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【5/3新刊】糸師凛の青春RTA/東雲的小说

【5/3新刊】糸師凛の青春RTA  【5/3 新刊】糸师凛的青春速通

19,708字39分钟

5/3超青春エゴイズム内rnisオンリー「青い糸の運命」K38bにスペースをいただいております。
5 月 3 日超青春利己主义 ONLY 活动「蓝色丝线的命运」K38b 展位


凛潔「糸師凛の青春RTA」  凛洁「糸师凛的青春速通挑战」
R18/小説/A5/ページ数未定/無料配布/コピー本
R18 限制级/小说/A5 尺寸/页数未定/免费发放/同人志


あらすじ  剧情梗概
人生に迷える子羊、糸師凛(大学生二年生)。周囲の生活すべてをくだらないとしていた凛だったが、デリヘル嬢兼大学生の潔世一に出会うと生活が一変。惚れた弱みでぶん回され引きずり回され、濃く短い青春に身を投じるのであった。
迷失人生方向的小羊——糸师凛(大学二年级)。原本认为周围生活全都无聊透顶的凛,在邂逅兼职外卖骑手的大学生洁世一后,生活发生了天翻地覆的变化。因沉溺爱恋而被耍得团团转,就此投身于浓烈而短暂的青春之中。


通販はございません。  暂无通贩渠道。
前日に印刷するので、無事に製本できればこの本があるはずです。まだ書き終わってません
由于采用前日印刷模式,若能顺利装订则会场会有现货。目前尚未完稿

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注意事項  注意事项
潔がいかがわしいバイトをしてる  洁在从事可疑的兼职
凛がメンタル脆め  凛的心理承受能力较弱
設定ガバガバ  设定漏洞百出

糸師凛の青春RTA  糸师凛的青春速通挑战

「ご指名ありがとうございます!わくわく倶楽部のよいちです!」
"感谢指名!我是心跳俱乐部的优一!"

 ドアを開けると青い目の天使がいた。つり目気味で挑発的な大きな瞳が弾丸のごとく心臓をうちぬく。特徴のない黒い短髪と、鼻と唇が、いっそう彼の目の大きさを際立たせている。凛よりも体格は一回り小さく、抱きしめるのにちょうどよいサイズだ。
推开门时,映入眼帘的是位蓝眼睛的天使。微微上挑的挑衅大眼如同子弹般击穿心脏。毫无特色的黑色短发与鼻唇轮廓,反而更凸显那双眼睛的尺寸。体型比凛小一圈,正好是可以轻松搂抱的大小。

 写真より、かわいい。  比照片上还要可爱。
 凛は黙って世一を自分の部屋の中に通し、そして一気に身の振り方がわからなくなった。こんなにカワイイ子と初対面でエッチなことができること自体現実感がない。勃起どころが緊張で、凛は自室にもかかわらず借りてきた猫のように固まっていた。
凛沉默地将世一带进自己的房间,随后突然不知该如何自处。初次见面就能和这么可爱的孩子做亲密之事,本身就缺乏真实感。别说勃起了,紧张得连手脚都不知往哪放,明明是在自己房间,凛却像只借来的猫般僵在原地。

「キレーな部屋! 大学生? 一人暮らし?」  "房间好整洁!你是大学生吗?一个人住?"
 しかしこっちは金を払っている。ほとんど使わないせいで溜まりに溜まった実家からの仕送りで、凛はこの「よいち」を呼んだ。金を払っている以上、時間内は好き放題させてもらう。凛の部屋を見回しているカワイイ後ろ姿に音を立てないように近づいて、凛はよいちの肩を抱き、平凡だけれど魅力的な薄い唇にキスしようとした。
但毕竟自己付了钱。靠着几乎没怎么动用、积攒已久的老家生活费,凛叫来了这位"好一"。既然付了钱,时限内自然可以为所欲为。他悄无声息地靠近正在环视房间的可爱背影,试图搂住好一的肩膀,吻上那双平凡却诱人的薄唇。

 凛の唇に人差し指が当てられる。よいちは人の良さそうな笑顔で客に制止をかけた。
凛的唇瓣却被食指抵住。好一露出人畜无害的笑容,向客人亮起暂停手势。

「うん、先に歯磨きしような?そのあといっぱいちゅーしよう♡」
"嗯,我们先刷牙吧?之后可以尽情亲亲哦♡"

「いっぱい……」  "尽情……"
「そしたら六十分コースはじめます。時間過ぎるとまずいからさ、十分前にタイマーつけさせて?」
"那我们就开始六十分钟的课程吧。时间过了就不好了,让我提前十分钟设个闹钟好吗?"

 その笑顔のままスマホのタイマーを見せてきた彼に、興奮と興醒めを同時に覚えた。よいちには、知らない感情を教えられてばかりである。
看着他带着同样笑容展示手机计时器的模样,我同时感受到兴奋与扫兴。在凛的引导下,我不断认知着陌生的情感。

      ◆

 大学二年生にしてプロ内定を得たことで、凛は誰が見ても華々しい人生を歩むスターとなった。けれど凛には後悔しかなかった。兄との決別後、凛はサッカーを一度だけ自分の人生から追い出した。今なら天邪鬼だったとわかる。海外のクラブチームから声がかかったらまた違ったかもしれないが、凛は、兄への反抗や仕返しの意味で断固としてプロの道を絶った。サッカーをやめろと言いつつ、わざわざ凱旋試合のチケットを送ってくるなど、兄の真意がわからないにしても焚き付けられていることはなんとなく感じ取れていたからだ。凛は兄の意図とは真逆の道をわざと歩もうとしていた。
大学二年级就获得职业球队内定,凛俨然成为众人眼中前途璀璨的明星。但凛心中只有悔恨。与兄长决裂后,他曾一度将足球彻底驱逐出自己的人生。如今回想起来才明白那不过是意气用事——若当时接受海外俱乐部的邀约,或许人生会截然不同。但出于对兄长的反抗与报复,他毅然斩断了职业道路。尽管兄长嘴上说着"别踢球了",却又特意寄来凯旋赛门票,这种矛盾的举动让凛隐约察觉到某种煽动,虽然参不透真意,却故意选择了与兄长期望背道而驰的方向。

 考えが変わり始めたのは、プロ輩出実績が多数ある強豪大学からの異例のオファーがあった頃だった。高校一年生の終わり頃だった。ブランクは一年近くあったが、チームを日本一に導いた主将、エースストライカーとしての素養を日本サッカー界は見放さなかった。
 转机出现在某所盛产职业球员的名校抛出橄榄枝时。那时正值高一学年尾声。尽管有近一年的空白期,但这位曾带领球队问鼎全国的王牌前锋,其天赋始终未被日本足坛遗忘。

 凛は自暴自棄の結果を思い知る。自分がいかに目の前のことにしか向き合ってこなかったか。兄への感情で視界が曇り、自分が心のうちに秘めていた野望からいかに目を逸らし続けていたか。
 凛终于尝到自暴自弃的苦果。他意识到自己始终被眼前情绪蒙蔽——对兄长的怨愤如雾障目,令自己不断逃避内心深处真正的野心。

 この選択によっては本当に二度とサッカーに触れることができなくなると本能的にわかった。それは、人生のフェーズと一体となった選択不可避の分岐点だった。学歴にこだわりもクソもなかったが、プロの道を絶っている凛の将来を両親はとても心配していたし、自分がサッカーで生きていくのか、それとものたれ死ぬのかの選択を迫られている感じがした。
 本能告诉他,这次选择将彻底决定能否再度触碰足球。这是与人生阶段休戚相关的必然分歧点。虽说什么学历情结都是狗屁,但看着自断职业前程的儿子,父母忧心忡忡。凛感觉自己正被迫作出抉择:究竟是靠足球活下去,还是就此潦倒一生。

 自分の人生の責任は自分で取らなくてはいけない。たとえそれが兄への復讐のための人生だとしても。
人生的责任必须由自己承担。即便这是为了向兄长复仇而活的人生。

 ブランクがあるにもかかわらず、セレクションにも圧倒的なパラメーターで合格し、大学入学後も早期にプロ内定をとった。しかし凛は、なにもかも遅すぎたと思っている。プレーできるのは来シーズンからであるし、ハタチを迎えた凛の選手生命は刻一刻と迫ってきている。それは、あまりに気の短すぎる考え方だったが、中学生になるかならないかのうちに海外でプレーしている兄がいるからこその気の短さであった。周回遅れ。凛は自分の立ち位置を徹底的に悲観した。つま先の方向は合っているのに、景色はなかなか変わらないから、プロへの道を進む足取りもおぼつかない。サッカーをするのは、飯を食っていくためなのか、兄への復讐のためなのか。凛は自分が何をしたいのかいまだに掴めていない
尽管存在空白期,他仍以压倒性的参数通过选拔,大学入学后也早早获得了职业球队的内定。但凛觉得一切都太迟了。能正式上场要等到下个赛季,而迎来二十岁的凛,其运动生涯正分秒流逝。这想法或许过于急躁,但正因为有个初中未毕业就在海外踢球的兄长,这种焦灼才挥之不去。落后整整一圈。凛彻底悲观地审视着自己的处境。明明脚尖朝向正确的方向,风景却迟迟不变,迈向职业道路的脚步也踉踉跄跄。踢球究竟是为了谋生,还是为了向兄长复仇?凛至今仍未能抓住自己真正想要的东西。

「何をするにも遅過ぎることはない」  "无论做什么都为时不晚"
 高校時代、凛の世界観を知らない学校の教師に言われた言葉だった。それは人生の話だ。凛がピッチに立てる時間は、多く見積もってもあと二十年弱しかない。その間に自分は兄に追いつけるのだろうか。それともやはり、追いつけないのだろうか。
这是高中时代,不了解凛世界观的学校教师说过的话。但那说的是人生。凛能站在绿茵场上的时间,往多了算也不过剩下不到二十年。在这期间,自己真能追上兄长吗?还是说终究,永远都追不上呢?

 大学のキャンパスには、そんな凛の胸中と真逆の人間しかいなかった。いくらサッカーの強豪校として一流であっても、大学生が人生の夏休み期間であるという世間一般の認識には変わりはない。大学四年生を待たずプロ内定した凛を周囲は崇めた。無駄なほど恵まれたルックスもあいまって、もはや芸能人か神のように。プロに内定したことをゴールのように言ってる奴もいる。本当の勝負はそこからであるのに。自分までぬるくなっていくような環境が、凛は気持ち悪くてたまらなかった。しかし全ては自分の人生に向き合わなかった結果であり、自業自得だと自覚もしていたので、環境を憎む資格はないともわかっていた。
大学校园里尽是些与凛内心截然相反的人。即便作为足球强校享有一流声誉,在世人眼中大学生活终究不过是人生的暑假时光。还没等到大四就获得职业球队内定的凛被众人奉若神明——那张得天独厚到浪费的俊脸更让他被当作明星或神灵般崇拜。有人甚至把职业内定说成终点站,明明真正的较量才刚开始。这种让自己都要被温水煮青蛙的环境让凛恶心到极点。但他清楚这一切都是自己逃避人生的苦果,连憎恶环境的资格都没有。

 形だけ出席している講義で、グループワークのメンバーで飲み会を提案されたときも凛は無言でいた。テーブルに肘をつき、ペンの先でノートの端に落書きをして知らんふりをしていたが、それこそ芸能人か神のような扱いをされている凛は逃げられない。グループワークは、凛を含めた男子三人、女子三人で成り立っていた。
在只是走个过场的课堂上,当小组作业成员提议聚餐时,凛始终沉默不语。他支着手肘用笔尖在笔记本边缘涂鸦假装没听见,但被当成明星或神灵供奉的凛根本无处可逃。这个由三男三女组成的小组里,凛的存在总是特殊。

