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 作品情報
作品ID:1404007
投稿日:2021年02月26日 06:36
小説文字数:10,462字
●●●を手にした、それ故に。  因此我得到了●●●。
とある雷の剣士役様、お誕生日おめでとうございます。
祝饰演某雷剑客的演员生日快乐。

続きは6月のセイバーオンリーにご期待下さい。  敬请期待 6 月份 Saber Only 活动的后续活动。

追記・セイバーオンリーで完売したので7月の真夜中イベントで少量再販します。よろしくお願いします。
附言:由于 Saber 专属活动门票已售罄,我们将在 7 月的午夜活动中少量重新售卖。感谢您的理解。


とある恋人たちが手にした性玩具。もたらされるのは極上の快楽か、それとも。
一对情侣得到了一个性玩具。它会给他们带来极致的快感吗?还是……?
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 この令和の世において、ビブリオユートピアの名を知らない日本人はいないだろう。
在这个令和时代,大概没有一个日本人不知道 Biblioutopia 这个名字。

 文芸誌を専門とする小さな出版社からスタートした同社はユニークなアイデアや従来の慣習に縛られない営業戦略でたちまち成長し、今や令和の小説ブームを牽引する大出版社へと大成した。
该公司最初是一家专门出版文学杂志的小型出版社,但凭借独特的创意和不受传统惯例束缚的销售策略迅速发展壮大,现已成为引领令和小说热潮的大型出版社。

 文芸のみならず漫画、書評、各種エンターテイメント分野の雑誌やムックまで本と名のつくものなら何でも手掛ける、食わず嫌いの無い社風が急成長の一端を担ったとも言われている。
据称,该公司不仅包括文学,还包括漫画、书评以及各种娱乐杂志和 mook 杂志,涵盖了所有可以称为书籍的内容,这种开放的态度促进了公司的快速发展。

 本と名のつくものを手掛ける誰もがビブリオユートピアのブランドに憧れた。
任何从事名称中含有“书”字的事物的人都渴望拥有 Biblioutopia 品牌。

 とりわけ小説家を志す者は、ビブリオユートピアの虎の子である文芸誌に一度は連載を持ちたいと夢を見る。
尤其是那些有志成为小说家的人,梦想着在文学杂志上连载作品,这是 Biblio-Utopia 的珍贵财产。

 神山飛羽真はそんな小説家たちが羨望するビブリオユートピアの文芸誌『グリム』に連載を持つ幸運な小説家のひとりだった。
神山当麻是能够在《格林》上连载作品的幸运小说家之一,《格林》是一本令小说家们羡慕不已的爱书乌托邦文学杂志。

「原稿、持って来させて悪かったわね。ありがとう」
“抱歉让你带着稿子过来,谢谢。”

「いえ。それよりあの元気印の芽依ちゃんが風邪なんて驚きました」
“没有。更让我吃惊的是,精力充沛的梅酱竟然感冒了。”

 都内に聳えるビブリオユートピアのオフィスビル。  Biblio Utopia 的办公大楼耸立在东京。
 飛羽真と彼の担当の上司、白井ゆきという珍しい取り合わせが雑誌を扱う部署のひしめくフロアを歩いていた。
当麻和他的上司白井雪这对不同寻常的组合正走在杂志部拥挤的地板上。

「ほんと! 今年の風邪は厄介だから気をつけてくださいーって鼻声で電話が掛かって来た時には明日雪でも降るんじゃ無いかとヒヤヒヤしたわ」
“真的吗?!当我接到电话,用鼻音说‘小心,今年的感冒很严重’时,我很担心第二天会下雪。”

 ゆきの冗談に飛羽真も苦笑する。雑談を交わしながらも抜かりなく原稿のチェックを進める姿は流石敏腕編集長と言ったところか。誤字脱字の指摘や修正依頼が飛んで来ないかと肝を冷やしながら飛羽真はすれ違う人たちへ会釈した。
当麻也对由希的玩笑苦笑了一下。他一边聊天,一边一丝不苟地检查稿件,不愧是一位能干的主编。当麻向路过的人点点头,紧张地想知道他们会不会指出错别字,或者要求修改。

「うん、オッケー完璧! ご苦労様。神山先生も忙しいのにわざわざ来て貰って、ホントありがとうね」
“嗯,好的,太好了!辛苦你了。神山老师在百忙之中还抽出时间来,真是太感谢了。”

「いやいや、たまにはゆきさんの顔が見たいですし。それに俺、ここ好きなんです」
“不不不,我想偶尔看看你。而且我喜欢这里。”

 長身を伸ばし辺りを見回す。音楽、芸能、料理、車、模型、化粧、絵画……ジャンルも趣向もバラバラの雑誌の表紙やムックの書影、企画案や書籍のポスターなどが所狭しとフロアの廊下を彩っている。ただ眺めているだけでもワクワクする空間だ。
我伸了个懒腰,环顾四周。音乐、娱乐、烹饪、汽车、模特、化妆品、绘画……各种风格和品味的杂志封面、mook 杂志的封面、项目提案、书籍海报,都装饰着这一层楼的走廊。光是看着就让人心动不已。

