左手に気付き、嬉しそうに笑った。
将它戴在左手无名指上,我回到露台。洁注意到我的左手,开心地笑了起来。

「……確かに違和感あるな」  "……确实感觉有点别扭"
「だろー?二人で練習しようぜ」  "对吧?咱们一起练习吧"
そう言って潔が俺の左手に自分の左手を重ねる。  说着阿洁把自己的左手叠在我的左手上。
「……いま、幸せか?」  "……现在,幸福吗?"
潔に聞く。これで良かったのだろうか、と思う。コイツをこんな田舎まで連れて来てしまった。まわりには観光地などなにもない。毎日見慣れた景色を見て、素人が作る変わり映えのしない食事を食べる。お節介な隣人に、デリカシーのないガキどもと毎日サッカーをするだけ。
我扪心自问:这样做真的好吗?把这家伙带到这种乡下来。周围连个景点都没有,每天只能看惯常的风景,吃着外行人做的千篇一律的饭菜。还得应付爱管闲事的邻居,和一群没轻没重的小鬼头踢足球。

潔は俺の左手をぎゅっと握る。強い力で。  阿洁突然用力攥紧我的左手。
「凛。俺、今、めちゃくちゃ幸せだよ」  "凛,我现在啊,幸福得要命。"
そう言って潔は笑った。  他说着露出了笑容。

评论

  • めんたい子  明太子

    また読みに来てしまった。りんちゃんの重い愛が本当にすきで 荷物ぜんぶ整理して帰ってきてバーっと喋るよいちが可愛いし、嬉しいくせに顔には出さない凛ちゃんもイイ壁になって見つめてたい
    又忍不住来重温了。真的好喜欢凛酱这份沉重的爱意 整理完所有行李回到家就叽叽喳喳说个不停的好一真是可爱,明明很开心却故作冷淡的凛酱也好想让她当壁咚对象盯着看啊

    7月1日回信  7 月 1 日回信
  • めんたい子  明太子酱

    このシリーズが本当に本当に好きです。何度読み返しても胸がいっぱいになります。
    这个系列真的真的超级喜欢。每次重读都让我心潮澎湃。

    5月14日回信  5 月 14 日回信
  • bllhakooshi

    穏やかに楽しく暮らすふたりが見えるようです。素敵なお話ありがとうございました!
    仿佛能看见两人平静而快乐地生活在一起。非常感谢这个美好的故事!

    3月13日回信  3 月 13 日回信
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