「糸師くんも来てよー」  "糸师君也一起来嘛"
「あの糸師くんと飲んだなんてさ、自慢できちゃうよね」
"能和那位糸师君喝酒什么的,说出去超有面子的"

 耳から入ってくるぬるさを、自分の頭をカチ割って水で洗い流したいと思った。盛り上がってる女子たちを見かねて、男子も凛を誘ってくる。
耳中传来的黏腻声响,让我恨不得敲碎自己的脑袋用清水冲洗干净。看不下去女生们起哄的模样,男生们也过来邀请凛。

「たまにはいいじゃん。お前付き合い悪いぞー?」  "偶尔放松下有什么关系嘛。你这人太不合群了吧?"
「付き合う義理とかねぇだろ」  "我没什么合不合群的义务"
 凛が一言、冷たい声で放つとグループはしんとしずまった。この空気も凛は嫌いだった。無愛想であればあるほど、なにげない一言で自分のすべてをはかられる。物心ついたときからそうだった。勝手に注目して期待してきたのは他人の方なのに。
凛甩出这句冰冷的回答后,小团体顿时鸦雀无声。这种氛围同样令凛作呕。越是摆出冷淡态度,旁人就越爱从他随口的话语里揣测全部。从记事起便是如此——明明擅自投来注目与期待的,从来都是别人。

「……というわけでお前ら諦めろー」  "……所以你们就死心吧"
 凍てついた空気を持ち直させるように男子たちがへらへら笑う。女子たちは唇を引き結び、凛に一気によそよそしい目線を向けていた。
男生们嬉皮笑脸地试图缓和凝固的空气。女生们则紧抿嘴唇,齐刷刷向凛投去疏远的视线。

 早く練習に行きたい、と凛は思った。  好想去训练啊,凛这样想着。

 部活に行き、練習の終わった後にも凛はオーバーワークにならない程度の自主トレーニングを欠かさない。他にも同じような意識の人間はいたし、日中の大学よりはずっと息がしやすかった。専用の練習場のライトのほうが、凛にとっては本物の太陽のようであった。
参加社团活动后,凛从不落下自主训练,只是注意不过度消耗。这里还有其他志同道合的人,比白天在大学里呼吸顺畅多了。专用训练场的灯光,对凛而言才是真正的太阳。

「糸師って彼女とか作らないん? 特定の相手作らない派?」
"糸师你不交女朋友吗?是那种不固定交往对象的类型?"

「……は?」  "……哈?"
 凛より一学年上の選手からかけられた言葉だった。スパイクの手入れの最中に言われ、凛の反応にも鋭さが出た。
这句话出自比凛高一年级的队员之口。正在保养钉鞋的凛闻言,眼神瞬间锐利起来。

「いや、そういう話きかねぇよなあと思って。サッカーってモテんじゃん。しかもお前超エリートだし。イケメンだし。下手したら取材に来た女子アナとかと付き合えんだろ」
"不是,就觉得从没听过你这方面的传闻。踢足球不是很受欢迎嘛,何况你还是超级精英。长得又帅。说不定连来采访的女主持都能交往吧"

「……興味ないんで」  "……没兴趣"
「え、糸師ってもしかして童貞なん? 青春とか全くしてこなかった感じ?」
"诶,糸师该不会还是处男吧?完全没经历过青春期的感觉?"

 色っぽい話をしていたせいで、ロッカールームのその辺に散っていた部員たちが寄ってきた。凛は死にたくなった。童貞である事実についてではなく、こうした話題の中心になることについて。
因为话题逐渐变得暧昧,散落在更衣室各处的队员们纷纷聚拢过来。凛想死的心都有了——倒不是因为处男这个事实本身,而是成为这种话题的中心人物这件事。

「ミスコンの女子とか狙えるだろ糸師なら」  "要是糸师的话,连选美比赛的女生都能追到手吧"
「ヤりまくりだと思ってた」  "还以为你经验丰富得很呢"
「でも逆にギャップだよなー。あの糸師凛が童貞って」
"不过这种反差才带感啊——那个糸师凛居然还是处男"

「あ、一回デリヘルとかで経験してみたら?」  "啊,要不要先叫个外卖小姐试试?"
 脳の主成分を凛は知らないが、それを構成する液体的なものがぐつぐつと煮えたぎっていくのを凛は感じていた。暴れるところだったが、そこはさすがに成人済みの男だ。眉間に青筋を立てて周囲を睨むのにとどめた。
凛不知道大脑的主要成分是什么,但能清晰感受到那些液态物质正在颅腔内沸腾翻滚。他几乎要暴起发作,但终究是个成年男性,最终只是太阳穴暴起青筋,用凶狠的目光扫视着四周。

「この中に好みの女とかいる? 電話したる」  "这里面有你喜欢的妞吗?我帮你打电话约"
「お! この子おっぱいデカ! やりてー」  "哇!这妹子胸好大!想上"
「糸師はケツ派? 胸派?」  "糸师你是臀控?还是胸控?"
「興味ねぇっつってんだろ」  "说了没兴趣听不懂吗"
 周囲の盛り上がりように凛は冷たく呟いた。選手たちの関心は凛の女性経験から、デリヘルの女の子たちのプロフィールにうつったので、強めに怒鳴ると藪蛇だと思ったのだ。凛も全く興味がないわけではないけれど、性交に至るまでの人間関係を築くモチベーションなど皆無で、童貞であることも特別コンプレックスに感じてはいなかった(それはそれとして、バカにされると普通にイラつく)。
凛冷冷地低语着,与周围热烈的氛围形成鲜明对比。队友们的关注点已从他是否有过女性经验,转移到了外卖女孩们的个人资料上。他本想大声呵斥,又觉得这样反而会弄巧成拙。凛并非完全没兴趣,只是对建立发展到性爱程度的人际关系毫无动力,处男身份也没让他感到特别自卑(当然被嘲笑时还是会正常地恼火)。

「ほら糸師、この辺とかどう?」  "喂糸师,这个区域的妹子怎么样?"
「俺んとこに呼んでよその子!」  "叫到我们房间来啊别人的妞!"
 レースの模様が背景となった画面に、胸の谷間を強調した女たちがずらりと並んでいる。食指が伸びないわけでもないけれど、やはり能動的な興味はそそられない。
屏幕上以赛车场景为背景,排列着一排刻意凸显乳沟的女性。倒也不是完全没有生理反应,但终究提不起主动的兴趣。

「どうでもいい」  "无所谓"
「ホントに? この子とかアイドルみたいに可愛いじゃん!」
"真的吗?这孩子可爱得跟偶像似的!"

「いや実際呼んだら別人かもよ。今加工とかすげーし。先輩が呼んだらマジで写真と別人が来たって聞いた。身長も体型も全然違ったって」
"其实真叫来可能完全是另一个人。现在修图技术超厉害的。听说前辈叫来的真人跟照片完全不是同一个人,连身高体型都差超多"

「それガチの別人じゃないの?」  "那不就是纯纯的照骗吗?"
 怖すぎと盛り上がっている周囲を放置して、凛はスポーツバックに諸々を詰めて腰を上げた。長居は無用である。
无视周围"太可怕了"的喧闹声,凛将各种物品塞进运动背包站起身来。此地不宜久留。

「糸師逃げた!」  "糸师逃跑了!"
「え? 男のデリヘルもあんの!?」  "诶?还有男性外卖服务!?"
「そりゃあるっしょ。俺は無理だけど」  "那当然有啊。虽然我接受不了"
「俺も無理」  "我也不行"
「糸師は!?」  "糸师呢!?"
 肩を引っ掴まれて、無理やりスマホを見せられる。胸を強調するニットなどを着ていた女たちのサイトとはちがい、そこに並んでいたのは「普通そうな」男たちであった。中には未成年かと見間違えそうなキャストもいて、違法でないかとすら疑う。そう、違法でないかと疑うほど凛の目に止まった写真があった。
肩膀被猛地抓住,手机被强行塞到眼前。与那些穿着突出胸线的针织衫的女性网站不同,屏幕上排列着"看似普通"的男性照片。其中甚至有看起来像未成年人的演员,让人怀疑是否违法。没错,有张照片让凛的目光停留到甚至怀疑其合法性。

 よいち 二十歳  好市 二十岁
 身長 百七十五センチメートル  身高 一百七十五厘米
 体重 太ってはないと思います!笑  体重 我觉得不算胖!笑
 チャームポイント 頭のてっぺんのふたば  魅力点 头顶的双发旋
 趣味 サッカー 散歩  爱好 足球 散步

 ご丁寧にスリーサイズまで載っている。鼻の部分を隠しているが、くりくりの青いお目目に、デリ嬢とは思えないくらいに初々しい笑顔でピースしていた。写真の中の彼と目が合って、凛は数秒動かなくなった。
连三围尺寸都详细标注着。虽然遮住了鼻部,但那圆溜溜的蓝眼睛和清纯到不像风俗女的剪刀手笑容,让凛盯着照片中与自己对视的他,凝固了好几秒。

「ん? どうした糸師」  "嗯?怎么了糸师"
「……死ね」  "……去死"
「そんなに?」  "至于吗?"
 先輩を振り払って凛はロッカールームを出た。  凛甩开学长,离开了更衣室。

 凛の自宅での過ごし方。帰宅。真っ先にシャワーを浴びる。作り置きしている茹で鶏と卵と、温野菜を食べる。甘いものが食べたい時には、徒歩数分のコンビニにわざわざ出かけることもある。最近リピートしているのが、冬限定のチョコレートモンブラン。ついでに目をあたためるアイマスクもレジに出す。テレビの前に座り、海外リーグの観戦。見たいものがないときはホラー映画、あるいはゲーム。就寝一時間半前にはテレビもスマホもやめて、寝室でヨガと瞑想。
凛在家的日常。回到家后,首先冲个澡。吃事先准备好的水煮鸡胸肉、鸡蛋和蒸蔬菜。想吃甜食时,会特意步行几分钟去便利店。最近反复回购的是冬季限定的巧克力蒙布朗。顺便还会在收银台拿个缓解眼疲劳的蒸汽眼罩。坐在电视机前观看海外联赛直播。没有想看的比赛时就看恐怖片或打游戏。睡前一小时半会关掉所有电子设备,在卧室做瑜伽和冥想。

 生活の乱れは自律神経やメンタルに直結するので、無意識に娯楽に流れないように、時間を決めて徹底的に管理している。これらは、サッカーから離れていた時期を除いて高校時代も続けていたし、なんなら小学校に上がる前からの習慣であった。
因为生活紊乱会直接影响自律神经和心理健康,所以他严格制定时间表进行彻底管理,避免无意识地沉溺娱乐。这些习惯除了暂别足球的那段时期外,从高中时代就一直持续着,甚至可以说是小学入学前就养成的。

 瞑想は、正しい感情をもつのに有効だ。正しい感情とは、理性と本能を同じ方向に向ける大きな要素だ。凛は正しい感情をもつことで、自分の行動を管理しようとしている。しかし瞑想は時の流れまでは戻してくれない。ただひたむきに進み続けることだけを凛に告げる。
冥想对保持正确情绪很有效。所谓正确情绪,是让理性与本能指向同一方向的重要因素。凛试图通过保持正确情绪来管理自己的行为。但冥想终究无法让时光倒流。它只是不断告诫凛:唯有笔直前进这一条路。

 そのように、ナイトルーティンを確立している凛であったが、布団に入った後、何度寝返りを打っても寝られず、頭の中で羊を数え、兄のことを考え、それから今日見せられたデリヘルのサイトに思考が引き戻された。
凛虽然已经养成了固定的睡前习惯,但躺进被窝后无论翻来覆去多少次都无法入睡。他数着羊,想着哥哥,思绪又被拉回今天看到的应召女郎网站。