 初めてここに来たときは感動のあまり飛び上がった。知らないジャンル、未知の世界。新しい流行に古くからの定番。好奇心と創作意欲が無限に刺激されるこの空間に駆け出しだった飛羽真はすっかりのぼせ上がった。
初来乍到,他激动得跳了起来。一个未知的流派,一个未知的世界。新的潮流与经典并存。初出茅庐的当麻完全被这片空间迷住了,它无限地激发着他的好奇心和创作欲望。

 デビューを経て自分の本屋を持った今では熱も落ち着き、担当編集者が付いた事でビブリオユートピアに赴く機会は減ってしまった。しかしここが魅力的な場所だという事実は変わらない。
如今我已初出茅庐,拥有了自己的书店,热情也渐渐消退,又有了一个编辑,所以我去“书乌托邦”的次数越来越少了。但事实上,它依然是一个令人着迷的地方。

「ゆきさん、これすごくないですか!? この表紙の車、屋根に自転車が乗ってますよ!」
“Yuki 同学,这不是很棒吗?!封面上的汽车车顶上有一辆自行车!”

「ああ、次の流行りはルーフマウントだーって進藤さんが車載サイクル特集組んだ号ね」
“哦,那期是新藤先生专门为车载自行车做的专题报道,说下一个热门趋势是车顶自行车。”

「わ、これすっごく可愛い! 芽依ちゃんが好きそうな……お菓子、ですか?」
“哇,好可爱啊!这是小美喜欢的甜点吗?”

「それはソープカービングの特集ムック、石鹸ね。食べられないよ」
“这是肥皂雕刻特刊。这是肥皂。你不能吃它。”

 おもちゃ箱を旅する子供のような青年にゆきは相変わらずね、とくすくす微笑む。
当她看着这个孩子气的年轻人在玩具箱里翻找东西时,Yuki 笑着说:“你和往常一样。”

「神山先生って好奇心旺盛よね。正岡子規と同時代に生まれてたら良い仲間になれたんじゃない」
“神山教授的好奇心真强。如果他和正冈子规出生在同一个时代,我们肯定会成为好朋友的。”

「そんな……正岡子規と俺を並べちゃダメですよ。あ、これ」
“你不能把我和正冈子规相比。啊,这个。”

 ゆきの世辞にハットを触りながらはにかんだ飛羽真の目が一枚のポスターに留まった。
当麻听到由希的称赞后,脸红了,摸了摸帽子,但他的目光却落在了一张海报上。

「そうそう、今度和泉先生の短編集が出るのよ」  “对了,和泉老师的短篇小说集快要出版了。”
「もう三冊目ですよね! すごいです、おめでとうございます!」
“这已经是你的第三本书了!太棒了,恭喜你!”

「それは和泉先生本人に言ってあげなさい。そうだ、今晩先生と打ち合わせを兼ねてご飯に行くんだけど、神山先生もどう?」
“你应该亲自跟泉老师说这件事。哦,对了,我今晚要和他一起吃饭,商量一些事情,神山老师你呢?”

 和泉彰は飛羽真と年が近い事もあり、懇意にしてくれる気さくな先輩小説家だ。
和泉晶是一位友善的资深小说家,与当麻年龄相仿,关系也很好。

 久しぶりに直接会って話をするのもいいかもな。それはとても魅力的なお誘いだが、あいにく今夜は先約があった。
或许能和我们久别重逢、面对面聊聊也挺好的。这个邀请很诱人,可惜我今晚有约了。

「すみません。今日は……恋人と、会う約束がありまして」
“抱歉。今天……我跟恋人有约会。”

 愛しい彼とのひとときを思い浮かべながら話す口元のにやつきを抑えられない。こちらを見上げるゆきの目にはさぞかし間抜けな顔が映っていた事だろう。
想起和心爱之人一起度过的时光,我不禁露出了笑容。当 Yuki 抬头看着我时,我的脸上一定露出了傻乎乎的表情。

「え、初耳! 今年一番のスクープ聞いちゃった! 進藤先生が聞いたら卒倒しちゃいそう」
“哦,我以前从未听说过!我听到了今年最大的独家新闻!我想如果新藤教授听到这个消息,他会晕倒的。”

「そんな大袈裟な……ん、これは?」  “太夸张了……嗯,这个怎么样?”
 極彩色の掲示物が群れなす中でひときわ目を引くポップでサイケな広告ゲラ。見慣れぬ不思議なものが写るそれに飛羽真は興味を惹きつけられ、顔を近づけしげしげと見回した。
在琳琅满目的色彩鲜艳的海报中,一张充满流行迷幻色彩的广告图格外引人注目。当麻被里面奇异而陌生的事物所吸引,凑近了脸,仔细地观察着四周。

「すっごい色遣いですね……何だろう、猫のおもちゃ?」
“颜色运用得真棒......这是什么,猫玩具吗?”