 やがて凛は布団を蹴飛ばした。ナイトモードにしているスマホをナイトランプの下から殴るように奪い、苛立った表情をブルーライトで照らす。
凛终于一脚踢开了被子。他粗暴地从夜灯下抓过调成夜间模式的手机,蓝光映照出他烦躁的表情。

 ふざけた名前のサイトだ。わくわく倶楽部だったか。「わくわくくらぶ でり」と検索すると、「ウリ専ならわくわく倶楽部!」とトップに出てくる。詳しい意味はわからないけれども、そこはかとなくいかがわしさを感じながら衝動的にタップした。裸を見せびらかしている他のキャストたちには目もくれず、彼を探す。
真是个恶趣味的网站名字。好像叫什么心动俱乐部来着。搜索"心动俱乐部 应召"后,首页跳出"专属服务就选心动俱乐部!"。虽然不太明白具体含义,他还是鬼使神差地点了进去。对其他展示裸体的演员视若无睹,只顾寻找那个人。

「……よいち……」  "……好一……"
 人前では遠目でしか見ていなかったが、顔をズームする。少なくとも目元は好みだ。笑顔が良い。唇の赤みがなんともいえないくらいに網膜に焼きつく。タップすると写真がもう何枚か出てきて、パーカーなど普段着らしい写真や、ケーキを食べている写真もあり、凛は彼と一緒に出掛けているシーンを想像した。他人に合わせられるのも合わせるのも好きじゃないので誰かと一緒に出かけることはまずしないが、よいちとなら別な気がした。この笑顔を見てるだけでお釣りが来る。次の写真にスワイプすると、薄いベージュピンクの乳首が飛び込んできて、凛はスマホを顔面に落とした。
虽然在人前只敢远远偷看,此刻却将照片不断放大。至少眉眼完全符合审美。他的笑容很好看。那抹唇色以难以言喻的浓度烙在视网膜上。滑动屏幕又跳出几张日常照——穿着连帽衫的私服造型,品尝蛋糕的瞬间,凛不禁想象与他并肩同行的场景。自己向来厌恶迁就他人也不愿被迁就,但若是和好一君或许会不一样。光是看着这样的笑容就值回票价。当划到下一张照片时,淡粉珠贝色的乳首突然闯入视野,凛手一抖把手机砸在了脸上。

 好みであるとか可愛いとかという感想および感情を人間は自然に得ることができるのだと凛は初めて知った。生き物である以上性欲はあるけれども、性欲という原液を水に溶かしかき混ぜたものの機微を、凛は不意打ちで抱くことになった。凛は、自分の胸の上でうつ伏せになったスマホを拾うか悩んだ。そこには会ったこともない男の乳輪と乳首がある。
 凛第一次知道,原来"好可爱"这类感想与悸动会如此自然地从心底涌出。作为生物当然怀有性欲,但此刻袭来的却是将原始欲望稀释调和后的微妙情愫。他盯着压在胸口的手机犹豫要不要捡——屏幕上定格着素未谋面之人的乳晕与乳尖。

 やっぱやめよう。   还是算了吧。
 凛はスマホをナイトランプの下に戻し、頭から布団をかぶった。百九十センチ近い長身となるとほとんどの布団が彼の足をカバーできなくなるが、凛はその対策として、ベッドの脚くらいまで届く大きさのものを購入して使っている。頭まで包まれると何かから守られている感じがした。内側は自分だけの世界だ。試合前後にタオルを頭にかぶるのも思考を整理できるからで、自覚している癖でもあった。頭まで布団で覆ったからには思考を整理して眠れるはずだったのだけど、目の前にある選択肢およびデリヘルのキャストとして好みの子がいる事実に凛の目はどんどん冴えていった。
 凛把手机塞回小夜灯旁,猛地拽过被子蒙住头。接近一米九的身高导致普通被褥总盖不住脚,为此他特意买了能垂到床脚的加长款。当整个人被包裹时会产生被守护的错觉,被窝里是只属于自己的世界。赛前赛后总用毛巾蒙头也是出于整理思绪的习惯。本以为裹紧被子就能安心入睡,可眼前的选择项与外卖应召名单里存在理想型的事实,却让凛的眼睛在黑暗中越来越亮。

「……よいち……」  「……好一……」
 布団の中で呟いてみる。既に名前が可愛い。正直、会ってみたい。下腹部から苛むような疼きが凛の睡眠を脅かす。凛は持ち前の精神力で自制する。触れたら堕ちていく気がした。兄の顔を必死に念じているうちに、凛は眠っていた。
在被窝里轻声念出这个名字。光是名字就够可爱了。说实话,真想见见他。下腹部传来的灼热刺痛感威胁着凛的睡眠。凛靠与生俱来的精神力强自忍耐。总觉得一旦触碰就会万劫不复。在拼命默念兄长面容的过程中,凛终于沉入梦乡。

 よいちは徐々に凛の日常の一部になっていった。写メ日記というものには、今日何を食べた、こんなことがあったという何気ない生存報告と、それになんら関連性のない太ももやお腹の写真があげられていた。凛はそれらを見て毎日のように癒されたりした。自分はゲイだったのかと思ったけれど、他のボーイの投稿には一切興味がわかないし、乳首やパンツ一丁の姿を見せられたとて全くそそられなかった。むしろ見苦しいとすら思う。
好一渐渐成为凛日常生活中不可或缺的部分。那个所谓的照片日记里,既有今天吃了什么、遇到什么琐事的生存报告,也夹杂着毫无关联的大腿和腹部特写。凛每天看着这些照片获得治愈。虽然一度怀疑自己是不是同性恋,但对其他男孩的投稿完全提不起兴趣,即便看到乳头或只穿内裤的照片也毫无感觉,甚至觉得不堪入目。

 よいちは飛び抜けて美形とかイケメンというわけではないかもしれないが、とにかく凛の好みだった。生意気なほどに大きな目は、凛の中のよくないものを誘発する。
好一或许算不上惊为天人的美男子,但偏偏完全符合凛的审美。那双大得近乎嚣张的眼睛,总能诱发凛内心深处的阴暗念头。

 一気に快楽の方へ流れていってしまう気がして、絶対に股間は触らないよう自制していた凛だったが、アピールポイントが詳しく書いてある自己紹介欄であっけなく抜いてしまった。「触られると全身感じちゃいます! 特に乳首が好きです。いっぱい舐めてほしいです。」「よく童顔って言われますけど、ちゃんと大人です!笑 イくのもきもちいのも大好きです♡」
凛竭力克制着自己不去触碰胯下,生怕会一发不可收拾地沉溺于快感之中,却在读到个人简介栏里详细描述的敏感点时轻易败下阵来。"被触碰时全身都会有感觉!尤其喜欢乳头被尽情舔弄。""虽然常被说童颜,但已经是成熟大人了!笑 无论是高潮还是快感都超爱♡"

 この顔でエロいこと好きとかエロすぎだろ。  顶着这张脸却写着如此露骨的喜好,简直色气过头了吧。
 このように、男をわかりやすくそそる文言に凛は容易に釣られてしまい、写真でアップされている乳首の画像と見比べて濃厚な吐精をした。よいちと遊んだらしい男たちのレビューにも日に日に激しい嫉妬と怒りをおぼえるようになり、よいちを知って二週間ほどたった頃、凛は勢いのまま受付に電話した。はっきり言うと、普通に凛はよいちとセックスがしたかったのだ。男同士なのにだとかはあまり考えなかった。もはや凛の中で性別は、男と女とよいちと三つ存在していた。サッカー以外でこんな行動力を示したことがなかったため、涼しい顔をしながら凛本人がいちばん自分に驚いていた。
就这样,凛轻易被这些直白挑逗男性的文字俘获,对照着照片里特写的乳首画面浓稠地射精了。看着那些疑似与好一亲热过的男性留言,他心中日渐翻涌起激烈的妒火。在认识好一约两周后,凛冲动地拨通了前台电话。坦白说,他只是单纯想和好一做爱。至于双方都是男性这件事,他几乎没怎么考虑。此刻在凛的认知里,性别早已分裂成三类:男性、女性和好一。这份在足球之外从未展现过的行动力,让表面冷静的凛自己都感到震惊。

「よいち」「六十分」といつも以上に硬い声でフロントに伝えて、凛はとりあえず部屋を片付け始めた。こうしたサービスではまず最初に一緒にシャワーを浴びるらしい。浴室を軽く磨きながら、いきなりよいちと裸でシャワーを浴びることを考えると、股間がギンッギンッと力強くいきりたってくる。この頃になると凛はパブロフの犬のように、よいちの写真を見ると条件反射で勃起するようになっていた。
用比平日僵硬的声线向前台报出"好一""六十分钟"后,凛开始匆忙整理房间。据说这类服务首先会共浴。擦拭浴室时,想到即将与好一赤裸相对的情景,胯间顿时剑拔弩张地勃起。如今的凛就像巴甫洛夫的狗,只要看到好一的照片就会条件反射地硬起来。

 呼んでから二時間後、部屋に天使がやってきた。  两小时后,随着呼唤声,天使降临到了房间。

 よいちが浴室の前で服を床に落としていく。凛は服も脱げないままよいちのそばに立っていた。身長も平均以上は高く、決して華奢というわけではない。それでも凛よりは小柄で可愛らしく、庇護欲と嗜虐心を同時にそそられた。よいちには可憐という言葉が似合う。
好一在浴室门前将衣物一件件褪落在地。凛连衣服都没脱就站在好一身旁。虽然身高超过平均水平,体格也绝不瘦弱。但比起凛还是显得娇小可人,同时激起了保护欲与施虐心。"可人儿"这个词简直是为好一量身定制的。

「君は脱がないの?」  "你不脱吗?"
「は……」  "啊……"
 多少鍛えているらしい胸のふっくらとした曲線の先に、可愛らしく色づいた突起がある。いきなり乳首丸出しのよいちの胸と顔の間で視線を小刻みに往復させ、凛が言葉を紡ぐことはかなわなかった。
经过锻炼的胸肌勾勒出饱满曲线,顶端缀着可爱的粉嫩突起。视线在突然袒露乳首的优一手与脸庞之间急促游移,凛一时语塞。

「一緒にシャワー浴びようよ。ほらほら、脱げって! 時間なくなっちゃうぞ」
"一起冲澡嘛。快看快看,快脱呀!时间要不够啦"

 小動物のように凛にしがみついてきたかと思うと、よいちは凛のシャツを上にめくりあげようとした。そして大きな瞳がさらに丸く見開かれる。
 优一像小动物般突然扑过来搂住凛,动手就要掀起他的 T 恤下摆。圆溜溜的大眼睛顿时瞪得更大了。

「え♡筋肉すごくね……♡」  "诶♡肌肉超厉害的……♡"
 凛の期待とは裏腹にテキパキと接客していたよいちだったけれど、一気に声に色が乗った。凛はよいちの反応が悪くないことを悟ると、いきなり服を脱ぎ始めた。よいちは黄色い声をあげる。
与凛的期待相反,好一虽然利落地接待着客人,声音却突然染上了色彩。凛察觉到好一的反应并不抗拒,突然开始脱衣服。好一发出惊叫。

「すっご♡なんかスポーツしてるの?」  "超棒♡你是在做运动吗?"
「サッカー」  "足球"
「えーそうなん! 俺もサッカー好き」  "诶~真的吗!我也超喜欢足球"
 緊張で勃起しきれてなかった股間は、よいちに体を褒められると調子良く力をもつ。よいちは両手の指先を口元に集めて、凛の身体をじっくりと見つめた。裸のよいちに自分もまた全裸を見られるという体験に股間が面白いほどにみなぎる。
因紧张未能完全勃起的下体,在被好一称赞身体时竟精神抖擞地挺立起来。好一将双手指尖抵在唇边,目不转睛地凝视着凛的躯体。被赤裸的好一注视着全裸的自己,这种体验让凛的胯间涌起奇妙的燥热。

「おちんちんもすっごい勃ってる♡大きい♡」  "小凛凛也硬得好厉害呢♡好大♡"
「よいち……」  "好一......"
「一緒にあわあわしよ♡」  "一起来打泡泡吧♡"
 自分に伸びてきた凛の腕を引いてよいちはバスルームに入った。
优一拉着凛伸向自己的手臂,走进了浴室。

 お湯を出すのと同時に、背伸びして凛の唇に軽くキスしてきたよいち。あっけなくファーストキスを奪われた凛は目を軽く見開き、自分の唇に指を近づけた。
 在打开热水的同时,优一踮起脚尖轻轻吻上了凛的嘴唇。猝不及防被夺走初吻的凛微微睁大眼睛,手指不自觉地触碰着自己的唇瓣。

「え? 何その反応。かわいい」  "咦?这反应...真可爱"
「……今……」  "......刚才......"
「いっぱいちゅーしよって言ったじゃん。もしかしてはじめて?」
"不是说好要亲很多次吗?难道这是第一次?"