「惜しい! それ大人のおもちゃ、アダルトグッズだよ」
“太糟糕了!那是成人玩具,成人用品。”

 からからと笑いながら飛羽真の勘違いを修正したのはアダルト関連の雑誌部署を仕切る男だった。ビブリオユートピアきっての古参社員であり、気さくな性格で他部署の編集長や作家たちからも慕われている。
这位用爽朗的笑声纠正当麻误会的男人,正是成人杂志部门的负责人。他是 Biblio Utopia 任职时间最长的员工之一,友善的性格赢得了主编和其他部门作家的喜爱。

「相田さん! お久しぶりです」  “相田同学!好久不见了。”
「たまにはうちの部署にも顔出してよ。神山先生みたいなイケメンが来るとうちの女子スタッフのモチベが爆上がるからさ」
“偶尔也来我们部门看看吧。像神山老师这样的帅哥来,真的能给我们女员工带来很大的动力。”

「いやぁ、それなら和泉先生の方が適任じゃないですか? ところでこれ、大人のおもちゃでしたっけ。何に使うんです?」
“那么,我觉得泉老师更合适。话说回来,这是情趣玩具吗?有什么用途呢?”

 爛と好奇が光る瞳にどう答えたら良いものかとゆきは眉をひそめたが、相田はお構いなしにその用途を説明する。
由希皱起了眉头,不知道该如何回应那双闪烁着好奇目光的眼睛,但相田没有理会她,继续解释着它的用途。

「これはアナル用バイブだよ。尻に入れて使うやつ。アナルと腸壁の拡張開発メインの初心者向けだね。太さの種類があって見た目がコレだから若い人に人気なんだ」
“这是个肛门震动棒,插在屁股里。它针对初学者,主要用于扩张和发育肛门和肠壁。它有各种厚度,看起来像这样,所以很受年轻人欢迎。”

 うちの新鋭作家に変な知識を吹き込まないで欲しい、なんてゆきの内心など飛羽真も間も知る由も無い。興味の星が煌めく宵の瞳は初めて知る性玩具に夢中で、恋人に使ってあげたらどんな反応をするのだろうなんて考えているなど誰の知る由も無かった。
当麻和麻根本不知道由希心里在想什么:“请不要把奇怪的知识灌输给我们这位崭露头角的新作家。” 没人知道,夕依的眼睛里闪烁着好奇的光芒,全神贯注地盯着她从未见过的性玩具,想知道如果她用在爱人身上,他会有什么反应。

「こんな物があるなんて知りませんでした。世の中にはまだまだ俺の知らない世界がたくさんあるんですね」
“我根本不知道有这样的事。世界上还有很多地方我都不知道。”

「はは、神山先生は何にでも興味を持ってくれるから話していて気持ちがいいよ。そうだ、ちょっとこっち」
“哈哈,神山老师什么都感兴趣,和他聊天很开心。哦,过来一下。”

 目尻に刻む皺を緩ませ、相田は飛羽真とゆきを自身の担当部署へと誘った。
相田舒展了眼角的皱纹,邀请当麻和由希到自己的部门。

 清廉と整頓された部屋に刺激的な装丁のアダルト雑誌や性玩具の広告。アンバランスな空間はまるで異空間に迷い込んだような錯覚を覚える。
整洁干净的房间里,摆放着装帧精美的成人杂志和情趣用品广告,不平衡的空间感让人仿佛置身于另一个维度。

「あったあった。これこれ」  “就是这里。就是这里。”
「相田さん、それは?」  “相田先生,那是什么?”
「アダルトメーカーから小説付きのオナホをやりたいって話が来たんだよ。そういうシリーズを立ち上げたいんだってさ」
“一家成人用品制造商找到我,希望我制作一款附带小说的自慰器。他们说他们想推出一个这样的系列。”

 オナホ。正式名称はオナホール。厳密に言うとオナニーホール。
Onaho。正式名称是 Onahole。严格来说,是自慰洞。

 さすがにそのくらいは飛羽真も知っていた。シリコンなどで作られた、男性器を挿入して擬似性行為を楽しむアダルトグッズ。しかし知識はあったが実物を見たり触れた事は無かった。
当然,当麻对此了解甚少。那是一种用硅胶或其他材料制成的成人玩具,你可以将自己的性器官插入其中,享受模拟性行为。虽然他知道,但他从未见过或摸过真正的玩具。

「神山先生、どう? オナホ小説やってみない?」  “神山老师,你觉得怎么样?我们来写写自慰小说怎么样?”
「ちょっと相田さん……! 神山先生はそういう売り方じゃ……」
“喂,相田同学……!神山老师可不是这么推销自己的……”

 相田の手にある『サンプル』とシールが貼られた白い箱。この中にオナホが入っているのだろうか。
Aida 手里拿着一个贴着“试用装”标签的白色盒子。不知道里面是不是有个自慰器。

 どんなかたちで、どんな感触なのだろう。どんな物語が詰まってるのだろう。止めどない好奇心は堰を壊した堤を溢れる。
它的形状是怎样的?它的感觉是怎样的?它蕴含着怎样的故事?我无尽的好奇心已经冲破了堤坝,泛滥成灾。

 ゆきの制止も聞かずに飛羽真は元気よく頷いた。  当麻热情地点点头,无视由希的警告。
「やります! 書かせて下さい!」  “我来!我来写!”
 ただし、もちろん別名義で。  但当然是用不同的名字。



 原稿を入れていた鞄にオナホを忍ばせ持ち帰り、本屋のデスクで飛羽真は早速それを開封した。
当麻将自慰器藏在装手稿的包里带回家,然后立即在书店的桌子上打开它。

「へぇ。結構重いし、しっかりしてるんだな」  “哇。它相当重,而且很结实。”
 内部構造がそれとなく分かる半透明のオナホを手に見回しながら、一緒に渡されたA4サイズの企画書をめくる。
他手里拿着半透明的自慰器,可以一窥其内部结构,环顾四周,翻阅着交给他的 A4 大小的提案。

「これは試作品で実際は色白系の肌色の予定……か。透明な方が面白いと思うけどなぁ」
“这只是一个原型,实际产品计划是浅肤色……我觉得如果它是透明的会更有趣。”

 企画書にはオナホの仕様も事細かに書かれていた。螺旋状の内部構造、びっしりと配置されたヒダと要所に配置されたイボが絶妙に男性器を刺激し未知の快楽に誘う……
提案还详细列出了这款自慰器的规格参数。其螺旋状的内部结构、密密麻麻的褶皱以及关键的尖锐凸起,将对男性生殖器进行精妙的刺激,带来未知的快感……

 オナホが入っていた箱には試供品と思しきコンドームとローションも同封されていた。ローションの量で潤滑を調整し、ゴムを付けて挿入する。手順だけ見ればセックスとあまり変わらない。
装着自慰器的盒子里还装着一些看起来像是试用装的避孕套和乳液。调整乳液的用量以产生润滑效果,然后戴上避孕套插入。这个过程和性交没什么区别。

 このオナホからどんな物語を生み出そうか。十字の挿入穴から内部を覗き着想を探していると、ブックゲートの扉が開き愛しい気配が現れた。
我应该用这个自慰器创作出什么样的故事呢?正当我透过十字形的插入孔向内窥视,寻找灵感时,书门的大门打开了,一个可爱的身影出现了。

「飛羽真」  「飞羽真」
「賢人!」  「贤人!」
 富加宮賢人。飛羽真の仲間にして幼馴染みであり、恋人だ。
富上宫健人。当麻的同伴、青梅竹马、恋人。

 仕事は一旦置いて彼を出迎える。ロングコートがこの上なく映える長身に繊細な肌、意志の強い眉と暁色の瞳の端正な面立ちは誰しもがイケメンと評する程の美しさだ。
她放下手中的工作,过来和他打招呼。他那件长外套衬托着他高大的身材,显得格外惊艳。细腻的肌肤,浓重的眉毛,以及一双晨曦般的眼睛,让他显得如此英俊,以至于无论谁都会用“英俊”来形容他。

「来てくれてありがとう。それにしても随分早いね」
“谢谢你来。对了,时间还早呢。”

「今日は屋上にテントを立てて過ごすんだろ。色々準備が必要だと思ってな」
“你今天要在屋顶上搭帐篷吧?我还以为你需要做很多准备呢。”

 今宵、飛羽真はこの美しい恋人とロマンチックな約束を交わしていた。
今晚,当麻与他美丽的恋人许下了浪漫的承诺。

 あたたかい満月が照らす夜空を眺めながら、ランタンの灯りをたよりに夜空の物語を読み交わし語り合う。まるで小説の一節のような甘いひとときが待ち遠しいのは飛羽真だけでは無かったようだ。
两人凝望着被温暖的满月照亮的夜空,在灯笼的光芒下,阅读着夜空的故事,互相诉说着。看来,期待这如同小说般甜蜜时刻的,并非只有当麻一个人。

 浮かれた小説家は三日も前から必要な資材を屋上へ運んでいた。テントが災害非常用に備蓄していたものなのがややムードに欠けるがそこはご愛敬。チーズフォンデュをやってみたいと言う賢人の為に専用のホーロー鍋セットまで用意したのだから許してもらおう。
这位兴奋的小说家已经连续三天把必要的材料搬到屋顶上了。帐篷里堆满了应急物资,这让气氛显得有些不对劲,但这正是它的魅力所在。他还为想尝试做奶酪火锅的健人准备了一套特别的珐琅锅,所以大家只能原谅他了。

 そんな訳でおおかたの準備は終わっていた。しかし、チーズ以外の食材の買い出しやテントに持ち込む本の選定はまだだった。夜までには大分早いけど折角賢人が来てくれたのだから買い出しに行こう。そう思い、財布はどこにやったっけとデスク周りを見回すうち賢人がデスクをじっと見つめている事に気が付いた。
就这样,大部分准备工作都完成了。不过,除了奶酪,我还得买些食材,还要选些要带进帐篷的书。天色还很早,不过既然健人一路过来,我想着也该去买点东西了。想到这儿,我环顾了一下桌子,琢磨着钱包放哪儿了,这时我注意到健人正目不转睛地盯着我的桌子。

「飛羽真。それ、何だ?」  “当麻。那是什么?”
 指された先にあったのは例のオナホ。飛羽真に負けず劣らず好奇心旺盛な彼は見た事の無い奇妙な物体にいたく興味をそそられたらしい。朝焼けの瞳をきらきら輝かせ半透明のシリコン塊を注視している。
他指着的正是刚才提到的那个自慰器。他和当麻一样好奇,似乎对这个从未见过的奇怪物体很感兴趣。他的眼睛在晨曦中闪闪发光,专注地盯着那块半透明的硅胶。