 別にバカにするような感じでもないよいちの言葉に凛は素直に頷いた。よいちはずっと微笑んでいるけど、表情にのせる喜びを深くした。
对于语气里毫无嘲弄意味的优一,凛老实地点头承认。优一始终保持着微笑,但眼底的喜悦又加深了几分。

「意外。めっちゃモテそうなのに。君何歳?」  "真意外。明明看起来超受欢迎的样子。你多大了?"
「……ハタチ」  "……二十岁"
「大学二年生? なら俺より一個下だね。おにーさんがエッチなこといっぱい教えてあげるな♡」
"大学二年级?那比我小一届呢。让大哥哥来教你很多色色的事情吧♡"

 持参したボディソープを手に、よいちは凛の体を洗浄しはじめた。無邪気な顔で凛の筋肉の張った胸板や腕にソープを塗りつけ泡立てていき、脇までもしっかり手を通す。
拿着自带的沐浴露,好一便开始清洗凛的身体。他天真无邪地在凛肌肉结实的胸膛和手臂上涂抹沐浴露打出泡沫,连腋下都仔细地清洗到位。

「……お前は」  "……你"
「ん?」  "嗯?"
「お前は洗わねーのか」  "你不洗吗?"
「洗ってくれるの? じゃあお願い」  "你要帮我洗吗?那拜托啦"
 洗ってやるとは言ってない。厚かましいやつだと思いつつ、手は素直によいちの体をまさぐり始める。
明明没说过要帮他洗。一边想着这家伙真厚脸皮,手却已经诚实地开始在よいち身上游走。

「おっぱいも触っていーよ♡」  "胸也可以摸哦♡"
「お……」  「啊……」
 おっぱいは夢のかたまりである。現実がどうか定かでないものを手探りするように、凛の手が優しくよいちの片乳を覆った。
 乳房是梦想的结晶。仿佛在摸索现实中难以确定之物般,凛的手温柔地覆盖上了好一的半边酥胸。

「おちんちんも綺麗にしような」  「把小弟弟也弄得干干净净吧」
 よいちは凛に密着して、彼の鎖骨に顎をつけるようにして最大火力の上目遣いをした。
 好一紧贴着凛,将下巴抵在他锁骨上,用最大火力的仰视眼神望向他。

「!」  "!"
 生まれて初めて他人に握られた自分のブツにかろうじて声を出さずにすんだ凛は、そのままよいちの洗浄手コキに耐久するはめになる。童貞にはあまりに刺激が強すぎるのだが、まだサービス本番に突入していないのだから恐ろしい。
凛有生以来第一次被人握住自己的那东西,勉强忍住没发出声音,就这样被迫承受着よいち的清洗手活。对处男来说刺激实在太过强烈,更可怕的是正式服务环节还没开始。

「っ、ふ、」  "呜、嗯、"
「イケメンの感じてる顔めっちゃいいな。イッちゃだめだぞー」
"帅哥动情的表情真是太棒了。不过可不准射哦—"

 バカいうな。目を閉じて、よいちの顔を見るために薄く視界をあけると、いたずらな笑みに満ちた童顔がいっぱいにある。よいちの乳を揉むというか手を当てたまま、声を殺してうめき続けた。
别胡说。他闭着眼睛,为了看清好一的脸而微微睁开视线,映入眼帘的是一张恶作剧般笑容满溢的童颜。与其说是揉捏好一的胸部,不如说是将手贴在上面,压抑着声音持续呻吟。

「君、顔も体もちんちんもかっこいいから楽しくなっちゃうなあ♡じゃ、続きはベッドな」
"你啊,脸蛋身材连那活儿都帅气得让人兴奋呢♡接下来咱们去床上继续吧"

 滝のように吹き出ていた我慢汁のぬめりが取れず、お湯で洗い流されながら追撃手コキをされる。すでに凛はキャパオーバーであったが、世一に腕を引かれ呆然としながら体を拭いた。
瀑布般喷涌的前列腺液黏腻未净,在热水冲洗下又遭到追击式手交。凛早已超出承受极限,却被世一拽着手臂,茫然地擦拭身体。

「ベッドに寝っ転がって……たくさん気持ちよくなろうな〜♡」
"躺到床上去……让我们好好享受个够吧~♡"

 シングルベッドにのぼって後ろ手をついたところで、よいちが凛の膝の上に乗った。フル勃起したちんちんがよいちのお尻に触れ、うっかり騎乗位に近い体勢になる。
当凛反手撑在单人床上时,良一已经跨坐在他的膝头。完全勃起的性器抵着良一的臀瓣,不经意间形成了近乎骑乘位的姿势。

「ちゅ……♡」  「啾……♡」
 糸師凛、生まれて初めてのベロキスであった。唇をあわせたところから愛らしい柔らかさをした体温が口の中に入ってくる。それがよいちのベロだと認識して、後頭部で何かが爆発した感覚があった。
这是糸师凛人生中第一次舌吻。从双唇相贴的瞬间,带着可爱柔软感的体温便侵入他口中。意识到那是良一的舌头时,后脑勺仿佛有什么东西轰然炸开。

「んむ、」  「嗯呜,」
 よいちはうまく凛をリードし、凛をそのまま横たわらせると、唇から顎の下、首と、凛の全身に口付けをし始めた。ド好みの童顔ツリ目エッチなお兄さん属性嬢に尽くされ、凛はずっと衝撃の波のなかにいる。まったく冷静ではなかった。
良一熟练地引导着凛,让他平躺下来后,从嘴唇到下巴、脖颈,开始亲吻凛的全身。被完全符合自己喜好的童颜吊眼 H 系大姐姐属性女孩如此侍奉,凛始终处于冲击的余韵中。完全无法保持冷静。

「おちんちんすっごく大きくなってんね♡こんなに興奮してくれて嬉しい♡」
"小凛凛变得好大呢♡这么兴奋让我好开心♡"

 キスは凛の腰骨まで降り、下腹部から逞しく幹を生やす剛直までたどりついた。よいちの可愛くて幼い顔面と、自分のグロテスクな男根はあまりに不釣り合いで、パパ活か何かのようにすら見えた。度を超して年下の女に手を出す中年男の気持ちが少しだけわかってしまい、最悪な気持ちだったが亀頭がよいちの口に入ったことで凛は一気に天国に頭を突っ込んだ。
 亲吻一路下滑到凛的腰际,从下腹来到那根茁壮挺立的阳刚之物。良一可爱稚嫩的脸庞与自己狰狞的男根形成强烈反差,简直像在进行爸爸活。凛突然有些理解那些对年轻女孩出手的中年男人心情,虽然觉得这种念头很糟糕,但当龟头被良一含住的瞬间,他的意识直接冲上了天堂。

 凛のペニスが大きすぎて、よいちは少しだけ苦しそうな顔をしたが、頭を動かしてのストロークはやめない。ぐっぽぐっぽと卑猥な吸引音と、よいちの顔をオナホにしている光景に「くぁ……」と呻き声が出る。滅多に顔に色が乗らない凛だが、股間に与えられる快感とよいちにエッチなことをしてもらっている光景で、サッカー部の割に日焼けしていない頬に赤みがうかぶ。
 由于凛的阴茎过于粗大,良一露出了些许痛苦的表情,但头部上下摆动的节奏始终未停。在"咕啾咕啾"的淫靡吮吸声与良一脸庞被当作飞机杯的景象刺激下,凛发出"啊……"的呻吟。平日里面无表情的凛,此刻因下体传来的快感与良一侍奉的香艳画面,足球部成员特有的白皙脸颊竟泛起了红晕。

「は……っ!」  "哈……啊!"
 口の中のものが脈動する感覚で予感したのか、よいちは口を離して、顔に凛の射精を受けた。それは二、三回に分けて飛び、幼なげな顔をアダルトに汚していく。
或许是被口腔内脉动的触感所预示,好一松开了嘴,任由凛的精液喷射在脸上。那液体分作两三股溅出,将稚嫩的面容逐渐染上成人的痕迹。

「いっぱい出せてえらいな♡」  "能射这么多真厉害呢♡"
 サッカー以外でこんなに興奮したことがないというくらい肩を上下させながら、枕に頭をおいた凛はつぶやいた。
凛将头靠在枕头上喘息着,肩膀剧烈起伏的程度甚至胜过任何足球比赛时的兴奋,他轻声呢喃道。

「……顔……」  "……脸……"
「今回はサービス。オプション料金いらないからね」  "这次算服务赠送。不用额外付费哦"
 よいちは顔をティッシュで拭った。慣れていそうな感じだった。
良一用纸巾擦了擦脸。动作看起来相当熟练。

「なんで……」  "为什么……"
「君がかっこいいから♡」   "因为你太帅了♡"
(こいつ……もしかして……俺のことが好きなのか……?)と凛は思った。
(这家伙……该不会……喜欢我吧……?)凛暗自思忖。

 よいちたちデリ嬢は商売でやっている。なのに本来追加料金がかかる顔射を無料でやってくれるなんて、これには私的な好意が含まれているに違いない。
夜一这些外卖女郎本是生意往来。可本该额外收费的颜射服务却免费提供,这其中必定掺杂着私人感情。

 凛は、よいちの二の腕をじんわり力強く掴んだ。  凛缓缓而有力地握住了夜一的上臂。
「ん? 何?」  "嗯?怎么了?"
「本番……」  "正式来......"
 本番とは挿入行為のことである。両思いと踏んだ凛はよいちに真顔で迫ったが、よいちは声をあげて笑った。本気なのか演技なのかわからない笑い声だった。計算されたようなタイミングでよいちは徐々に笑いをひそめ、困り笑顔に表情を変えた。
所谓"正式来"就是指插入行为。认定两人情投意合的凛正色向良一逼近,良一却放声大笑起来。那笑声让人分不清是真心还是演技。仿佛计算好时机般,良一渐渐收敛笑容,换上困扰的苦笑表情。

「本番……? ごめん、俺本番ダメなんだよね。プロフィールに書いてあったの見なかった?」
"正式来......?抱歉,我不做正式来的。个人资料里不是写着吗?你没看?"