「オナホだよ。あ、オナホって知ってる?」  “这是自慰器。哦,你知道自慰器是什么吗?”
「いや」  “不”
 話しながらオナホを手渡すと賢人はまじまじとそれを眺め回した。クローバー状の挿入口を長い人差し指でつんつん突いている姿が何ともエロい。脈が昂るのを自覚しながら、飛羽真はひっそりと唾を飲んだ。
他一边说着,一边把自慰器递给健人,健人仔细地看了看。他修长的食指戳进三叶草形状的开口,那副模样简直色诱至极。当麻感到脉搏跳动,轻轻地咽了口唾沫。

「何に使うんだ?」  “这是干什么用的?”
 本が好きで、特に童話を好む彼はこの手の知識が浅かった。ソードオブロゴスという浮世離れした組織に所属している事も一因だろう。
他喜欢读书,尤其是童话故事,但对这类东西却知之甚少。其中一个原因,大概是因为他隶属于一个名为“道之剑”的异世界组织。

「えっと、そこにちんこを挿れて擬似セックスを楽しむ道具だよ」
“嗯,这是一种将阴茎插入其中以享受模拟性爱的工具。”

「ふぅん」  “唔。”
 そんな賢人にこういう事を教えたのは飛羽真だった。男同士の恋人がどうやって睦み合うのか云々、等々。
正是当麻教会了健人这些事情,比如两个男同性恋者应该如何亲密相处等等。

 想いを通じ合えたかけがえのないひとともっと深い関係を築きたい、という思いは賢人も同じだったらしい。仕切り屋でちょっぴり気難しい賢人があんなところをそんな風にされてあられもない声を上げるなんて、飛羽真以外の誰も想像すらしないだろう。
看来健人也渴望与这位无可替代、倾诉心声的人建立更深厚的感情。除了当麻,谁也想不到,健人这种有点霸道、难以相处的人,在那种地方受到那样的对待后,竟然会发出如此放肆的哭喊。

「……飛羽真、俺じゃ不満なのか? こんなもの買って……」
“……当麻,你是不是对我不满意了?为什么要买这种东西……”

「ち、違う違う! 買ってない! それは──」  “不,不,不!我没有买!那是——”
 とんだ誤解を受けて慌てふためき事情を話す。  发生重大误会后,他惊慌失措并解释了情况。
 あくまで仕事のために借りた事、賢人との性生活に何の不満も無い事を強調し、ようやく眉間の皺が取れた彼に飛羽真はホッと胸を撫で下ろした。
他强调说,他只是为了工作目的才借用的,并且他对与健人的性生活没有任何抱怨,当麻看到眉间的皱纹终于消失了,松了一口气。

「それで、これでどんな話を書くつもりなんだ?」  “那么,你打算用它写一个什么样的故事呢?”
 機嫌を直した賢人は大きな手のひらでオナホを弄び、あまつさえ挿入口にくぽくぽ指を抜き差ししている。
现在心情好多了,健人用大手掌玩弄着自慰器,甚至把手指伸进伸出。

 オナホで遊ぶ恋人なんて目の毒だ。エロ過ぎる。それが好奇心だけでやっている無邪気な行為である事が一層に飛羽真の劣情を燻らせた。
情人玩自慰器太碍眼了,太色情了。这纯粹是出于好奇心的无辜行为,反而激起了当麻的欲望。

 ──そうだ。  ──是啊。
 不埒な欲と物語を生み出す閃きがスパークし、あるシチュエーションが思い付く。
邪恶欲望的火花和创作故事的灵感被点燃,某种情境就此诞生。

 あれならきっといい物語が書ける。直感と共に昂る己の昂りを抑え、飛羽真は身を乗り出した。
这肯定会成为一个很棒的故事。当麻抑制着内心与直觉一同升起的兴奋,倾身向前。

「賢人、夜までまだ時間があるしさ。ちょっとお願いがあるんだけど」
“健人,离天黑还有一段时间,我想拜托你一件事。”

「お願い?」  “请?”
「うん。それ、俺に使って」  “是的。用这个给我吧。”
「う、ん……?」  “是的……?”
 飛羽真がそれと指したのは、賢人の手にあるオナホ。
当麻指着健人手中的自慰器。

 まぁ、そういう反応になるよな。今の今までオナホの存在すら知らなかったなら、尚更。
嗯,这就是你会有的反应,特别是如果你到现在还不知道自慰器的存在的话。

「それで俺のちんこを扱いて欲しい。賢人が」  “我希望你用这个来处理我的鸡巴,Kenjin。”
「は、あ……」  “啊啊啊……”
「賢人がそれでしてくれたら、って思ったらすごくドキドキして、物語が浮かんで来て……きっといい話が書けると思うんだ。協力して、お願い!」
“当我想到健人会这样做时,我的心跳开始加速,一个故事开始浮现在我的脑海中......我相信我可以写出一个很棒的故事。请帮助我!”

 顔の前で手を合わせ、腰を曲げて頼み込む。  他双手抱胸,弯腰乞求。
 ちらと見遣った賢人の表情は困惑から諦めに変わっていた。やった、と飛羽真は心の中で拳を握る。
他瞥了一眼健人,他的表情从困惑变成了无奈。“我做到了!”当麻心里暗自想着,在心里攥紧了拳头。

「飛羽真がそこまで言うなら……分かった」  “如果当麻这么说的话……我明白了。”
 頼み込まれると賢人は弱かった。こと、それが恋人の頼みなら。
当被要求做某事时,健人会表现得很软弱,尤其是当这是来自他爱人的请求时。

 合掌した手をぱあっと開いて賢人に抱き付く。ありがとう、助かるよと繰り返しながら戯れる飛羽真を大型犬を扱うようにいなしながら、賢人は微笑みため息をついた。
他张开紧握的双手,拥抱了健人。健人微笑着叹了口气,像对待一只大狗一样抱着当麻,而当麻则不停地和他玩着,嘴里不停地说着“谢谢你”和“你会帮助我的”。

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 オナホを使うためにはそれ相応の準備が要る。
 ローションとコンドーム。汚れてもいいようにバスタオルを敷き、終わった後は丁寧に洗う。
 文字に起こせば普通のセックスとさして変わりは無い。相手が無機物であろうが無かろうが、準備も無しに情欲を交わそうなんて甘い考えは許されないのだ。
 本屋は早々に店じまいし、ふたりは飛羽真の私室へ移動する。見慣れた風景もベッドも、今からここで未知の行為をするのだと思うと新鮮に見えるから不思議だ。
「ローション、どのくらい入れるんだ?」
「入るぶんだけ、溢れないぐらい? 賢人のやりやすい量でいいんじゃないかな」
 コートを脱ぎ、オナホの準備を進める賢人を横目に飛羽真は自身の準備を進めていた。ベッドへバスタオルを敷き、普段使っているコンドームをサイドボードから取り出す。ズボンとパンツを脱ぎ露わになった陰茎を擦ってやれば、あっという間に挿入可能な硬度まで勃ち上がった。
 とは言うものの、飛羽真の屹立は下着の中にある時から既に兆していた。恋人がオナホで抜いてくれる、なんてシチュエーションに興奮しない奴なんていないだろう。説明書を読みながらオナホの空気を抜く賢人に期待はますます燃え上がり、ベッドに座る腿に汗が浮かんだ。
「ふっ……ガチガチだな、飛羽真」
「だって……賢人が見てるから」
 くすりと笑む賢人の視線を避けるように封を破ったゴムを屹立に被せる。下生えを噛まないように気を付けながら付けていると、オナホの準備を終えた賢人が飛羽真の股間へ潜り込んだ。
 180cmを超える男ふたりぶんの重みを受けてベッドとマットレスがぎしりと啼く。
 持て余すほどに長い足の膝を緩く立て、飛羽真は賢人の手にあるものをちらと見遣った。
 期待と不安、興奮がない交ぜになった感情が飛羽真の下腹部を重くする。オナホの小説を書くため、なんてのは動機の半分で残りの半分は賢人と普段とは違った愛し合い方をしてみたい、という不埒な欲望からだった。
「始めるぞ。ん、こんな狭い穴に飛羽真のが入るのか……?」
「大丈夫なんじゃない? 賢人の穴もおんなじぐらい小さいけど、入るし」
 むっと恥ずかしげな上目遣いで睨む恋人に気を取られているうち亀頭の先がオナホへ吸い込まれる。熱い腸肉とは違う温度の無いシリコンに一瞬おののいたが、畳み掛ける刺激にすぐ上書きされた。
「ぁ……っ、やば、これ……! もうちょ、ゆっくり……!」
 オナホの威力を舐めていた。賢人とのセックスとは明らかに別の、初めて味わう奇妙な快楽に飛羽真の陰茎は翻弄された。未開通のシリコン塊がローションの潤滑を得て無機的に亀頭を締め上げる。内部へ螺旋状に配置されたイボがゾリゾリと敏感な箇所に擦れ、痛いぐらいの刺激に思わず飛羽真は顔をしかめた。
「すごいな……本当に入ってる」
 半透明のシリコン越しにオナホを貫く飛羽真の陰茎を見つめ賢人はごくりと息を飲む。規格を外れた大きさのそれがみぢみぢ中を圧し拓く様はまるで彼を受け入れる自分の体を見ているようだ。びく、ひくんと蠢く男性器が小さな生き物のように思えて愛おしい。もっとそれが昂り育つ姿が見たくて、賢人は屹立をオナホの奥へ押し込んだ。
「っあ、は……ッ、きつ、ぅ……」
 賢人の手により奥まで陰茎をねじ込まれ、飛羽真は喉を反らして拳を握った。
 自分でやればこの刺激も快感もある程度コントロール出来るのだろう。だが、今はすべてを賢人に委ねている。それがもどかしくも危うい恍惚を呼び起こし、ともすれば変な性癖に目覚めそうだった。
「飛羽真、底まで入ったぞ」