「あ……?」  "啊……?"
「タチもウケもNGにしてるんだよ。だから俺は本番できません! したかったら他の子と遊ぶといいよ」
"我既不接受做 1 也不接受做 0。所以我不实战!想玩的话可以找其他孩子哦"

 凛は眉間に皺をよせた。いろいろな感情があったが、とにかく複雑だった。具体的に言うと、主に俺が他の奴とセックスしてもなんとも思わねぇのか、とか、なんとも思われてないとなるとコイツのリップサービスに一載せられちまったってことか、という勘違いを自覚した苦味と落胆だ。
凛皱起了眉头。虽然混杂着各种情绪,但总之心情很复杂。具体来说,主要是意识到自己产生了双重误解的苦涩与失落——既误以为对方会介意自己和其他人发生关系,又误以为这种不在意意味着自己被对方的客套话耍了。

 黙った凛の顔をよいちは覗き込む。  好一凑近观察着沉默不语的凛的脸。
「どうしたの?」  "怎么了?"
「……ちんこ挿れられれば誰でもいいってわけじゃねぇ」
"……不是随便谁都能插进来的"

「それって俺がいいってこと?」  "那意思是说我可以?"
 花が咲いたみたいな笑顔を見せたよいちに凛は視線を細かく右往左往させ、沈黙で応えた。
面对露出花开般笑容的夜一,凛的视线慌乱地左右游移,用沉默作为回应。

「え! 嬉しい♡また会ってくれる?」  "诶!好开心♡还会再见我吗?"
 頷くか頷かないかの選択肢を考える前に頷いた。目を細めてよいちは、ニコッと微笑む。よいちには笑顔のバリエーションがいくつもあった。
在思考该点头还是摇头之前,凛已经下意识点了头。眯起眼睛的よいち露出灿烂笑容。他拥有无数种微笑的表情变化。

 もういちどシャワーで体を洗い流し、身支度を整えたよいちが凛の部屋から出ていく。玄関口で外履きに履き替え、よいちは背負ってきたリュックの持ち手に両手を乗せて凛に振り向いた。こうしてみると本当にどこにでもいる学生だ。なのにベッドの上ではあんなにすごい。そのギャップに凛のペニスは懲りずに勃起し始めた。
重新冲完澡整理好仪容的よいち从凛的房间离开。在玄关换上室外鞋后,よいち双手搭在背包带上转身望向凛。这样看起来完全就是个普通学生。然而在床上却那么厉害。这种反差让凛的阴茎不知悔改地又开始勃起。

「じゃあ、またね」  "那,下次见"
「……ああ」  "……啊"
 よいちにとってはフェラもキスも全て仕事だとよくわかった。商売のために完璧に作り込まれた顔や好意だとわかっていても、それで凛のよいちへの矢印は消えやしない。肉親を除いて、特定の人間とつながり続けたいと思ったのは生まれて初めてのことだった。
对良一而言,口交也好接吻也罢,他心知肚明这些都只是工作。即便明白那些完美雕琢的面容与好意不过是生意手段,凛对良一的执着箭头却丝毫未减。除却血亲,这是他生平第一次渴望与某个特定之人持续相连。

「……もぉなんだよ。そんな寂しそうな顔すんなって」
"……搞什么啊。别摆出那种寂寞的表情啦"

「……は」  "……哈"
「けっこう君甘えんぼな方? ほら、ぎゅーしてあげる。これもサービス!」
"你其实挺爱撒娇的吧?来,抱抱。这也是服务哦!"

 凛は寂しそうな顔をしているつもりはなかったのでよいちの言葉に訝しげにした。本番を断った時と同じような困り笑顔で両手を広げるよいちにみじろぎして、おそるおそる小さな体を抱きしめる。接客が終了した今、よいちに触れるのはもっと特別な感じがした。やはり収まりが良く、抱き心地がいい。髪の毛にこっそり鼻を埋めて、静かによいちの匂いを嗅ぐ。汗をかいていていい匂いだった。
凛本以为自己没有露出寂寞的表情,却被好一的话弄得一脸困惑。看着好一像拒绝正式服务时那样为难地笑着张开双臂,他犹豫了一下,战战兢兢地抱住了那娇小的身躯。此刻接待已经结束,触碰好一的感觉反而更加特别。果然抱起来很舒服,契合度绝佳。他把脸偷偷埋进对方发丝间,静静嗅着好一的气息。微微汗湿的身体散发着好闻的味道。

 よいちが帰った後、凛はベッドにひとり仰向けに横たわり、天井の白を目に焼き付けていた。正確には、記憶の中のよいちを見ていた。
好一离开后,凛独自仰面躺在床上,盯着雪白的天花板发呆。准确地说,是在凝视记忆中的好一。

 可愛すぎて、もはやどんな顔の作りだったか思い出せない。写真と目の前にいた本人は確かに同一人物であったけれど、なんというか輝きが違った。大きな大きな青い目と手のひらに潰れた柔らかい乳輪の感触だけははっきりと覚えている。よいちを思い出す行為は、夢の内容を思い出そうとするのに似ていた。ただ金を払うだけであんなに可愛い子と初対面で性的行為をしたことがいまだに信じられず、凛は金の凄さを意図せず実感した。
可爱到让人想不起那张脸的具体轮廓。虽然照片和眼前的人确实是同一个,但该怎么说呢,散发的光彩完全不同。唯一清晰记得的只有那双湛蓝的大眼睛,以及掌心下柔软乳尖被揉捏变形的触感。回忆好一的过程,就像试图拼凑梦境碎片般虚幻。仅仅付钱就能和这么可爱的孩子初次见面就发生关系,至今仍觉得难以置信,凛不经意间体会到了金钱的可怕力量。

 よいちと会うには代償がいる。金がいるのだ。彼を帰してはじめて、凛にはこの世の仕組みが少しわかりかけた。誰もが性欲に全力投球しているわけではないかもしれないが、人間が金を注ぎ込むのは本能的な要求を満たすためであり、その仕組みがなければ世界のそのものが機能しない。金に目が眩んだりしてどうにかなる映像作品はうんざりするほど見てきたつもりだったが、金を握りしめることとよいちの手を握りしめることが同義の今、自分には関係ないと思っていた世の中の仕組みが、凛にとっての事実となった。
要见到好一需要付出代价。需要金钱。直到送他离开后,凛才稍微明白了这个世界的运行法则。或许并非所有人都对情欲全力以赴,但人类投入金钱就是为了满足本能需求,若没有这套机制,整个世界都将无法运转。他本以为自己早已看腻了那些为金钱昏头转向的影视作品,但当攥紧金钱与攥紧好一的手成为同义词的此刻,那些曾以为与己无关的世间法则,都化作了凛必须面对的现实。

 金を稼ぐしかない。サッカーで。  只能靠足球赚钱了。
 一般的な大学生が思い浮かべる金策というとアルバイトになるが、凛にそんな選択肢はハナからない。来シーズンからの加入にはなるが、今年中にレギュラーとしての地位を獲得できればそれなりの収入が手に入る。
普通大学生想到的赚钱方法无非是打工,但凛根本不屑考虑这种选项。虽然正式加盟要等到下赛季,但只要今年能争取到主力位置,就能获得可观的收入。

「お前の人生を買ってやる」  "我要买下你的人生"
 凛は天井に向かって宣戦布告した。  凛对着天花板宣战了。
 他人との関わりへの意識が極端に低い凛から向ける人間関係の矢印は、呪いと呼ぶべき執着を伴うのだった。
从对他人关系意识极度淡薄的凛所射出的人际关系之箭,总是伴随着堪称诅咒般的执念。

 誰よりも遅くまで練習に残り、トレーニングの量も倍に増やし、凛はとにかく目の前の道を突き進むことに決めた。
他比任何人都更晚结束训练,将练习量翻倍,凛决定无论如何都要沿着眼前这条路勇往直前。

 兄と比べてスタートが遅かったとか早かったとかはどうでもいい。最終的に立っている場所が同じなら過程に意味はない。自分の内面とメンタルが数日前より研ぎ澄まされている感じがした。動機というかきっかけは性欲由来なのだけれども──ハタチにして世界という理想ではなく、大学サッカーにいるという現在の現実に真の意味でやっと向き合えた気がした。人間はくだらないことのために頑張れる。
比哥哥起步晚还是早都无所谓。只要最终站在相同的位置,过程毫无意义。他感觉自己的内在与精神状态比数日前更加锐利。虽说动机或者说契机源自性欲——但在二十岁这年,他终于能够真正直面"身处大学足球界"的当下现实,而非"世界级"的理想。人类就是能为无聊之事拼尽全力的生物。

 練習を終え、ロッカールームに戻ってくる。まだ残っている先輩がひとりベンチに座って待っていた。他の部員はとっくに帰宅している。
训练结束后回到更衣室。还剩一位前辈坐在长椅上等着。其他部员早就回家了。

「おお、お疲れ糸師」  "哟,辛苦了糸师"
「……なんスか」  "……什么事"
「お前最近オーバーワーク気味じゃね? 大丈夫なのかよ」
"你小子最近是不是练过头了?身体撑得住吗"

「関係ねーだろ」  "关你屁事"
 先輩でも容赦なく突き放し、凛はロッカーからタオルを引っ張り出した。他人の存在をないものとし、前髪の下の汗を拭う凛に、先輩は空笑いした。
凛毫不客气地甩开前辈,从储物柜拽出毛巾。他完全无视旁人的存在,只顾擦拭刘海下的汗珠。前辈见状干笑了两声。

「……あのさあ、糸師、合コン興味ない?」  "......那个啊,糸师,你对联谊有兴趣吗?"
「あぁ?」  "哈?"
 凛は先輩を睨みつけた。心底軽蔑するような色を込めて。今の凛は研ぎ澄まされかけている。見える世界がシンプルになり、自分に必要なものといらないものが一層はっきりわかっていた。凛にとって世界で最もいらないものの一つにあげられる事柄を気軽に、しかもこんな時間に待ち伏せされてまで話題に振られて、苛立ちは平常の三十くらいから、一気に百二十くらいにまでカンストした。
凛用充满轻蔑的眼神瞪着学长。此刻的他正处于极度敏锐的状态——眼中的世界变得异常简单,对自己需要什么、不需要什么比任何时候都更加清晰。当对方轻描淡写地提起这个对凛而言全世界最不需要的话题,甚至不惜在这个时间点蹲守拦截时,他的烦躁值瞬间从平时的 30 飙升至爆表的 120。

 凛の反応は予測できていたのか、先輩は大して動揺もしなかった。
学长似乎早已预料到凛的反应,神色几乎纹丝未动。

「あーそんな怒んなって。マジでお前は座ってるだけでいいから。他大学の友達が幹事してんだけど、俺の大学名言ったら女子側の幹事が糸師凛連れてきてってうるさいらしくて。お前の顔めざとい女には割れてんぞ。すげぇな」
"喂喂别这么大火气嘛。说真的你只要露个脸就行。我外校的朋友在当联谊干事,听说我们学校女生那边的干事吵着非要带糸师凛来不可。你这张脸在某些女生圈子里可是通行证啊,牛逼。"

「知るかよ……勝手にやってろ」  "关我屁事......你们爱怎么搞怎么搞"
「いやマジ飯食ってるだけでいいから! 実際居酒屋っていうかだいぶいい店なんだよ! お前鯛茶漬けとか好きってなんかのプロフィールに書いてたよな! あるから鯛茶漬け!」
"真的只要吃饭就行!其实说是居酒屋,更像是家挺不错的店!你个人资料里不是写过喜欢鲷鱼茶泡饭吗!店里就有鲷鱼茶泡饭!"

 凛は腕の動きを一瞬止めた。糸師凛も食べ盛りの男子大学生だ。食べ物一つで動くこともあるし、気持ちだって変わることもある。しばらくロッカーの中を眺めて、また腕を動かした。先輩は凛に向かって手を合わせて、仏に拝むような体勢になっていた。
凛的手臂动作突然停顿。糸师凛也是正值能吃年纪的男大学生。有时会因为食物而行动,心情也会因此改变。他盯着储物柜看了一会儿,又继续收拾起来。前辈朝他双手合十,摆出拜佛般的姿势。

「……どんくらいのグレードだ」  "……什么档次的地方"
「少なくとも安くはない。カジュアル料亭? みたいなとこ。相手の子たちお嬢様なんだよ。そこに合わせたかんじ。お前に金は出させねーよ」
"至少不便宜。算是轻奢料亭?那种感觉。对方可是大小姐们。所以选了这种地方。不会让你掏钱的"

「……マジで飯食ったら帰る」  "……吃完这顿饭就立刻回去"
「ありがとうございます糸師凛様仏様!」  "万分感谢您糸师凛大人活菩萨!"
 こうして凛は人生初の合コンへ参加することになった。タダで良質な鯛茶漬けを食べるためでしかなかったが、当日女たちから質問攻撃されることを思うと深いため息が出た。全無視一択。
就这样,凛被迫参加了人生首次的联谊会。虽然只是为了白嫖一顿优质鲷鱼茶泡饭,但想到当天要被女生们轮番提问,他就忍不住深深叹气。干脆全程无视算了。

 合コンは次週のオフ日にあわせて開催された。男子が五人、女子が五人という比較的大所帯の合コンということを直前に知らされてやっぱり帰りたくなったが、数日前から鯛茶漬けを楽しみに生きてきたこともあり、ドタキャンする踏ん切りもつかず、男子の待ち合わせ場所まで重い足取りで向かう。
联谊会定在下周休假日举行。直到临出发才得知是五男五女的大型联谊,凛顿时又萌生退意。但毕竟从几天前就开始期待那碗鲷鱼茶泡饭,终究没能狠心放鸽子,只得拖着沉重的步伐前往男生集合地点。

 待ち合わせ場所は、会場近くのコンビニの前であった。
约定的碰头地点在会场附近的便利店前。

 凛より先に三人が到着しており、他大らしい見知らぬ男が、黒いタートルネックにグレーのトレンチコートを着た凛に「これが糸師凛かー」と面白くなさそうに言った。体格的にスポーツすらしてなさそうな茶髪の男だった。先輩はまあまあと返していたが、飯にかける労力があまりに高すぎると凛は思った。今から帰っても遅くはない。女子からではなく同性からも面倒な感情をぶつけられたらたまったものじゃない。
 凛到达前已有三人先到,其中某个外校的陌生男生对着身穿黑色高领毛衣配灰色风衣的凛说了句"这就是糸师凛啊",语气索然无味。那是个茶色头发、体型看起来连运动都不参与的男生。前辈虽然打着圆场,但凛觉得为顿饭耗费这么多精力实在不值。现在打道回府也不算太晚。若连同性都要投来麻烦的感情,那可真是吃不消。

「糸師は飯食いに来ただけで基本黙ってるからさ、俺たちでなんとかやるべ」
"糸师就是来吃饭的,基本上不开口,咱们自己想办法搞定吧"

「んー、あと一人……来ねぇな」  "嗯——还差一个人……没来啊"
「バイト終わってから来るって言ってたよな」  "你不是说下班后就过来吗"
「悪い遅れた!」  "抱歉迟到了!"
 黙って帰ろうとしていた凛は弾かれたように目線を動かした。知っている声だ。同じ大学の奴でもない。こんなに凛の内側を震わせるのは──。
正默默准备回家的凛像触电般猛然抬头。这个声音他再熟悉不过。既非大学同学,却能如此剧烈地震颤他内心深处的——

「おつかれー。別に遅れてはないからいいよ」  "辛苦了。其实也没迟到啦"
「そっか、よかった! もう行く?」  "这样啊,太好了!现在就要走了吗?"
「あ、今日急遽代打で来てくれることになった潔クンです」
"啊,这位是临时决定来代打的洁君"

「潔クンよろしくー。何年?」  "洁君请多关照~你几年级?"
「二年です。えと、よろしくお願いしまーす……」  "二年级。那个...请多指教......"
 は?は?は?は?  哈?哈?哈?哈?
 なんのアレンジも加えていないシンプルな黒髪。凛よりは小柄な体。生意気なほどにぱっちりした大きな瞳に、赤く蠱惑的なくちびる。決して高くない可愛い鼻。
未经任何修饰的简单黑发。比凛更娇小的身躯。那双大得有些嚣张的圆睁眼睛,配上红润诱人的嘴唇。绝对算不上高挺的可爱鼻子。

 凛の天使。凛の女神。  凛的天使。凛的女神。
 金を払わなければ触れることも叶わない天使は、日常へと突然に舞い降りた。他人の空似かと思うが、本人ではないかという期待は高まっていく。「潔」と呼ばれた子の顔を少し離れた場所から穴が開くほど見ていると、口の中に唾液がドパッと溢れる。目が大きくて可愛い。小さくて可愛い。可愛い。カワイイ。カワイイ。
这个不付钱就触碰不到的天使,突然降临在日常中。虽然觉得可能是长相相似的陌生人,但"会不会就是他本人"的期待感不断膨胀。从稍远距离凝视那个被称作"洁"的孩子的脸庞时,唾液在口中大量分泌。眼睛又大又可爱。娇小又可爱。可爱。可爱。可爱。

 遅れてきたよいち似の子と目が合う。可愛い子は凛を全く知らないとばかりに平然と目を逸らした。凛は今すぐ彼を捕まえて、その可愛い子の顔と体をきっちり検査してあげたい衝動に駆られた。よいちなのか、そうじゃないのか。実際に会ったのは夢と呼べるほど短い時間だったけれど、よいちの写メ日記やプロフィールに目を通すことが日課になっている凛は、よいちの身体的特徴のすべてがだいたい頭に入っていた。髪の毛の匂いを嗅いだらすぐにわかる。最後にハグしたときの匂いを凛は絶対に忘れない。
与那个迟到的、酷似好一的少年四目相对。可爱的孩子全然不识凛般,泰然移开视线。凛此刻只想立即抓住他,将那张可爱脸蛋与身体细细检视个遍——究竟是不是好一本人?虽然实际相遇短暂得恍若梦境,但每日研读好一自拍日记与个人资料的凛,早已将那具身体的每处特征烙印脑海。只要嗅闻发丝便能立判真伪。最后一次相拥时的气息,凛永生难忘。

 それにもし本当によいち本人だったら、プライベートで見つけられたことはかなりの収穫だ。客とキャストの関係ではなく、普通の恋人同士の関係にもなり得る。そうしたら本番どころが、しっかり両思いになって付き合えば、中出しセックスまでさせてくれるかもしれない。可愛いよいちとラブハメと考えただけで気持ちよくなってくる。凛はこっそり舌舐めずりをして、可愛い子の首から下を眺めた。
 若真是好一本尊,这场私下的邂逅便堪称丰收。不再止步于顾客与陪侍关系,甚至可能发展为普通恋人。届时莫说正式约会,只要两情相悦认真交往,说不定连内射性爱都能如愿。光是想象与可爱的好一翻云覆雨,快感便窜上脊背。凛暗自舔舐嘴唇,目光贪婪扫过少年颈项以下的曲线。

 会場までの移動中も、凛は可愛い子の近くを陣取った。背丈もよいちと同じくらいで、近くで見てもよいちそっくりだ。あとは匂いさえ嗅げればと確実だったが、さすがに他人も見てる前で可愛い子の髪の毛に鼻を突っ込むことは憚られる。
 前往会场途中,凛始终占据着可爱少年附近的方位。连身高都与好一相仿,近看更是如出一辙。现在只差确认气息这最后一步,但众目睽睽之下将脸埋入对方发间终究有所顾忌。

 可愛い子は凛に挨拶もしないで同じ大学の人間と話し続けている。話題が先輩中心になり、彼が聴く側になった際に凛はすかさず話しかけた。
 可爱的孩子始终未向凛搭话,只顾与同校学生交谈。当话题转向学长主导、他转为倾听者时,凛立刻见缝插针地攀谈起来。

「……おい」  "……喂"
 可愛い子は凛に気づかない。  可爱的孩子没有注意到凛。
「おい」  "喂"
 ダッフルコートの袖を引く。彼はようやく凛を見た。
拽了拽运动外套的袖子。他终于看向了凛。

「……なんですか?」  “……有什么事吗?”
 警戒心にあふれた大きな瞳が凛を見やる。軽く睨んだと言っても良いくらいの鋭さであった。もちろんそんな顔も可愛いけど、敵意に近い警戒心を向けられて凛は動揺する。なので、その子がやっと返事をしてくれたのに、凛は咄嗟に言葉を続けることができなかった。
充满戒备的大眼睛望向凛。那锐利的眼神几乎可以称得上是瞪视了。虽然这样的表情也很可爱,但面对近乎敌意的警惕,凛还是动摇了。所以当对方终于回应时,凛一时语塞没能接上话。

 凛が一度黙ったので、可愛い子の目つきはいっそう不審者を見るようなものになった。
由于凛突然沉默,那可爱孩子的眼神愈发像是在看可疑分子。

「……お前、俺と会ったことあるだろ」  “……你以前见过我吧”
「ないですけど……」  "没有呢……"
 言葉のカウンターパンチを顔面にくらい、糸師凛、撃沈。
这句话如同迎面一记反击拳,让糸师凛瞬间溃败。

 可愛い子は何事もなかったかのように会話に戻り、凛を無視し続ける。その頭のてっぺんのかわいげを睨みながら、凛は作戦を考えなければならなかった。
可爱的女孩若无其事地继续着对话,始终无视凛的存在。凛一边瞪着对方头顶那撮可爱的呆毛,一边不得不开始思考对策。

 会場は事前に先輩が教えてくれた通りの、料亭まではいかないかもしれないが、綺麗な和風居酒屋だった。実際に、元料亭の建物をリノベーションしているらしく、清潔で全体的に白い座敷は、大学生には似合わないくらい上品なものであった。堅苦しくないように、掘り炬燵のテーブルが配置されていた。
聚会地点正如学长事先告知的那样,虽称不上高级料亭,但确实是家雅致的和风居酒屋。据说这里原本就是由料亭改建而成,整体纯白的榻榻米包间洁净得与大学生身份不相称,透着几分高雅。为了不显得拘束,店内特意设置了掘炬燵式的餐桌。

 相手の女子大生も五人。前髪を眉上までカットした口調のはっきりした幹事をはじめとし、セミロングの暗い茶髪をした白いニットの女、ロングヘアをきつめに巻いたワンピースの女、エトセトラ……凛には見分けをつけることすら難しかった。彼女たちは凛を目に映すとすぐに色めき立った。
对方也是五个女大学生。领头的是个刘海剪到眉上、说话干脆的干事,此外还有半长暗茶色头发穿白色针织衫的女生、长发紧紧盘起穿连衣裙的女生等等……凛甚至难以分辨她们谁是谁。她们一看到凛就立刻骚动起来。

 なんとかよいち似の子の隣に座ろうとしたが、糸師は真ん中なと先輩に真っ先に配置されてしまい、よいち似の子が座ったのはみんなが座った後のいちばん最後だったので、凛に選択の余地はなかった。
凛本想设法坐到那个像洁世一的女孩旁边,但糸师前辈抢先被安排到了正中间位置,而那个像洁世一的女孩是等所有人都落座后才坐在最边缘的,凛根本没有选择的余地。

 メシを食いにきたので、自己紹介が始まっている中でも凛は遠慮なくメニューを眺めていた。そしてメニューを眺めながら、目の端に忙しなく眼球を動かし、二つ隣の可愛い子を観察していた。その一方、女子たちの自己紹介に耳を貸さず、メニューを見ている凛のおかげで全体の雰囲気は若干険悪であった。
因为只是来吃饭的,即便自我介绍环节已经开始,凛仍毫不客气地翻看菜单。他一边浏览菜单,一边用余光频繁转动眼球,偷偷观察隔了两个座位的可爱女孩。与此同时,由于凛完全不听女生们的自我介绍只顾看菜单,整体氛围变得有些尴尬。

「えと……俺かな? 潔世一です。えっと……普段はサッカーしてます。サークル入ってるので……えーと、こういう場は初めてなので、なんか間違ってたら教えてください! 以上です」
"那个……该我了吗?我叫洁世一。平时……主要在踢足球。参加了足球社团……呃,这种场合还是第一次参加,要是有什么做得不对的请多指教!就这样。"

 いや可愛すぎか??? てか源氏名じゃなくて下の名前ガチでよいちなのかよ。
这也太可爱了吧???话说这不是艺名而是真名就叫世一吗?