「う、ん……ッ、っ……」
 瞼を半分閉じて早い深呼吸を繰り返し、陰茎を包む刺激から気を逸らす。額ににじむ汗が熱かった。
 挿れるだけで強制的な快楽に襲われるなんて……オナホってすごい。賢人の絡み包むような熱い腸肉と真反対の新鮮な刺激と目の前でオナホを握る賢人そのひとの取り合わせがひどくアンバランスで猥りがわしい。ぞくんと痺れる背筋をなだめるように飛羽真は数度瞬きをして熱の滴るまつ毛を恋人へ向けた。
「は、ぁ……変な、感じ」
「キツいのか?」
「ん……大丈夫。イってるときの賢人の方が、キツいし」
 一瞬目を見開いて、ついと瞼を伏せる賢人がいじらしい。皺の寄る眉間は真っ赤でイっている時の表情を想起させた。
「っ、コレ、次はどうするんだ」
「次? ……ああ」
 オナホの使い方の定番と言えば、上下に動かして扱いたり固定して性行為のように腰を打ち付けるやり方だろうか。
 今は賢人にして貰うのだからやり方は一択だ。
「握りながら、そう……上下に動かしたり、して欲しい」
「こう……か? 力加減が難しいな」
「っ、んん……賢人が、自分でする時ぐらいの、力加減で」
 白樺の五本指を広げる両手が歪なシリコン筒を掴み上下に律動させる。賢人は自慰をする時こんな風に自分の男性器を扱いているのかな、なんて思わず想像してしまう。
 絶妙な力加減でシリコン内に刻まれた螺旋構造とぬるいローションに扱かれながら、ぼうっと視線を股座に落とす。性玩具から透ける赤黒い怒張と賢人の美貌。オナホ越しに飛羽真の性器を見つめながら扱く彼の姿に目眩がした。
「こうかな……いや、もっと……」
 熱を帯びる暁の瞳をきゅうと寄せて賢人が独りごちる。
 何をと聞く前にオナホを掴む両指が蠢き、途端陰茎を襲う形容し難い感覚に飛羽真の喉から悲鳴がこぼれた。
「ぁ、ゔ?!」
 ぐにぐにオナホを揉みしだかれ、内部のイボが肉茎を叩く。それでいて上下の律動は止まないのだから最早快楽の拷問に近い。
 と、思えばにゅぐぅぅと緩慢な動作で抜けるギリギリまでオナホを持ち上げられ、ばちゅんと奥へ押し込められた。持ち上げられる時は螺旋ヒダにディープスロートと紛う吸い付きで神経を絞られて、押し込まれる時はイボと奥口にぞりぞり亀頭を食らわれる。
 もうずっと飛羽真の意識は霞みっぱなしだった。脚はがくがく揺れているし腰は無意識に浮いている。度を過ぎた快楽は苦痛になると何かで読んだが今がまさにそれだった。自分でコントロール出来ない性快楽に苛まれ、強制的に昂らされる。
「飛羽真、めちゃくちゃビクビクしてる……そんなに気持ちいいのか? オナホ」
 嫣然と笑む熱を孕んだ瞳に見つめられ言葉が出ない。それでも賢人はお構いなしにオナホを揉んで飛羽真を扱く。返答を考える間も無く思考を下半身に奪われて、ただ喉を鳴らす事しか出来なかった。
 わからない。果たしてこれが快感と呼べるようなものなのか。自分の意思など介さずに性本能ばかりを追い上げる、この刺激が。
「ぅ、う……ぁ──」
 意味を成さない吐息ばかりをこぼす飛羽真に賢人はすうっと目を細めた。地平を灯す暁のような金色がぎらりと光り、弧を描く口から覗く厚い舌がぺろりと彼の薄い唇を舐める。
「こんなおもちゃで感じるなんて、悪いちんこだな……少し躾が必要だ」
 あ、ヤバい。俺より先に賢人が変な性癖に目覚めそう。
 けんと、と制するより先に手つきの変わった指先がオナホを握った。くぷ、と内を満たすローションがうねり視界が揺れる。
「待っ、けん、とっ、ぁあう、ッひ──!?」
 あろう事か賢人はオナホを揉み込みながらゆるゆる回し始めた。血管が隆起する程いきり勃つ陰茎が根元を軸にあり得ない動きで弄ばれる。
 こんな、ヌルヌルイボイボのオナホに締められながら動かされるなんて刺激は男体に想定されていない。飛羽真自身も聞いた事が無いような声が喉から溢れ、精巣を押し上げられるような射精欲が込み上げる。
「い、ぎっ、ぁ──も、出る──」
 限界を感じ視界がブラックアウトする寸前、陰茎を苛む刺激がぴたりと止んだ。
「ぇ、あ……ッ、は……?」
「駄目だ。素直にイかせたら躾にならないだろう?」
 濃厚な艶媚に濡れた賢人の微笑みに逆らえない。嗜虐的な興奮を知った白い頬は真っ赤に染まり、唇は紅玉色に熟れていた。
「けん、と……ぉ」
「そうだな……こんなのはどうだ? 口でしてやる時、ここ舐めたら喜ぶだろ」
 ぐぐ、とオナホが持ち上げられ抜けるギリギリで静止される。ゴムがオナホに持って行かれないようにと陰茎の根本を掴んだ賢人の指が妙に生々しく感じた。また律動で追い込まれるのか、と飛羽真は覚悟を決めたが賢人はその言葉通り……飛羽真のカリ高の亀頭をオナホの挿入口付近で捏ね回した。