 凛はメニューから顔を上げて、世一が焼けつくほどの強い視線を送った。凛と世一を挟んで間に茶髪の男がいるので、自分を掠める視線の圧と意図の不明さで茶髪の男は凛を見れなかった。
凛从菜单上抬起头,向世一投去灼热的目光。由于凛和世一之间隔着个茶发男子,那人被凛扫视的压迫感和不明意图的视线弄得不敢直视他。

 というか本当に同一人物なのだろうか。確かに見た目はよいちと同じでとっても可愛いが、エロお兄さんなよいちとは違って、目の前の大学生潔世一はとにかく初々しくて真面目な雰囲気が感じられた。
话说这真的是同一个人吗?虽然长相确实和世一一模一样超级可爱,但不同于那个色气满满的世一哥哥,眼前的大学生洁世一浑身散发着青涩认真的气息。

 それはそれで……と世一の横顔を見つめていると、隣に半分お守り役で座ってる先輩に肩を叩かれた。
正想着这样的世一也......盯着世一侧脸出神时,坐在旁边半监护角色的前辈拍了拍我的肩膀。

「糸師、自己紹介」  "糸师,自我介绍"
 凛はため息を軽くついて、メニューに視線を戻して言った。
凛轻轻叹了口气,将视线移回菜单说道。

「糸師凛」  "糸师凛"
「ねえねえ、糸師くんって彼女いるの?」  "呐呐,糸师君有女朋友吗?"
「さあな」  "谁知道呢"
「プロ内定したんでしょ? すごいよね!」  "听说你拿到职业队内定了?好厉害啊!"
「プロ内定……」  "职业内定……"
 女子たちのもてはやす言葉の下で、意図せず漏れたような低い呟きを凛は聞き逃さなかった。視線だけで世一の方を見遣ると、世一は目を丸くして、力なく驚愕しているように見えた。
在女生们此起彼伏的赞美声中,凛没有漏听那句仿佛无意间漏出的低语。仅用余光瞥向世一的方向,只见世一圆睁着双眼,看起来正无力地陷入震惊之中。

 空気を悪くし続けていた凛のフォローを入れるために、先輩はここぞとばかりに凛を持ち上げた。彼は軟派であれこそすれ、善良な人間であった。
为了缓和持续恶化的气氛,前辈看准时机把凛捧了起来。他虽然作风轻浮,但本质上是个善良的人。

「コイツすごくてさー! ブランクあるくせに選考の時も首席だったし、兄貴もあの糸師冴だしさ! なんつーか生まれから違うって感じなんだよな〜! あっという間にうちのエースだし、去年のインカレはこいつを引っ込めてなかったら優勝してたって俺は思うね」
"这家伙超厉害的!虽然有空窗期但选拔时还是第一名,而且他哥哥可是那个糸师冴啊!该怎么说呢,感觉从出生起就和我们不一样~!转眼就成了我们队的王牌,去年全国大学联赛要不是把他雪藏起来的话,我觉得我们早就夺冠了"

「ブランクって、どれくらいあるの?」  "空窗期...具体是多久?"
 飛んできたのは世一の声だった。世一はぴんと背筋を伸ばし、何気なく凛に尋ねた。しかしその何気なさがある種の切実さをかえって強調しており、答えによっては彼のなかの大切な何かが左右されるのかもしれなかった。女子からではなく男子の声で質問が来たことに先輩はちょっと意外そうにしたが、凛に「どうだったっけ?」と話を回す。
传来的是世一的声音。世一挺直腰板,装作不经意地向凛询问。但这种刻意的不经意反而凸显出某种迫切感,仿佛答案会决定他心中某个重要东西的走向。提问来自男生而非女生让前辈略显意外,但他还是把话题抛给凛:"具体是多久来着?"

「……一年、しないくらい」  "……大概不到一年吧"
「えー! それですぐに軌道に戻せたの?」  "诶——!这么快就能重回正轨吗?"
「それってなかなかないんじゃない? 糸師くんはサッカーやるために生まれてきたんだね!」
"这种情况很少见吧?糸师同学简直就是为足球而生的呢!"

 凛は世一に言葉を届けたつもりだったが、女子からの反応にかっ攫われ、世一は何も言わず向かい側に笑いかけた。凛は世一から視線を外すのをほんの少しだけ躊躇ったのち、ゆっくりと意識をメニューに戻し、鯛茶漬けのことを考えた。
凛本想对世一说出这句话,却被女生们的反应抢了先机。世一什么也没说,只是对着对面露出笑容。凛迟疑了短短一瞬才将视线从世一身上移开,慢慢把注意力转回菜单,开始考虑鲷鱼茶泡饭的事。

 周りが唐揚げや卵焼きを食べてお酒片手に楽しんでいる中、凛は刺身をたいらげて、メニューでは締めにあたる鯛茶漬けを頼んだ。話しかけてくる女子には適当に返事していたが、凛の言葉が少なくとも勝手に楽しんでいる感じで、その神経が凛にはよくわからなかった。
当周围的人都吃着炸鸡、煎蛋卷,一手端着酒享受聚会时,凛却默默吃完刺身,又点了菜单上作为收尾的鲷鱼茶泡饭。对前来搭话的女生只是敷衍应答,虽然凛话少反而营造出随意享受的氛围,但这种社交神经对凛而言始终难以理解。

 世一も女子に同じ大学の男との三人とで話していたが、ついに席を立った。
世一正和女生们聊着同校男生三人组的话题,终于起身离席。

 凛の作戦がはじまった。凛は世一を追いかけ、トイレに立つ。
凛的作战开始了。他尾随世一走向洗手间。

 凛が明るい間接照明のきいた手洗い場に姿を見せると、ちょうど用を足していた世一は、まずいものを見たように目を見張った。
当凛出现在光线柔和的间接照明洗手台前时,刚解决完生理需求的世一瞪圆双眼,活像见了什么不该看的东西。

「え、な、なに?」  "诶、什、什么?"
 世一はすぐに用を終わらせて、隠すように身支度を整えた。凛が一歩世一に近づくと、世一は後ろに後ずさる。
世一迅速整理好衣着,像是要遮掩什么。当凛向前迈近一步时,世一却向后退缩。

「潔……世一っていうのか」  "洁……是叫世一吧"
「……それが何?」  "……那又怎样?"
「一つだけ確かめたいことがある」  "有件事想确认一下"
「何……」  "什么……"
 凛は、世一を壁まで追い詰めると、小さな体を抱きしめた。突然抱きつかれて、「ひっ」と世一は小さな悲鳴をあげる。凛は世一の髪の毛の中に鼻先を突っ込んだ。
凛将世一逼到墙角,紧紧抱住了那具娇小的身躯。突然被搂住的世一发出"咿"的微弱惊叫。凛把鼻尖埋进世一发丝间。

 この前ほど汗ばんではいないがいい匂い。よいちの匂いだとわかると体が勝手に反応する。
虽然不像上次那样汗津津的,但依然是好闻的味道。意识到这是世一的气息,身体便擅自产生了反应。

「よいち……」  "好一……"
「いや! マジで無理だって……離して!」  "不要!真的不行……放开我!"
 自分の目の横へ劣情たっぷりに唇を這わし始めた凛に、世一は凛の胸板を全力で叩いた。さすがに少し痛かったので体を離すと、よいちは唇を噛み締めて、心底悔しそうな目で凛を睨んでいた。その目に乗っているのが、よく知らない大きな男に抱きつかれたことによる恐怖とは別の感情で、凛は何回か瞬きする。
面对凛那充满情欲、正沿着自己眼角游移的嘴唇,世一用尽全力捶打凛的胸膛。吃痛的凛终于松开身体,只见好一紧咬下唇,用混杂着羞愤的眼神瞪视着他。那目光中翻涌的并非单纯被陌生男性强拥的恐惧,而是更为复杂的情绪,让凛不由得眨了眨眼。

「マジでありえない……。このためだけについてきたの? ちやほやしてくれる女の子なんかあっちにいっぱいいるけど? 穴に突っ込みたいだけならさっさと戻れば?」
"简直不可理喻……就为了这种事跟来?那边明明有一堆愿意讨好你的女孩子吧?如果只是想要发泄欲望就赶紧回去啊?"

 カウンターパンチはまた顔面に入り、さらに凛を昏倒させる勢いだった。
一记反击拳再次击中面部,那股冲击力几乎要让凛当场昏厥。

 目の前に好きな子がいる高揚感と性欲で思いのままに世一を抱きしめてその正体を確かめてしまったが、それと引き換えに世一からの好感度は地に落ちたとわかった。可能であれば世一をお持ち帰りしたい。折角の合コンだし。などど浮かれたことを考えていた数秒前の自分と目の前の世一の差異に動けなくなる。
方才还沉浸在心上人近在咫尺的亢奋与情欲中,随心所欲地搂住世界第一确认其真身,却也因此换来对方好感度跌至谷底的认知。若有可能真想直接把世界第一带回家。毕竟难得联谊机会。几秒前还满脑子轻浮念头的自己,与眼前这位世界第一的反差令他动弹不得。

「俺行くから」  "我走了"
 凛の横を素通りしていなくなる世一。凛は二分間ほど放心したのち、傷心のまま席に戻る。それから鯛茶漬けをさっさと掻き込み、周囲が止めるのも全然聞こえていないように退散した。
世界第一径直掠过凛身侧消失不见。凛呆立原地约两分钟后,带着破碎的心回到座位。随后胡乱扒完鲷鱼茶泡饭,对周围劝阻充耳不闻地匆匆离场。

 世一と話がしたい。  想和世一说话。
 せめて迫る前に連絡先でも聞いておくんだったと後悔した。最低だけど、他人の空似だとしても見た目が凛のド好みなのだから、最終的に付き合えてセックスできるなら下半身は満足できた。それにウブで清楚なかんじの世一も……めちゃくちゃイイ。
 至少该在靠近前先要个联系方式——现在后悔也晚了。虽然很渣,但就算只是长相相似的陌生人,那张完全符合凛审美的脸,只要能最终交往上床下半身就满足了。况且清纯懵懂的世一也……超级对胃口。

 凛はまたしてもベッドの上で天井を見つめていた。見つめながら可愛い世一のことを思い出していた。後悔しても現実ら変わらないことを凛はよく知っているので、次にどうするか考えなければならない。
 凛又一次躺在床上盯着天花板。凝视间又想起可爱的世一。他深知后悔也改变不了现实,现在必须考虑下一步行动。

 いずれにせよ、よいちと世一は同一人物なのだ。世一本人は決して明言はしなかったが、凛は自分の感覚を信じている。五感をもって感じた世一のすべてが「よいち」だった。
 无论如何,好一和世一就是同一个人。虽然世一本人从未明说,但凛相信自己的直觉。所有感官接触到的世一都证明他就是「好一」。

 現状、よいちと接するためには金がいる、金を出してよいちと直接話をするしかない。親の仕送りが余っているとはいえ風俗に使うのは若干気が引けたが、凛にとってはまっとうな恋愛と引き換えに金を払うようなものだった。加入まで待てない。今すぐ世一に会いたいのだった。
眼下要想接触世一就得花钱,只有掏钱才能和世一直接对话。虽说父母给的生活费还有结余,但用在风俗场所总有些心虚——不过对凛而言,这不过是花钱换取正当恋爱关系的代价罢了。他等不及办理会员手续,现在立刻就要见到世一。

(中略)

 水を喉に流し込み、凛と世一は店を出た。ここから世一の家は近い。次にどこに行くか話すわけでもなく、凛と世一は晩冬の夜道を歩いた。世一が鼻歌を歌い出す。
将矿泉水灌入喉咙后,凛和世一走出了店铺。从这里到世一家很近。两人没有商量接下来要去哪儿,就这样并肩走在晚冬的夜路上。世一轻轻哼起了歌谣。

「なんの歌だそれ」  “这唱的什么鬼歌”
「はちみつきんかんのどあめ」  “蜂蜜金桔喉糖”
「キッショ」  “恶心死了”
「なんでだよ!」  “凭什么啊!”
 世一が凛の肩を軽く叩き、そのまま顎を凛の肩に載せるようにしてもたれかかった。その顔を覆うようにして凛は身を屈める。唇が離れたとき、世一の目は潤んでいた。
世一轻轻拍了拍凛的肩膀,顺势将下巴搁在他肩上倚靠着。凛俯身遮住他的脸庞。当双唇分离时,世一的眼眸已泛起水光。

「あ、あのさあ凛」  "那、那个...凛"
 凛は親指で世一の下唇をふにふに押した。世一は喋りにくそうにしたが硬い声で言った。
凛用拇指轻轻揉捏世一的下唇。世一虽然说话困难,仍用沙哑的声音说道。

「うち、近いんだけど……来る?」  "我家...就在附近...要来吗?"
「は……」  "哈……"
「お金取らないから」  "不收你钱"
「……お前」  "……你这家伙"
 世一の家に行くということ。それはつまりそういうことであった。凛は多分、世一の家を知ったからには通い詰める。当たり前のように寝泊まりし始める。ストーカーだってする。それについて凛がわざわざ口にすることはないけれど、世一は凛から自分への性的な執着は身をもって知っているし、それくらいは予測しているだろう。……おそらく。きっと。
去洁世一家的意思。说白了就是这么回事。凛既然知道了洁家地址,肯定会天天往那儿跑。理所当然地开始留宿。跟踪狂行为也干得出来。虽然凛不会特意说出口,但洁早已亲身体会过凛对自己病态的性执着,这点程度应该能预料到。……大概。肯定。

「ビビってんの?」  “你该不会在害怕吧?”
「あ?」  “哈?”
「俺で童貞捨てたがってたくせに。いざという時は意気地なしなんだな」
“明明是你自己急着想用我来破处。事到临头却怂了?”

 付き合うことも本番もお預けしていたのは世一であるのに、彼は自分のウィンドブレーカーの裾を両手で掴みながら、顔を赤くして凛のことを嘲笑った。
明明连交往和初体验都是世一主动提出的,此刻他却双手攥着自己防风外套的衣角,涨红着脸嘲笑着凛。

「俺の気が変わらないうちに決めたほうがいいんじゃないの?」
"趁我还没改变主意前,你最好快点决定。"

 世一の手の甲に凛は指を触れさせた。期待が高まる。世一の目は凛だけを映していた。凛は自分が肉食獣の五感になってきていることを自覚したが、こうなると世一も大概な肉食獣であった。
凛的指尖轻触世一的手背。期待感不断攀升。世一眼中只倒映着凛的身影。凛意识到自己正逐渐具备肉食动物的敏锐感官,但转念一想,世一又何尝不是个十足的掠食者。

 世一の部屋はほどほどに散らかっている普通の家だった。仕事の収入を全て貯金に回していることは見てとれる程度に普通の部屋だったが、家具全体が薄い青の布といった一応の統一感がみられ、雑多という印象はそこまでない。
世一的房间是间略显凌乱的普通公寓。虽然能看出他把工作收入全都存了起来,但整体家具都铺着淡蓝色布料,勉强维持着统一感,倒不至于给人杂乱无章的印象。

 部屋に入り、ウィンドブレーカーを脱いだ世一に肌の下が汗をかいた。接客される時とは違い、世一の部屋では、服一枚脱ぐことが重大な意味をもつような感じがした。
走进房间后,脱下防风外套的世一皮肤上沁出细汗。与接待客人时不同,在世一的房间里,每脱下一件衣物都仿佛带着重大意味。

「ほら、シャワーあびてきて!」  "喂,快去冲个澡!"
「あ?」  "啊?"
「部屋寒いし。早くあったまってきて」  "房间太冷了。赶紧去暖和一下"
 タオルを押し付けてくる世一を凛は腕でガードした。世一はいつもよりせっかちになっていた。
凛用手臂挡开硬塞毛巾过来的世一。世一比平时显得更加急躁。

「一緒に入りゃいーだろ」  “一起洗不就好了”
「いいから!」  “少啰嗦!”
 追い出されるようにしてシャワーへ追いやられる。世一と一緒にいるのに一人でお湯を浴びるのは変な感じがした。バスルームも冷えていたので、お湯を出すと室内はたちまち真っ白になった。目を凝らしても世一は現れない。
 被赶着去冲澡的感觉。明明和世一在一起却要独自淋浴总觉得怪怪的。浴室也很冷,打开热水后室内立刻变得雾气氤氲。就算瞪大眼睛也看不见世一的身影。

 凛が襟足を濡らして出てくると、入れ替わりで世一もすぐに入りに行く。暖房が効き始めたのとさっき浴びたお湯のおかげで、部屋の空気はやさしく凛を包み込んでくれる。ペットボトルのお茶とコップが二人分置いてあったので、遠慮なくもらう。凛はよいちの部屋をあらためて見まわした。なんとなく、いい匂いがする気がする。ベッドの上に座り、こっそり枕の匂いを嗅いでみる。
 当凛打湿后颈走出来时,世一立刻交替着进去洗澡。暖气开始运作加上方才沐浴的热气,房间的空气温柔地包裹着凛。桌上摆着两人份的宝特瓶装茶和杯子,他便不客气地取用。凛重新环视世一的房间。总觉得飘着若有似无的好闻气息。坐在床沿,偷偷嗅了嗅枕头的气味。

「おい、何してんの」  "喂,在干嘛呢"
 軽やかに体を起こし、凛は「別に」と答えた。世一は、凛の隣に腰掛け、少しずつ体を密着させた。
凛轻巧地支起身子,回了句"没什么"。世一在他身旁坐下,慢慢将身体贴了过来。

「凛、ドキドキしてる?」  "凛,心跳加速了吗?"
 着古したTシャツを着た、少しだけ髪の毛の濡れた世一。トレーナーの下はパンツ一枚の凛の太ももに左手を置き、据え膳になる。凛は勃起を隠そうともしなかった。下着にくっきり浮き出た逞しい凹凸は世一のために精液を溜めていた。キスをする。世一が薄目を開けて、また閉じる。
穿着发旧 T 恤、发梢还带着湿气的世一。运动裤下只穿着内裤的凛的大腿上,那只左手正安营扎寨。凛根本没打算掩饰勃起。内裤上清晰凸显的雄壮轮廓,早已为世一蓄满了精液。接吻时世一微微睁眼,又阖上眼帘。

「あのさ……」  "那个……"
 凛の手が世一の両肩を掴み、始めようとしている時にまだ続ける。凛は眉を上げた。
凛的双手搭上世一的肩膀正要开始时,对方却还在继续说话。凛挑了挑眉。

「んだよさっきから」  "干嘛啊从刚才开始"
「一つだけ言ってもいい?」  "能再说一句吗?"
「なんだよ」  "搞什么啊"
「俺、初めてなんだよね」  "我...还是第一次呢"
 最後のカウンターパンチだったがこれは痛くなかった。凛は衝撃の余韻でしばらく黙っていたが、出し抜けに尋ねた。
这记最后的反击拳并不疼。凛在冲击的余韵中沉默了片刻,突然开口问道。

「……あの仕事しといて処女ってことあんのかよ」  "......干着那种工作居然还是处男?"
「だから、タチもウケもNGって言ったじゃん! 何一丁前に、引いてんだよ…!」
"我不是说了上下都不行吗!装什么装,明明在躲…!"

「別に、引いてはいねぇ」  "谁躲了"
 世一の腕を掴み、手の甲に自分の手のひらをつけるようにして、凛は世一の手を自分の股間にあてがった。世一の手が下着越しでペニスに触れて、それだけで気持ちいい。
凛抓住世一的手腕,让他掌心朝上贴着自己的手背,引导那只手覆上自己的腿间。当世一的指尖隔着内裤触到阴茎时,仅是这种程度的接触就让他舒服得眯起眼。

「興奮する」  "你硬了"
 その言葉を聞いて世一は息をこぼした。凛のものがクッキリしたところを掴み、上下に動かす。凛は世一の目の前で、一度亀頭をゴムに引っ掛からせ、竿の全体像を出した。風呂に入った直後ではあるけれど、血管を浮かばせるほどの逞しさに雄くささがツンとただようようだった。
听到这句话,世一漏出一声喘息。他握住凛挺立的部位上下滑动。凛在世一面前,先是让龟头卡在安全套边缘,随后整根没入。虽然刚泡完澡,但勃起的青筋彰显着充满雄性气魄的粗壮,腥膻气息扑面而来。

「凛ってゴムのサイズいくつ?」  "凛用的套子是什么尺寸?"
「あ?」  "啊?"
 言われてはっとする。ゴムを持ってきていない。凛の表情から見かねたように、世一は続けた。
被这么一问才猛然惊觉——根本没准备安全套。看着凛茫然的表情,世一继续说了下去。

「俺、用意してたんだけど……俺より一個大きいサイズと二個大きいサイズのふたつ買っといた」
"我本来准备了的...买了比我大一号和大两号的两个尺寸"

「……最初から俺に抱かれるつもりだったのかよ」  "...你从一开始就打算让我抱你吗"
「さあな」  "谁知道呢"
 世一の処女をもらえるということで猛烈に勃起している股間を可愛がるように世一は凛を手コキし続けた。世一の髪の毛に手を入れ、凛は世一にキスする。
因为能夺取世一的处女之身而勃发到发疼的下体,被世一用温柔的手法继续抚弄着。凛将手指插入世一发间,低头吻住了他。

「脱げよ」  "脱掉"
 簡単な服装の世一は、立ち上がると、凛の目の前でパンツとTシャツを床に落とした。官能的な世一の体が凛の目の前に現れる。世一の裸を前に、凛は無意識に股間を扱き出してオナニーを始めた。
穿着简单衣物的世一起身,在凛面前将内裤和 T 恤扔到地上。充满官能美的世一躯体就这样展现在凛眼前。面对全裸的世一,凛不自觉地开始抚弄胯间自慰起来。

「ねえ……恥ずかしいから電気消していい?」  "那个......太羞耻了能把灯关掉吗?"
「恥ずかしがるような体じゃねぇだろ」  "你这身子有什么好害臊的"
 とってもエッチなので、世一の体はどこも隠されるべきじゃない。凛はそう思って言ったけれど、世一は唇を縮めて勝手に部屋を暗くした。
他的身体每一寸都不该被遮掩。凛虽然这么说着,世一却抿起嘴唇擅自调暗了房间灯光。

「凛も脱いで……」  「凛也脱掉嘛……」
 トレーナーを脱ぎ、凛も何も身に纏っていない状態になる。
脱下运动服后,凛也变得一丝不挂。

「世一……」
 彼をベッドに寝かせる。出会ってから初めて世一を押し倒した格好になったことに気づく。今回はされるがままになっている世一が、まぶたを少し下げたけだるい表情で凛を見上げている。世一はとても綺麗だった。
将他放倒在床上。凛这才意识到这是两人相识以来第一次将世一推倒的姿势。此刻任人摆布的世一半垂着眼帘,用慵懒迷离的眼神仰望着凛。他美得令人窒息。

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