「ひぐ、っあ──?! だ、めだ、めそれッ──!」
 神経の塊をシリコン筒で握り責められ声が出ない。息が上がる。ちゅぽぢゅぽと内に湛えたローションを零しながらオナホは飛羽真の亀頭を食み扱く。
 おれは賢人のぬるぬるして熱いもので舐ってもらうのが好きなだけでこんな神経が飛ぶような刺激が好きなんじゃない。なんて抗議は再び遅い来る射精欲に呑み込まれた。
 爪先が硬直する。腰の感覚がなくなってふわふわする。もう、無理だ。カリ下が擦り切れそうな錯覚を覚えながら飛羽真は言葉を絞り出した。
「も、イぐっ、出る──ッっ、むり……!」
 気付けば頬がどろどろに濡れていた。生理的な涙に汚れる顔がどう賢人に映っているのかなんて考える余裕は無い。
「飛羽真」
 ひどく優しい音だった。それが賢人が自分を呼んだ音だと一呼吸遅れて気付いた飛羽真の唇に、賢人の唇が覆い重なる。
 どくん、と体じゅうが脈打つようにわなないた。愛しむように触れる熱い唇同士がちゅ、ちゅと濡れた音を奏でて飛羽真の意識を淡く包む。同時に亀頭を食んでいたオナホが底まで押し込められ、射精を促す律動で灼ける陰茎を追い込んだ。
 射精の瞬間を知覚する事すら叶わない。気持ちいいの遥か向こうには感覚なんて何も無かった。びく、ずくんと腰と足が痙攣し、唇の間から呻きを漏らして飛羽真はオナホの中で射精した。
 精を吐き終えた陰茎から血流が解放され、どっと倦怠感が五体を襲う。でも、それは一瞬だった。脳が射精の疲労を過大視していただけで。それに唇を離した賢人の取った行動で全部、なにもかも吹き飛んだ。
「ふふっ……ん。すごい量だ」
 芯のゆるんだ陰茎をオナホから抜いた賢人は、ゴムの先に重く垂れる精液溜まりを見て艶めかしい笑みを浮かべた。ずる、と使用済みのゴムを飛羽真から外し先を結び、オナホで達した恋人の残滓をうっとり見つめる。
「──ッッ!」
 気付いた時にはベッドへ賢人を押し倒していた。握り締めっぱなしだった手のひらがじんじん痺れて感覚が薄い。使用済みのオナホがベッドから転がり床へ落ちた音が聞こえたが構っていられない。
 賢人が何か言う前にその唇へかぶり付いた。ぢゅ、ぐちゅと口腔を貪る爛れた口づけ。味蕾に広がる賢人の味に再び陰茎が芯を帯びた。
 めちゃくちゃにしたい。ぐちゃぐちゃにしたい。オナホで飛羽真を翻弄する妖艶な賢人が脳裏をよぎる。あんな賢人初めて見た。有りていに言えば、エロかった。
「っふ……は、ぁ……! とう、ま」
「賢人、ごめん。我慢出来ない……無理。セックスしたい……出来る、でしょ?」
 夜空を眺めながら本を読み合って、それで終わりにする気なんて無かったんでしょう。
 ちゃんと繋がる準備、してるよね。
 そう、丁寧に尋ねてやりたかったがダメだった。小説家の脳は全くもって回っていない。
 それでも意図を汲み取った彼は視線を逸らし黙り込み、キスの間にああ、と小さく頷いた。
 もう言葉なんて必要無かった。オナホで強制的に昂らされた飛羽真の性欲は燃え盛り、嗜虐的な艶媚を魅せた恋人を呑み喰らう。
 丁寧に解く余裕も無く賢人のベルトを結ぶ紐を引き千切った。はだけた前合わせから覗く肌は喉元まで朱に染まり、賢人の興奮を物語っていた。
「がっつき過ぎだ……少し落ち着……」
「無理だって言ってる……誰のせいだと、思って……!」
 長い脚を曲げ賢人の股座に差し入れる。臙脂色のボトムスに膝を当てればぴんと張った屹立がびくんと揺れた。
 あんな貌で飛羽真を翻弄しながら賢人も昂りを滾らせていたのか。煽り返す台詞を探すより先に伸びた手が下着ごとボトムスをずり下ろす。勃ち揺れる陰茎の奥へ利き手を潜らせれば柔らかく解れた肛蕾が指先へ吸い付いた。
 賢人がオナホに使った余りのローションはどこだっけ。足りない頭で考えながらシーツを探る飛羽真の手に賢人の手が触れた。
 手のひらに渡された筒状のものの感触に指先が熱くなる。キスの谷間に目を合わせれば賢人は蕩けた瞳で微笑んだ。
 小ぶりの試供品ローションごと賢人の手を握り返す。熱い指先を交ぜながら吐息と舌も交ぜ合った。理性の淵のぎりぎりでコンドームの残り数を思い数えながら、飛羽真は賢人の陰茎に自身の怒張を擦り付けた。
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  • 2021/02/27 00:54
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